機動警察パトレイバー

登録日:2010/02/08 Mon 18:13:41
更新日:2024/02/21 Wed 15:26:21
所要時間:約 14 分で読めます




「レイバー」それは産業用に開発されたロボットの総称である。
建設・土木の分野に広く普及したがレイバーによる犯罪も急増。
警視庁は特科車輌二課パトロールレイバー中隊を新設してこれに対抗した。
通称、パトレイバーの誕生である。



・・・
・・
PATLABOR
THE MOBILE POLICE

『機動警察パトレイバー』はヘッドギアによる漫画、アニメ、などのメディアミックス作品である。


■概要

ヘッドギアはゆうきと出渕の遊び半分での企画交換によって始まり、最後に押井が伊藤に誘われる形で合流し、
プロデューサー鵜之澤伸氏の「訳のわからない作品を作る人だけど、現場を纏める腕は優秀だから」という意見で押井がグループの中核になった。

ゆうきまさみ:原案および漫画
出渕裕:メカニックデザイン
高田明美:キャラクターデザイン
伊藤和典:シリーズ構成・脚本
押井守:監督・脚本

今考えるとすごいメンツである。

この「元々は関わった作品のヒットの恩恵を受けにくいアニメーションの実制作現場で働く人達を中心に結成し、
音楽バンド(或いはユニット)の要領で個々の役割を分担して、その集団主導で制作した企画書を原作として動かし、
その集団が直接オリジナルの作品の制作に関わる著作者としても、他社が関連作品を制作する時の名義貸しの原作者としても立ち回れる」
という思想とノウハウは、後々の最低限の印税等の利益の確保・権利を保持し、仕事に際して自分を売り込むための知名度・ポジション作りをする際に
大いにわかりやすくスムーズになり、その手法を踏襲するフォロワー達も多く現れた。(例:番組内のパートを間借りしたロボアニメだったり、革命する少女向けアニメだったり、現実と虚構の境目がなくなってしまったり、お色気SFをカオスギャグに魔改造したり、ゲームが原作のシリーズから離れたアニメ独自の設定を構築したり、過去に亡くなった幼馴染との交流だったり、憧れの少女達のシステムを知る作品等)
ただ、他のフォロワーと違うのはヘッドギアは飽くまでも「『機動警察パトレイバー』シリーズの版権管理のための株式会社」であり、恒常的な活動を行うためのユニットではない所である。
そして、近い距離で話せるが故のデメリットもあり、絵柄の方針・思想の根本的な意味での違いによる内部分裂も少なからず起こり、特に出渕と押井は長期間に渡る埋め難い溝が出来てしまったこともあっけらかんと話されている…。
止めとして、「ヘッドギアの次の展開は?」という旨の質問を過去に何度も投げかけられたものの、出渕と押井は共に「『自分が関わるに値する』と思える動機と目指している目標が全員違うからどうしても対立してしまう。もう無理」とキッパリと語っている…。
また同じ世界観と時間を扱いながら各メディア間でそれぞれ少しずつずれた設定と別の物語を描いており(いわばパラレルワールド)、こっちのスタイルは後に『天地無用!』・『神秘の世界エルハザード』等に継承されている。

制作に対してのコンセプトは
押井「典型的な巨大ロボットを敢えてとことんみっともなく演出して、ヒロイックな要素を叩き潰すことで、逆説的にメカニズムだけが持つ魅力を引き出す」「刑事ドラマではスタンダードな事件ありきの構成ではなく、エピソードの一つのパーツとして事件を絡めつつ、警官達の日常を面白可笑しく書く」「ファッション性は重視しない。華やかなキャラはいらない」←高田「派手さがなくなったら、私の武器といる意味がない」とごちり、ボツ覚悟で美男美女のデザイン・華やかな服装の設定表を出した
伊藤「焼き魚定食志向の生活アニメ」「悪役は環境主義のテロリスト」
高田「ロボットを操縦するんだから、制服にはスパッツを付ける。そうすれば、足さばきが良くなる」
ゆうき「登場人物がどんどん死んでいく様な暗い話が多いリアルロボット路線が主流になるつつある今、兵器としてではないロボットの使い道を模索し、誰も死なない明るいロボットものを作る」
出渕「いかにも格好良い売れ線のデザインのロボットが警視庁に配置されるというミスマッチの表現」←押井「嘘つけ手前っちが好きなだけだろうが」


最初は週刊少年サンデー連載の漫画とOVAから始まり劇場版公開、さらにテレビシリーズとその後を描いた新OVA。
その後、映画が二作作られた。
小説版(富士見ファンタジア文庫)もあり、それらは全て旧OVAをベースに熊耳等テレビアニメ版の要素を入れた世界観の物語である。
香貫花が帰った話や熊耳の過去話、劇場版のカットされたシーン追加などの補完がされている。

ちなみに最後の劇場アニメ「WXIII 機動警察パトレイバー」に押井は関わっていなかったりする。
曰く「2でパトレイバーでやるべきことは全部やった」から(意訳)。
しかし、内心「次は実写で表現してみせる」と意気込んで、「2」制作終了後すぐに実写化に向けての企画書を書き、
パイロットフィルムも制作した。途中で企画は没にされるも、めげずに内容の細かなリファインを繰り返し、その過程で未来の特車二課を描いた小説『番狂わせ 警視庁警備部特殊車輛二課』も執筆。

そして、遂に2014年4月公開で実写化。主演は真野恵里菜。
タイトルは『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』
実写版の世界観は『番狂わせ』の設定と同じ「アニメから十数年後」という扱いであり、
隊員達は全てアニメ版キャラの"後輩"という扱いである。
時系列を簡単に書くとこんな感じ
アニメ版 初代 → 機動警察パトレイバー2 二代目 → 実写版 三代目

2017年、新規アニメーションプロジェクト「PATLABOR EZY」の展開を発表。
総監督は出渕・脚本は伊藤が務める。
時系列は「新OVA版」から30年後。
シリーズ作品なのか、単発作品なのか、媒体はどういう形態なのかは未発表。
ただ、まだ笑い話にできない紆余曲折の後、余裕のあるスケジュールで制作できたという。
2024年公開予定。


このため本作には単純に考えても
  • 旧OVA版(アーリーデイズ)→劇場版1→劇場版2→実写版
  • 漫画版
  • 富士見ファンタジア文庫版(公式サイトで独立世界観と判明)
  • テレビアニメ版→新OVA版→劇場版2→実写版*1
と4タイプのストーリーラインが存在し、他に
  • WXIII 機動警察パトレイバー(漫画版「廃棄物13号」編のパラレルストーリー)
  • ミニパト
  • 機動警察パトレイバーREBOOT(イングラム以外一新された短編アニメ)
という他との関連性が不明な作品群が存在する。


■ストーリー

近未来。ハイパーテクノロジーの発展により、汎用多足式作業機械「レイバー」が広く民間に普及していた。
首都圏では1995年に「東京南沖大地震」が発生。多大な被害が出てしまった。
政府は発生した瓦礫の処理と東京湾での用地確保を兼ねた東京湾干拓計画「バビロンプロジェクト」に着手。東京には工事のためレイバーが集う状況となった。
しかし、それに伴いレイバーを使った犯罪が続出。警視庁は警備部にレイバー運用部隊である「特科(特殊)車両二課」、通称「特車二課」を新設しこれに対抗した。

この作品はその特車二課に勤める人々、その中でも特に最新鋭パトレイバー「AV-98 イングラム」を運用する第2小隊の面々を描いたものである。

「警視庁警備部二課」(または特殊車両二課)が正式名称であるが、通称「特車二課」と呼ばれる。
二つの小隊と整備班を抱えた中隊。
あまりに辺鄙な東京湾埋め立て地にあり、めったに人は来ない。(昔のお台場か?)

主な任務はレイバー犯罪の取り締まりや事故の救出作業。しかしその特異性から表に出来ないような事件も担当することがある。
シフトは第一小隊と第二小隊による一週間ごとの交代制。
第二小隊に関しては、世間様からの評判は最悪。出動すると大抵何かを壊す。
建築物・・相手レイバー・自分たちのイングラムすら破壊する。
「金喰いむし」「用なし」はいいほうで、ひどいものでは「第二小隊が通ったあとにはぺんぺん草も生えない」とまで。

待遇は非常に悪く、飯の確保すら危ないほど
近くのコンビニまで車で往復45分。出前もかなり遠い上に野犬が出没する為、昼間に一軒しかしてくれない。
そのためトマト栽培・ニワトリ飼育・整備班そろってハゼつり・高速船を使って沿岸漁業など様々な方法で食いつないでいる。
また地下には建設時の通路が残ったままでダンジョンと化している。


■世界設定

制作時点での近未来ということで、1990~2000年代初頭の東京を中心とした地域を舞台としている。
そのため、史実の世界とは異なる描写もちらほら見られる。具体的な例では

・冷戦が終結しておらず、ソ連も東西ドイツも残存。
・省庁再編がない。
・携帯電話が普及していない。
・国際展示場がビッグサイトではなく未だに晴海のまま
・飲み物は缶ジュース・プルタブ式*2が主流。
・米軍制式ヘリがアパッチではなくシャイアン

がある。
なお、インターネットについては概ね連載当時と現実の普及速度がほぼ同時となっており、WXIIIでは2ちゃんねるらしき掲示板が登場している。


■主な人物

一部キャストは押井がアニメ版前半に参加した『うる星やつら』と共通しており、冨永みーなと鈴置洋孝はゆうきまさみの『究極超人あ〜る』OVA版に続投している。
※以下の人物解説はアニメ版準拠である。
 漫画版は基本は同じであるが香貫花のように全く異なる設定になる人物がいる。

□特車二課

声:冨永みーな
イングラム一号機の操縦士であり旧OVA、テレビ版、漫画版の主役。ちょっと単純だが明るく真面目な性格。
一号機を大事にしており、アニメ版では昔飼っていた愛犬の名から「アルフォンス」と呼んで溺愛する。(一号機は三代目アルフォンス、二代目アルフォンスはネコ)
一号機への愛は生半可なものではなく、輸送車ごと盗まれた際にハイヒールで追い付くという荒業を成し遂げている。
新OVA最終巻に収録されてるラジオドラマでのアルフォンスとの別れは必聴。
実家は酒屋で酒に強い。
「怒ったぞォー! ナメんなよ!」

  • 篠原(しのはら)遊馬(あすま)
声:古川登志夫
イングラム一号機指揮担当であり旧OVA、最初の劇場版の主役。冷めた性格だが時々熱くなる。毒舌。
実はレイバー産業大手「篠原重工」の社長の息子。そのためレイバーには詳しい。
何だかんだで野明を気にかけている。
「待たせたな、野明!」

  • 山崎(やまざき)ひろみ
声:郷里大輔
通称・ひろみちゃん。イングラム一号機輸送車担当。
2メートル近い巨体だが性格は温和。トマト栽培やニワトリ飼育のプロ。実家は漁師だが本人は船酔いが酷い。実は地元に美人の許嫁がいる。また、劇場版では巨体を活かして対戦車ライフルを1人で運用したりもする。
旧OVAでは水陸両用レイバーで戦艦の砲撃を阻止したり、バイオブロリーよろしく巨大化したそっくりさんと対面したりする。
漫画では巨体ゆえにイングラムに乗れない代わりに、レイバーの応急処置技術を習得するなど器用なタイプでもある。
「お赤飯炊こうか?」

声:池水通洋
イングラム二号機操縦士。重度の熱血漢。破壊神。マッドポリスマン。
街中だろうが、森だろうが場所を選ばず平気で拳銃ショットガンをぶっ放すトリガーハッピー。旧OVAではリボルバーカノンで実際に人を撃った(空砲だったが)。よく弾を外しているように思われるが、それは人命尊重のためコックピットなど危険な部分を避けて、手足や関節部などのパイロットに危険はないが命中させるのが難しい末端部を速射で狙うためである。
それでも破壊神であることは変わりはないが。
射撃以外でも格闘戦を行うことも多く、劇場版ではイングラムでドロップキックをかましたり、もぎ取ったレイバーの腕を振り回して大立ち回りをしていたりする。
もはや人を超越している。
第二小隊の悪評の元凶。
しかしある話ではになった。
アイドル好き。
堅苦しく暑苦しく高血圧なおじさんに見えるがまだ25歳と若い。
よく衝突していたが実は香貫花にシャイで淡い気がある様子。詳しくは項目参照。
「往生せいやぁぁぁっ!!!」

  • 香貫花(かぬか)・クランシー
声:井上瑤
アメリカ生まれの日系クォーター。イングラム二号機指揮担当…漫画版以外では(後述)。
非常に才能のある人物でイングラムの操縦も上手。時々会話に英語が混じる。太田が頭の上がらない人物。
物語中盤でアメリカに帰る。また漫画版では熊耳との兼ね合いから特車二課には配属されず、後半でアメリカから来訪した捜査官として登場。
漫画版でゲスト扱いなことから、古参からいるキャラの中で総計するとメディア露出が少なめだったり。
ちなみに、本質的には上のバカと同じ実力行使主義。違いは理性があるかないか。ちなみに特車二課に来た理由はアメリカ警察で持て余されたから。研修名目の島流しである。
四字熟語の天才
また熊耳とは共に優秀な点で気が合いそうだが対照的な性格をしており、反りが合わなかったりする。
「シャラップ!」


  • 熊耳(くまがみ)武緒(たけお)
声:横沢啓子(現:よこざわけい子)
イングラム二号機2代目指揮担当。太田が頭の上がらない人物その2。
優秀な人物で仕事が早い。実は幽霊に弱いという可愛い弱点があり、しかし漫画版では父が心霊写真好きだったり。
香貫花の退場で急遽登場したキャラであるが、実は漫画版で先行登場しており(なので漫画世界では香貫花が加入しない)、内海との縁からラストの鍵を握る人物でもある。なぜか劇場版2・3には未登場だが。*3
「“おたけさん”で良いわよ?」
+ 以下、漫画版最終巻のネタバレに付き注意
最終決戦直前にリチャード(内海)の元に独り向かうが企画七課に拘束され、愛する女性を他の反対を押し切っても手元に置きたい内海に連れていかれそうになるが、
最終的に目の前で彼が致命傷を負い崩れ落ち(生死は不明で黒崎等は逃亡)、救出自体はされたものの精神的ショックで2か月後も休職中という結末を迎えた。
内海の起こす犯罪と無責任な人格自体は一貫して否定しているが、最後の時「リチャード!」と叫び駆け寄っていたため、元彼への感情は残っていた模様。
声の人は小学館系アニメでは『エスパー魔美』(中学生)や『ドラえもん』のドラミ(少女人格のロボ)として知られており、ある意味では珍しい「大人の女性」な横沢氏を見ることが出来る。


  • 進士(しんし)幹泰(みきやす)
声:二又一成
イングラム二号機輸送車担当。メガネ。胃薬を美味しそうに飲む。
脱サラして警察官になった人物でコンピューターが得意。愛妻家かつ恐妻家。
テレビ版ではキレると非常にヤバい性格。漫画版では最初二号機指揮も担当していたが、太田を御し切れず熊耳と交代することに。
劇場版2では本庁の総務課長になる大出世を遂げている。
「松井さん、拳銃持ってます?」

声:大林隆介
特車二課第二小隊長であり二つ目の劇場版の主役その1。みずむしに悩む中年管理職。
かつては公安部に所属しており、「カミソリ後藤」と呼ばれるほどのキレ者で、今でも時々その片鱗を見せる。松井さん曰く「本庁じゃ有名なワル」「あまりにもキレ過ぎて特車二課に飛ばされた」らしい。
しかし普段はいいかげんでてきと~な昼行灯オヤジ。
真帆子という姪がいる。
小説版によると結婚していたが、奥さんは亡くなられたらしい。
旧OVAでは非常に珍しい唖然顔を披露する。
映画になるとシリアスになる。
なお特車二課と第二小隊長である後藤は、今野敏氏の小説「安積班シリーズ」(主な拠点が湾岸にある「臨海署」)のひとつである「夕暴雨」に名前だけではあるが登場。
この小説での後藤は「安積班シリーズ」の主人公安積剛志や交機隊の速水直樹とは同期の設定となっており、彼らからも「カミソリ後藤」と言われている。
「みんなで幸せになろうよ」

  • 南雲(なぐも)しのぶ
声:榊原良子
特車二課第一小隊長。実質的に責任者。二つ目の劇場版の主役その2。
いつも後藤が抱える問題児達に頭を悩ませている。優秀な指揮官でありレイバーの操縦も上手い。
並の男より男前。美人。でもおっかない。
かつては「警視庁きっての才媛」とまで言われたキャリア組であったが、とある不祥事により本庁の出世コースからは外れている。が、劇場版2では警部補から警部に昇進し、特車二課課長代理となっている。
後藤との
「欲しい?」
「欲しいわ」
「あげない」
「言うと思った」
のやりとりは派生含めて微笑ましい。
後藤とラブホに泊まった際のやり取りは必見。
「亡者どもがっ……」

  • (さかき)清太郎(せいたろう)
声:阪脩
通称・おやっさん 特車二課整備班班長。
長年メカの整備をしてきた大ベテラン。その腕前は一目でレイバーの状態が大体判るほど。
職人気質で厳しいが、若者ともしっかり向き合ってくれる話のわかる御方で、整備班以外の課員からも信頼が厚い。
説教が始まると長いのが玉にキズ。
クルマも好きなようでコブラを所有。漫画版で愛車が悪漢に蜂の巣にされた際には部下の手前、平静を保ちながらも静かに怒り狂っていた。
劇場版2では奥さんもいたがすでに死別していることが判明している。
「もたもたしてると海にたたっ込むぞ!」

  • シバシゲオ
声:千葉繁
主にアニメに登場。実写映画版にも唯一継続登場している。
整備班の若頭的存在。通称「シゲさん」。名前の由来は中の人から。
かなりのお調子者でもありおやっさんからどやされているが腕は確かで、ムードメーカーとして二課を盛り上げる。
「おやっさーん」


□シャフト・エンタープライズ

漫画版・テレビアニメ版・新OVA版における『機動警察パトレイバー』の実質的な悪の組織。
特に初出の漫画版では日本支社である『シャフト・エンタープライズ・ジャパン』との対決が主軸として描かれている。
国際的な多国籍企業で日本支社以外にも西ドイツ・USA・韓国・中国なども存在するらしい。
某機動戦士に出てくる企業と同じく、「つまようじからスペースシャトルまで」というキャッチコピーのとおり、軍用レイバーの開発からゲームの開発まで多種多様な製品を手がけている。

極東総支配人。
シャフト・エンタープライズグループの日本・韓国・中国支社を統括している人物。
各支社の社長よりも権限は上であり内海が社内で好き勝手できるのも彼とのコネクションが有るから。

  • 徳永専務
声:立木文彦
『シャフト・エンタープライズ・ジャパン』専務取締役。
内海の直属の上司で毎回内海の無茶苦茶な『遊び』に振り回され胃を痛めている可哀想な人。
妻帯者で今年受験予定の娘がいるらしい。

  • 平光
声:梁田清之
『シャフト・エンタープライズ・ジャパン』取締役。
徳永とは友人関係で昔から二人で色々と悪さをしてきたらしい。
頭が光っている。


□企画七課

表向きはゲームを作る部署だが、実態は『シャフト・エンタープライズ・ジャパン』の闇の部分を引き受けている部署。
その仕事内容は多岐にわたり、人身売買や密輸入の斡旋、またはオリジナルレイバーの開発まで幅広く手がけている。
もっとも、内海が課長に就任して以降は「内海がやりたいことをするための部署」と化しており、上層部からは煙たがられている。

  • 内海課長
声:鈴置洋孝 / 成田剣(『CR機動警察パトレイバー』)
多国籍企業シャフト・エンタープライズ・ジャパン企画七課の課長。
いつもニコニコしていて滅多に笑顔を絶やさない人物。別名「悪の植木等」。
日本に来る以前は香港で「リチャード・王」と名乗って悪さをしていたらしく*4、この時期に研修で警視庁から香港警察に出向していた熊耳武緒と交際していた。
切れ者であるが、基本的に享楽主義的で、自分の欲求のみに忠実な人物であり、上司からは「手段のために目的を選ばない男」と評されている。*5
黒崎君をはじめとした一筋縄ではいかぬ企画七課の面々をその何ともいえぬ魅力で統率し、警察とシャフトの重役たちを手玉にとって、「イングラムグリフォンどっちが強いかな?」という『遊び』を実行して楽しむ究極の愉快犯。
後藤とは一種のシンパシーを感じていたようで、敵対関係でありながら電話越しにユーモラスで軽快な掛け合いを見せた。

  • 黒崎くん
声:土師孝也
内海の懐刀で企画七課のナンバー2。
眼鏡をかけた目つきの鋭い男性で、内海がブラジル支社に左遷されてからは課長代理を務めていた。
上司である内海の気まぐれに振り回されており、内海の尻拭いに奔走している苦労人だが、会社とは関係無く内海に対しては絶対の忠誠を誓っており、内海の為ならば犯罪行為や内海に対する裏切りすら辞さない。
余談だがGS美神に彼がモデルのクロサキというキャラクターが登場しており、声の人は偶然だがかつて黒いライダーの亡父を3次元で演じ、後に『名探偵コナン』で「ブラック」という苗字のキャラを前任者から引き継ぐことに。

  • バドリナート・ハルチャンド
声:合野琢真/半場由美(スパロボ)
シャフト・エンタープライズ・ジャパンが開発した戦闘用試作レイバーTYPE-J9 グリフォンの専属パイロット。10歳
まるで少女と見紛うほどの美少年である。
元々は『パレット』が裏で取り仕切る児童人身売買の商品だったが、内海に買い取られる。
戦いを「楽しいゲーム」としてしか捉えておらず、グリフォンのパイロットとして野明がパイロットを務めるAV-98 イングラムと再三に渡る戦闘を繰り広げる。

□シャフト・セキュリティー・システム

通称「SSS(スリーエス)」。
表向きは警備会社だが実質的にはシャフト・エンタープライズグループの私設軍隊。

□地球防衛軍

環境保護を名目に破壊活動を行う全世界的な規模を誇るテロ組織。
いわゆる環境(エコ)テロリストと呼ばれるタイプのテロリストであり、生態系に重大な異変をもたらすと予測されるバビロン・プロジェクトを阻止すべく各地で破壊活動を行っている。

■主なレイバー

パトレイバー

特車二課第二小隊に配備された篠原重工製レイバー。
最初から警察用として開発されており、正義の味方然としたスラリとスマートなデザイン。ジェガンではない。
1号機と2号機、TV版以降は3号機も登場する。
主人公たちが使う機体であり、シリーズの顔役となる機体。
お値段1機56億7000万円。極めて人間的な姿をしており、人間に近い形状であるため、5本指のマニピュレーターによる豊富な手持ちオプションやモーショントレーサーによる、爆弾解体すら可能なほどの精密作業性がウリ。FRP(炭素繊維強化プラスチック)を多用した軽量化により、懸垂も可能な高い運動性など非常に革命的な性能を誇る。しかし、高機動性やスタイルを優先した結果、居住性が劣悪で、狭小なコックピットと動くと常に震度1か2の世界とまで言われるほどの振動がパイロットに負担をかける。搭乗した後藤隊長曰く「天にも昇るような気持ちで地獄行き」とのこと。ちなみにコックピット内にエアコンは付いている模様。搭乗者のデータ蓄積により各機で成長度合いが異なり、得意分野も異なる。
1号機→小回りや周囲の状況に合わせた細かい作業が得意。力技のゴリ押しは苦手。ダメージからの復帰や反射スピードも2号機より遅い。
2号機→射撃や相手をパワーでねじ伏せる戦術が得意。細かい作業は苦手。ダメージからの復帰や反射スピードは1号機よりも速い。
3号機→予備機のため特徴はなく、時には部品取りに使われたりもするが、緊急時には1号機のデータで運用される事がある。
なおデータ蓄積されたデイスケットを入れ替えることで1号機で2号機のパワー戦術を行ったり、2号機で細かい作業を行うことも可能ではある。
また、各機の見た目もストーリーが進むにつれて差異が増えており、1号機はそのままだが2号機は太田が壊し過ぎたため、度重なる修理で部品が底をつき頭部や肩アーマー形状が異なっている。3号機はとあるレイバーに電子戦で対抗するために頭部が電子戦用に改められた。
装備は電磁警棒、37mmリボルバーカノン、ライアットガン(レイバーショットガン)、左腕シールド、股間部ウィンチユニットなど。
劇場版2では防弾ジャケットの様な見た目の爆発反応装甲や頭部ECMユニット(3号機のみ装備)も披露した。

  • AVS-98 エコノミー
漫画版・TV版に登場した廉価版イングラム。センサーや足回りの簡略化等により、約1/10という低価格を実現。
警察上層部はイングラムを下取りに出して本機を多数導入し、小隊の増設に充てようと目論んでいた。
しかし晴海のレイバーショウにて展示品に遊馬が試乗している際にグリフォンの襲撃を受け、突発的に迎撃に出るも手も足も出ずに惨敗。「お手頃価格」ではなく「安かろう悪かろう」と結論付けられ導入も見送られた。
なので実は「パトレイバー」としての正式運用はされていなかったり

  • AVS-98Mk-Ⅱ イングラム・スタンダード
エコノミーを経由したイングラム直系の改良機で、実力者が操ればグリフォンと互角以上に渡り合う性能を誇る。
漫画版では後半で第一小隊の機体として配備される。
TV版では次期採用機としてテストされるも不採用となり、パワーを落として一般向けに販売された。

劇場版第一作に登場する新型パトレイバー。
篠原重工製であり、イングラムの系列機。
最強最悪のパトレイバー。詳細は項目参照。

  • AVR-0
漫画版に登場。
こちらもイングラムの系列の試作機。パラレル設定であるが零式とほぼ同一のデザイン。
衛星とのデータリンクで真価を発揮するが、未完成で指揮車との連携が不可欠。

  • AV-0 ピースメーカー
こちらは第一小隊の新機体としてTV版、新OVAに登場。
上の二機の正式採用モデルという立ち位置で、イングラム寄りのスマートなデザインに変化している。
ニューロンネットワークシステムによって機体の動作処理を高速化している。

  • 95式
漫画版の初代パトレイバー。
長く使われているが本編時点ではすでに作業レイバーに勝てないレベルで旧式化している。

  • 96式改
漫画版の第一小隊が使用する機体。
95式よりは上だがやはり性能不足気味。しかし隊員たちの根性によって強敵にも食い下がる。

  • 96式ASUKA MPL
旧OVA、TV版に登場。
第一、第二小隊で使用されているが、やっぱり性能不足。

  • MPL-97S パイソン
TV版で第一小隊が使用する機体。
イングラムに及ばないが、隊員たちの技量と愛着でピースメーカーの配備まで活躍する。


軍用レイバー

  • ARL-99 ヘルダイバー
漫画版、TV以降に登場する自衛隊用レイバー。空挺レイバーとも。
篠原重工製であり、イングラムの開発ノウハウが活かされている。
ミリタリーチックなデザインからリアルでも人気の高い機体。

  • AL-97 アトラス
自衛隊の主力レイバー。菱井インダストリー製。
作品によっては改良されたマイナーチェンジ機が登場する。
B改タイプのハンニバルのみコトブキヤからプラモ化されているが、スケールが1/72で他メーカーのキットとサイズが合わない。

  • HAL-X10
劇場版1、TV版に登場する多脚型レイバー。菱井と篠原の共同開発機。
登場する度にHOSやAIで無人暴走する困った奴。

  • タイプ7 ブロッケン
シャフト・エンタープライズ・ヨーロッパ製の軍用レイバー。
ヨーロッパ圏で発売されている。
イングラムの少し前に発表された機種で、パワー・装甲ではイングラムを凌駕する。
旧OVAから度々登場しており、ある種最初のライバル的ポジション。

  • TYPE-R13EX ファントム
TV版に登場するシャフト・エンタープライズ・ジャパン製レイバー。
遠隔操縦の無人機だが、凄まじいパワーと頑強な装甲、更に超強力なECMとビーム兵器まで内蔵した化け物機体。
しかしこれでもグリフォン開発の試作機に過ぎなかった。

シャフト・エンタープライズ・ジャパン製レイバー。
内海の趣味で企画7課の総力をあげて造り上げられた独自開発機体。通称ゼットン「黒いレイバー」。
漫画版とTV版、新OVAに登場し、イングラムと死闘を演じるシリーズ最大のライバル


作業用・民間用レイバー

  • ぴっけるくん
四本足のカメラのようなデザインの山岳作業用レイバー。
よくロケット弾やら対戦車ミサイルやらを隠し持っている。

  • クラブマン・ハイレッグ
ごつい四本足に支えられた輸出用のパワー型。通称「タカアシガニ」。

  • タイラント2000
土木作業用レイバー。機体前面にあるコクピットと長い腕が特徴。
よく工事現場で働いている。

  • ヘラクレス21
最新の作業用レイバー。
頑丈なボディに馬鹿力、軽快な運動性を備えた、もえる男の汎用レイバー。
なので暴れられると面倒くさい相手。内部にヘラクレス袋は無い。

  • レイバーX
TV版に登場するレイバー。
カッコいい外見とは裏腹にものすごい哀愁の漂う機体。
詳しくは第17話「目標は後藤隊長」を見よう。
ちなみに小説版ではAIによって少女を乗せたまま暴走、イングラム1号機を圧倒した。


■内容

  • 旧OVA版、テレビアニメ版、新OVA版
内容はパロディ満載のギャグ話からシリアスな物語、夢落ちエピソードなど様々。
シリアス回の隊員たちのかっこよさは異常。
イブ二部作とグリフォン戦などは数少ないシリアス回の中でも第二小隊の本気が見れる。

ギャグ話の中では押井監督が書いた整備班主役のエピソードは爆笑もの。
ハゼを釣り過ぎて船が座礁した話やある事件で特車二課が壊滅した『特車二課壊滅す!』と、シリアスな劇場版の雰囲気はない。なんでも「ギャグ話のネタはいくらでも出てくる」そうだ。

他にもアニメ、特撮のパロディ満載な「CLATよ永遠に」(TV版)と「星から来た女」(新OVA版)*6、下水道ダンジョンを駆け巡る「地下迷宮物件」「ダンジョン再び」と必見のコメディ回がままある。
制作側が本家ウルトラに野明声少女が非業の死を遂げる世界シバ声の猿を飼う防衛チームがいる世界がある事を知っていたかは定かではない。

実はテレビシリーズは本来2クールで香貫花が帰国するまでの話で終わるはずだったが、急遽4クールに延長され結局は途中で打ち切りになった。
漫画版のグリフォン編に入ったり新OVAが作られたり熊耳が登場したりしたのはこのような経緯があったからである。
ちなみに、グリフォン編をやる前と後で若干作風が変わっている。


  • 漫画版
2巻から登場したシャフトとグリフォン関連というメインストーリーを軸に、ドタバタ話もありつつ「レイバーのある世界の人間模様と事件」を綴る作風。
バイオテクノロジーの脅威とそれに関わる人間の執着に第二小隊が巻き込まれる「廃棄物13号編」や外国人労働者・企業のエゴを描いた挿話を幕間として挟まれ、
最終決戦の前触れとして篠原重工の汚職疑惑や海外での人身売買という「第二小隊では解決出来ない」問題をも提示されながらも、主人公泉野明が悩みながら警官と人間として成長する姿が描かれている。

グリフォン編はテレビアニメ・新OVA版に輸入され、廃棄物13号編は「WXIII 機動警察パトレイバー」の原作となったが、それぞれ漫画をベースとしつつ異なる展開となっている(特にグリフォン編ラスト)。

  • 劇場版
映画版になると押井色が色濃くでてシリアスな面が強くなる。
コンピューターウィルスと幻・平和の対価としての東京への戦争・人が生み出した怪物。
どれもテレビシリーズからは考えられないほどに重たい話であり、キャラデザインもP2辺りからテレビ版と差違が出始め、TVやOVAに慣れていると違和感を覚えるかもしれない。


まあ違和感は映画から見始めた人かそれ以外から見始めた人によって色々変わるが。
温度差激しいからねぇ。



■余談

PSで発売されたゲームエディションは、パラレルワールドの多いパトレイバーの中で唯一全てと繋がっているととれる作風となっている。

スパロボには「テロリストや宇宙人との戦いはともかく、警察官が戦争をするのはまずい」「そもそもレイバーで明確に対戦車・対艦を想定した軍事用兵器や宇宙怪獣とかと戦えるの?」と
様々な理由故に長らく参戦していなかったが、PSPの『スーパーロボット大戦Operation Extend』でついに初参戦を果たした。
その後『スーパーロボット大戦X-Ω』で期間限定参戦も果たした。

バンダイから、1/60シリーズと1/35のMGシリーズのプラモデルが出ている。

踊る大捜査線』シリーズは本作から影響を受けていると監督の本広克行は公言しており、特にスピンオフ劇場版『交渉人 真下正義』はパトレイバーのオマージュが強い作風となっている。





遊馬「追記・修正」
野明「え?」
遊馬「追記・修正でがんばれ」
野明「なによそれぇっ!」

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最終更新:2024年02月21日 15:26

*1 但し2022年現在の公式サイトでは、新OVA版後の世界の作品は現在制作予定の新作「PATLABOR EZY」としており、劇場版2と実写版はあくまで劇場版1の続編とされている。

*2 缶のふたの一部を、リングと共に引っ張り取って開ける方式の事。動物が誤って飲んでしまうなど環境問題となり、シリーズ展開中の1989年頃から現在のくっついたままのステイオン式に変更されていった。

*3 ドラゴンマガジンの『2』特集記事では神奈川県警の交通レイバー隊に異動したという設定が紹介されており、2劇中にも同隊の通信でよこざわ氏が声だけ登場している

*4 このため漫画版最終巻ではリチャード名義で指名手配されている。

*5 逆ではない。要するにやりたいことをやるためなら、それを「何のためにやるか」は問わない人間である、と言うこと。早い話が倫理観というものの持ち合わせがないことを指摘されている。

*6 ちなみに漫画版でもヘラクレスや太田の怪獣風図解や二課がウルトラ警備隊と呼び間違えられるなんてネタがあったり。