TSF(ジャンル)

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TSF(ジャンル) - (2022/01/20 (木) 15:11:17) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/02/01(火) 00:14:54
更新日:2023/10/28 Sat 01:01:59
所要時間:約 6 分で読めます




TSFとは、Trans Sexual Fiction(トランス・セクシャル・フィクション)の頭文字をとった略称である。

訳するまでもないだろうが、創作上においた性的な倒錯…
つまり、主に「ありえないハプニングが起きて女の子になっちゃったよぉぉぉ!!」な状況の事を指す。
(実際は♀→♂も少なくないのだが、便宜上この項目では♂→♀を前提に解説させて頂く)

そのハプニングの種類は、
「修行中に泉に落ちたら~」
「宇宙人が起こした事故に巻き込まれたら~」
「宇宙人が開発した機械に巻き込まれたら~」
「朝起きたら~」
「魔法で~」
「呪いで~」
etc…
と、かなり多岐に渡る。

変化前の職業や立場は様々。普通の学生だったり、番長だったり、はたまた男に興味がある男だったり…


【独自要素】

「つまり…どういうことだってばよ?」
「女体化・男体化とは何が違うのさ?」

そんな疑問を抱く人も少なくないだろう。
確かにTSFと女体化・男体化は厳格な線引きが難しい。
しかし、TSFと女体化・男体化には明確な基準が存在する。

女体化・男体化はある意味では擬人化に近いメタな要素を含むジャンル

であるのに対し、

TSFは“キャラの性別が実際に変化する展開”に限定された変身に近い要素も含むジャンル

ということ。

例を挙げるなら

前者の場合は『Fate』シリーズでのセイバーや赤セイバーが「アーサー王やローマ皇帝ネロは実は女」という設定に基づいた「初めから女である存在」だということ

後者なら『らんま1/2』や『ToLoveる』で男のハズの早乙女乱馬や結城リトが、女乱馬や夕崎 梨子に“なってしまう”こと

といった感じになるだろうか。

まあ細かい点はともかく、両者は似ているようでまるで違うジャンルなのだということをご理解願いたい。

当然ながら、上述の条件などもあってTSFと性同一性障害は、共に「心と体の性別が違う」という表現を用いることは可能ではあるものの、
その実態は全くの別物である。


【シチュエーション】
では、TSF作品における性別変化にはどのような種類があるか簡単に挙げてみよう。

★変身
文字通り、体が異性のソレと化してしまうタイプ。女体化・男体化との境目がかなり曖昧、というかジャンルとしては一部重なっている。
変身手段は冒頭にあるように様々なモノが存在し、それ自体が話の展開を左右することもある。
変化後の容姿は前の姿の名残が少々ある場合が多い。
派生として他人に化ける“他者変身”というケースもある。
TSFの中でもぶっちぎりで長い歴史を持つジャンルであり、その起源はギリシャ神話にまで遡る。

☆医療型
いわゆる性転換手術等で体を物理的に女性の物にするという、ある意味一番現実的なタイプ。
とはいえフィクションの医療技術なので、性機能に至るまであたかも最初から女性だったかのように完全再現とかもわりと珍しくない。

入れ替わり
男女の精神が入れ替わるタイプ。
入れ替わった者同士が一連の出来事を通して親しくなる展開や入れ替わった相手に気を使って入浴や着替えをためらう展開はお約束。
元々それ自体が独自のジャンルとして成立している事もあって、後述する転生と並んでわりと一般受けしやすいジャンルであり、「転校生」や「君の名は」等TSF界隈を飛び出して評価された名作も多い。

★憑依・寄生
登場人物の肉体に“他の誰か”が取り憑くタイプ。取り憑くのは幽体離脱した一般人だったり悪霊だったり未知の生物だったりと様々。
憑かれた側の意識が残るかどうかは作品によるが、どちらにしろ大抵は憑いた側が肉体の主導権を握っている。ゆえにダークなオチにもなりやすい。

☆精神同居型
上述の憑依・寄生型に似たケースではあるが、こちらは主導権がよく移り変わる。主導権を握っている精神に連動して肉体の性別が変化する場合も。

★皮モノ
異性を象った着ぐるみ・スーツを着込むタイプ。
着用中のアイテムは装着者の体格を完全に無視して着用できたり、異性の肉体を体内に至るまで忠実に再現していたりする場合が多く、
女性型スーツを纏った男が女性器の感覚を味わうなどの芸当も可能。質量保存の法則などドコ吹く風。
他者への変身を兼ねる場合もある。

★転生
異性だった前世の記憶を持つというタイプ。
前世と今世の割合によって色々変わり、女の体に男の心というパターンから、単に男だった記憶を持つだけの女というパターンまで様々、多種多様さでは随一と言っても過言ではない。
自己投影系の夢小説から派生した、いわゆるなろう系で近年増えてきたタイプ。
他と比べてフェチ度が薄くなりがちなため一般受けしやすい反面、ディープな愛好家には物足りない事も。


【TSFの美味しいトコロ】
上述した手段の違いはあるが、とにかく元とは違う性別になってしまうTSF。
ゆえに変化がもたらした最大級とも言えるギャップが生み出す更なるシチュもやはり独特。

1.慣れない体、という状況が作る一つの無知シチュ

2.異性の体になってしまったがゆえの背徳感・好奇心・罪悪感・性欲などの葛藤

3.自己認識と周囲の展開のズレによる「自分では男のつもりなのに!」という恥辱心の増大

4.男女の習慣の違いによって起きる嬉し恥ずかしなハプニング

5.異性の体や感覚、さらには自分の趣味全開のプレイさえ自由自在に味わえる開放感

etc…

と、非常にオイシい展開を生むジャンルなのだ。
ゆえにTSF好きが他のジャンルも同時に愛好しているケースも少なくない。


【ジャンルの近況】
…とはいえ、それでもニッチなイメージがあるのは否めない。
同じく倒錯系のジャンルでありながら既に ある程度の市民権を得ている男の娘やふたなり等と比べてもそれは明らかである。

何故か?
一説には「展開の冗長さ」が原因だとも言われる。
これは「インパクトの弱さ」と捉えてもらっても差し支えはないだろう。

上で例に挙げた男の娘やふたなりは、たった一つのグラフィックでも属性・ポイントが分かりやすいが、
TSFの方は起・承・転・結という出来事の流れが揃っていないと、どんなジャンルなのか分かりづらいのだ。

ぶっちゃけると、
「ちんこついた女の子」と「自分を鏡に写して赤面する女の子」だとどっちがインパクトありますか?!
ってことである。

一応、このジャンルを専門的に扱ったコミックアンソロジーなども存在するが、
中には男の娘やふたなりと混同しているモノも混ざっており、まだまだ浸透具合は低いと言わざるを得ない。


【TSFが描かれた作品】
『おれがあいつであいつがおれで』
『転校生』(↑の映画化)
『どっちがどっち!』(↑↑のドラマ化)
らんま1/2
『世界の果てで愛ましょう』
『けんぷファー』
『かしまし』
あやかしトライアングル

etc…

また、ジャンルの特性上アダルト作品で探してみたら割と見つけやすいかもしれない…。


このジャンルに少しでも理解がある方は追記・修正をよろしくお願いします。

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