SA-16 スティレット

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SA-16 スティレット - (2018/11/09 (金) 21:09:06) の編集履歴(バックアップ)


登録日: 2016/12/08 Thu 20:21:06
更新日:2024/04/09 Tue 09:44:22
所要時間:約 10 分で読めます




概要

SA-16 スティレットとは、コトブキヤが展開するプラモデルシリーズ「フレームアームズ」のひとつ。

記念すべきシリーズ第一弾であり、シャープなシルエットをした飛行型FAとなっている。

本項目では系列機種も取り扱う。


目次





SA-16 スティレット


地球防衛機構が開発した最初のFA。
月面軍が送り出す「アント」が陸戦型ばかりだったこと、そして物量で優る敵を阻止しうる能力を必要としていたことからフレームアーキテクトに飛行能力を付加するという要求がなされた。
開発元はフランス防衛機構となっているが、陸戦型の「三二式一型 轟雷」と並行して世界中の技術者の協力のもと開発された背景を持つ。
「戦車」である轟雷に対し、スティレットは「SH-4000B セイレーン mkⅡ」による短時間のホバリングも可能な推力と高度な姿勢制御能力を有する「戦闘機」であり、性能はむしろ戦闘機と言うより対地攻撃機寄りなのだが対アント戦の迎撃効率を高めることに成功した。
機体配色を後述のクファンジャルカラーに改めた特務仕様が存在するが、通常スティレットとの差異はカラーリング以外不明。

その汎用性から長く防衛機構の主力機体を務め、数々の派生機体を産み出している。


◇武装
  • M547A5 60mmガトリングガン
右腕部にマウントされるSA-16の主兵装。対地掃射能力を求めた結果標準装備として採用された。
あまり目立たないがアヴェンジャーの2倍の口径を持つお化けガトリングである。

  • S-41B 空対地ミサイル
左腕部にマウントされる誘導兵器。
携行弾数に制限はあるが、威力が高く扱いやすいことから普及している。
実際他のFA用ミサイルと比べてもかなり大型。

  • 肩部スタビライザー
緊急時に格闘武器として使用できるが、姿勢制御能力が低下するので積極的な使用は推奨されていない。しかしこれでベリルウェポンの中でも高い破壊力を有するベリルスマッシャーと斬り合う描写が存在する為、相応の威力と剛性を備えていると思われる。乗ってる奴が超ド級の変態だったからとか言わない


◇キット
定価3,200円(リニューアル版)。デザイナーは柳瀬敬之氏。
初期のキットとリニューアル後のキットでは大きく異なり、旧版では色分けが芳しくなく、胴体や頭部がほぼ青一色で「素組みで色分けを実現」の売り文句はもはやギャグとして一部では語り草となった(ただし塗装で色分けする場合、パーツが大きく破損しにくいため旧版の方が組みやすい事がある)。
リニューアル版で色分けの細分化や成型色変更を施されたほか、肩部スタビライザーと脚部装甲が塗装済となっている。
ガトリングは右腕用だけで、2個買いしても持てなくはないが左右対称にはならない。




SA-16d クファンジャル


スティレットの燃費を改善する目的で開発された派生機体。
スティレットは移動にも戦闘機動にも推進機を頼るため消耗が激しく、エネルギー切れや推進材切れで撤退することも珍しくなかった。
これを解決するため主機を「SH-4000-D セイレーンmkⅡ-D」に更新し、肩に補助動力と推進機を増設、同時に脚部の装甲を大胆に削ぎ落として軽量化している。
さらに逆関節状のフレーム配置である"オストリッチレッグ機構"が考案されたことで歩行速度も改善できた。
結果として陸上戦での推進剤消費を大幅に抑えることに成功し、稼働時間が飛躍的に向上した。
特に対アント戦で高い戦果を挙げており「オペレーション・アント・クリーナー」において迎撃率100%を実現できたのは本機を大量配備した中東・インド地域のみだったとされる。


◇武装
  • Fa/MG-04 マシンガン
航空機用の機関砲をFA用の手持ち武器に転用したもの。
中~近距離での瞬間火力に優れる。

  • Fa/ML-04 マルチミサイルランチャー
小型のミサイルランチャー。
取り回しが良く、携行性にも優れるため普及している。

  • IOF105 サイドスラスター
肩部に増設された補助動力を内蔵する推進ユニット。
横方向への加速を可能にし、軽量であることも相まってスティレットの機動性を大きく向上させている。


◇キット
定価3,600円(リニューアル版)。
成形色が黒+オレンジになっている。
スティレット同様旧版は白がほとんどなく、色分けが宜しくなかった。リニューアル版では改善されているのも同じ。
ランナーはスティレットにクファンジャルのパーツを追加した構成のため、どちらも組むことができる。
ただし塗装済だったパーツが無塗装なので色分けは劣る。
オストリッチレッグ形態には差し替えで切り替える。
「M.S.Gウェポンユニット04 マシンガン&ミサイルランチャー」が手持ち武器として付属する。




SA-16B25 スーパースティレット


スティレットの航空格闘性能向上実証プログラムに基づいてセントルイス工場で生産されたタイプ。

改修は主にエンジンブロックに集中し、エンジンを「SH-4100-A セイレーンmk.Ⅱ+」に更新、推力が20%強化された。
さらにクファンジャルのショルダースラストユニットを併せて装備し、新開発の可変ノズルとより大きくなった主翼によって低速域での格闘戦能力は著しい向上を見せた。
しかし推力を強化し過ぎた代償に操作性が悪化し、コントロール不能による墜落事故が多発した為に生産数は36機に留まった。

最終的にアラスカ基地*1に集中配備されたが、そこで起きた第3次カナダ防空戦において13対26という圧倒的不利な状況下にも関わらず敵機21機撃墜、味方の損害は0という圧倒的な戦果を収めた。

実験用のマイナーチェンジ機として主翼の形状を変更して安定性を向上させたSA-16B25c スーパースティレット改も存在する。


◇キット
残念ながら『フレームアームズ モデリングサポートマニュアル VOL.1』にイラストが掲載されたのみでキット化はされていない。
下記の「エクステンドアームズ04」やフルオプションセットで似た状態にすることは可能。




SA-16s2 スーパースティレットⅡ


上記の「SA-16B25 スーパースティレット」を改修し、操縦難度を下げた機体。
主機は「SH-4100-A セイレーンmk.Ⅱプラス」のまま主翼形状を変更、肩のブースターは可動式となり、四肢には「クレイドル」と呼ばれる増加装甲を装着する。また頭部と胴体も改修されている。
結果として総合性能は大きく向上し、次期主力機に最も近い機体と呼ばれ、その性能は折り紙つき。
しかしバーゼラルドの開発計画が始動したことで量産は見送られてしまった。ただでさえ戦況が泥沼化して少ない予算をそっちに食われて他に予算が回らなかったようである。

最終的に残された試作パーツが強化ユニット「EXU-04」として前線部隊に支給された。


◇武装
  • ACSクレイドル ×4
「Armor Complex Supplying(複合兵装供給)システム」。その形状から「クレイドル(ゆりかご)」と名付けられた。増加装甲と推進機と機関砲とブレードを合体させた多機能ユニット。
重量と推力を同時に増やし、操作性を損なわずに機動力を上げるという構想によるもので、後のゼルフィカールのスラストアーマーに繋がる。
IOF402との併用が前提であるため使い勝手が悪いなど改善の余地は多かった模様。

  • IOF402 ヴァリアブルスラスター
クファンジャルの肩部スラスターを発展させたもの。
出力が強化されたうえに推進方向を任意に変更できるようになり、機動力がさらに向上した。
ただしその分重量がかさんでおり、熟練パイロットの中には従来のIOF105を好む者もいたとされる。


◇キット
スティレットに「エクステンドアームズ04 〈SA-16 スティレット拡張パーツセット〉」(定価2,000円)を組み込むことでスーパースティレットⅡに改造できる。
頭部と胴体のパーツも交換するので、後から組み込もうとするとやや面倒。
肩のスラスターは2色に分けられているが、クレイドルはブレードまで黒一色なので塗装推奨となる。
クファンジャルの肩と組み合わせることで「SA-16B25 スーパースティレット」に近づけることができるが、主翼の形状は「スーパースティレットⅡ」のものであるため設定上はスーパースティレットを完全に再現することはできない。
現在はアーキテクトのリニューアルにあわせ、接続軸径を調整した「:RE」版に更新されている。




SA-16 スティレット 制空部隊仕様


攻撃任務に就くスティレットには低視認性塗装が施されることがあり、降下艇基地攻略戦に投入された機体は淡いブルーの塗装が施されていた。

この頃になると次世代機が完成し乗り換えが進んでおり、製造ラインの減少や戦闘の激化もあって、スティレットは徐々にその数を減らしていった。
そんな中で敢えてスティレットに乗るパイロット達は腕利き揃いであったとされ、旧式化した機体を強化して戦い続けたという。

そうしたパイロット達の練度やそれまで蓄積された運用ノウハウを捨てるのが惜しまれたこと、新型に換装するよりも彼らを集中運用したほうが「お得」と判断されたことから、スティレットのみで構成された特殊航空部隊の編成が決定する。

この部隊のスティレットはいずれも搭乗者に合わせて高度にカスタム化されており、旧型ながら戦力としては当時の新型量産機SX-25/JX-25に比肩するものだったとされる。
また後述する各武装の運用形態情報を統合して推察する限り、制空部隊のメンバーは熟練者ほど素の形態に近いスティレットで戦っていた可能性が高い*2。隊長のロイ・エイラム大尉に至っては頭部と胸部を改修し、ガトリングを両手持ちにしただけのスティレットを操っているのでさもありなんと言ったところか。ホント変態しかいねえなこの世界の地球
兵站面に関しても、他部隊で新型に換装された余剰パーツ類が集約されており比較的充実した環境での運用が実現していた模様。


◇武装
  • M547A5 60mmガトリングガン
スティレットの主兵装。通常右腕に1門のみ装備されるが、場合によっては左腕や両腕に装備される例もあった。

  • IOF105 サイドスラスター
クファンジャルの物と同一の推進ユニット。
制空部隊においては格闘戦を好むパイロットが使用することが多かったらしい。

  • IOF402 ヴァリアブルスラスター
IOF105の発展改良型。
前述の通り重量増加を嫌うベテランには敬遠されがちだった本装備だが、制空部隊においてはその傾向はより顕著だった様子。

  • ACSクレイドル
動、攻、守一体型のマルチユニット。
IOF402との併用が前提の武装であり、そのIOF402が部隊内では敬遠されていたため、必然的にこの武装を好んで使用するパイロットも少なかった。


◇キット
「SA-16 スティレット 制空部隊仕様 フルオプションセット」(定価5,400円)となる。コトブキヤショップ限定品。
スティレットの全部入りキットで、未組立のアーキテクト、スティレット、クファンジャル、エクステンドアームズ04まで全て入った豪華仕様。ただしクファンジャルのマシンガン&ミサイルランチャーは付属しない。
さらに新規パーツとして左腕用ガトリングが追加。
塗装済みパーツこそないが、成形色が青みがかったライトグレーになっており、塗らなくても各パーツの色合いが統一されている。
色分けはリニューアル版準拠だが、胴体部ダクト内側が白で塞がっているのが目立つ。




SA-17 ラピエール


近距離戦を不得手とするスティレットの欠点を補うため、高高度からの狙撃を主戦術とするべく開発されたFA。
スティレットをベースに、可能な限り従来の技術を流用するという開発方針か特徴で、実際に推進系にはヘリや航空機で採用実績のあるものを多く使用している。
長距離戦に対応するために索敵装備も充実しており、頭部のツインテール型レーダーユニット「LR/S07 シュヴー」や主機を兼ねる無人偵察機「RAF/04 スポッター」などを搭載する。

戦闘機に例えられるスティレットに対して「戦闘ヘリ」のような滞空性能と、乱気流をもものともしない安定性、広範囲を見渡す眼を手にし、高高度対地狙撃の難度を大幅に下げることに成功。
進化した姿勢制御能力を用いてスティレットをも凌駕する高機動戦闘までも可能とした。

しかしその代償にコストが高騰してしまい、製造工数・価格共にスティレットの2倍近くになってしまった。
このコストが災いし主力機としての採用は逃したものの、指揮官・エース用の上位機種として配備されるようになった。


◇武装
  • Fa/SR-09 スナイパーライフル
長射程のFA用スナイパーライフル。
当初スティレットに本装備を携行させたが、高高度からの狙撃には熟練が必要なため本機の開発がスタートした。

  • LR/S07 シュヴー
頭部に搭載された索敵広域レーダー。高い情報処理能力を有するが、状況によってはその重量と体積が仇となるケースも多く、中央部に一つだけ搭載し軽量化を図った「モノクラフトタイプ」や、スティレットの頭部形状に倣った「ブレードタイプ」等、様々なバリエーションが生まれる事となった*3


◇キット
定価3,600円。デザイナーはNAOKI氏。
シリーズ初の女性型FA。
関節パーツの交換で肩幅を狭めており、細身の女性らしいプロポーションを実現している。アイセンサーは塗装済み。
色分けも優秀だがデザインの都合上干渉する部位が多く、また可動域そのものも狭いのが玉に瑕。
手持ち武器として「M.S.GウェポンユニットMW-09 薙刀・スナイパーライフル」が付属。




SA-17s ラピエール ゼファー


多対1での近接戦闘」に最適化したと思われる、ラピエールの改修機。
正確には防衛機構の所属ではないらしく、本機体および「今朝霧スミカ」を名乗る搭乗者共々いずれの部隊にも登録がなく、その詳細は謎に包まれている。

戦闘記録から推定できる範囲では並外れた加速力と運動性能、携行する超小型リニアレールカノンによる高火力が特徴で、外観はほぼラピエールそのものながら内装機器類は大幅にチューンされている可能性がある。

第一次アラスカ基地防衛戦で初めて確認されて以降、各地の戦線でこの「青いラピエール」が目撃されるようになった。
疾風のごとき電撃戦で敵を蹴散らし何処へともなく去っていく本機は、いつからか敬意を込めて「ゼファー(風神)」と呼ばれるようになったという。

多くの部隊を救ったが、海上都市「ベイルゲイト」攻略戦で撃破された際にコックピットを含む上半身をヴァイスハイトθが奪い逃走、搭乗者も行方不明となっている。
残った部分と武器の電磁加速砲は防衛機構が回収・解析を行い、YSX-24 バーゼラルドの開発に活かされている。


◇武装
  • 八式電磁加速砲 ×2
ゼファーが用いる拳銃型の武器。
そのサイズに反してFAの携行する火器の中でも高い威力を誇る。二挺にはそれぞれ「準戒(じゅんかい)」「穿月(うがつ)」と刻まれているが、性能に差はない。
防衛機構側には開発・配備された記録が無く、ワンオフで誂えられたものとされている。
ゼファーの出現当時、実用化されていたFA携行型の電磁加速砲と言えば三八式のLR-PSCくらいであり、この武器はほとんどオーパーツ級の代物だった。


◇キット
定価3,600円。
本体成型色を新たにブルーへと変更、更に新規で頭部アクセサリー(シュヴー)パーツと専用武器の八式電磁加速砲が付属する。
また胴体部の頭部と干渉していたパーツの金型を改修して頭部の可動域を改善。これは後に再販されたラピエールにも採用されている。
通常版についてきたウェポンユニットのランナーは入っていないので注意。
色のお陰でスティレットとのミキシングがしやすい。

コトブキヤ店舗での購入特典として通常ラピエールカラーの頭部アクセサリー一式が付属していた。ちなみに記念すべきフレームアームズの購入特典の第一弾である。




余談
  • 系列機体の名称には刀剣類の名前が使われており、「スティレット」は細身の刺突短剣もしくは銃剣、「クファンジャル」はS字状の刀身を持つ中東地域の曲剣、「ラピエール」は15世紀頃のフランスの刺突剣。

  • スティレットの旧版とリニューアル版では取説に書かれている設定が大きく異なり、旧版には「高所作業用のフレームアーキテクトがルーツである」「空戦用として設計された」等の記述があるが、リニューアル版では世界観設定の変更*4に合わせて内容を差し替えられている。

  • クファンジャルも設定が変わっており、旧版では「逆関節にするために足の装甲を削った」となっていたが、リニューアル版では「装甲を削って軽量化した後、偶然逆関節が考案された」となり、装甲と関節構造の因果関係が逆になっている。

  • 轟雷と同様に設定上多数の派生機体があり、改良型の「SA-16A スティレットBlock10」、詳細不明の「SA-16b フセット*5」などが確認できる。現地改修機が無数に存在することになっているが、それはすなわちユーザーの「作品」のことでもある。



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