YSX-24 バーゼラルド

登録日:2016/11/20 Sun 20:12:49
更新日:2021/11/06 Sat 15:25:04
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概要

YSX-24 バーゼラルド」とは、コトブキヤが展開するプラモデルシリーズ「フレームアームズ」のひとつ。

本項目では系列機種も取り扱う。フレームアームズ・ガールにおける擬人化されたバーゼラルドについてはこちらを参照。
また本機から量産化されたJX-25シリーズについては当該項目を参照。


目次




YSX-24 バーゼラルド


フレズヴェルクに苦戦した地球防衛機構は取り急ぎ「輝鎚」を実戦投入して急場を凌ぎつつ、次期主力FAの開発計画「 SX計画 」を急ピッチで推進していた。技術陣はいつになったら休めるのだろうか
バーゼラルドはその試作機であり、新型の推進器「 フォトンブースター 」に加え極めて限定的ながらフレズヴェルクのようなバリア機構も装備した高性能機となっている。

いかにも量産型といった感じの機体が多いFAにおいて主人公機然としたヒロイックな外観を持つある意味変り種。戦意高揚のためにそういう要求のもとで開発された。
…というよりこの外観は上層部にとって要求した機体性能以上に重要視されており、絶対に達成するよう厳命されていたようだ。
本来は宇宙用の機体だったが、地上でも使えるようにしろとのお達しを受け軽量化が必要になった折、開発部は装甲の多くを削る必要があると提言するも、返答は「外観だけは絶対に変えるな」と非情の通知。
何度無理と言えども返答は変わらず、結果、装甲材質を変更され防御性能は大幅に犠牲になってしまった。
加えて外観重視の設計は生産性の悪さと整備の煩雑さも招いており、特に後者の要素が現場からの不評を買う事態となっている。

こんな碌でもない経緯があったものの仮にも次期主力機の試作型であり運動性は抜群で、殊に一対一の戦闘に限れば防衛機構においては最強クラスとされる。
最終的に多少の改修を行い正式に配備が決定した。大丈夫か……。

生産性や防御力の問題を解決するため、量産バージョンの完成までの間に多数の改良案が検討されたと言われている。


◇武装
  • セグメントライフル ×2
連装レールガン。回収されたラピエール・ゼファーの武装から得た技術が活かされている。
試作型の対TCS(T結晶シールド)兵器で、片方の砲身に通常弾、もう片方に「TCS干渉弾」を装填して同時に発射することでTCSを貫通できる。
故に弾倉が二つあり、リロード作業が煩雑という欠点がある。
また二挺あるのも交互に充電しながら使うためで、取り回しを良くするためにバッテリーではなく軽量のキャパシタを使っており一度の充電での射撃回数は少ない(緊急時などに二丁同時使用することは一応可能)。
その特性上下記のスラストアーマーとの併用が必須。

  • スラストアーマー
細長いシールド。厳密には盾ではなく、セグメントライフルの充電器。
先述の通りセグメントライフルの運用には必須のため破壊されないように装甲を被せてあるだけで、シールドとしての機能は限定的。
また見かけよりも重いため、推進機も内蔵させて機動性に影響を与えないよう配慮している。
宇宙に上がってからは(セグメントライフルが使われなくなったのもあって)外付けバッテリー兼推進機としての役割の方がメインになったらしい。
後に推進機内蔵の増加装甲全般を「スラストアーマー」と呼ぶようになったため、本品を「スラストアーマーType-A」と呼んで区別する資料も存在する*1

TCSと似たバリア機構。燃費が悪すぎて起動するだけで機体が機能不全を起こすため、実装されたのは一号機のみ。
他の機体にはダミーユニットが搭載されている。
また一号機もEXU-02を装備しての運用が主になった時点でダミーと交換されたらしい。


◇キット
2012年12月発売。定価3800円。デザイナーは轟雷、スティレットシリーズと同じ柳瀬敬之氏。キャッチコピーは「魔鳥を狩る白刃」。

7色成型のキットだけあって色分けは優秀。また初の専用造形ハンドパーツ持ちキットでもある。
細部の黒やグレー部分が足りないため、マーカー等で部分塗装ができれば十分見映えするようになる。

2014年3月にコトブキヤ公式ショップ限定でクリア成型となった「クリアアーマーセット02〈YSX-24 バーゼラルド対応〉」が発売。定価2500円。
こちらにはアーキテクトが入っていないため、自前で用意する必要がある。

柳瀬氏いわくデザインモチーフは龍との事。



YSX-24RD ゼルフィカール


強化パーツ「EXU-02」をバーゼラルドに装備した状態。鋭角的ながらもバーゼラルドと比べて重厚なフォルムの、これまた「主人公機の後継機」感のあるFA。
追加装甲を取り付けバリアも使用可能、防御面の不安を払拭したバーゼラルドの一つの完成形であり滅法強い。但し一部のSSや下記の「A violent struglle」での描写を見るに、程度ははっきりしないが純粋な運動性能はバーゼラルドよりも劣る様子。
さらに只でさえ悪かった生産性が更に悪化しているため配備数はごく少数。当然一般兵に回す分などあるわけもなく……。

後にフレームアームズ初となる短編CGアニメ「A violent struglle」にてデータ取りを兼ねてNSG-X2と激突。
最初は優位に立つもののセグメントライフル1丁を破壊され追い詰められたことで、逆転の一手としてEXU-02のパージを実行*2
NSG-X2の撃退には成功するが、機体OSがゼルフィカール専用に調整されていた為エラーを吐きリブート。このことで収集していたデータもご破算となった。
このゼルフィカールこそ唯一ABSAを標準搭載していたバーゼラルド1号機であり*3、やがて改修されて下記のゼルフィカール/NEとなる。


◇武装
  • マス・アームドユニット 「EXU-02」
装甲、推進機、ABSAユニットを一体化させた、宇宙用FA向けの大型シールド…という名目でCC213年1月に制式化された強化パーツ。スラストアーマーtype-G×4、スラストアーマーtype-S×4、フォトンブースターユニット×2、ABSAユニット×2からなる。
大型シールドにした場合、ブラストシールドType1、Type2と呼ばれる。

事実上バーゼラルド用の強化パーツとして設計されているが、SX計画自体が前線部隊から反感を買っている状況であったためバーゼラルドの専用装備として制式化するのが憚られ 従来機拡張計画(EX計画) の一貫としてカモフラージュされた*4
そうまでしてEXU-02を制式化した背景には、猛威を振るい続けるNSG-X2に対抗する機体を一刻も早く投入したいという防衛機構上層部の意向があったと言われており、
事実バーゼラルドのうち1号機を対X2専用の特務機体(後の「ナイトエッジ」)としてゼルフィカールに改装しEXU-02の制式化と同時に実戦投入している。

特筆すべきはABSAの正式搭載で、出力を落とし展開範囲を機体正面に限定することで消費を抑え、実用化を成し遂げた。
……のだが、この時点でもなお出力が不安定で有用な装備とは言えず、これが実用に耐えうるだけの性能を確保するのは防衛機構がXFA-CnV バルチャーを接収して以降となる。

EXU-02自体は複数制作されているらしく、極少数しかないバーゼラルド用よりも他のFAの強化パーツとして使われる例のほうが多かったものと推測される。


◇キット
バーゼラルドに「エクステンドアームズ02」(2013年1月発売。定価2000円。)を組み込むことで、ゼルフィカールにすることができる。デザイナーは本体に引き続き柳瀬敬之氏。

4色成型により色分けは良好だが、頭部のグリーンが無いのが難点。ボールジョイント部は緩めなので調整が推奨される。
また3ミリピンが長めで、そのままバーゼラルドに取り付けると隙間が出来てしまう。気になるなら短く切り飛ばして密着するようにしてやりたい。
ちなみに顎のパーツは差し替え式なので接着していると泣きを見る。

2015年5月にはフレズヴェルク・アーテルとセットになった「フレームアームズバーサスセット〈ゼルフィカールVSフレズヴェルク=アーテル〉」が発売。定価9800円。
A violent struglleの映像ディスクが付属している事もありフレームアームズ史上最高額となる。
作中の配色に合わせて細部の成型色が改められた「テストカラーver.」となっている。




YSX-24RD/NE ゼルフィカール/NE(ナイトエッジ)


実戦投入されたバーゼラルドのひとつで、対フレズヴェルク戦に特化した仕様となる。
「ナイトエッジ」と呼ばれるのは宇宙に上がる際に改修を受けてからで、内装機器やソフトウェアも更新されて基本性能が底上げされている。
取説のショートストーリーでは腕利きの傭兵 トルース・ロックヘッド が駆り、フレズヴェルク=アーテル撃破の任を帯び各地を転戦、激闘を繰り広げている。
かなりの活躍を遂げたようで、パッケージ絵では少なくとも四機の簡易量産型のフレズヴェルク系列機(NSG-XM?)をスクラップにしている。積んでるOSはポンコツと罵られたがな

月面決戦においては新開発されたアーセナルアームズを装備して対マガツキ・崩天の切り札として出撃。
だが圧倒的な性能を誇る崩天にはそれでも敵わず、破壊寸前まで追い込まれてしまう。
しかし……?


◇武装
  • 試作型光波射出機
実験装置(ベリルマチェット)を改造・転用した試作兵器。
月側のベリルウェポンに匹敵する威力の射撃が可能なほか、変形させると斬撃武器にもなる。
ベリルウェポンの攻撃をTCSで受け止めると相互干渉を起こすためTCSでの防御が難しい*5という特性があり、フレズヴェルクに対して非常に有効な武器になる。
NEが使用していたものは第二次プラント突入作戦後のNSG-Z0/Kとの戦闘でカトラスと共に失われた。

  • 攻性防盾システム
手持ち盾に偽装したワイヤーアンカー。三本爪のクローで敵を捕縛する。
全身のスラストアーマーにより防御面の不安は払拭されているため、名前に反し盾の機能は持たない。
後に戦闘データを元に月面側が開発にフィードバックし、NSG-Z0/Kが類似した武器を装備している。


◇キット
2013年11月発売。定価5600円。

バーゼラルド本体、エクステンドアームズ02をセットにしたキット。キャッチコピーは「戦場を舞う夜刃」。
双方の成形色をグレー&パープルで合わせてあるほか、専用武器が追加されている。
また設定画再現用のデカールも付属。

しかし、宮沢模型流通限定モデルという形で発売されていたため、現在では生産がされておらず、入手が非常に困難である。
というのも、このキットの企画を出したのがコトブキヤではなく宮沢模型側である為。
つまり、大人の事情という奴である。
イベント等でコトブキヤスタッフに『再販予定はあるのか?』という質問をした者がいたが、『難しい(意訳)』という回答が返ってきた為、恐らく再販予定はない……

と、思われていたが2017年10月にアーキテクトをリニューアルに改めた「:RE」版が発売、実質的な再販がされた。流通限定品の再販は滅多に無く、ラストチャンスということも十分に有り得る。
必要であるのなら多少の無理を押してでも確保しておきたい、在庫が尽き始めれば更に高い出費となるのは目に見えている。だから多々買わなくちゃ…

試作型光波射出機の砲身/刀身パーツの金型は後にバルチャー改のべリルマチェットに流用された。
キットではゼルフィカール/NE→バルチャー改の順に登場したが、設定上の開発順は逆になっているのだ。




YSX-24RD/GA ゼルフィカール/GA(ガストアロー)


フレズヴェルク=アーテルの討伐任務を帯びていたゼルフィカールは、実戦投入後も幾度となく改修やオーバーホールが行われていた。
その中でも地上反攻作戦時*6の"ガストアロー"と呼称されるバージョンは運動性能の強化を中心とした改修が施されており、フォトンブースターの内部ユニットを既に生産体制が整っていた下記のO・カトラス及びJX-25と同等の物に換装する事で高出力化とエネルギー効率化を実現。
特に先行試験仕様時にて浮き彫りとなっていた近接戦闘時の機動性の低さに関しては大きく改善され、こと機動力という観点ではこの時点で完成したといえる。

しかし攻撃性能に関しては大きく強化されておらずアーテルに対しては依然として決定打を欠いたままであり、以降ゼルフィカールには武装強化を中心とする改修が施される事となった。まとめるとGAは先行試験仕様とNEの中間にあたる機体という事になる*7

戦時における役割は橋渡しで終わっているGAだが、後に R.V.L.T の戦力増強を重く見た 技術復興連盟 (G.A.F(ガフ))が苦肉の策として本機を建造*8、実戦に投入した。ガフが所有するGAは、各パーツの精度バラつきやバーゼラルド自体のスペック差もあって、その性能はオリジナルに若干劣るとされている。


◇武装
  • セグメントライフル改(IR-PX9) ×2
名が示す通りセグメントライフルの改良品。
本来投入予定だったベリルウェポン兵装の完成が間に合わなかったため暫定的に用意された物で、経緯は不明ながら下記のインテグレートライフルに準じた型式番号"IR"が与えられている。
銃身下部に対光学兵器塗料を塗布した可動式の剣「プレシアダガーⅡ*9」が追加され銃剣型兵装へと変化。
また攻性干渉弾(単体でTCSを貫通可能な弾丸。通称ATCS弾)の採用によって単装化と省エネルギー化を実現し、従来機では難しかった「2丁撃ち」が容易になる程に取り回しが改善された。
遠近双方に対応できるが、プレシアダガーⅡは緊急時用の兵装という側面が強く、近接戦は重視されていない様子。


◇キット
2019年6月発売。定価5600円。

フレームアームズ・ガール"ゼルフィカール" の逆輸入品であり(発売時期はこちらの方が先)、成型色と武装がそちらに準じた物になっている。アーキテクトは未組立。
また足首部分はカトラスと同等の構造になった事で接地性が増加した。
クリアパーツは従来のグリーンに加え無色透明な物が付属し、塗装派には嬉しい仕様。
ナイトエッジに引き続き設定画再現用のデカールも付属する。




YSX-24c バーゼラルド砲撃戦仕様


新型機の開発に伴いその機体が用いる武器の研究・開発計画も始動しており*10、その中には過去の試作兵器の再評価プログラムも存在した。
要は「昔ボツになった武器でも新型なら使いこなせるんじゃね?」という発想で、C型はその試験のために設計されたのだが、実際に建造されることはなかったとされる。
というのも、他の対TCS兵器が実用化されたことで再評価プログラム自体がキャンセルされてしまったため。故に設計データのみの存在となっている。

……筈だったのだが、とある部隊の前に出現して大暴れした記録が残されている。
おかげで後世でも実在した/しないの議論の的になっているとか。
後にコイツと遭遇したとあるパイロットが(良い意味で)色々とやらかすのだが、これはまた別のお話。

機体としてはバーゼラルドの火器管制と索敵能力を強化し、肩に大型武器用の懸架装置を追加したもの。
肩の改修に伴いフォトンブースターが一部撤去されているが、シミュレーションではそれでも尚従来機を超える機動性を発揮できる模様。
頭部が角ばっているためパッと見は轟雷系列機にも見えてくる*11ほか大型光学兵器二丁持ちという姿は後のレイダオやジェンタオにも通じるものがあり、特にジェンタオとは胸部の索敵システム・頭部の増設FCS・両腕のレーザー砲という構成がよく似ている。
そのさらに後にX-2 白虎の開発時、火器管制システムのソフトウェアを流用されるなど本機の存在は後のFA開発に少なからず影響を与えたようである。


◇武装
  • X-YN8/E イオンレーザーカノン ×2
FAが使う武器としては比較的大型の試作レーザー砲。形状から「光学式バズーカ」とも呼ばれる。
バッテリーを内蔵させたため重量がかさみ、従来機では運用が困難なため開発が凍結された試作兵装「X-YN8」の改良版で、少し軽量化されている。
フォトンブースター(と紙装甲)による優れた推力重量比を持つバーゼラルドの完成により再評価が検討されたものの、先述の通り再評価プログラムは実行されなかったため制式採用および採用を見越しての開発再開は叶わなかった。
しかしレーザー砲のFAへの搭載自体は、東アジア防衛機構の執念によりレイダオという形で結実し、他にもセカンドジャイヴのマルチランチャーや白虎のレーザーライフルなどの原型とされるなど系譜そのものは途絶えていないようである。

  • LADARシステム
胸部のABSAユニットを撤去した空きスペースを有効活用するため、搭載が検討されていた索敵システム。
レーザー式のセンサーを使って周囲の地形探査と索敵を同時に行う。
余談ながら現実でもPanasonicが「3D LiDAR」という技術を開発している*12

  • オプティカルバイザーT9
三八式の「鉢金型五式光学照準器(S-5オプティカルバイザー)」と同系統の照準システム。
センサーユニット自体はバーゼラルドのものを流用しているが、LADARシステムとの連携および頭部補助演算装置の増設により射撃精度を向上させている。


◇キット
2013年12月発売。定価4500円、コトブキヤ公式ショップ限定品。キャッチコピーは「砲火の戦刃」。

頭部と肩アーマーの形状が変わっている。
成形色も茶色&黒になったため、頭部の形状と合わせて尚更轟雷っぽく見える。
またM.S.Gウェポンユニットの「MW-18フリースタイル・バズーカ」が二丁付属し、こちらは成形色が茶一色なので少々寂しく感じる。塗るのが面倒なら通常版のバズーカ(灰色)と組み合わせるという手もある。




YSX-24〈3/7〉 バーゼラルド レヴァスレイター


実戦投入されたバーゼラルドのひとつ。
ゼルフィカール/NEと同様、試作された他のバーゼラルドも月面反攻作戦の主戦力の一角として運用を続けることが決定していたが、元よりバーゼラルドは機体特性がピーキーな上に度重なる改修を施した試作機であるため兵站上の互換性もなく、通常の部隊に編入しても持て余してしまう恐れがあった。
故に実戦投入されたものの殆どは特定の目的に特化した改修が施されたとされる。
本機もその一つで、月面プラントへの強襲を目的として機動力をさらに強化した機体となった。

強化された推力は実にバーゼラルドの2倍に迫り、その源となっている背部の大型機動ユニットは推進方向を任意に変更できる構造で運動性も向上。
また月面プラント奪還の障害となりうるTCS搭載機への対策として対TCS兵器を複数搭載している。
これらの複雑化した操縦系統をサポートするため機体制御OSも〈R.E.V.I〉と呼ばれる専用のものを使用する。

極めて高性能な機体となったが、膨大なユニット数や専用OSの搭載などにより整備性・運用効率性は低く、短期決戦用のワンオフ機という面が強いとされている。


◇武装
  • エクステンドブースターEx-SP
背部の大型機動ユニット。使われた資材の多くは流用品で、性能に比して驚異的な短期間・低コストでの戦力化に成功した。

  • ブリューナク・ランチャーシステム
鹵獲したビーム・オーブガンを改造した大型のビーム砲。
出力が強化されており、TCSごと敵機を消し飛ばすほどの威力を発揮する。
反動が大きくエネルギー消費も激しいことから本機以外での運用は難しい。

  • レヴィ・ブレイド ×2
大型の斬撃武器。ベリルユニットを搭載しており、フィールド干渉によってTCSを切り裂いて攻撃できる。
試作型光波射出機のデータを参考にしており、後述のベリルダガーと同様に射撃機能をオミットしたことで安定性を確保している。


◇キット
2013年に開催されたコンテスト「CREATION OF NEW WORLDⅢ」の最優秀賞受賞作品であり、副賞として公式設定化された。
詳細はフレームアームズ公式ブログを参照。




SX-25 カトラス


バーゼラルドの量産仕様。生産コストの問題から、外観についてかなり妥協されたらしい。
え?見た目そんな変わってないじゃん?と思われるだろうが、実はキット化されたカトラスは一度解体されたYSX-24にSX-25の部品を組み込んで再就役したニコイチ機体。つまり量産型モドキのワンオフ機である。
妥協した外観を補った上でカトラスの性能を宣伝する為に一計を案じた結果であり、最終的には認知度の向上に少なからず貢献した。

なお、SX-25自体はいわゆる簡易量産型ではなくガチの制式量産型であるとされ、装備はより洗練された最新バージョンが採用され基本スペックはYSX-24を上回る*13
特にバイザー状の頭部(センサー・制御系)については量産仕様の意匠が最も反映されているとしながらも、性能重視の仕様が許可された部分であるともされ、充実したスペックを誇るという。
ガンダムに対するジムのポジションどころかジムコマンドくらいの性能はある、やればできる子なのである。

後のJX-25Fの顛末から、量産仕様のSX-25が存在するのか、または量産型は全てJX-25のみなのかはハッキリしていない。先述の頭部仕様の設定から、量産されているとも取れるのがまた悩ましいところであるのだが…
もし量産されているならば、実際の量産仕様はもっと簡素な外観であろうと思われる。

地上でのプロモーション活動の後は月面反攻作戦にも参加しており、ドゥルガーⅡとの戦闘で一機が失われている。


◇武装
  • IR-P13(Integrate Rifle-Plan13)
セグメントライフルの発展型。攻性干渉弾の実用化により、運用上の問題をクリア。
単装化されたことでバッテリーを搭載する余裕が生まれ、スラストアーマーが必要なくなった。
予備の弾倉とバッテリーを携行するためのホルダーも用意されている。

  • ベリルダガー
小振りのベリルウェポンで、月面陣営ほどの技術力がなかったため機能を絞って信頼性を上げている。
具体的には射撃機能が無く、刀身にTCSを纏わせることしかできない。
手持ちだけでなく足にも装着可能で間合いの広い斬撃が可能になっているが、これは宇宙空間で手持ち無沙汰になりがちな脚部の活用法を模索した結果らしい。

  • ディフェンスローター
ベリルダガーを二本連結して腕にマウントする。
高速回転させることで軽量の盾となり、運動性を損なわずに防御力を高めることができる。
顔とあわせて既視感が拭えない。


◇キット
2014年12月発売。定価4200円。

成型色は赤、グレー、白。
ほぼバーゼラルドの色違いで、主に頭部の形状が異なるほか一部のパーツを使わないなどの違いがある。
その為エクステンドアームズ02を取り付ける場合、頭部アンテナを余剰パーツの中にあるバーゼラルドの物に変える必要がある。
特に大きな変更としては股関節と足首の構造がバーゼラルドから変更されており、開脚と接地性が向上している。
股関節部は微妙に形状を改められ、後にリニューアルアーキテクトに取り入れられた。
頭部のセンサーとベリルダガーは無色透明なので塗装推奨。
難点としてはIR-P13が特殊な形状であるため専用ハンドパーツが付いてくるのだが、親指が通常のハンドパーツと共用なので武器を持ち替えるたびにバラして組み替えないといけない点が挙げられる。

:RE2版ではクリアパーツが従来の無色透明の物に加え設定準拠カラーのクリアグリーンとクリアイエローの物も付属するように。
更に前述の専用ハンドパーツが付属する都合旧ハンドと新ハンドの両方が封入されている為差し替えせずに遊べるようになった。
その分僅かに値上がりしており、定価4500円。




O(オリジナル)・カトラス


開発部が上層部の意向を無視し、実用性を重視して開発したバーゼラルドの量産モデルの試作機。
型番は明かされていないのだが、カトラスのSX-25から推測すると「YSX-25」あたりになると思われる。

前述の通り実用性を重視して設計しており、バーゼラルドの開発時に課せられていたデザイン性などは完全に無視されている。
開発部は上層部の意向と現場の不満双方を理解していたが、最終的には後者を尊重する決断を下した結果でもある*14

要請を無視した機体に上層部は騒いだものの、量産機として文句のつけようがないスペックを見せつけられては閉口するしかなく、世間には本機とバーゼラルドのパーツを合わせた機体を次期主力機体のカトラスとして発表し、実際には本機の改良型が次期主力機体のジィダオとして生産されることになった。
つまりO・カトラスはキット化されたカトラスやジィダオの一つ前の機体ということになる。
正式採用を勝ち取った一方、試作機については一部のパーツを残して廃棄処分される*15という憂き目を見る事となった。この無骨なデザインの良さがわからんとは…

ただ、その残骸は後に下記のオスティナートカスタムとして蘇る事となる。

◇キット
コトブキヤのフレームアームズブログ内にて、独自解釈によるO・カトラスの作例が<仮想>のものとして制作されている。

ジィダオのキットをベースに一から作成したオリジナルデザインの頭部と胸部に変更し、カトラスとの関連性を持たせるためにライフルとディフェンスローターを装備し、カラーリングもカトラスと同じものになっている。オリジナル武器として折りたたみ可能なピッケルアックスも制作している。

新造された頭部と胸部はカトラスのデザインにジィダオの曲線的なラインを取り入れた双方の特徴が上手く合わさったもので、設定に違和感なくマッチしている。

公式側の作品ではあるが、あくまで<仮想>とつく作例であり、その姿が公式の物というわけではない。
そもそも設定内でも存在と僅かな機体設定が記述されているだけで正確なデザインについては依然不明である。
コトブキヤとしてもその辺りを厳密に決めるつもりは無いようで、作例制作を担当した椎葉氏が設定担当者にカトラスとジィダオのデザインの差異を訊ねた際には、「頭部くらいかな?」という感じのかなりぼんやりとした回答があったとのこと。
……といった状態が長く続いていたが、ベルクフリンカーの組換えと言う形で公式に取り入れられる事となった。
が、この機体の登場により本来のO・カトラスの謎がまた増える事になる。詳しくは後述。




O・カトラス (オスティナートカスタム)


O・カトラスの内、オスティナートの駆る専用カスタマイズ機であると共に、XFA-CnB ベルクフリンカーの改修直前の仕様。

不採用となり廃棄処分となったO・カトラスだったが、その残骸がガフを離反したオスティナートによって発見され、彼の搭乗機として生まれ変わる事となった。基となった機体は基幹となるボディ・頭部以外をほぼ消失しており、補修のために地上に多く残されていたJX-25系列機のパーツが用いられている。また、カラーリングは赤・黒・赤灰色・白と、かなり派手な色合いに一新されている。

ただ、オスティナート本人はリベルタのような組織的バックアップの無い状況下でゲリラ活動を行っており、単機のFAで活動を続けるには単体でのスペックを極大にまで引き上げる必要があった。そして本機は更なる改修を受け、ベルクフリンカーとして完成する事となる。


◇武装
  • BS-R/L07
ベルクフリンカーの主兵装であるACS-14GPの運用上の欠点をカバーする事を目的とする射撃型のベリルウェポン。本機の場合、携行武器として装備している。

  • スラッシュシールド
主にジィダオ系列機が使用する実体盾。ベルクフリンカーでは巡航形態時の機首として用いられているが、本機の場合は普通に携行装備として用いる。


◇キット
上述の通り、2021年2月発売のベルクフリンカーの組換えという形で登場。詳細はベルクフリンカーの項を参照。

一部パーツは選択式であるため、ベルクフリンカーとO・カトラスのどちらを組むかは事前に決めておく必要がある。

上述のO・カトラス〈仮想〉の公式立体化にあたる本機ではあるが、機体設定の通り、頭部とボディ以外はジィダオ系列機の物であるため、仮想およびオスティナートカスタムはどちらも純正のO・カスタムではない。
つまり四肢も含めて純正のO・カトラスが別途存在するという事であり、O・カトラス~ジィダオ系列機の系譜図が更にややこしい事態となっている。




余談

  • 機体の系譜がややこしいが、簡略化したものを記すと以下のような感じになる(派生機は省略)。
上層部「フレズヴェルクとかいう攻撃力がヤバい敵機体が出てきたな。急場を輝鎚で凌ぎつつ次期主力FAの開発計画「SX計画」を急いで進めるぞ!」


上層部「こういう機体(バーゼラルド)作ってね。あと仮にも次期主力機で世間にも発表するためにデザインも頑張ったんだから外観は変えないでね。あ、そうそう地上でも使えるようにしてね」

開発部「なにこのふざけた要求…。こんなの達成しようとしたら紙装甲の機体になるじゃん。おまけに生産性も整備性もダメダメじゃん。現場のことどう考えてんの…。仕方ない、やるだけやってみるか」


バーゼラルド完成

上層部「うんうん仕様通りの機体ができたね。この調子で量産機(カトラス)の方も頼むよ」

開発部「ふざけんな!!こんな仕様のままで量産機にしたら現場が死ぬわ!!バーゼラルドでもう義理は果たしたしノウハウも手に入ったんだ、量産仕様は真っ当な機体に仕上げるぞ!」


O・カトラス完成

上層部「えぇ…、なにこの機体?バーゼラルドの面影がぜんぜんないんだけど…。誰もバーゼラルドの量産型のカトラスだなんて思わないよ。開発部ナメてんの?いやでもこのスペックはボツにするには惜しいし…。そうだ!この機体のパーツとバーゼラルドのパーツを合わせて世間にはそれをカトラスとして発表しよう!」


上層部はバーゼラルドとO・カトラスのパーツを合わせたプロパガンダとしての名目だけの次期主力機体カトラスを発表、O・カトラスを量産に向けて改良したジィダオ(O・カトラス改)が完成

上層部「次期主力機はジィダオにするけど、世間にはカトラスを次期主力機体にすると発表したから。ジィダオの生産は東アジア防衛機構に委託して対外的にはそこのバリエーションモデルということにするからね」

現場「カトラスじゃなくてまともな機体が来て良かった…」

東アジア防衛機構「これが次期主力機か。良い機体だけどもうちょっと改良させてもらうね」


各部がモジュール化され、ジィダオが完成。次期主力機体として量産されることに



  • 各機体の名称の由来は刀剣・刃物。前主力FAであるスティレットの系列を引き継いだものと思われる。
    バーゼラルドはスイス起源の短剣、ゼルフィカール(ズルフィカール・ゾルファガル)はイスラム圏の伝説の名剣、カトラス(カットラス)は幅広の片刃剣(いわゆる海賊の剣)である。
    また、この命名法則は直系量産機のJX-25シリーズにも採用されている。

  • バーゼラルドやカトラスの生産数がどの程度かがよく議論される。キットの取説や公式で発行された資料だけで言うのなら、バーゼラルドは4機、そのうち1体がNEに、もう1体がレヴァスレイターに、残りのうち1体以上がカトラスに改装され、更に戦後になってそれらの予備パーツを用いてGAとして(おそらく数機が)新規で建造された…という説が有力となっている。
    ただしユーザーの「オラ設定」でどうとでもなる部分でもあり、模型雑誌の企画による作例などにはバーゼラルドやカトラスも「数体~数十体が追加で製造された」といったフリーダムなものもあるので、気にしすぎない方がいいかもしれない。
    フレームアームズ全体に言えることだが、ユーザーが作りたい機体と設定があればそれを優先すべきというのが公式のスタンスであることだし。

  • ガフがGAを建造した時期は当然ながら月面との戦争が終結した後な訳だが、この頃にはより洗練された機体群であるJX-25シリーズが存在している事はFAユーザーには周知の事実である。
    何故ガフが新規の戦力として、生産性・整備性でそれらに劣るゼルフィカールをわざわざ抜擢したのかについては議論の余地があるところ。身も蓋もない事を言えばガールから逆輸入するにあたってそれっぽい設定をでっち上げたというメタな経緯と思われるが

  • 2016年2月に開催されたイベント「フレームアームズ ファンミーティング in AKIHABARA-KAN」における企画「プレゼント抽選会」にて、成型色をレッド、ホワイト、ゴールド、ブラウンに変更した「バーゼラルド<V.L.Tカラー>アーマーパーツ」が配布された。その数僅か4個
    このイベントの為だけに用意されたもので、製品化の予定もない超激レア品である。

  • ゼルフィカールの英綴りは:RE版ナイトエッジのパッケージ及び説明書内カラーガイドページでは「ZELFIKA"L"」、他はガールも含め「ZELFIKA"R"」となっている。その:RE版も説明書ショートストーリー上部ではR表記になっていることを考えると、恐らくパッケージとカラーガイドの物は誤表記で「ZELFIKAR」が正しい綴りか。

  • 明確なデザインが存在しなかったりストーリー中には存在が示唆されるも資料のない機体も多いが、コトブキヤの公式ブログでは(「あくまで独自解釈で公式設定ではない」と前置きした上で)オリジナルカトラスやゼルフィカール装備のカトラス、アーセナルアームズ装備のナイトエッジなどの作例が公開されているため必見である。そして再販前や予約中に作例を公開し多々買いを強いている。


追記修正は、上層部の意向に振り回されながらお願いします。

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最終更新:2021年11月06日 15:25

*1 YSX-24/GAのキット取説など

*2 なおこのコマンドはソフト側にデフォルトで存在する物ではなく、パイロットのトルースが事前に独自で仕込んでおいた代物である

*3 この時点では「先行試験仕様」と呼称されている

*4 EX計画の他のパーツ同様、試作装備を放出したという建前となる

*5 むしろバリアにかすっただけで危険なので、バリアを解除して回避したほうが良い

*6 パケ絵では宇宙空間で戦っているが

*7 その経緯故、トルースも一時期この機体に搭乗していたものと思われる

*8 戦後はFAの新造が禁止されているため、中破したカトラスの修復・改装という建前で誤魔化している

*9 名称から察するに、ACSクレイドルのプレシアダガーの発展型と思われる

*10 具体的には「TCSを貫通できる武器」を探していた

*11 轟雷の電子戦用派生となる「漸雷EM型」の頭部はこの機体と同じくロッドアンテナを装備していてよく似ている

*12 「LIDAR(ライダー)」は”Light Detection and Ranging”または”Laser Imaging Detection and Ranging”の略で、レーザー光を用いた物体検知・測距・画像検出技術の総称

*13 ただし、試作当初のバーゼラルドと比べた場合であり、例として実戦投入用に強化されたナイトエッジなどは本機よりもさらに高性能とされている

*14 バーゼラルドが完成した時点で上層部への義理立ては済ませたという考えもあった様子

*15 バーゼラルドは宣伝になるため換装せずに実戦投入されたが、O・カトラスはJX-25に換装したほうが色々と融通が利くため廃棄になったものと思われる