あたしンち

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あたしンち - (2022/05/15 (日) 21:52:53) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/05/31(木) 21:30:57
更新日:2024/02/21 Wed 20:58:45
所要時間:約 7 分で読めます




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さようなら♪ また逢いましょう♪

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◉概要

けらえいこ作の漫画で、1994年から2012年まで読売新聞の日曜版で連載された(単行本はメディアファクトリーから発売)。
2019年からは朝日新聞出版で刊行されている雑誌『AERA』にて連載が開始されている。

高校生のみかんとその家族や友人、近所の方々との出来事や日常を面白おかしくユーモラスに描く。
言われてみないと気が付かないが、誰もが日常で一度は抱いたことがある些細な感情を取り上げるのが魅力で、「確かにあるある」と共感を抱けるものが多い。
その「あるある」を超越してくるキャラ(主にみかんと母)の思考や行動でさらなる笑いを誘う。
掲載した時期に合わせての季節ネタもある。

話は基本的に1話完結式。この漫画の特徴は4コマ漫画のようなコマ割を23コ繋げる23コマ漫画の形をとっていること。
そのため起承転結がより深くなり、フェルトペンで書いたような暖かみのある画風も相まって、よりデフォルメの愛らしさが引き出されている。
キャラクターはすべて2頭身で描かれているため、時々手足が伸び縮みするが気にしてはいけない。



●タチバナ家の人々

CV.折笠富美子
あたしンちの主人公格の、「の」の字のような目が特徴的な立花家の長女の高校生。
詳しくは該当項目参照。

CV.渡辺久美子
あたしンちを知らない方でも一度はどこかで見たことがあるだろう。
詳しくは該当項目参照。

  • 立花ユズヒコ
CV.阪口大助
タチバナ家の長男で中学生。ただし中二病はほとんどこじらせていない。
髪型はキノコヘアーの縁に波を付けたような天パ。糸目だが驚いたときなどは開く。
容姿は並程度にも見えるが、ユズヒコを好いている女子は複数いるため魅力はある模様。
本人は顔よりも細身かつ色白な体つきを気にしており、小麦色のマッスルボディに憧れている。
作中でも何度か肉体改造や日焼けにチャレンジしているがいまだ成功した試しはない。
くだらないことに一々本気になる悪癖があり、そういった場合には「老師」なるジジイのイマジナリーフレンドが出てくる。

連載初期は小生意気な性格だったが、徐々にシャイで繊細な部分がフォーカスされていき、大人びたキャラに落ち着いた。
ただし学校や家の外で友人たちといる時は年齢相応にはしゃいでいる事が多い。
姉のみかんより常識的で学校の成績が良く、生活能力もユズヒコの方が上。
長男なためか、みかんと比べると母から甘やかされておりそのおかげで何かと得をしているものの
みかんや父よりナイーブなせいで、母の滅茶苦茶ぶりに結局家族で一番精神的ダメージを受けている。

CV.緒方賢一
タチバナ家の大黒柱。サラリーマン。趣味はパチンコ。
母共々夫婦揃って作中で名前が呼ばれていない。
丸い頭に長い人中(鼻の下)と丸い眼鏡が特徴。水木しげる作品に登場しそうな顔つきをしている。
夫婦揃ってあまり顔と身体のバランスが取れていないが2頭身デフォルメなのでそういうもんです。

口やかましい母とは対照的に無口で無表情(が、馴染みの飲み友達とはかなり喋るので気分次第だと思われる)。普段顔にはほとんど変化が見られない。そのため、喜怒哀楽の表現のほとんどはボディランゲージ。
思考が読めない時が多々あるが、長年連れ添っているだけあって母は割と父を理解している。
(が、考えがミステリアスすぎて未だに掴みきれていない部分もある)

トイレの戸を開けながら用を足す、年頃の娘がいる前で風呂上がり全裸など、大胆かつ何も考えていない行動が多い。
酒好きだが酒の味の良し悪しはあまり分かっていない、酔いすぎると「捨て魔」になる。
妻のことは心から愛しているが、天然すぎる母には伝わっていない場面も多い。
母の作るトンデモ料理に対しても、ユズヒコやみかんに比べると耐性があるようで、二人が文句を言うような夕飯でも騒がずに黙って食べている事が多い。そもそも酒>料理が優先順位な事もあるのだろう。
(ただし余りにも酷い飯の場合には怒って出前をとってしまう時もある)

あまり物事の好き嫌いが無くこだわりも薄いが「男のカッコよさ」や「ダンディズム」を感じさせるものに惹かれる傾向がある。
影響されやすい性格でひょんな事から何かによくハマりだすが、熱しやすく冷めやすいタイプのためすぐに挫折したり飽きてしまう。

また、アニメ『あたしンち』第二エンディングテーマ『LET'S GO! あたしンち』で彼のソロパートは9割が笑い声という一種の電波ソングと化している。
掴みどころがないという父の特徴を上手く表現しているとも言える。

・みかんを取り巻く人物

しみちゃん
CV.的井香織(旧)/飯田友子(新)
みかんの親友であり理解者。正式な名字は清水。
触角のように生えている二束の前髪と、たらこ唇が特徴。

クラスメイトと話すときは常に達観したような物言いで、クールに、そして冷静に振る舞う。
純文学を始めとした読書や、タロット占いが趣味。
みかんとは対照的な性格なだけに、みかんから信頼されており、相談事に乗ることも多い。
喋り終わった後に彼女がタバコを吹かす仕草をした後に、みかんが灰皿を模した手で受け止めるというお決まりの行動があり、二人の関係が分かりやすく現れている。
自分を頼ってくるような男がタイプらしい。
ちなみにみかんとは対照的に巨乳であり、作中でも度々触れられている。

映画では、母と中身が入れ替わってしまったみかん(外見は母)が唯一その事実を打ち明けた友人であり、その際もみかんを優しく受け入れた。
唯一みかんの想い人を知っている存在でもある。

吉岡
CV.沼田祐介
みかんが気兼ねなく話せる数少ない男友達で、中学時代からの同級生。
猿のような顔つきと、チャーリー・ブラウンのような、無毛の頭に1本だけ生えるカールした髪が特徴。

事あるごとにみかんをからかいに絡んできて、その度にみかんに煙たがられている。
吉岡は岩木と友人のため、彼は無意識だが、みかんが岩木と接触できるチャンスを与えてくれる恋のキューピッドでもある。
しかし、大体は岩木の前でみかんの恥晒しを行い、大激怒されている。

坊主頭ということを強調したいのか、「新」では途中から頭が青くなった(原作では完全な無毛という設定があるのだが)。
ただ、急な変更による違和感は拭い切れず、「頭が腐敗している」「カビ岡」「カービーブラウン」などと呼ばれてしまい、その評価は散々。

岩木
CV.緑川光
みかんの想い人。みかんがバスで落としたペンを拾ってもらったことから恋に落ちる。吉岡とは友人。
デフォルメの強い世界観とはいえ、顔の長さも相まってかなり身長が高い。一部では3mを超えているのではないかと噂されることもある。

おっとりしていて感性がかなり独特であり、街中の野良猫の尻尾の絶妙な曲がり具合に魅了されるなど。
その面ではみかんとかなりお似合いであるとも言える。
しみちゃんからは「むっつりスケベ」であると称されているが、真相は不明。

・母を取り巻く人物

水島
CV.愛河里花子
母の友人。三角形の目と、アニメではソプラノな高い声が特徴。
母とよく気が合い、もう一人の友人である戸山も加わった三人組でよく喫茶店や旅行に行くことが多い。

・ユズヒコを取り巻く人物

藤野
CV.山口勝平
ユズヒコの親友。ハート型のような口が特徴。
ユズヒコとは違って、やんちゃで大らかで楽観的だが、気は合うようで他の友人のナスオや小山田と一緒によく遊んでいる。

二人の弟がいるが、姉がいないため、みかんに(下心満載の)憧れを抱いていた時期があった。現在はクラスメイトの須藤に片想い中。
彼の母が忙しいようで家は散らかりっぱなしである。

石田
CV.小桜エツ子
太眉が特徴的なユズヒコの同級生の女子。
不可解な行動を数多く取ることからクラスでは若干浮いているが、ユズヒコとは笑いのツボが近いこともあり仲が良く、ダジャレや冗談を言い合っている。
最初はユズヒコたちからも敬遠されていたが、一度ユズヒコが話しかけたことをきっかけに、次第に彼やその友達とも打ち解けていった。

川島
CV.水田わさび
大きな下膨れの頬と、ツインのお団子ヘアのモルモットのような顔つきが特徴の、ユズヒコの同級生の女子。
ユズヒコに熱烈に片想いしており、四六時中ユズヒコのことを想っている。
友人の山下とは「ゆずぴファンクラブ」を結成しており、ユズヒコへの愛を共有し合っている。

ユズヒコに対しての想いは真剣であり恋を成就させるために様々な手段に打って出るものの、奥手で失恋を恐れるあまりストレートなアプローチが出来ず
恋のおまじないといった回りくどい方法や裏の手をよく使うが、本人の詰めの甘さも相まってほとんど失敗している。
ユズヒコに執心しすぎるせいでストーカー気味な付きまといをしたり、何事においてもユズヒコ中心で考えたりするので山下によく引かれている。
また、自分と違いユズヒコと自然に打ち解けている石田にやきもちを焼くなど嫉妬深い一面もある。

山下
CV.鉄炮塚葉子
川島の友人。カチューシャを付け前髪を一部だけ上げた髪型をしている。学内では川島とほぼ常に行動を共にしておりまさに親友。
川島と同様にユズヒコを好いているが、どちらかというと川島に同調しているだけで本人はあくまでライトな好意で落ち着いている。
(このため川島とライバル関係になったり仲がこじれたりする事はない)
川島の恋を応援してはいるものの、感情が先走りしすぎて暴走する姿を見ては内心引いていたりする。
また川島が恋を成就させるために行う様々な作戦や思いつきを手伝わされたり何かと振り回される苦労人でもある。

・父を取り巻く人物

父の友人
CV.岩尾万太郎
父の仕事仲間の白髪のおじさん。
父と同じ九州弁で話し、居酒屋で父や店主の夫妻と日常のあるあるをオムニバス形式で語り合う。
ただ、父と同僚であるにもかかわらず、仕事の話はしない。オフには仕事の話を持ち込まない主義なのだろうか。



●アニメの変遷

2002年にアニメ化され『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』と共にゴールデンタイムに君臨したこともある。
同時期の「こち亀」「ハム太郎」「ケロロ軍曹」などと国民的アニメの筆頭候補として肩を並べていた。
しかし、7年間約300回を全て放送された地域はネット放送を除いて近畿地方のみで、他の地域では『ボーボボ』のように途中で打ち切られた。
映画も2本作られたが、あまりよろしくなかった様子。
原作終了後、アニマックスでアニメ第二期『新あたしンち』が2015年10月から2016年4月まで放送された。

アニメ開始当初の大地丙太郎監督時は、「間」を多用したり、背景が真っ白になるシーンがあったりと演出がなんともシュールだった。
どちらかというとギャグに特化した作風となっており、大地監督らしいといえる。

そこから15話ほどしてやすみ哲夫監督に移行し、日常アニメの要素が色濃くなった。
この時期は、上述したように普段の生活で感じる感情の機微を汲み取った話が多く、あたしンちといえばこの辺の話、という人も多い。
352話からハイビジョン放送開始。

そして「旧」の放送が400話を超えた辺りからアニオリのエピソードが追加されていく。
アニオリにはキャラが旅行などの何か特別なことをする物語性のある話が多く、それらは上記のようなあたしンち独自の要素が薄い。
中にはキャラクターをそのままに世界観が違うパラレルワールドが舞台のものもあるが、「あたしンちでやる必要はない」という批判もある。
料理が下手で頭脳明晰でもない母が一流シェフ「マンマタチバナ」や名探偵「エプロン探偵」を演じるなど、設定が崩壊している箇所も多い。
(ネタ切れならやむを得ないが)
しかし、その設定の自由さから、江戸回のユズヒコ×ゆかりんなど普段見れないキャラ同士の掛け合いが見れるという肯定的な意見もある。

「旧」終了から約6年後、「新」が開始。随所においてドタバタコメディな面が目立つ。
多くの変更点があり、賛否両論がある。詳細は新あたしンち参照。

2020年5月から公式youtubeチャンネルで第一期、第二期両方の配信開始。
さらに2021年7月から同チャンネルで原作の絵が動いて新たに声が吹き込まれる「ムービーコミック」が配信開始。
これにより、約6年ぶりに立花家のキャストが集結した。
ムービーコミックとはいえよく動くキャラクター、「旧」と同じBGMの使用などにより幅広く評価されている。
第三期のアニメ化にも期待できるかもしれない。

youtubeのみならず、アベマなどでも視聴できる。



●連載終了と復活

2005年から読者投稿のコーナーが設けられ、一時期隔週連載になった。
2008年にコーナーが終わり、週間連載に戻ったが、2012年に作者の体力的な問題や心境の変化から約17年間の連載に幕を閉じた。
ショックを受けた方も多いのでは?
後の作者インタビューでは、「描き続けるにつれて、主人公の視点がみかんではなく母や父に変わっていった」
と語っていて、心境の変化はこのあたりに関わっていると思われる。
連載終了は読売新聞側も気にかけていたらしく、新聞を取っている家に直接行き「(あたしンち終わったけど)読売新聞を購読し続けますか?」と訪ねたほど。

ところが、上述したように2019年に雑誌『AERA』にて連載が始まることとなり、実質的に期間を開けての移籍連載ということになった。
新聞連載時は作品を過去に見返しても違和感なく楽しめるようにあえて時事ネタはあまり取り上げないようにされていたが、AERA版ではかなり自由に頻繁に時事ネタも取り上げられている模様。
AERAの出版社は朝日新聞系列であり、連載開始前には傑作選の『あたしンちベスト』も同出版社から発売されている。

AERAでのエピソードの単行本「あたしンちSUPER」が朝日新聞出版より出版されている。



●余談

単行本のカバーは型押しと呼ばれる凸凹がどこかしらの絵に施されている。また最終巻はなぜか原作終了から3年後の2015年10月に発売された。

漫画は読売新聞に掲載されていたが、アニメは朝日新聞系のテレビ朝日系列で放送された。
逆のパターンとして朝日新聞で連載され、日本テレビ系のスタジオジブリがアニメを手掛けた『ホーホケキョ となりの山田くん(現:ののちゃん)』がある。
ただし、上述したように原作もアニメ版の終了後ではあるが朝日新聞系列の雑誌に移籍している。

本作は一見サザエさん時空に見えるが実は異なり、みかんが高1~高2(ユズヒコは中1~中2)の間の出来事を順不同で描くという形式をとっている。
そのため、後の回で先の回の後日談的な話が出てくることもあれば、
逆に先の回が後の回の後日談だった、なんてこともある。
また、たとえば同じクリスマスを題材としたエピソードでも、
  1. みかんが高2の時の友達とのパーティー
  2. 「1」と同時刻の母とユズヒコ
  3. 「1」の翌日のみかん
……といったように、時系列的な矛盾が生じないようになっている。
とはいえ上述したように基本1話完結式なので、このあたりの作りは特に意識しなくても問題なく楽しめる。

本記事の冒頭の歌詞で始まる1stオープニング曲はキンモクセイの「さらば」。
映像は、歌に合わせて立花家の四人それぞれが夕方家へ帰る様子を順番に映していくもので、この際周りのモブは紫色で表現されている。
そしてその後、今度は最初に紫色だったモブに色が付いてズームアップされ、逆に立花家がモブのように表現されて、モブを主体に違う視点で同じ場面を繰り返す。
これにより「 立花家だけでなくどんな人にも各々の物語、『あたしンち』があり、その人達も他の人から見ればまた何者でもない
という、多角的な視野、人物の存在を意識させられるものとなっている。
オープニング曲なのに別れの言葉である「さらば」がタイトルであることからも、より「家」で始まる物語という斬新さが強調されている。
このオープニングは映像と曲の双方でとても評価が高いので、一見の価値あり。

アニメ版で「次回予告」部分を担当していたアナウンサー荻野志保子は、現在では『ドラえもん』(わさドラ版)の出木杉くん役を演じている。

東京都田無が舞台となっており、アニメでは駅からバス停まで、実在する場所が細かく再現されている。
一瞬映るようななんてことのない1シーンの背景も田無に実在する場所であることがあり、かなり聖地巡礼のしがいがある。

2004年5月、お母さん川柳のコーナーにて、投稿者の字幕テロップの住所が「岐阜県未納加茂市」と誤植されるハプニングがあった*1
当時は年金未納問題が話題になっていた。

このアニメの商品に、「あたしンちグラグラゲーム」というものが存在する。これ自体は特に解説事項の無い普通の玩具なのだが、2019年にオークションサイトでの落札価格が1103兆3543億円(税0円)になったコラ画像が出回った。これは当時の国債と同じで、「国債をあたしンちグラグラゲームで返す」という突拍子のなさがウケたのか、後にグルメスパイザーでも同一のコラが作られたりした。


情熱の赤い追記~♪ そしてシュウセイ~♪

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