あたしンち

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あたしンち - (2023/04/29 (土) 12:04:30) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/05/31(木) 21:30:57
更新日:2024/02/21 Wed 20:58:45
所要時間:約 9 分で読めます




こんにちは♪ ありがとう♪
さようなら♪ また逢いましょう♪

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◉概要

けらえいこ作の漫画で、1994年から2012年まで読売新聞の日曜版で連載された(単行本はメディアファクトリーから発売)。
2019年からは朝日新聞出版で刊行されている雑誌『AERA』にて連載が開始されている。

高校生のみかんとその家族や友人、近所の方々との出来事や日常を面白おかしくユーモラスに描く。
言われてみないと気が付かないが、誰もが日常で一度は抱いたことがある些細な感情を取り上げるのが魅力で、「確かにあるある」と共感を抱けるものが多い。
その「あるある」を超越してくるキャラ(主にみかんと母)の思考や行動でさらなる笑いを誘う。
掲載した時期に合わせての季節ネタもある。

話は基本的に1話完結式。この漫画の特徴は4コマ漫画のようなコマ割を23コ繋げる23コマ漫画の形をとっていること。
そのため起承転結がより深くなり、フェルトペンで書いたような暖かみのある画風も相まって、よりデフォルメの愛らしさが引き出されている。
キャラクターはすべて2頭身で描かれているため、時々手足が伸び縮みするが気にしてはいけない。


●キャラクター

CV.折笠富美子
あたしンちの主人公格の、「の」の字のような目が特徴的な立花家の長女の高校生。
詳しくは該当項目参照。

CV.渡辺久美子
あたしンちを知らない方でも一度はどこかで見たことがあるだろう。
詳しくは該当項目参照。

CV.阪口大助
糸目と天パがちな頭髪が特徴的なみかんの弟の中学生。
詳しくは該当項目参照。

CV.緒方賢一
タチバナ家の大黒柱。サラリーマン。趣味はパチンコ。
詳しくは該当項目参照。


●アニメの変遷

2002年にアニメ化され『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』と共にゴールデンタイムに君臨したこともある。
同時期の「こち亀」「ハム太郎」「ケロロ軍曹」などと国民的アニメの筆頭候補として肩を並べていた。
しかし、7年間約300回を全て放送された地域はネット放送を除いて近畿地方のみで、他の地域では『ボーボボ』のように途中で打ち切られた。
映画も2本作られたが、あまりよろしくなかった様子。
原作終了後、アニマックスでアニメ第二期『新あたしンち』が2015年10月から2016年4月まで放送された。

アニメ開始当初の大地丙太郎監督時は、「間」を多用したり、背景が真っ白になるシーンがあったりと演出がなんともシュールだった。
どちらかというとギャグに特化した作風となっており、大地監督らしいといえる。

そこから15話ほどしてやすみ哲夫監督に移行し、日常アニメの要素が色濃くなった。
この時期は、上述したように普段の生活で感じる感情の機微を汲み取った話が多く、あたしンちといえばこの辺の話、という人も多い。
352話からハイビジョン放送開始。

そして「旧」の放送が400話を超えた辺りからアニオリのエピソードが追加されていく。
アニオリにはキャラが旅行などの何か特別なことをする物語性のある話が多く、それらは上記のようなあたしンち独自の要素が薄い。
中にはキャラクターをそのままに世界観が違うパラレルワールドが舞台のものもあるが、「あたしンちでやる必要はない」という批判もある。
料理が下手で頭脳明晰でもない母が一流シェフ「マンマタチバナ」や名探偵「エプロン探偵」を演じるなど、設定が崩壊している箇所も多い。
(ネタ切れならやむを得ないが)
しかし、その設定の自由さから、江戸回のユズヒコ×ゆかりんなど普段見れないキャラ同士の掛け合いが見れるという肯定的な意見もある。

「旧」終了から約6年後、「新」が開始。随所においてドタバタコメディな面が目立つ。
多くの変更点があり、賛否両論がある。詳細は新あたしンち参照。

2020年5月から公式youtubeチャンネルで第一期、第二期両方の配信開始。
さらに2021年7月から同チャンネルで原作の絵が動いて新たに声が吹き込まれる「ムービーコミック」が配信開始。
これにより、約6年ぶりに立花家のキャストが集結した。
ムービーコミックとはいえ、同じBGMの使用などにより「旧」に近い作風に回帰しており、幅広く評価されている。
第三期のアニメ化にも期待できるかもしれない。

youtubeのみならず、アベマなどでも視聴できる。


●連載終了と復活

2005年から読者投稿のコーナーが設けられ、一時期隔週連載になった。
2008年にコーナーが終わり、週間連載に戻ったが、2012年に作者の体力的な問題や心境の変化から約17年間の連載に幕を閉じた。
ショックを受けた方も多いのでは?
後の作者インタビューでは、「描き続けるにつれて、主人公の視点がみかんではなく母や父に変わっていった」
と語っていて、心境の変化はこのあたりに関わっていると思われる。
連載終了は読売新聞側も気にかけていたらしく、新聞を取っている家に直接行き「(あたしンち終わったけど)読売新聞を購読し続けますか?」と訪ねたほど。

ところが、上述したように2019年に雑誌『AERA』にて連載が始まることとなり、実質的に期間を開けての移籍連載ということになった。
新聞連載時は作品を過去に見返しても違和感なく楽しめるようにあえて時事ネタはあまり取り上げないようにされていたが、AERA版ではかなり自由に頻繁に時事ネタも取り上げられている模様。
AERAの出版社は朝日新聞系列であり、連載開始前には傑作選の『あたしンちベスト』も同出版社から発売されている。

AERAでのエピソードの単行本「あたしンちSUPER」が朝日新聞出版より出版されている。


●主題歌

  • さらば/キンモクセイ(1stオープニング)
本作のアニメを象徴する曲。本記事の冒頭のように印象的な挨拶で始まる歌詞。
映像は、歌に合わせて立花家の四人それぞれが夕方家へ帰る様子を順番に映していくもので、この際周りのモブは紫色で表現されている。
そして今度は最初に紫色だったモブに色が付いてズームアップされ、逆に立花家がモブのように表現されて、モブを主体に違う視点で同じ場面を繰り返す。
これにより「 立花家だけでなくどんな人にも各々の物語、『あたしンち』があり、その人達も他の人から見ればまた何者でもない
という、多角的な視野、人物の存在を意識させられるものとなっている。
オープニング曲なのに別れの言葉である「さらば」がタイトルであることからも、より「家」で始まる物語という斬新さが強調されている。
このオープニングは映像と曲の双方でとても評価が高いので、一見の価値あり。

  • 来て来てあたしンち/平山あや(1stエンディング)
E.エルガーの「威風堂々」をアレンジして歌詞を付けたもの。フルではラップ調のフレーズが入る。
映像は田無の実際の街並みの風景写真の中を立花家4人が一列で踊りながら行進するもの。
最後には一家全員で 体を大の字にして高速回転してジャンプする というやけにアクロバティックな動きをする。
本家よりも先に「♪来ーて来てあたしーンち 来て来てあたしンち~」の歌詞でこの曲を覚えた諸兄もいるかもしれない。

  • あたしンち/矢野顕子(映画「あたしンち」主題歌)
ルンバ風の曲調で家族を歌う温かみを感じさせる曲。
本編の映画公開時期のアイキャッチでも母の謎ダンスと共にこの曲のワンフレーズが流れた。

  • あたしンちの唄/小泉今日子(2ndオープニング)
始めに立花一家それぞれの日常シーンが流れ、その後爽やかな自然の中を4人が自転車で駆け抜ける映像の楽曲。

  • LET'S GO!あたしンち/ザ・タチバナーズ(2ndエンディング)
立花一家がパート別にそれぞれの心情を歌う。放送時は家族1人分のパート+サビが流れる。
母パートのみ歌詞をそのまま表現した映像が制作され、みかん、ユズヒコは本編映像を編集したものとなっている。
しかし、みかん、ユズヒコは自身ではなく母への印象を歌う歌詞になっている。
新あたしンちではOPとして再び採用された。

  • ほっとっとっとな まいにち/キグルミチコ(3rdエンディング)
生活の中で心が「ほっとっと」する瞬間を歌い上げていく曲。
キグルミチコはマンマタチバナでアニメとして本人役で出演もした。

  • プロリンサイズ♪/森三中(3rdオープニング/4thエンディング)
OPとしてもEDとしても使用された曲。
家族別に歌詞に合わせたエクササイズを実践してくれる。
みかんバージョンでは体操中に結んでいた髪がほどける愛おしいシーンがある。



●余談

単行本のカバーは型押しと呼ばれる凸凹がどこかしらの絵に施されている。また最終巻はなぜか原作終了から3年後の2015年10月に発売された。

漫画は読売新聞に掲載されていたが、アニメは朝日新聞系のテレビ朝日系列で放送された。
逆のパターンとして朝日新聞で連載され、日本テレビ系のスタジオジブリがアニメを手掛けた『ホーホケキョ となりの山田くん(現:ののちゃん)』がある。
ただし、上述したように原作もアニメ版の終了後ではあるが朝日新聞系列の雑誌に移籍している。

本作は一見サザエさん時空に見えるが実は異なり、みかんが高1~高2(ユズヒコは中1~中2)の間の出来事を順不同で描くという形式をとっている。
そのため、後の回で先の回の後日談的な話が出てくることもあれば、逆に先の回が後の回の後日談だった、なんてこともある。
また、たとえば同じクリスマスを題材としたエピソードでも、
  1. みかんが高2の時の友達とのパーティー
  2. 「1」と同時刻の母とユズヒコ
  3. 「1」の翌日のみかん
……といったように、時系列的な矛盾が生じないようになっている。
とはいえ上述したように基本1話完結式なので、このあたりの作りは特に意識しなくても問題なく楽しめる。

フルネームが判明しているキャラがわずかしかいない特徴がある。
原作で名前がないキャラはアニメで名字か下の名前のどちらか、あるいはあだ名が与えられることは多いが、フルネームまで与えられることはほぼない*1
主要メンバーでフルネームが分かっているのはみかん、ユズヒコ、石田、ナスオくらいしかいない。
その他には出番は減るが越野あん、春山ふぶき、大和田マチ子、安藤里奈、袴田タクなどがいるが、どちらか一方の名前のみやあだ名で呼ばれることが大半。
むしろ1話限りのキャラの方がフルネームが与えられていることが多いほど。
ナスオは初登場の原作2巻では名前無しで、14巻で「ナスオ」の名、18巻で「那須野」の名字と長い道のりを経てフルネームが判明した稀有なキャラ。
それ以前のアニメ初期では「新井」の姓が与えられていた。

アニメ版で「次回予告」部分を担当していたアナウンサー荻野志保子は、現在では『ドラえもん』(わさドラ版)の出木杉くん役を演じている。

東京都田無が舞台となっており、アニメでは制作のシンエイ動画も田無に所在するためか、駅からバス停まで、実在する場所が細かく再現されている。
一瞬映るようななんてことのない1シーンの背景も田無に実在する場所であることがあり、かなり聖地巡礼のしがいがある。

2004年5月、お母さん川柳のコーナーにて、投稿者の字幕テロップの住所が「岐阜県未納加茂市」と誤植されるハプニングがあった*2
当時は年金未納問題が話題になっていた。

このアニメの商品に、「あたしンちグラグラゲーム」というものが存在する。これ自体は特筆することのない普通のバランスゲームなのだが、2019年にオークションサイトでの落札価格が1103兆3543億円(税0円)になったコラ画像が出回った。これは当時の国債と同じで、「国債をあたしンちグラグラゲームで返す」という突拍子のなさがウケたのか、後にグルメスパイザーでも同一のコラが作られたりした。


情熱の赤い追記~♪ そしてシュウセイ~♪

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