Magic the Gathering

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Magic the Gathering - (2021/02/14 (日) 01:12:48) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/07/20 (月) 07:04:06
更新日:2024/04/28 Sun 00:23:39
所要時間:約 20 分で読めます


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1993年8月から発売の始まったトレーディングカードゲーム。正式表記は原語となる英語では「Magic: the Gathering」、日本語では「マジック:ザ・ギャザリング」。

略記・略称は「 MtG 」「 MTG 」「マジック」「ギャザ」等複数あるが、当記事では以降、ブランド・世界観は「マジック」、カードゲームは「MtG」と略記する。


【概要】

単に収集されるのみであるトレーディングカードにウノ麻雀の様なテーブルゲーム要素を世界で初めて掛け合わせたカードゲームであり、その事から 「トレーディングカードゲームの元祖」「世界最初のトレーディングカードゲーム」 とも言われる。

最初のセットのアルファ、その改訂版のベータですらそれぞれ一千万枚ずつ半年かけて売る予定だったところわずか六週間で完売し、2021年2月現在も手厚いサポートを続けられているところからも、人気の凄まじさが窺える。

その魅力は未だ後発TCGの追随を許さないと評される程高い戦略性と、背景設定となる小説や美しいイラストが主。

現在日本国内においては、ライバルとなるTCGの増加や、一時期あったブームの終焉、新規参入による多局化、多くのイラストが非日本人向け、
『ローテーション(詳細は「現在のスタンダード」にて)』が採用タイトルの少なさもあって理解されづらい、一部の超高額カードの存在、
などの点で『ハードルが高そう*1』、『マニアックなTCG』という先入観を与えがちである。

しかし実際には慣れさえすれば他TCGと比べても特段覚えづらい物ではなく、比較的複雑なのは接死+トランプルやスタック、立ち消えの処理など程度。
更にライフとライブラリーの残り枚数がほぼ飾りであり、「対象とする」と「選ぶ」は違う処理、という辺りまで覚えておけば、後はちょっと経験者に話を聞けば十分に適切なプレイができる。
これはルールが整備されまくって規則性が高い*2のと、要求予算的問題*3の手前プレイヤー層に大人が多く、相手か隣の人、最悪主催者*4に聞けば回答してくれるというのが大きく、
なにしろ「正式発売前*5に、触ったことの無いカードセットでシールド*6を行う プレリリース大会 が開かれる(みんなでメカニズムやそのシナジーについてなどでgdgdになりながら対戦する)」という事もあり、実は予算をクリアして妥当なフォーマットを選べば容易に参入可能なTCGである。

とはいえその予算の壁だけは『遊べる株券』などと揶揄される程にトレーディングカード成分が強い手前、中々下がりそうもないのはご愛嬌(上記のプレリリースでは通常2500円取られるし、デッキを持っていなくてもプレーできるドラフト系のショップイベントは参加費1000円が基本。それでもパック料金込みと考えれば安いのだが。)。

デジタルゲームである「MTGアリーナ」は同一のゲームを手軽に楽しめるため、そちらから始めてみるのもいいかもしれない。
「ワイルドカード*7」のおかげで高価なカードも簡単に手に入るし。


【カードセットとローテーション】

MtGではアイスエイジ以降、連続する3つ(戦乱のゼンディカー・ブロック以降は2つ どちらも大型セット1つに小型セットが続く形態)のエキスパンションの組み合わせを「ブロック」と称し、ブロックが変わるごとに、物語の舞台となる次元を変えていた。

物語のストーリー(他のTCGがアニメや漫画などで展開する部分)もこのブロックごとに主役や敵役を変え、英語版のみだが順次小説として発売されていた。
英語が分からずとも一部のストーリーは公式サイトや、公式訳を行なっている人のサイト、カードショップのコラム等で断片的にだが私訳されているので、興味があれば読んでみるのも一興。

2セット1ブロックの時代は9月と1月に前編、4月と7月に後編が発売され、そして9月の新エキスパンション発売に合わせてローテーションが行われていた。一時期は4月にもローテーションを行っていたが、早すぎる回転により環境が過度に不安定化・批判が続出したため、そちらは間もなく廃止された。
また、古参勢にとってはお馴染みだった「基本セット」も「マジック・オリジン(基本セット2016相当)」を最後に廃止となった。

これには今まで基本セットが担当していた初心者向け部分を、基本無料ゲームの「マジック・デュエルズ」で代替できていたというのもあった。

が、基本セットが無くなった事で 「スタンダードに必要なカードが背景世界に合わず再録できない」 といった問題が発生。
更に背景ストーリーでのゲートウォッチ*8の出しすぎ、これらから来るスタンダード環境のバランスの歪みすぎといった状態に批判が相次いだため、更なる制度変革を敢行。

結果、基本セット2019での基本セットの復活を以てドミナリア、実質的にはイクサラン・ブロックを最後にブロック制を廃止。1セットに収まらない大作ストーリーや所謂メガサイクルを従来のブロックのように2セット以上にまたいで展開するのはそのままにエキスパンションを大型セットとしてのみ発売するようになり、カルドハイム(KHM)期現在もこの体制を続けている。
なお、2021年においては基本セットは発売されず、その代替としてD&Dコラボパックが発売される。

また、これらとは別に不定期で特殊カードセットが発売されることがある。
代表的な特殊セットは以下の通り。
  • マスターズ
人気の高い過去カードを集めた再録セット。1パック1000円~1500円。
神ジェイスヴェリアナタルモゴイフ、魂の洞窟などのトップレアも収録されているが、解放の樹なんかが出たりすると目も当てられないなんてことも……。
2018年末のアルティメットマスターズを以て一段落付いていたが、2020年8月のダブルマスターズで復活した。

  • コンスピラシー
ルネサンス期イタリアがモチーフの次元、フィオーラを舞台とする多人数戦用パック。
大きな特徴はゲーム開始時から効果を発揮する「策略カード」の存在。さらには多人数戦で大きな効果をもたらすカードも収録されており、裏切るか利用するかの駆け引きを楽しめる。

  • モダンホライゾン
モダン(とエターナル)にスタンダードを経由せず新カードを供給する目的で開発されたセット。通称モダホラ。セラにウルザ、スリヴァーなど古参ファンおなじみのキャラクターがカード化されている。
完全新規カードだけでなく「嘘か真か」などの再録カードも収録されており、当然全てモダンリーガルとなっている割りにはモダン禁止が出ている

  • ミステリーブースター
収録枚数 1815枚 のセット。
会場限定版と一般流通版の2バージョンあり、会場限定版ではパックの最後の枠にプレイテストカードが、一般流通版ではフォイルカードがそれぞれ1枚封入されている。どちらも全部で121種類あるが、プレイテストカードに関してはほぼ銀枠そのもの。
元ネタはデュエルマスターズのブラックボックスパック
なぜこの枚数かというと、MtGのカードは大きい紙(シート)に印刷した後に、カードの形に切り抜いて使用しているのだが、このシートは通常のカードサイズにすると121枚分が印刷される。
このミステリーブースターでは、シートを15種類用意して、パックの1枚目には1枚目のシートのどれか、2枚目には2枚目のシートのどれかといった形で割り当てている。
15枚1パックなので、121×15=1815種類という仕掛け。

  • 銀枠セット
公式大会では使えない銀枠のカードが収録されたセット。パックには大体Unから始まる名前(Unsanctionedなど)が付いてる。
何故公式大会では使えないかというと……「 カードパックを買って中のカードを使う 」「 ピンク色のマナ 」「 カードをビリビリに破る 」「 指をトークンにする 」といったハチャメチャな能力・処理の所謂 ジョークカード を詰め込んだセットだからである。
そのせいもあってか、ルールに厳密に従うと無意味な能力を持つカードもある。トランプル付きの火力とか。
とはいえ、メカニズムの一部は(カードテキストの微修正を経て)黒枠に導入されており、実は黒枠新規メカニズムの導入試験という側面もある。
上のトランプル付き火力も、ルールに沿ったテキストで黒枠に導入されている。

  • リマスター
入手困難な過去ブロックからセレクションしたカードを1つのセットにまとめたもの。現状MOとアリーナにしか存在しない。アリーナにおいては疑似的なパイオニア環境再現のためという側面もある。
時のらせんリマスターのみテーブルトップ版も発売される予定。

【現在のスタンダード】

スタンダードは、 現年度(アメリカ企業発とあって年度初めは10月から)とその前年度のエキスパンション及び基本セットに収録されたカードのみが使用できるフォーマット 。MtGの基軸を成すフォーマットであり、大会も多く開催されている。セット数で言えば最新5~8セットが使用可能

セットの発売時期は1、4、7、10月(4末だったり5初だったりのような多少の前後が有るが)の年4回、うち7月は基本セットと決まっている、そして10月のエキスパンション発売とともに前々年度発売の4セットが使用不能になり(所謂スタン落ち 詳しくは後述)、スタンダードプールは最新5セットに狭まる。

これがMtGにおけるローテーションであり、他の採用TCGはデジタルを含めても有名どころはポケカシャドバ程度という、あまり採用されていないシステムである*9
そして1月、4月、7月とセットが発売されると使用可能セットも6、7、8と増え、10月に再度ローテーション。これを繰り返している。

以下に実例として、ここ最近のローテーションを示す。

  • 2019年度使用可能セット
イクサラン(前編)
イクサランの相克(後編)
ドミナリア(前編 ただし後編のSalad(仮コードネーム)は基本セット2019との置き換わりで開発中止)
基本セット2019
ラヴニカのギルド
ラヴニカの献身
灯争大戦
基本セット2020
  • 2019年10月ローテーション
イクサラン(前編)←ローテーション落ち
イクサランの相克(後編)←ローテーション落ち
ドミナリア←ローテーション落ち
基本セット2019←ローテーション落ち
ラヴニカのギルド
ラヴニカの献身
灯争大戦
基本セット2020
エルドレインの王権←NEW!!
  • 2020年度使用可能セット
ラヴニカのギルド
ラヴニカの献身
灯争大戦
基本セット2020
エルドレインの王権
テ―ロス還魂記
イコリア:巨獣の棲処
基本セット2021
  • 2020年10月ローテーション
ラヴニカのギルド←ローテーション落ち
ラヴニカの献身←ローテーション落ち
灯争大戦←ローテーション落ち
基本セット2020←ローテーション落ち
エルドレインの王権
テ―ロス還魂記
イコリア:巨獣の棲処
基本セット2021
ゼンディカーの夜明け←NEW!!



このローテーションにより最新5セットに再録されなかったカードがスタンダードの公式大会で使用できなくなることを俗に「スタン落ち」(もしくは単に「落ちる」)と言う。

ローテーションの無いTCGと比較され批判される事もあるが、それらのTCGも公式大会の場ではメタゲームの変遷に従い3年も4年もキーカードが同じデッキを使い続けることは殆ど無いので、内情に大差は無いに等しい。
またこれがスタンダード環境のインフレのある程度の抑制、つまりパワーのレベル・バランスの安定性を維持している面もある。
そしてWotC社にとっては新しいカードを買わざるをえない状況を作り出せ、懐が温まる。
とはいえ、初心者が参入障壁を高く感じる一因になっている事も否めないが……。

ちなみに使用可能カードに関しては「どのセットに収録された物であれ、名前が一致しているのなら、そのフォーマットが禁止しない限り使用可能」となっており、態々全カードをローテーションに合わせ更新する必要はない。

例えば2021年10月頃のローテーションまでスタンダードで使用可能なエキスパンションの「イコリア:巨獣の棲処」に収録されている《平和な心/Pacifism》。
これは2020年10月現在のスタンダードでは旧枠*10である「ミラージュ」収録のでも、新枠*11である「基本セット2010」収録のでも、M15枠*12である「基本セット2020」収録のでも、もちろん「イコリア:巨獣の棲処」収録のでも使用可能。
そのため『昔から持っているから』とスタンダードでも旧枠カードを使用したり、逆にとにかく最新版のカードで揃える等といった、自己表現の手段にもなる。

特に基本土地は各セット毎に3種類以上入っている事からイラストの種類も多く、そのどれかに統一したりだとか、次元ごとに統一したりとか、一部で限定販売されたレア基本土地*13を使う人も多い。

もちろんスタンダード以外のフォーマットでもこのルールは遵守されているため、「全て旧枠のモダンデッキ」「全て新枠orM15枠のレガシーデッキ」なんてのもその気になれば組める。
カードの言語もこの「どのセットに~」の範疇であり、日本語版と英語版を混ぜて使っても、極論59枚日本語の中に1枚だけフランス語版をさしても問題ない。一部のカードは日本語名があっても英語名しか覚えられてない奴も居る。

流石に日本では日英以外の言語のカードを使うと相手に嫌がられる可能性が高いので、混ぜるとしても英語版までにしておいた方が安全。日本国外の大会に出ようと思っている人は英語版統一が理想。
『どーしても日本語版と英語版だけじゃ揃わない!』という場合、日本語版のオラクル*14を書いた紙を用意し、『これはこういうカードです』と、出したカードに重ねて使う方が安全。

先述したようにMtGの基軸に据えられているフォーマットとあって、カードプールの狭さに由来する必要予算の低さとはじめに覚えるべきカードの少なさから初心者にも勧めやすく、公式プッシュもアツい。
ただし大会が多いぶん公式イベントは腕利きのプレイヤーが多く集う魔境となっており、その点を嫌うプレイヤーにはあまりオススメされない。
また、2020年10月頃までの直近1年で禁止カードが頻出し、環境解析も高速化、まら強烈なビートダウン志向からかカードプールが大味気味である事もあり、風当たりが非常に強い。

【スタンダードの先】

スタンダードでは先述したローテーションにより、MtGに入るきっかけとなったようなお気に入りカードのスタン落ちはよくあることである。
そういったカードを使い続けたい人向けに、スタンダードと別にローテーションの無いフォーマット、所謂下環境が存在する。
以下には代表的なものを挙げる。

公式サポート中フォーマット


  • パイオニア
ラヴニカへの回帰以降のエキスパンションと基本セットに収録されたカードが使用可能。後記のフロンティアより約2年分、使える範囲が広い。
「スタンダードとエターナルの中間であったモダンが、セットの増加に伴って使用可能セットがエターナルに寄りすぎ、その役割を担いきれなくなってきた」という状況を受け、モダンとスタンダードの中間として公式に制定されたフォーマット。
禁止カードについては制定された2019年の間、調整の意味も兼ねて毎週更新されていた。
その後2020年から本格始動。2月のプレイヤーズツアー(旧プロツアー)やグランプリからは公式大会でも採用されている。

  • モダン
カード枠のデザインが所謂旧枠から新枠へ変わった第8版/ミラディン以降のエキスパンションと基本セット、モダンホライゾンに収録されたカードが使用可能。
禁止カードの選定基準は安定3ターンキルが出来るか否か。
再販が少なくかつ4積みされやすいカードともなれば余裕で1枚1万を超えるが、エターナルと比べればそれでも遥かに安上がりであり、上述のパイオニアの歴史が浅い事もあってか、フォーマット毎のプレイヤー人数は多い方。

  • レガシー
一部の禁止カードと使用不可カード以外、MtGのカードとして印刷された全てのカードが使用可能。
他タイトルで言えば遊戯王OCGの大会ルールが近い。
禁止カードの選定基準は安定2ターンキルが出来るか否か。
ここまでくると再録禁止カード*15の多用からデッキが札束化し、盗まれようものならほぼ社会問題になる。そんなフォーマット類、所謂エターナルの入り口の一つであるレガシーを超えるのが……。

  • ヴィンテージ
1デッキ1枚の制限カードはあっても、カードパワーを理由にした禁止カードが《夢の巣のルールス》しか存在せず、その他はMtGであることを放棄しているようなヘンテコカードと使用不可カード以外の全てが使用可能な真の魔境。使用可能カードの種類数も公式フォーマットで一番。
デッキが 同じ厚さの1万円札より高い 、具体的に言うと安物のデッキですら「60枚中必須級の9枚(所謂パワー9)だけで約150万。+残り51枚も1枚3万程度の取引」=デッキ一つで小型車が買えるレベルというのは当たり前。
もしカードの盗難等があった場合大問題に発展するため、大会には当然の如く警備員が配置される。
ただプレイヤーにとっては「新規参入があまりにも少なすぎる」という理由もあり、自分が見ている所であれば沼へのご招待とばかりに気軽にデッキを貸してくれたりする人も多い。

おかげで デッキ一つで時価数千万円・顔見知りによるデッキ強盗殺人 が発生、などの事例もある。
ここまで来るとプレイヤーも壊れており「一度組めればレガシーより長く使えるから逆に安い」「仮にP9買っても売ればそれ以上の値段で帰ってくるから資産に計上できる」とか言い出す始末。もはや億万長者が資産目当てで購入する芸術品であり、『遊べる株券』と揶揄されるのもむべなるかな。
その性質上、Tier1デッキの複数所持は難しく、「Aさんはエルドラ、Bさんはオース、Cさんはサルベイジャー」と、名前だけでデッキがバレるのもほぼ当たり前。


なお、レガシーとヴィンテージはこれまで時折言われていた「エターナル」に分類され、最新収録セットによる使用禁止指定が無い*16
この分類方法は2011年以前に「スタンダード&エクステンデッド*17&ブロック構築*18」と「レガシー&ヴィンテージ」で強さの指標となる「レーティング」が別部門集計だった名残(当時はパイオニアどころかモダンすら未制定)。
そこから転じて、最新収録セットによる使用禁止指定が無いフォーマットを『エターナル』、そのカードプールを『エターナルプール』と呼称する事もある。
現実での参戦が厳しいぶん、Magic Online上では非常に人気の高いフォーマット。

  • ヒストリック
MtG Arena限定フォーマット。
MtGアリーナでリリースされているすべてのカードが使えるフォーマットだが、2021年2月現在は概ねカラデシュ以降+α*19が使用できる。
現状はパイオニアとスタンダードの中間のようで少し違うカードプールが楽しめるフォーマットになっているが、このフォーマットはアリーナで実装されているカードが全て使える都合、 過去のカードも未来のカードも増えていく 特殊なフォーマットになっている。
当面はパイオニアリーガルのカードを全て含む予定でカードプールを拡充するとのこと。

禁止されていない、コモンで収録されたことのあるカード全てが使用可能。
たかがコモンと侮るなかれ、MtGの長い歴史上、コモンでもパワフルなカードはかなり存在し、実際にそのゲーム速度はレガシーに匹敵する。
安上りで熱い勝負ができるとあってMtG初心者でも参入しやすく、変わった勝負がしたい通な上級者にもおすすめ。他では全然目立たないあんなカードが、意外な活躍をすることもしばしば。で、ごく一部はコモンの癖に高騰した。
以前はMagic Online限定フォーマットだったが、テーブルトップでプレイする人も多かったため、共通フォーマット化した。詳しくは該当項目参照。

  • 職工
MtG Arena限定フォーマット。
スタンダード(ヒストリック職工ならヒストリック)の範囲でアンコモンとコモンのカードのみが使用可能。
こちらはカードプールがスタンダード(orヒストリック)に制限されている上、アンコモン以下でもスタンダード同様のデッキが組めるカード*20は追加で禁止されるため、ゲーム速度は控えめ。
Arenaではアンコモン以下のワイルドカードが充分な量手に入る仕様になっているので、こちらもデッキを組むための予算は低い。
テーブルトップやパイオニア以下のカードプールでは公式にサポートされていないが、Pauper以上構築以下のフォーマットとして仲間内で楽しんでみるのも一興だろう。

多人数戦として最もメジャーで、公式でもよくフィーチャーされる、要はMtG版バトルロイヤル。日本国外では欧米圏を中心に通常構築を差し置いて人気。
公式なのか非公式なのか線引が難しいが、扱いは一応「ガチ大会では扱わないが公認大会としては開催可能*21」というカジュアル変種フォーマット。
ルールは非常に独特なので、該当項目参照。禁止カードはレガシーに近い、統率者戦特有のリストを使っている。
更なる変種フォーマットも最初から1vs1の「デュエルコマンダー」、3マナ以下のカードのみで組む&メインデッキ50枚の「タイニー・リーダーズ」、スタンダードプール&デッキ60枚の「ブロール」、等々多種多様。

  • 双頭巨人戦
2vs2のチーム戦。
手札やクリーチャー(頭)は共有しない(2つある)がライフ(体)は共有(1つ)。故に双頭巨人。カードの対象に味方を取ってフォローするプレイも可能。
デッキも「1種のカードはチームのどちらか片方しか使えない」ため、いかに色を被らせる事なく役割を分担出来るかがキーポイント。

  • 3人チーム戦
こちらはAはA、BはB、CはCと1v1を3人で分担し、2勝した方がチームとして勝ちというタイプ。国別対抗戦のワールドマジックカップで毎年使われていた。
3人が同一フォーマットのパターンと、スタンダード+モダン+レガシーの2パターンが有る。
3人が同一フォーマットの場合、1つのカードは1つのデッキにしか入れられないというルールのため、チームスタンダードやチームモダンではどのデッキにどれを入れるのかが非常に悩ましい。スタンダードではデッキの選択肢自体が少なく、またその選択肢内で同じカードが使われている事が多いため。モダンでは多色デッキが多いのでフェッチランドの配分が重要に。

  • モミール・ベーシック
「Momir Vig, Simic Visionary Avatar」を用いて行う特殊なフォーマット。
「Momir」は1ターンに一度、任意のマナと手札一枚をコストに支払ったマナと同等のマナ・コスト*22を持つランダムなクリーチャーのトークンを生み出すことが出来る。

デッキに入れられるのは基本土地のみで、「Momir」の能力を起動することで生み出されるクリーチャー達を使って相手を倒す……という、一見するとかなり地味なフォーマットに思えるかもしれない。
しかしMomirによって生み出されるクリーチャーは古今東西、これまでのMtGで生まれたあらゆるクリーチャーからランダムに選ばれるため、
ヤバすぎるデメリットを持つクソクリーチャーを引き当てて悶絶することもあれば、逆に普通なら見向きもされないクソクリーチャーが大化けしたりと、このフォーマットにしかない中毒性を秘めている。

特に「7マナで起動して《触れられざる者フェイジ》を引き当て即死*23」というのはあるある過ぎるネタ。
あと「一生1/2から成長しない《タルモゴイフ》」なんてのも*24
ストレージからクリーチャーをかき集めてコスト毎に分別すればテーブルトップでも一応可能だが、完璧なプレイにはやはりMOでのプレイが望ましい。


リミテッド部門(両者公式フォーマット)。

  • シールド
基本は6パックをその場で剥き、40枚以上のデッキを作る。
基本土地*25に関しては何枚でも外から入れられる上、通常構築にある4枚制限が適用されない。
最も運要素が強く、通常6枚の(神話)レア枠から何枚「出たら勝ち」と言えてかつ使える色のカードを引くかの勝負と言っても過言ではない。
レア枠から《機知の戦い/Battle of Wits》とか《無限への突入/Enter the Infinity》とか、Foil枠*26から基本土地が出たら泣くしか無い。筆者はどれも喰らったことがある。
全員同じカードプールで構築するデュプリケイテッド・シールドや、12パック剥いて40枚以上で構築するスーパー・シールド等、こちらも変種が豊富。

  • ブースター・ドラフト
「剥いたパックから1枚取る→取らなかったカードを隣の人に渡す→以降渡されたカードの束から1枚取って隣に回す」を3パック分、計45枚をピックし、それと基本土地で40枚以上のデッキを作る。カードプールの作り方以外、ルールはシールドと同様。
自分が取らなかったカード、人から回ってきたカード内容から他の人のカードカラーを予測できるため、戦う前から戦略が渦巻き、プロ曰く「一番MtG力が問われる」との事。
シールドより多いパック数*27から自分が必要としやすいカードを選べるため、同じパックでのシールドよりデッキのパワーが高くなりやすい。
基本的には卓内で協調して全員のデッキを強くしようとするのだが、どこで裏切って人にカードを使わせないかという点まで勝負内容。

ちなみに大会出禁世界王者渡辺裕也は「45枚全カードのピック順とピック方針、何枚目で何と何の2択で迷ったか」をすべて記憶しているとか。
変形版に本来やらない組み合わせでブースター・ドラフトするカオス・ドラフトが、殆どのグランプリのサブイベントとして定着。
また非公式フォーマットながら世界選手権でも使われた「一定のカードプールから15枚を引き抜き、それをパックの代わりとして使う」キューブ・ドラフトもメジャー。
特にキューブ・ドラフトはMOにて、年末恒例「パワー9と十手と神が飛び交う」お祭りイベントであるホリデー・キューブが開催される。

非公式フォーマット

  • カジュアル
お互いの承諾の元でなら何でも使用可能。
ローテーションに一切影響されないのとスタンダードの信用が揺らいでいる故、初心者がMtGに入るならスタンダードよりもこちらの方が良いと主張する人も近年増えつつある。
当然の事ながら公式フォーマットではなく、また行き過ぎると0キル1キル上等となりかねず、その線引きでもこれまた揉めやすい。

基本的に禁止・制限カードはヴィンテージやレガシーに準拠するが、これすら取り払ったパターンは TYPE0 と呼ばれる*28
コンスピラシーの策略カードまで組み込んだTYPE0デッキともなれば、 先攻取った人の勝ち レベルのスペックを有しうる。使うのであれば、枚数制限すべきだろう。

非公式フォーマットの中では(カジュアルを除けば)最もメジャー。
簡単に言えば「ぼくのかんがえたさいきょうスタンダード」の範囲でデッキを組んで対戦する。
昔のスタンダードで輝いたカードを活躍させやすいという層を中心に人気。
地味に公式でも似たルールが採用された事がある。詳しくは該当項目参照。

  • フロンティア
MtG界隈の大手カードショップ「晴れる屋」と「BIG MAGIC」が共同提案し、パイオニア制定までその立ち位置にあったフォーマット。
モダンに倣い、カード枠が再び変更された基本セット2015以降のエキスパンションと基本セットが使用可能。
2021年2月時点で禁止カード、制限カードが存在せず、金玉《宝船の巡航/Treasure Cruise》と《時を越えた探索/Dig Through Time》とイニ影の墓地落としが併用出来る事も含め、結構えげつないデッキが使用可能。
《血染めの月/Blood Moon》が無い上に友好色フェッチランドが使える事もあり、3~4色デッキを遠慮なく、事故もそう気にせず使えるのも魅力。
前述したようにパイオニア制定を受け、2019年10月を以て大会開催は終了した。

  • オールドスクール
リミテッド・エディションアルファ、同ベータ、アラビアンナイト、アンティキティー、レジェンド、ザ・ダーク で英語版として印刷されたカードのみ使用可能 という鬼畜縛りフォーマット。
これではあまりにも参入しづらいとして、ほとんどは使用可能セットにアンリミテッドやフォールン・エンパイアを加えたり、他言語版やコレクターズ・エディションを容認している。
現在は「再販でも良いけど絵は最古のセットの絵でかつ旧枠のやつ(例外2枚あり)」なら使用可能というルール(CFBルール)が主流の模様。

禁止・制限カードは主催者にもよるが黎明期のヴィンテージのそれに近く、アンティ関連のカードや《Chaos Orb》などのMtGである事を放棄しているカードが使えてしまうことも。
原形ルールはプレイする以前の問題にカードを揃えられないという完全な神々の遊びだが、CFBルールならデッキを選べば現実的な金額で参戦できる。
なおゲーム自体は意外にもスローペースで進む。コンボパーツがほとんどなく、クリーチャーの質もそこまで高くないことが主因。

  • 旧枠モダン
旧枠時代初出かつモダンリーガルのカードのみ使用可能 なフォーマット。ぱっと見レガシーかヴィンテージなのに実はモダンという不思議な感覚が味わえる。
何気ないコモンが再録されてモダンリーガルになるだけで激震が走る など意外と奥深い?のかもしれない。
日本発祥であり、通常のモダンよりも安く参入できることもあってカルト的な人気を集めつつある。
モダンホライゾンをモダン以上に注視しているだろうフォーマット。

  • Penny Dreadful
Magic Online限定フォーマット。
Magic Onlineにおいて0.02tix(≒2円)以下で手に入るカードのみが使える。
カードプールが目まぐるしく移り変わる*29ため、デッキを組むには専用のサイトを見る必要がある。
カードプールに入ってさえいれば《宝船の巡航/Treasure Cruise》とか《ネクロポーテンス/Necropotence》といったぶっ壊れカードすら使え、更に圧倒的に安い為、じわじわ人気を延ばしている模様。
もともとは0.01tix以下だったのだが、イコリア:巨獣の棲処が追加されたシーズンで、0.01tix以下のカードが5000枚を下回る事から2倍になった、それでも1枚2円。

  • タワーマジック
所謂カジュアルでしか出来ないマジックの原則無視のフォーマットの中では一番メジャーだろう物。
適当に作った数百枚(枚数は適当)、土地抜きのデッキを共有ライブラリーとして、マナはデュエマのように「すべてのカードをその色のマナが出る土地として使える」「多色カードを土地として使う場合はタップイン」というルールでプレイする。
共有ライブラリー故にサーチカードは抜いておいた方が無難。特に「土地を持ってくる」系のカードは何を持ってくるんだという話になる。
ちゃんとバランスを考えてタワーを作ると意外に面白いとか。
余ったカードでタワーを作っても意外性が出て面白いかもしれない。

【基本ルール】


  • 1.デッキ
メイン60枚以上、サイドボード最大15枚を、基本土地以外は最大4枚まで入れて構築する。最初期は4枚制限が無く、メインの下限も40枚であった。
テーブルトップにおいては上限が無いため、メイン240枚なんてタワーデッキで大型大会に出た人も。*30


  • 2.勝敗条件
初期ライフ20点でゲームが始まり、ライフが0以下になるか、ライブラリー(山札)が0枚のところからカードを引こうとする(ライブラリーアウト)、毒カウンターを10個以上置かれるとゲームに敗北する。
もしくは誰かがカードに「勝利する」と書いてある特殊勝利条件を満たすか、「敗北する」と書いてある特殊敗北条件を満たして残りプレイヤーが1人となったときにもゲームが終わる。

  • 3.ゲームの始まり
初期手札は7枚。先攻は1ターン目にはドロー出来ない。
土地ゲーとあってマリガン*31があり、基本セット2020期のルール改正以降は何度目のマリガンでも最初に7枚引き、キープ決定後にマリガン回数と同じ枚数の手札をライブラリーの下に置く、というルールになっている。

なお、この通称『ロンドン・マリガン』までには
最初期:無し
初期:手札がノーランドorフルランドの時のみ可能、相手に公開後7枚引き直し。
パリ・マリガン:任意にマリガン可能。マリガン時の手札公開がなくなり、マリガンするたびに最初に引ける枚数が1枚減る。
バンクーバー・マリガン:マリガン時の手順はパリ同様で、キープ宣言後、手札が初期枚数より少ない*32プレイヤーはライブラリトップを見てそれをトップかボトムに置く*33
という変遷を辿っている。

対する統率者戦は当初、「引いたカードから不要なカードを追放した後、その枚数-1枚を引く。これをキープまで繰り返した後、追放したカードをライブラリーに混ぜてシャッフル」という所謂「部分的パリ・マリガン」が採用されていた。
しかし通常ルールでのロンドン・マリガン採用以降はそれへ「1度目のマリガンをマリガンした回数に計上しない」というフリー・マリガンを付け足したものを採用しており、カルドハイム期現在も採用されている。これは他の多人数戦でも共通。


  • 4.ターンの進行
a.アンタップ・ステップ
b.アップキープ・ステップ
c.ドロー・ステップ
d.第1メイン・フェイズ
e.戦闘フェイズ
f.第2メイン・フェイズ
g.終了ステップ
h.クリンナップ・ステップ
といった流れで進行。
インスタントでない呪文を唱えたり土地をプレイするのはメイン・フェイズ中かつスタックが空の時(ソーサリー・タイミング)にしか行えない。
土地は1ターンに1枚のみ、手札から戦場に出せる。


<用語>(2021年現在)


(ゲーム領域)

  • デッキ
内訳は基本ルールにある通り。2勝(以上)先取のマッチではゲーム間にメインデッキとサイドボードの間でカードの入れ替えを行える*34
入れ替えと書いてあるが、サイドボードから入れるだけ入れてメインから抜かないというのも適正。具体的には「メインが60枚以上、サイドが15枚以下」を満たしていればその中でどう入れ替えてもOK。
ゲーム中はメインデッキの内、所謂山札は「ライブラリー」と呼ばれる。
ストーリー上では「書庫」などと呼ばれ、魔導書を収めた本棚として表現される。

  • 手札
7枚までしか他プレイヤーのターンに持ちこせない*35。もちろんカードの能力で無制限になったり5枚までになったりする。
ストーリー上では「魔導書」などと呼ばれ、プレインズウォーカーが書庫から取り出した魔導書や、持っている知識の量として表現される。
そのためストーリー上での「知識」とは、ゲーム中では基本的に手札のことである。

  • 戦場
所謂フィールド。ルール上は全プレイヤーで1つを共有している。

  • 墓地
文字通り墓地。使用したソーサリーやインスタント、破壊されたパーマネントなどが置かれる。
しかし【ドレッジ】や【リアニメイト】といったここからクリーチャーを呼び戻すのが勝ち手段のデッキにとっては第二の手札まるでデジャヴュだな
ヴィンテージでの【ドレッジ】ともなればあっという間に「ライブラリーの枚数<墓地の枚数」となる。
他には自分のライブラリーをわざと落とし、ライブラリーアウトor残りライブラリーごくわずかという状況から出した(or出ている)パーマネントの能力で特殊勝利するデッキもある。

  • 追放領域
ゲームから追放された(かつてのオラクルでは「取り除かれた」)カードはここに置く。他TCGでは除外やロストゾーンが相当する。
ここから使えたり、ここのカードをゲームに引き戻すカードがほぼ無い、第二の墓地にするのが厳しい再利用の最も困難な領域である。
続唱やブリンクのように「一時的に退避させて、すぐに特定の場所に戻す」というニュアンスでその退避先に一瞬だけ使う場合もある。
近年では赤を中心に呪文や能力で主にライブラリーからカードをここに置き、それを(一定期間の間)プレイしたり唱えたりできるという『衝動的ドロー』を行うことが増えてきている。

  • 統率領域
統率者戦で統率者を置くスペース。
墓地でも手札でも追放領域でもライブラリーでも無いので、専用のスペースが設けられている。
一部のカードにこの統率領域を参照する物がある。
統率者を用いないフォーマットではプレインズウォーカーでの奥義で出る事がある「紋章」の置き場所にしか使用されない。



(カード・タイプ)

  • クリーチャー
プレイヤーが召喚し、手下とする被造物(Creature)。ごく一部を除いてエルフやゴブリン、吸血鬼といった種族を少なくとも1つ持っており、職業と合わせてそれらはゲーム中においてクリーチャー・タイプと呼称される。
一部はストーリー上での重要人物をカード化した 『「伝説の」クリーチャー』 であり、それらは「レジェンド・ルール」により 1種につき1体までしかコントロールできない 代わりに基本的に強力。
某覇者とかヤーグルとかネタにしかならない伝説のクリーチャーもいるのはご愛嬌。

  • 土地
MtGのそうたる所以の一つともされるカード。事故の大体はこれの引きや偏りが極端。1ターンに1枚しか戦場に出せない。基本的に、だが。
プレイヤーはこれからマナを生み出す。自力じゃマナ出せない奴もちらほらあるけど。
伝説の土地もある。

  • ソーサリー
使い切りの呪文その1。
自ターンのメインフェイズ中かつスタックが空の時にのみ使用可能な代わりにマナ効率が良く、派手な効果を持つものも多い。
伝説のソーサリーは長らく概念上の存在だったが、ドミナリアでようやく登場した。
これは伝説のパーマネントをコントロールしていないと唱えられないというものであり、そこは他の伝説のカードと異なる。

  • インスタント
使いきりの呪文その2。
相手ターンや戦闘フェイズ等、割と好きなタイミングでスタックの状態を問わず使用可能な為、取り回しやすい。
その分、ソーサリーに比べて効果が控え目だったり限定的な傾向が強い。
打ち消し等はルール上全てインスタント・呪文であり、その他はパンプなどの堅実な効果が中心。

  • アーティファクト
特殊なアイテムや機械など。所謂置物その1。後述のエンチャントに比べ、自身をタップしたり生け贄に捧げて起動する能力を持つ傾向が強い。
クリーチャーにつける「装備品」や操縦者が居ないと動かない「機体」など、サブタイプも様々。
ゴーレムのようなクリーチャーでもあるカードも、そしてやはり伝説のアーティファクトも存在する。

  • エンチャント
結界などの持続する呪文。所謂置物その2。前述のアーティファクトに比べ、誘発する能力や常に発動する能力を持つ傾向が強い。
他のカードに付ける「オーラ」であるエンチャントもクリーチャーでもあるエンチャントも、くどいようだが伝説のエンチャントもある。

  • 部族
クリーチャーではないカードにクリーチャー・タイプを持たせるためのカード・タイプ。
基本的に併せ持った他のカード・タイプと同じ挙動をする。
例えば「部族ソーサリー・ゴブリン」であればソーサリー・カードとしてもゴブリンとしても扱われ、「墓地からソーサリー・カードを手札に戻す」はもちろん「墓地からゴブリンであるカードを手札に戻す」でも回収可能。
一時期使われたが、WotC社としてはもう使いたくないとのこと。

元々はプレイヤーの事のみを指していた。
ストーリー上では「探求者」や「冒険者」とも呼ばれる、プレインズウォーカーの灯(Planeswalker's Spark)が灯った人。

プレインズウォーカーの中には舞台となった世界(作中では次元)のその時代に居合わせる者もいる。
そういう者は(ごく一部の例外を除いて)プレインズウォーカー・カードとしてゲーム内に収録される。
ただしプレインズウォーカーというカードタイプはローウィンまで無かったため、それ以前では代わりに伝説のクリーチャーとして収録されている。
プレインズウォーカーは当初、レジェンド・ルール以上に厳しい制限*36があったが、イクサラン期のルール改正で他の伝説のパーマネント同様の扱いとなり、それ以前のプレインズウォーカーも伝説のプレインズウォーカーへオラクルが更新された。
要は神ジェイスと神童ジェイスが同時に出ているどころかそれが敵味方それぞれから睨み合う形勢もありえるようになった。


ソーサリーとインスタント以外は戦場にある間、「パーマネント」と総称され、扱われる。
そして土地以外のカードは全て「呪文」である。
他のTCGを知る人はクリーチャーやアーティファクトも呪文である事に違和感を覚えるかもしれないが、呪文を唱えてそれらを生み出す、と解釈すれば合点がいくだろう。
実際、マジック公式サイト内に『マジックの世界では、あなたは魔法使いになり壮大なファンタジー世界の主人公。呪文を駆使して相手と戦います。(原文ママfrom日本公式ウェブサイト・遊び方)』との文章があったり、
最初期のクリーチャー・カードに「○○の召喚/Summon ○○」と表記されている等、上述の「何かを生み出す呪文」という解釈にぴったり合致する。
なお、遊戯王デーモンの召喚はMtGの《奈落の王/Lord of the Pit》とこのフレーバーを元ネタとしたカードである。


<MtGの大原則>


“カードはルールに勝つ”

他の大原則*37は割愛するが、これだけはMtGの面白さを語るにあたって外せない。理由はその他の項に少々。

実際、多くのカードはルールを超越・書き換える能力を有している。それはささいなものから、ゲームを破壊しかねない強大なものまで様々。
例えば

白金の天使
あなたはゲームに敗北することはなく、あなたの対戦相手はゲームに勝利することはない。

…むちゃくちゃでしょ?
でもこいつ自体はアーティファクトでもあるから壊されやすいし、タフネスも4だから死亡しやすい。
だが何らかの方法で破壊不能*38と被覆*39か呪禁*40を持たせるとほぼゲームセット*41
そんなドヤ顔コンボを決めるのもMtGの楽しさの一つだ。

ちなみに逆もおり

深淵の迫害者
あなたはゲームに勝利することはなく、あなたの対戦相手はゲームに敗北することはない。

…こっちもむちゃくちゃだが、本体が4マナ6/6飛行トランプルと中々パワフル*42
これで序盤から相手を攻撃し、相手のライフがマイナスになった所でこれを能動的に処分する、という戦法を取れば十分にエースカードと言える。
相手からしたらこれに殴られながら守らなければいけないという謎の展開になる。

他にも「ソーサリーをインスタント同様に扱う」や、それに対抗した「インスタントもソーサリーを唱えられる時しか唱えられなくする」等、ルールを基本原則から覆すような能力はたくさんある。
あんまり歪めるようだと銀枠でしか出せなかったり公式な使用が完全に禁止されるが。

魅力的な特殊勝利条件
  • 「死闘により死屍累々。はい、勝利!」
  • 「とあるクリーチャーに触られると『お前はもう、死んでいる』
  • 「5色土地と生物がそろえば何でもできる。だから戦は(中略」
  • 「俺たち四つ(同カードです)が全部出たら何でも(以下同文」
  • 「狂人が作った扉を、うすのろが開いてしまう。そしてうすのろはやがて考えるのをやめる」
  • 「世界なんて争いも罪もいっぱい!じゃあみんないなくなればいいじゃない!」
  • 「ライフ1?山札0?残念、俺の勝ちだ。このカードがあるからさ!」
  • 「ギルドも思想も関係ない!争いは辞めてみんな仲良く!~HAPPY END~」
  • 「信心の力で未来はすべて見通した。あなたの未来はもう来ない」

こっちもそそりそうな敗北条件
  • 「ライフロスが嫌?じゃあ山札でいいよ。空になったら負けるけどね!」 (※元祖です)
  • 「インチキはだめよ!ちゃんと手札から召喚してね!」
  • 「ライフ13になったら負けね!何故って?13って忌み名だからね!」
  • 「マナ後払いでいいよ!ただし支払わなかったら死ぬけどね!」
  • 「三つ願いを叶えてやろう。ただし四つ目でお前の命を頂く」
  • 「Time is money.追加ターンはそれだけ価値のあるものだ。そのターンで勝てよ?」


自分も相手もそんなカードを使えるなら、静かにゲームが進むわけも無く。
  • 地ならし屋+明日の標= 「ずっと俺のターン!」
  • 通電式キー+Time Vault= 「1ターン目からずっと俺のターンするけどいいかな?」
  • ベルチャー= 「1ターン目だけど50ダメージだぞ、死ね」
  • ストーム= 「1ターン目から2点ドレイン10発だ、死ね」
  • クロノステイシス= 「ゆっくり死んで逝ってね!」(別名「ずっとお前のターン」)
  • 玉虫アルター、MoMa= 「ソリディアで貴様の精神力を蒸発させたる」
  • 感染= 「一撃毒殺」
  • バベル= 「デッキの残り枚数200枚あるから僕の勝ちです」
  • MUD= 「MtGさせない」
  • 双子= 「とりあえずクリーチャー1億体でアタック」
  • Super Crazy Zoo=「対応して《稲妻/Lightning Bolt》打ちます、 自分に
  • the spy= 「自分のデッキ土地入ってないんで全部墓地に落としますね」
  • Doomsday= 「5枚を詰将棋するのが楽しいんだよね」

以上が簡易的なゲーム説明と、特徴が強烈なデッキの解説である。


<各色の特徴>

このカードゲームは土地からマナを生み出して戦う。土地毎に生み出せるマナの色は決まっており、それがデッキの特徴と言える。
以下はそんな各色の特徴と代表的なカードである。



白/White

「平地」からマナを生み出す。
正義や秩序、平和や平等などを司る色である。
5色の中で最もバランスのとれた色であり、白ウィニーのような超短期決戦デッキから、神の怒りなどの全体除去をも駆使する究極のコントロールデッキまで、白なら単色でも組める。

しかし逆に言えば器用貧乏になりがちで、また平等も重んずる色とあって一方的かつ瞬間的に大きくアドバンテージを稼ぐのが苦手。そのため一見するとマナレシオの良いカードも、選べる対象などの条件に阻まれがち。

とはいえトークン生成にライフ回復、エンチャントの破壊、(一時的)追放、そして全体除去は得意であり、クリーチャーも飛行や先制攻撃、二段攻撃(先制攻撃と普通の攻撃で2度ダメージを与えられる)に絆魂(=与えたダメージ分ライフを回復)を持つものが多く、横並べしやすいなど質はまずまず。
クリーチャーは天使や騎士など、神聖さを感じさせるものが多く、人間も多くは白。

代表的なカードはサバンナ・ライオンセラの天使悪斬の天使など。
代表的なPWは正義を守る誇り高き「ギデオン・ジュラ」…は惜しくも死亡しており、現在は「黄金のたてがみのアジャニ」や「エルズペス・ティレル」などの辺り。

理想:秩序統一
人間:騎士・兵士・執政者・クレリック
弱点:行き過ぎた全体主義・教条主義


青/Blue

「島」からマナを生み出す。
精神や知識、水や大気などを司る色である。
様々な呪文を使った駆け引きを得意とし、インスタント以外をインスタント同様のタイミングで唱えられる能力も自前・付与問わず多い。*43

クリーチャーが飛行や瞬速などと引き換えにスタッツ(=マナ・コスト当たりのパワーとタフネス)が控え目な傾向が強い一方、ドローやバウンス、打ち消しはすこぶる豊富。
相手を妨害しつつ相手の妨害を躱す、コントロールに分類される陰気臭くて狡猾テクニカルでトリッキーな戦法に長け、特に打ち消しは他のTCGだと存在しないかできても非常に高コストな傾向にあるため、MtGの華の一つとされる事も。

その打ち消しを筆頭としたインスタント・タイミングでの攻防が生み出す『対話』は濃厚そのものであり、これを求めてMtGを嗜むプレイヤーも少なくない。そんなプレイヤー達曰く、『青は最もMtGらしい色なのです』との事。
そんな青の擁するクリーチャーにはマーフォーク(≒魚人)やフェアリー、スフィンクスなど、水や空と縁の深い生物が多い。

代表的なカードは対抗呪文選択金玉宝船の巡航など。
代表的なPWは若く陰気な、精神操作魔法の天才「ジェイス・ベレレン」。

理想:全知全能
人間:技工士(工匠)・魔導士(ウィザード)
弱点:頭でっかち・スロースターター


黒/Black

「沼」からマナを生み出す。
腐敗や死、悲しみや恐怖などを司る色である。
相手のクリーチャーや手札どころか、プレインズウォーカーまで直接破壊できる事が最大の特徴であり、またスーサイドのように勝利の為なら自分のライフ(命)をも1点まではかすり傷と言わんばかりにコストとし、最終的に勝てれば良いというリスキーで破滅的な色。ただしアーティファクトに触れるのはかなり苦手。

クリーチャーにはゾンビや吸血鬼、デーモン、…他に形容のしようがないホラーなど、おぞましい化け物が多い。
そのクリーチャーはかつてこそパワー>タフネスな奴が多かったが、最近はそれでは赤と丸被りであるとして、パワー<タフネスな奴と半々気味になりつつある。要は両極端。
代表的なカードは消えないこだまファイレクシアの抹殺者ファイレクシアの抹消者など。
代表的なPWは偉大なる吸血鬼「ソリン・マルコフ」…は一時的な退場によりストーリーの本筋から外れてしまったため、現在のメインは若BBAイケメンお姐さん「リリアナ・ヴェス」。

理想:唯我独尊
人間:無頼漢(ならず者)・暗殺者・傭兵・邪術士
弱点:歪んだ力による尻ぬぐいや代償・ボッチ


赤/Red

「山」からマナを生み出す。
炎や怒り、混沌や自由などを司る色である。
攻撃的かつ速攻志向な、炎と雷に長ける色であり、特に火力と俗称される、クリーチャーやプレインズウォーカー、プレイヤーに直接ダメージを与える呪文や能力は黎明期から今も赤に最も多く、性能も断トツ。

しかし刹那的なあまりデッキは体力や持続力に乏しくなりがちで、攻め切れないと息切れしたところをそのまま逆転勝ちされやすい。あとエンチャントに触れるのが苦手。
またできる事がフレーバーの関係で少なく、所謂「衝動的ドロー」「捨ててから引くルーティング*44」の獲得はその開拓に苦心した結果の一つである。

所属するクリーチャーはゴブリンやオーガ、ドラゴンが多く、やはりことごとく攻撃的。
代表的なカードはシヴ山のドラゴン稲妻火炎舌のカヴーなど。
代表的なPWは情熱と激情の紅蓮術士「チャンドラ」。

理想:本願成就
人間:無政府主義者・傭兵・蛮族・戦闘狂
弱点:視野狭窄・刹那主義


緑/Green

「森」からマナを生み出す。
自然や純粋さ、成長や調和などを司る色である。
土地とクリーチャーの展開力に優れており、序盤からさっさとマナ加速し、相手に先んじて高P/Tクリーチャーをどんどん叩きつけ、
その圧倒的な力で全てをねじ伏せるのはお手の物。

マナ加速をせずともクリーチャーのP/Tが他の色の同マナ・コスト帯のそれと比べどちらも1以上高い事が珍しくなく、能力にしてもトランプルでの余剰ダメージ割り振り、警戒でのタップしない攻撃など、戦闘向きなものが多い。
また、自然の色とあって人工物たるアーティファクトの破壊に長ける他、クリーチャーを介せば大体の事(格闘、パワー依存の火力、最大パワー分のコスト軽減、ドロー、等々)をこなせ、対飛行カードも到達(飛行を持つクリーチャーの攻撃をブロックできる)を持つクリーチャーを中心に多数。

しかしクリーチャーを介さない事、特に相手のクリーチャーやプレインズウォーカーに直接触れる事は不得手で、飛行持ちも5色のうちで最少。
また、デッキも一枚々々に強く依存する所謂グッドスタッフになりがちで、どうにか高マナフィニッシャーを唱えたのに打ち消されたり、出せても攻撃前に除去を食らってそのまま敗北する事もよくある。

代表的なカードは甲鱗のワーム様、ラノワールのエルフ極楽鳥など。
代表的なPWは自然を崇拝する筋肉ダルマ「ガラク」…はこれまた一時的な闇堕ち退場を経て代表格から一歩引いているため、現在はビビアン・リード、次いでニッサ・レヴェインが代表格。

理想:現状維持
人間:修行僧・ドルイド・狩人
弱点:世間知らず・生命最優先(敵までも)


無色

アーティファクトの大部分。もしくはエルドラージ一族や一部のファイレクシア、そしてウギン関連のカード。
あらゆる色で使えるし色事故の心配もない代わりにカードパワーは抑え気味。だってそうでないとぶっ壊れまっしぐらだし……

またアーティファクトの大部分といっても各色の関係はまちまち。
利用:黒(利用できるものは何でも)・青(技術の結晶)
破壊:緑(自然の大敵)
両方:白(時に秩序の敵時に味方)・赤(壊すのも作るのも大好き)

代表的なカードはマスティコア引き裂かれし永劫、エムラクール頭蓋骨絞めなど。
代表的なPWはウルザが作った銀のゴーレム「カーン」。



各色は相互に「友好色」か「対抗色」の関係にあり、その並び順はカラーパイ(カラーホイールとも)において白青黒赤緑*45となっている。その中でとある色から見て隣り合う2色が友好色、向かい合う2色が対抗色である。

傾向として、かつて友好色は複数の色のマナを出せる土地や多色カード等のサポートが充実しており、逆に対抗色はその色を妨害したり、土地渡りやプロテクション等の有利に戦える能力を持つクリーチャーが多かった。
しかし現在は基本的に色数毎のその組み合わせに差を設けずデザインする方針であり*46、これにはデッキ構築の自由度を広げる意味合いもある。リミテッドで対抗色が濃いと割り合い悲惨だったし

とはいえその方針となって以降も、かつてアポカリプスであえて対抗色を強調したり、ラヴニカで友好も対抗も対等に重視したり、あるいはアラーラやタルキールで3色の組み合わせを推奨したように、特定の色数または組み合わせを推奨するセットを発売・存在している*47
現在、2色の組み合わせについてはラヴニカ次元のギルド、ある色とその色の友好色の3色(弧)についてはアラーラの各次元、ある色とその色の対抗色の3色(楔)はタルキール次元の氏族の各名称で呼ばれることが多い。以下はその内訳である。

  • 友好色(共通志向)→白青=アゾリウス(支配)、青黒=ディミーア(狡猾)、黒赤=ラグドス(加虐性)、赤緑=グルール(衝動性)、緑白=メロンセレズニア(共同体)
  • 対抗色→白黒=オルゾフ、青赤=イゼット、黒緑=ゴルガリ、赤白=ボロス、緑青=シミック
  • 弧→白青黒=エスパー、青黒赤=グリクシス、黒赤緑=スイカジャンド、赤緑白=ナヤ、緑白青=バント
  • 楔→白青赤=トリコロールジェスカイ、青黒緑=スゥルタイ、黒赤白=マルドゥ、赤緑青=ティムール、緑白黒=アブザン

例えば《秘密を掘り下げるもの/Delver of Secrets》をメインとしたレガシーの青黒赤3色デッキなら【グリクシスデルバー】、といった形。
4色デッキには特に名称は無く*48、【4cデルバー】など色数で呼ばれたり、オリジナルの名称がつけられることが多い。

フレーバーテキスト

一部のカードの一番下には、コメントのようなテキストが記載されている。それがフレーバーテキスト(FT)である。
ゲームには影響しないもののマジックの世界をより深く知る事ができ、内容はカードの能力に関係する事から、古典文学、歴史考察、皮肉など様々。

例えばアーティファクト1つか土地1つを破壊する呪文である《破砕》なら「計画には数日。建設には数週。完成には数ヶ月。  破壊には数秒。」(ミラディン再録時)など。

FTにはその他、ストーリーの断片だったりとしてちゃんとマジックに関係しているものや、キャリアーサイクルのように一まとまりが複数枚にまたがるものもある。
「君がいたあらゆる場所*49」などの非常にポエミーな物もある。
その中でも《Now I Know My ABC's》の「The quick onyx goblin jumps over the lazy dwarf」とその非公式日本語訳「歴戦経る素早い黒小鬼、怠けドワアフ達をひらり。裃の鵺、棟誉めて夜露誘う」は両者ともにすべての文字(英語版はA-Z、日本語版はあ-ん)を使い切ったものであり、日本語版はマジックに関係ない書籍でも紹介された事がある。
ストーリーに関わるが、プレインズウォーカーには原則としてFTが書かれない。
というのも能力の関係でどうしてもカードテキストが圧迫されて書くスペースが無いという単純な理由だけど。文章欄の余白を埋めるために生まれたのがフレーバーテキストなのだから当然と言えば当然だが。

【ビデオゲーム】

紙媒体として誕生したゲームであるMtGだが、これまでに何度かビデオゲーム化している。
その内2021年2月現在も継続的にアップデート、サポートが続けられているのは「Magic Online(MO)」と「MTGアリーナ(MtGA)」の二つ。
MtGAの登場以降、それまで「アナログ」と呼ばれていた実物でのゲームは「テーブルトップ」が正式名称となった。

MO は2002年からサービスが開始され、MtGに存在するほぼすべてのカードを網羅している老舗オンラインDCG。
基本無料ではあるが無料で出来ることがほぼ無く、 実物を使わない事しかテーブルトップと違わない と言っても良い環境。
大会参加費も徴収されるしパック買うのも有料。
しかし大会で上位に入賞するとパックを貰え、そのパックを大会参加費に当てる事も可能なため、理論上は初期投資以外の課金をせずにプレイし続ける事が出来る。

ただし2002年に誕生したという事もあってUI周りはかなり古臭く、また後発DCGのような派手な演出が無い質素そのものの仕上がりなため、プレイヤーの間では『MOはMtGのビデオゲームではなくシミュレーター』と評されがち。
それでも公認大会が頻繁に開催されており、MOから始めて現実の大会で優勝するにまで至ったプレイヤーもいるなど、未だに人気のあるタイトルである。
またMtGAの対応フォーマットがまだ少なく、カードプールも狭い事から、MtGAに無いそれを求めてMOを嗜むプレイヤーも少なくない。

ちなみに1セットに収録されているカードを基本土地含め全て揃えると、テーブルトップ版のカードに交換してくれるサービスもある。あくまでも交換なので、これを頼むとMO側からカードが消滅する上、英語版のカードにしか交換出来ない。全てをFoilで揃えていると、交換後のカードも全Foilで来るんだとか。
また交換には期限があるので、ミラディンの傷跡を2021年に全部揃えた所で交換は不能。

MtGA は近年のDCGに合わせる形で作られており、収録されているカードの範囲は2021年2月時点でもパイオニアより狭いながら、神話レア(+一部のレア)の登場や能力にエフェクトが付いたり、ターンの進行をある程度自動化できたりなど、シミュレーターと揶揄されるMOに比べて相当グラフィカルであり、また遊びやすい。
しかし無課金プレイの容易なDCGの避けられぬ性かはたまた手軽にできるばかりに短時間で遊びたいという需要からか、MtGのトーナメントシーンで基本となるサイドボード有・2勝先取のマッチ戦(BO3)よりも、一般的なDCGで主流の1本勝負なメイン戦(BO1)がMtGAでも主流になっており、メイン戦で強いデッキが幅を利かせるという差異もあったりする。もちろんBO3もフルサポートされているが、サイドボーディングの奥深さを味わえないBO1に押され気味なのはもったいないとの声も一部からは聞こえる。
MtGAを使った大規模な大会も行われており、MOと並行して展開されている。
言語周りのバグが日本語に多かったり、連続長時間プレイでエラー終了しやすかったり、何かとこれからが気になる、MtGAの明日は如何に。

また世界観が凝っていることもあり、カードゲームが原作なのにカードゲームでないゲームもいくつか存在する。
例を挙げると、戦略アクションゲームである「マジック:ザ・ギャザリング バトルグラウンド」やパズルゲームである「Magic: Puzzle Quest」など。
一応マナを使って呪文を唱えるなど、本家mtgの要素も反映されてはいる。

【メディア展開】

コロコロコミック連載の漫画『デュエル・マスターズ』は当初、このMtGを題材とした漫画 だった 事は有名。
またほぼ同時期にはホビージャパンで『デュエルファイター刃』が連載されており、MtG漫画と言われて上記2作を思い浮かべるプレイヤーは少なくないはず。
現在は少年エースで1990年代後期の日本が舞台のMtGラブコメ漫画『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』が、コロコロアニキで2018年秋号から「もしデュエマがMtGを題材とし続けたままだったら」というifを描いたギャグ漫画『切札勝舞はマジック・ザ・ギャザリングを使いつづける』が連載されている。

カードバトルではなく世界観を描いた漫画やアメコミも存在。
日本では「電撃!ピカチュウ」で知られる小野敏洋先生が手掛けた「MAGIC URZA & MISHRA」や萌えチャンで有名な「燃え尽きぬ炎」などが知られている。

また、アニメシリーズがNetfilxで配信予定。製作総指揮はアベンジャーズシリーズでおなじみのルッソ兄弟が手掛ける。
こちらもカードバトルではなくmtg世界がテーマとなるようだ。

【その他】

MtGはリチャード・ガーフィールドらがボードゲーム『コズミック・エンカウンター』に影響を受けて開発したものであり、そのゲームの「ルールを超越する特殊能力」、「拡張セットによるルールや特殊能力の拡張」などをトレーディングカードに掛け合わせるような形でデザインされている。

また、カード自体も元々は同社のTRPG『DECKMASTER』の、ゲーム中の処理のダイスに代わる解決手段となるサプライであり、裏面の『DECKMASTER』はその名残である。
その方向から見れば、MtGは簡易的なTRPGと言えるだろう。

先述したようにプレイヤーは比較的社会人が多い為、初心者の質問にも快く答えてくれる事が多い。
その年齢層の高さもかえって参入障壁を一層高くしていたりするのだが。

世界にはカリスマ・プレイヤーやプロギャザリングプレイヤーも存在し
カリスマ過ぎてスライシュナイダーポックス、ヤソコンの様にプレイヤーの名前を冠するデッキ(タイプ)もある。
更にポイント制の「プロツアー」制度があり、ランクを上げていくと大会に出るだけでギャラがもらえるため、上り詰められれば専業で飯を食える世界である。

プロの中には日本人もおり、
黒が好きすぎて、(周囲から勝手に)組長として称された 藤田憲一
プレイヤー初の禁止カードにされてしまったあずにゃん大好き 渡辺雄也 や、
クリーチャー嫌いの悪魔のデッキビルダー 八十岡翔太 など、個性豊かすぎるメンツが大勢いる。
以前は日本人詐欺(公式コラムに「国籍が不明になりつつある」とまで書かれた)、現在は引退詐欺でプロツアートップ8に入ってた殿堂入り詐欺師 中村修平 なんかも(主に日本国外で)有名。

また、スクウェア・エニックスのアーケードカードゲーム『LORD of VERMILIONⅡ』には10体のクリーチャーが(イラストはそのままに)参戦しており、3D化したクリーチャー達がボイス入りで『対抗呪文』、『踏み荒らし』、『残酷な根本原理』等を使用するのはファン必見である。
なお、PWが元のカードは名前の「プレインズウォーカー」が省かれており、例えば元イラストが『プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス』のものでも、カード名は単に『ニコル・ボーラス』となっている。

そして四半世紀超えの歴史を有するだけあってMtG側でのコラボも少なくなく、銀枠ではD&D((2021年発売予定の黒枠セットでもコラボを予定しており、ゼンディカーの夜明け初出のメカニズム『パーティー』はその一環として登場している。))やトランスフォーマー、マイリトルポニーなど、黒枠でもあの怪獣王(達)とコラボしている。あとモチーフ程度だがシャークネードやキングコングなどとも

WotC社とタカラトミーが製作したTCG『デュエル・マスターズ』は、そんなMtGを低年齢層(主に小学生)向けに簡略化して製作されたものであり、マナや召喚酔いなど、MtGの用語とギミックを一部取り入れている。WotC社の登録商標であるタップ、アンタップなどの語を用いているのもWotC社が関与しているため。
その経緯からデュエマ側はMtGを 「兄貴分」 としており、ある闇鍋エキスパンションではプレインズウォーカーなど一部のMtGのカードがデュエマに参戦した。
逆にデュエマ側のギミックがMtGに導入されることもあり、 デュエマのぶっ飛び要素だったサイキック(両面カード)やGリンク(合体カード)の採用決定 に度肝を抜いたプレイヤーも少なくないはず(Gリンクは実際にはMtGのジョークエキスパンションが一番の発端なんだけどね)。


追記、修正、ドロー!

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