登録日:2012/07/21 (土) 10:26:11
更新日:2024/04/20 Sat 12:22:08
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1993年12月26日に中山競馬場で行われた第38回有馬記念はトウカイテイオーが勝ったレースである。
【馬柱】
1993年中山5回8日9R 第38回有馬記念 中山芝右2500m 四歳以上オープン 4歳55kg、5歳57kg、6歳以上56kg(牝馬2kg減) |
枠 番 |
馬 番 |
馬名 |
騎手 |
1 |
1 |
エルカーサリバー |
蛯名正義 |
2 |
2 |
セキテイリュウオー |
田中勝春 |
3 |
3 |
ベガ |
武豊 |
4 |
トウカイテイオー |
田原成貴 |
4 |
5 |
ウィッシュドリーム |
藤田伸二 |
6 |
ライスシャワー |
的場均 |
5 |
7 |
ホワイトストーン |
田面木博公 |
8 |
マチカネタンホイザ |
柴田善臣 |
6 |
9 |
レガシーワールド |
河内洋 |
10 |
エルウェーウィン |
南井克巳 |
7 |
11 |
ウイニングチケット |
柴田政人 |
12 |
ナイスネイチャ |
松永昌博 |
8 |
13 |
ビワハヤヒデ |
岡部幸雄 |
14 |
メジロパーマー |
横山典弘 |
1993年の中央競馬は後の世に名を残す数多の名馬達がG1戦線で活躍していた。
ナリタタイシン・ウイニングチケット・ビワハヤヒデの「BNW対決」と呼ばれたクラシック、ベガの牝馬二冠と三冠目を止めたホクトベガ、メジロマックイーンの天皇賞・春V3を阻んだライスシャワーと宝塚記念を勝ったメジロマックイーン、前年のトウカイテイオーから引き続きジャパンカップの日本勢連覇を達成したレガシーワールド。
短距離・マイルに目を向けると、安田記念を連覇し、ハナ差で秋の天皇賞も射止めたヤマニンゼファー、スプリンターズステークスを優勝した短距離の強者サクラバクシンオー、そして名門・藤沢厩舎に初のG1タイトルをもたらしたアイルランド生まれの女傑シンコウラブリイ……。
そんなシーズンを締めくくるこのレースにも、実に8頭のG1馬が参戦していた。
その中で1番人気になったのは、前走菊花賞を勝ち、未だ3着以下に負けたことのないビワハヤヒデ。
2番人気は前走で21世紀になってからは考えられないほどのメンバーが揃ったジャパンカップを勝った、日本競馬史上初のG1勝利騸馬(去勢馬)レガシーワールド。
3番人気はそのジャパンカップで3着に頑張ったその年のダービー馬ウイニングチケット。
4番人気は
昨年の有馬記念11着以来となるトウカイテイオーだった。
この年のG1戦線を盛り上げた馬たちは揃って好スタートを切った。
まず先頭に立ったのは大方の予想通り昨年の有馬記念馬メジロパーマー。
トウカイテイオーは一旦2番手に上がったもののすぐに好位に控えた。
昨年ほど引き離さないメジロパーマーの2番手集団にビワハヤヒデ、レガシーワールド、ホワイトストーンが続く。
それを見るように
この年の天皇賞・春勝ち馬のライスシャワーやオークス馬ベガが続き、ウイニングチケットは中団に控えた。
レースが動いたのは第3コーナー。ビワハヤヒデが菊花賞のときのように早めに逃げ馬を捕まえに行くと、ウイニングチケットとトウカイテイオーが連れて進出し流れが一気に激化する。
レガシーワールドやライスシャワーも前々に集結し第4コーナーを迎えた。
ここで完全に抜け出したのはビワハヤヒデだった。
レガシーワールドは内々で伸びきれず、ウイニングチケットも中団でもがいている。
菊花賞に続き、ビワハヤヒデが独走態勢に入るかと思われた時、ただ1頭、それを上回る勢いで追いすがる馬がいた。
それは実に一年ぶりの出走だったトウカイテイオーだった。
残り200mくらいからは完全なる一騎打ち。
勢いはトウカイテイオーだった。
逃げるビワハヤヒデを追い、一完歩ごとに差を詰めていき、残り100mで並び、交わしていく。
ビワハヤヒデも再び交わそうと粘るが、その走りはただただトウカイテイオーの走りをより美しく、より感動的に見せるだけであった。
前代未聞のドラマを目にした大観衆は惜しみなくテイオーコールを送った。
1着 トウカイテイオー
2着 ビワハヤヒデ
3着 ナイスネイチャ
4着 マチカネタンホイザ
5着 レガシーワールド
6着 メジロパーマー
7着 セキテイリュウオー
8着 ライスシャワー
9着 ベガ
10着 ウィッシュドリーム
11着 ウイニングチケット
12着 エルカーサリバー
13着 エルウェーウィン
14着 ホワイトストーン
払い戻し
単勝:4番 940円(4番人気)
複勝:4番 470円(8番人気) 13番 140円(1番人気) 12番 450円(7番人気)
枠連:3-8 960円(4番人気) 馬連:4-13 3290円(11番人気)
勝ったトウカイテイオーは364日ぶりの出走だった。364日ぶりの出走でのG1勝ちは勿論史上初。従来のサクラスターオーの6ヶ月ぶりという記録を大きく更新したのだった。
そして、父
シンボリルドルフとの父子2代グランプリ制覇も、史上初のことだった。
鞍上の田原騎手は昨年の有馬記念の時、主戦騎手だった岡部騎手が騎乗停止中だったための代打騎乗だった。
昨年は11着に敗退したが、この年は岡部騎手がビワハヤヒデに騎乗するため、再び騎乗機会が巡ってきたのだった。
そのチャンスを逃さず栄光を手にした田原騎手は涙ながらにトウカイテイオーの健闘を称えた。
負けてなお強しの競馬を見せたビワハヤヒデは、この年の年度代表馬に選ばれる。
そして、翌年の古馬中長距離戦線の主役となっていく。
3着のナイスネイチャは有馬記念3年連続の3着という珍記録を作った。
翌年も有馬記念に出走するが、4年連続の記録は関東の刺客ライスシャワーに阻まれることになる。
ライスシャワーがいなくてもダメだったのは秘密。
その後1996年まで現役に留まり、引退後種牡馬生活を経て牧場で功労馬として生活。レガシーワールドの死もあり2021年現在ではこのレースの参加馬の数少ない生き残り(後はウイニングチケットのみ)となっている。
4着のマチカネタンホイザはその後2年現役生活を続けるも2勝のみで引退し、種牡馬生活の後余生を功労馬として静かに過ごし2013年に他界。
5着のレガシーワールドは本レース後屈腱炎と皮膚病により約1年8か月の休養を強いられ、1995年に復帰するもG1馬の力を取り戻すことなく1996年の宝塚記念を最後に引退。
その後は生まれ故郷のへいはた牧場で功労馬として牧場にいる馬達と穏やかに過ごし、2021年8月18日32歳で息を引き取った。
天皇賞・秋11着、ジャパンカップ6着で「もうダメか」と思われた
オグリキャップの2度目の有馬記念制覇も4番人気。
怪我と長いトンネルの果てに、16cm差で再び勝者に返り咲いたライスシャワーの2度目の天皇賞・春制覇も4番人気。
364日ぶりの挑戦となったレースを見事勝ち取ってみせたこのトウカイテイオーの有馬記念制覇も4番人気。
そして5年後、「怪物」とまで呼ばれながら怪我によって不振に喘ぎ、「あの馬は終わった」とまで冷笑を受けた前年の2歳王者グラスワンダーが1年ぶりの勝利を果たした有馬記念も4番人気。
宝塚記念でそのグラスワンダーに敗れた後、京都大賞典では初めての着外という惨敗を喫した
スペシャルウィークが後方一気を決めて改めてその実力を示した秋の天皇賞も4番人気。
春の天皇賞から連勝で宝塚記念を制した後、徐々に着順を落としていっていたイナリワンが両グランプリ制覇を成し遂げた有馬記念も4番人気。
変態ローテなのにテイエムオペラオーをも破ってG1を4連勝した後、海外G1挑戦を挟んで1年以上勝ち星に恵まれなかった
アグネスデジタルが復活を遂げた安田記念も4番人気。
屈腱炎を発症し長い闘病生活の後復帰し、ついに復活Vを遂げたカネヒキリの2008年ジャパンカップダートも4番人気。
春の天皇賞でG1初制覇を成し遂げた後、故障もあり勝ち星がなく翌年の春の天皇賞で復活Vを遂げたフェノーメノも4番人気。
トウカイテイオーの奇跡から21年ののち、9ヶ月の間勝利から遠ざかっていた三冠牝馬
ジェンティルドンナが初挑戦の中山でGI7勝を成し遂げた有馬記念でも、彼女は4番人気だった。
奇跡の復活には4番人気がよく似合う。
トウカイテイオーから勝負したかた追記修正お願いします。
- ジェンティルドンナも去年の有馬記念4番人気でラストランを飾ってダイワスカーレット以来の牝馬の有馬記念制覇とオペラオー・オルフェ以来、牝馬史上初の主要4馬場(中山・京都・阪神・東京)でのG1制覇まで上り詰めたからなあ。 -- 名無しさん (2015-01-04 15:33:08)
- ここのwikiってほんとに何でもあるよね -- 名無しさん (2021-03-14 02:15:10)
- この時のレース映像は今見てもなんか泣ける -- 名無しさん (2021-04-13 20:16:41)
- オグリもテイオーもなんで勝てたんだ、凄いとしか言えない -- 名無しさん (2021-04-13 20:33:30)
- 27年経っても破られていない中363日での本番直行ローテでの勝利の記録が更新される日は来るのだろうか? -- 名無しさん (2021-04-14 00:31:11)
- 「奇跡の復活には4番人気がよく似合う。」ちょっと名文句すぎ……名文句すぎない? -- 名無しさん (2021-05-21 19:53:09)
- ↑2、一年越しのG1直行ってローテがよっぽどの事情がないと組まれない変態ローテだし、それで勝つってなるといよいよね……果たして競馬というスポーツが存在するうちに再現されるかもわからない -- 名無しさん (2021-06-29 11:49:44)
- ハーツクライがディープに土を付けた2005年有馬もハーツクライは4番人気。有馬の4人は何かが起こる -- 名無しさん (2021-08-22 18:01:57)
- 事実は小説より奇なりというがホント漫画みたいな展開だな -- 名無しさん (2021-10-02 23:48:39)