葛城無門(バキシリーズ)

登録日:2024/04/26 Fri 08:00:15
更新日:2024/05/01 Wed 12:07:15
所要時間:5分ぐらいで読みなさい!





おもしろい。とてつもなくおもしろい。

わくわくしている。

この地球、この世界こそが、巨大な"ゆうえんち"なのだ。

葛城無門はバキシリーズの外伝
夢枕獏:著の外伝小説「ゆうえんち-バキ外伝 -」の主人公。



○人物

作中最高峰の空手団体「神心会」に所属する空手家愚地克巳実兄であり、年齢は4歳上。
克巳と同じくサーカス団「ミズノサーカス」で暮らしていたが幼少期に失踪。
そこからは音信不通であり、弟の克巳でも行方を知らないと言われている。


劇中初登場時(大体17歳頃)は身長182㎝、体重90㎏ほどの堂々とした体躯の持ち主に成長しているが
男前の弟と比べると中性的で女めいた風貌をしているのが特徴で地の文でも度々「美麗の少年」であることが強調されている。
その筋肉は力を入れていない時は十六歳の少女の乳房のごとき弾力
力を込めた時は、岩よりは柔らかいが生ゴムよりは硬いという一つの理想とも言われる形質を持ち、
普段は菩薩像を思わせる滑らかな輪郭だが血流によってパンプアップさせることで
いかにもバキシリーズらしいエッジの入ったボディにも変化する。

またそれこそ立って歩けるようになってすぐの段階で身体操作の非凡な資質を開花させており
格闘技に関しては空手を終わらせた男と称される才を持った弟の克己から見ても正真正銘の天才と言わしめ
技を一目見ただけで術理を解析し自分の技として使いこなせる程。



「〇〇だよね」「〇〇だもん」といった子供っぽさの残る挑発的な口調や
美貌から醸し出される謎めいた雰囲気から*1精神性は飄々とした風に見えるが芯の部分は真面目な常識人で
若さゆえの青臭さや良くも悪くも思い詰めやすいところがある。
そのため一旦打ち解けると割とコミュニケーションもとりやすいし子供相手におどけてみせるなど好青年的な顔を見せることもある。*2

その一方で闘争というジャンルにおいては「相手を倒す」ということの厳しさを師である松本太山から直伝されており
「おれ、ほんとはやれるんです。相手が、どれだけ親しかろうと身内だろうと、ほんとはやれるんです」
致命的な攻撃をくらわせる事ができる非情さを備えている。
また一般的に卑劣としか言いようのない手口もそうと決めつけると
その手にはまってしまう側にしか立てないという理由から努めて冷徹に対応している。

優れた資質ゆえに平凡な生活を「ぬるま湯」に感じてしまう側面があり
相手の技を見たがり、やらなくてもいいのに危険な状況に踏み込みたがるスリルジャンキーでもある。
「ゆうえんち」における目標達成の後も闘争を日常とする者たちが潜る引き返せない一線
「獅子の門」を超えていくことになった。

全編通しての明確な弱点として舌戦・心理戦の経験の浅さがあり
言わなくても良い事を言って情報を持ってない事を相手に知られたり
そうして生じた隙を衝かれて窮地に陥ることが多かった。
また頭の回転の早さゆえに「余計な事に考えを巡らしすぎる」「頭を空にして目の前の事態に対処できない」という苦手分野があり
この理屈っぽさからくる雑念の多さも何度となく無門の首を絞めることになった。*3

○活躍

ミズノ大サーカスを9歳の頃に失踪して、風来坊として各地を転々としていたが松本太山の養子となる。
そこから5年の生活と修行を経た卒業試験で松本太山に致命の傷を与えた柳龍光の存在を知り敵討ちのために松本家からまた失踪。
3年をかけて、柳龍光の居場所を突き止めてゆうえんちという裏格闘技が開催される場所を知り参加する。

プロレスラーのゴブリン春日、ニンジャの羽鳥、叔父の神奈村狂太との連戦を重ね、ついに柳龍光と戦いを開始する。

序盤は押されながらも、天才である事に加え稽古を欠かさなかった努力家という二点で柳龍光を倒す事に成功し、師匠の敵討ちに成功する。
なお柳龍光はトドメを刺されなかったので敗北じゃなかったと言い張っている


そして主催者である蘭陵王との戦いをも制して数年後。

独歩に呼ばれて神心会本部から帰る途中に謎の男と遭遇。
生死を期わずして頓に争力せむ。
相手の事を何一つ知らない状態ながら、敵が強者という一点だけで、始まる謎の男との死闘に無門は高揚をするのだった。

○主な技

【コピー能力】
一度見ただけで術理をほぼ看破して自分の技として使えるようになる洞察力。
本人の肉体の特異性によらない技ならば実戦で使うのみならず発展させた技をも使用可能。

【サーカス技】
サーカスに所属していた経験から戦闘で応用可能。
落下中に鉄骨を引っ掛け落下方向を変える事や、木の枝を掴んで空中落下速度を遅らせつつの蹴りや、上から降ってくる相手を寝転がりつつ両足の上に着地させ移動を制限させたりできる。


【無寸雷神】
相手の体を両手で挟み込み、ほんの少しタイミングをズラして衝撃を与える事で内部に浸透させる。
脳に使えば一撃で脳震盪を起こし、心臓にやれば一撃で心臓を止める威力。
寝た状態でも両足が地面に接触していればいいので、寝技の対策にも使える。
拳で殴るよりもワンテンポ遅れるのが最大の弱点であるが、後に地面や壁に挟む事で殴る速度で使える応用技を編み出す。
どう見ても菩薩掌

【無寸止め】
足や背中の関節を伸ばしておいて、打撃が当たった瞬間に関節を次々に縮めて威力を殺す。
バットで殴られる事はおろか、ビル20階分から地面に落下しても完全に無傷ですませる事ができる。

【蝉丸】
飛びつき三角絞め。
応用として、相手が耐えつつ背中から地面に叩きつけようとした時はその勢いを使って投げ飛ばす事が可能。


【鞭打】
脱力から関節をしならせて腕を振るう技。
応用として両手と、肩口で破った両袖を使った四連撃を行う連続攻撃を披露している。


【御式内】
片膝を地面に突いて低く構える。
姿勢を低くする事で、相手が狙ってくる攻撃場所を制限させるなどの意味を持つ。

【変則蹴り】
相手の両足首を掴みつつ、逆立ちしながら顎を蹴り上げる。
上体をそらして避けられると金的が入れ放題な関係になるので、左右それぞれの脚での連続攻撃にてカバーする使い方をした。

【無我の境地】
何も考えず、何を意識せずとも稽古の通りに技を出して戦える境地。
相手の動きを計算してほぼ100%の精度で計算できる神奈村狂太の認識を狂わせ、完全に無門の動きを読み切ったと判断した柳龍光をも驚愕させる。


○人物関係

  • 葛城正介
グラップラー刃牙ではサーカス中にライオンに殺されたとの回想が出ただけの人物だが、外伝において中々尖ったキャラ付けをされたキャラ。
旧姓は神奈村正介であり、ライオンを素手で締め落として調教する猛獣使い。
無門の実父である葛城渡流をサーカス中の空中ブランコの事故として謀殺した犯人。*4
無門達の親子三人にDVする最低の男で、「飽きたから」という理由で今度は妻を殺そうとするという人間のド屑。

実父の死の真相を知った無門を口封じに闇討ちしに来たのだが、数年の歳月をかけて準備をしてきた無門に逆に手玉に取られてしまい左膝の靭帯を半分切られる事となる。
無門の挑発に乗せられて、深いケガを負った状態でライオンの調教をしようとしたが、弱った獲物の匂いを嗅ぎつけたライオンの手により回想と同様に嬲り殺しにされる羽目になった。
実父の仇討ちが済み、家族を守れたのだがそれは無門の心に深い影を落とす事となる。


  • 神奈村狂太
神奈村正介の実弟であり、兄の死の真相を知るためにゆうえんちで無門と戦った。
死の真相を知りたがった理由はただ単純な知的好奇心なだけであり、無門に悪印象は欠片も抱いていなかったりする。
自分より強い奴が周囲に居るのは気に食わない破綻者の兄との仲は冷え切っており、肉親の情は抱いていない。
戦闘後は遠回しに再戦を約束して去っていった。

  • 松本太山
放浪していた無門を引き取った養父であり無門の三人目の父。無門は「太山先生」と呼び、父親同然に慕っている。
天才である無門のその才能性を危ぶみ努力を教え込んだ男であり、無門が作中でピンチになった時は精神世界で助言をしてくれたりする。
拾われて5年の歳月を経た無門の14歳の卒業においては、瀕死の体を推して戦いお互いに泣きながら殴り合う凄絶な戦いをした。
その瀕死の傷を与えた柳龍光と無門の因縁が始まる事となる。

刃牙本編ヒロイン松本梢の父であり、本業(?)であるラーメン屋の屋台には「ラーメンこずえ」という屋号が書かれている。
無敗の地下闘技場戦士であり、その道の者には名を知られている実力者。もしも生きていれば愚地独歩との戦いが決まっていたという。

養父である松本太山に致命の傷を与えた宿敵。
ゆうえんちでの連戦や、無門の弱点である心理戦において上を行っていた事もあり多大な苦戦をさせた。
ちなみに舌戦で松本太山に隙を作って致命傷を与えたり卑怯な面を無門はビデオで見たが、卑怯な技ほど強いという哲学を教えられているのでそこら辺に嫌悪感は無かったりする。

弟・克巳の養親であり、四人目の父と言えるかもしれない立場であるハゲ。
ゆうえんちにおいては連戦で消耗していた無門の次の相手を引き受けて、柳龍光との対戦に集中できるように計らい。
柳との心理戦に負けて体がガチガチになっていた無門の心を解したり、最後の戦いにおいては無門に喝を入れて心身に活を入れたり、ハンデとして最初の一手を蘭陵王に入れるなど手厚い手助けをした。
その上にエピローグにおいても無門と道場で再会して会話をするなどキーパーソンとなる。


実弟であり兄弟関係は悪くなかったようだが、克巳が5歳の頃に無門が失踪してそれ以降は一度も会っていない。
エピローグにおいて独歩と再会した時も、顔を会わせなかった模様。
克巳は無門の人格よりも才能の方が印象に残ってるようで愚地流を学んだ今は、勝てるかは分からないが負ける気はしないと評している。




この地球、この世界こそが、巨大な"追記・修正"なのだ。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • バキシリーズ
  • 葛城無門
  • 夢枕獏
  • 外伝主人公
  • 小説
  • 愚地克巳
  • 愚地独歩
  • サーカス
  • 中性的
  • 格闘家
  • 板垣恵介
  • 天才
  • 浮浪児

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年05月01日 12:07

*1 無門より年長の相手が多いことも理由だが度々相手を「おじさん」呼ばわりしている。

*2 こうした要素は漫画版で増量している

*3 無門の宿敵・柳龍光は相手の心理を絡めとる手管に長じているため無門との相性はかなり悪い。

*4 ロープを尋常ではない握力で引っ張って、表面から見てはわからないよう内側の部分を半分ほど千切れさせる方法を使っている