P-47 サンダーボルト

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P-47 サンダーボルト - (2021/02/17 (水) 00:54:04) のソース

&font(#6495ED){登録日}:2014/05/04 (日) 17:37:00
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P-47 サンダーボルトはアメリカ陸軍が運用した中でも最も強力な戦闘機のひとつである。

「強力なエンジンを積んだ強力な戦闘機」という単純明快だが、
実行には技術力と工業力が必須なコンセプトを見事実現した、第二次大戦中最重量にして最高火力の重戦闘機。

*性能諸元(P-47D)
全長:11.0m
全幅:12.4m
全高:4.47m
翼面積:29.92m²
空虚重量:4.80t
最大離陸重量:7.94t
動力:P&W R-2800 2,430hp
最大速度:697km/h
巡航速度:563km/h
航続距離:1,657km
実用上昇限度:12,800m
固定兵装:12.7mm機銃&big(){&bold(){8門}}
爆装:翼下に最大1.1t or 127mmロケット弾10発
総生産機数:15,660機

*開発経緯
今でこそレシプロ機最強候補の重戦闘機として有名なP-47だが、1939年に元々発注されていたXP-47Aは低高度用の軽戦闘機として設計されていた。

しかし、ヨーロッパでの対ドイツ戦訓が伝えられたことで武装や防弾設備などの要求が増大。
初期案では予定性能を出せないとして一度プロジェクトは中断される。

振り出しに戻されることを[[強いられた>イワーク・ブライア]]設計者のアレクサンダー・カートベリは軍の仕様要求を再度精査し、
一見するとプロトタイプの改悪にしか見えないような機体案XP-47Bを提示する。

それは&bold(){「デカくて強いエンジンを積めば火力も速度も両立できるじゃない」}という過激かつ単純明快なものだった。
カートベリ曰く「こいつは&big(){&bold(){[[恐竜]]}}になるだろう。それもスタイルのいいやつに」。

プロトタイプの時点でエンジン出力は2,000馬力、ターボチャージャーと大容量燃料タンクを収めるために太い縦長となった胴体は
図らずも、不時着時の搭乗員の生存性の高さに寄与する。

更に翼内固定兵装として12.7mm機銃をなんと&bold(){8門}も搭載。
重爆撃機並みの火力を一点集中することで得られる強烈な瞬間火力はまさに[[滅尽滅相>第六天波旬]]。
重装甲かつ重武装、さらに高々度性能も良好な本機に軍は一も二もなく飛びついた。

だが、試作機の初飛行から量産までの道程は過酷だった。
初の[[本格的♂>ビリー・ヘリントン]]高々度高速戦闘機であった本機は
急降下時の遷音域突入とその際の諸問題解決に多数のテストパイロットを文字通り『喰って』いる。
その様は当の軍に「俺ら、ほんとうにこいつを必要としてるのか……?」と思わせるほどのものだったが、その答えは幸運にもイエスだった。

*戦歴
42年度末までに大方の不具合は改善され、P-47はついに前線へと投入される。
初陣は英国空軍内のアメリカ人義勇兵による飛行中隊《イーグルスコードロン》によるものだった。
彼らの同僚の英国紳士たちは「離陸すらできそうにないのにこいつで空中戦だって!?」と仰天したという。

実際に搭乗した義勇兵の評価はまさに両極端で、
運動性の低さと離着陸距離の長さをブーたれるか、一撃離脱性能の高さに惚れ込むかのどちらかだった。
特に急降下性能の高さは特筆すべきで、遷音速で突っ込んでくる本機から逃れ得るドイツ機は存在しなかった。

また、強力なエンジンがもたらすパワーは上昇力にも寄与し、一撃離脱に専念する本機の撃墜は困難極まった。
というか狙われたが最期、急上昇しようが急降下しようが&big(){&bold(){離脱不可能爆散不可避}}。

空中戦でも優秀な戦績を残し、特筆すべきは本機のエーストップ10が&big(){&bold(){全員生きて終戦を迎えている}}こと。
重装甲・大火力・高速力を全て兼ね備えていた本機ならではの快挙と言える。

運動性能でやや劣るため爆撃機の護衛任務には不向きで、
最終的には[[P-51>ノースアメリカンP51マスタング]]にその任を譲るがむしろ&bold(){ここからが本領発揮}。
膨大なペイロードに物を言わせて爆装し、地上目標に好き放題叩き込み、機銃掃射をおまけして悠々と離脱。

重装甲なので多少の被弾にはびくともせず、迂闊に反撃すれば猛撃を受けて逆に壊滅する始末。
地べたを這いずるナチ公どもを粉砕し、本職顔負けの対地攻撃スコアを残している。
これが元で本機は戦闘爆撃機(ヤーボ)の代名詞となり、&bold(){まさに雷電そのものの如く}恐怖とともにその名を轟かせた。

**逸話
欧州戦線ではしばしばFw190と誤認されて地上の友軍から誤射されている。
胴体の太い本機と細身のFw190では容易に見分けがつきそうなものだが、太いのはあくまで縦方向。
左右はスリムとはいかずともごん太なわけではなく、真下からの機影が酷似していたのでこういうことが起こったという。

また、本機での撃墜数第二位を誇るロバート・S・ジョンソン大尉も強烈な逸話を残している。
友軍爆撃機の迎えに出た大尉は道中でFw190の編隊と出くわし、フルボッコにされて真っ直ぐ飛ぶのが精一杯なところまで追い詰められる。
そこをドイツのエース、エゴン・マイヤー中佐に捕捉されるが、なんとFw190が&big(){&bold(){全弾撃ち尽くすまで耐え切ってしまった}}。
その頑強性に感服したマイヤーはジョンソンに敬礼し去っていったという。
どうにか帰投した彼は被弾痕を数えてみたが、あまりに多すぎて&bold(){200を越えた}ところで止めた。

単純発想ならではの大火力と上記のような壮絶なまでの防御力から生存性は極めて高かった。

諸々の事情から「最良戦闘機」の称号はP-51の物となったが、
パイロット間では生存性に大きく難があったP-51より本機の方が好評だったのである。
それどころかドイツ軍の方もP-51より本機の方を恐れていた。

「最良戦闘機」の称号こそ得られなかったが、「&bold(){米軍最強戦闘機}」の一角であったことは確かであろう。




追記・修正は本機のテストパイロットに選ばれてからどうぞ。

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- パイロットからしたら良機体だよなあ・・・かなりの数が現存してるらしいし  -- 名無しさん  (2014-05-04 22:03:34)
- ユニットコストが87000ドルだから軍からしたらもっと低価格な機体が欲しくなる  -- 名無しさん  (2014-08-20 10:56:20)
- 実際、終戦後コスト高いから急速に解体処分したが、朝鮮戦争勃発で掻き集めたとか  -- 名無しさん  (2014-08-20 11:05:45)
- 20ミリでも落とせないってことなのか・・・  -- 名無しさん  (2014-12-17 00:26:35)
- ↑ 場所によっては当てれば墜ちる。でも速いから弾速に劣る大口径機銃はなかなか当たらんし、仮に当たってもバイタルパートは重装甲だからな。&br()シンプルに強いって厄介だろ?  -- 名無しさん  (2015-01-04 16:42:52)
- 硬くてハイパワーだから速度もあってでもコストが掛かるってガンダムかよw  -- 名無しさん  (2015-01-04 18:14:37)
- 非力なエンジンしかない上にケチで貧乏な日本には絶対作れない戦闘機だな  -- 名無しさん  (2015-01-04 18:42:04)
- 水冷エンジンがアレだっただけで、大日本帝国も2,000馬力級のエンジンを作っちゃいるよ。出来?言うな……  -- 名無しさん  (2015-01-04 19:31:31)
- Fw190に200発以上食らったって話し、「ドイツ軍は大口径を爆撃機意外に使わないようにしていた」とか「Fw190がすでに空戦後で20mmをほとんど使い切っていた」なんて話を聞いたんだが、実際どうなんだろう?  -- 名無しさん  (2015-02-03 23:03:37)
- 翼の生えたエンジン、似たような話を何処かで・・・  -- 名無しさん  (2015-10-18 18:22:58)
- 確か日本軍からは「トラック」と呼ばれていたとか。大きくて頑丈だから。  -- 名無しさん  (2018-08-08 10:43:31)
- 『喰われる』ってどういう意味だろ? 空中分解やら墜落やら事故やらで、テストパイロットが次々と散っていったってことだろうか?  -- 名無しさん  (2018-08-08 10:51:23)
- 創作物ではそのまんま『P-47』(ジャレコ)というシューティングゲームの主役機になっている。無理に中国語読みするとスーチーパイ。  -- 名無しさん  (2021-02-17 00:54:04)
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