失われた過去と未来の犯罪

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&font(#6495ED){登録日}:2016/09/15 Thu 09:18:10 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『失われた過去と未来の犯罪』とは[[角川書店>角川書店/KADOKAWA]]から出版されている長編小説……だが、実態は短編集のようなもの。 2部構成となっており、第一部は作品世界の序章、第二部は連作短編形式となっている。 著者は『[[脳髄工場]]』『[[キャッシュ>キャッシュ(小説)]]』『[[AΩ 超空想科学怪奇譚]]』『[[肉食屋敷]]』『[[アリス殺し]]』等で有名な[[小林泰三>小林泰三(小説家)]]。 幻想的な表紙イラストを担当しているのは吉田ヨシツギ。 *&sizex(5){■&bold(){あらすじ}} ようこそ、謎と人間の新しい可能性へ―― 『[[アリス殺し]]』の鬼才が贈るブラックSFミステリ、ここに開幕。 全人類が記憶障害に陥り、長期記憶を取り外し可能な外部装置に頼るようになった世界。 心と身体がバラバラになった今、いくつもの人生(ル・ものがたり)を覚えている、「わたし」は一体何者――? ・第一部:女子高生の結城梨乃は、自分の記憶が10分ともたないことに気が付いた。&br()いち早く状況を理解した梨乃は急いでSNSに書き込む――&br()「&color(purple){&bold(){全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行ってください}}」。&br()それから幾年。人類は失った長期記憶を補うため、身体に挿し込む「外部記憶装置」(メモリ)に頼り、生活するようになった。 ・第二部:「わたし」の中には、なぜか何人分もの記憶、思い出が存在している。&br()「替えメモリ受験」をしようとした学生の話。&br()交通事故で子供を亡くした父親の話。&br()双子の姉妹の話。&br()メモリの使用を拒否する集団の話。&br()謎の「声」に導かれ、「わたし」は自分の正体をついに思い出す……。 物語の終幕に、「進化の果て」が浮かび上がる。 公式より引用。 *&sizex(5){■&bold(){登場人物}} ▲&bold(){第一部} ・結城梨乃 第一部の主人公。17歳の女子高生。父親譲りの冷静な性格の持ち主。 ふと気付くと自分の記憶に穴がある事に気付き、それでメモを取ったところ世界全体で記憶障害が発生している事に気付いた。 それでこの事態に対処すべくネット等を使い、世界中の人々へ対処法を伝えていく。 後世(第二部)では梨乃を始めとした事態に早期に気付き、それに対処しようとした者を『第一動者たち(プライム・ムーヴァーズ)』と呼んでいる。 ・結城譲二 原子力発電所に勤める梨乃の父親。梨乃同様落ち着いた性格をしている。 梨乃同様に記憶を失っている事に気付いたのだが、発電所に勤めている関係でどうしようもなくなってしまう。 自分達に問題が起きたので発電所をストップさせたいのだが、 記憶が10分程度しか持たないのでストップしている最中に作業員全員の記憶がリセットされて混乱し、問題が発生するのは目に見えていた。 かといってこのままメモを取りながら発電所を稼働させるのも危険すぎた。 記憶が何度もリセットされながらも議論していると、発電所内に警報が鳴り響く……。 ■&bold(){第二部} ・「わたし」 第二部の語り手とも言える存在。 何処とも分からぬ場所に放り出され、自身に語り掛けてくる「誰か」との会話に応えるように様々な人々の物語を追体験していく。 終盤で明らかになる「わたし」自身の物語、そして「複数の人々の記憶」を追体験出来る原因は……。 ある意味では本作の題である「失われた過去」と「未来の犯罪」の双方を象徴するようなキャラでもある。 ・広田哲司 『大忘却』以降に生まれた世代のため自分の脳内に記憶が一切存在しない。 とある事情で急いでいたが、途中で女性とぶつかってしまった事でメモリを落としてしまう。 その結果偶然自分のメモリが女性――智紗子に、智紗子のメモリが自分に入ってしまって……。 ・田所智紗子 哲司と同じく用事があって急いでいた女性。 上記の件でメモリが入れ替わったせいで、哲司の体に入れ替わった……と錯覚する事になってしまう。 ・徳川俊哉 難関の医大のストレートで合格する事が出来た秀才。 ある日中学の同級生だった健人の父親から俊哉のメモリを健人に貸してあげて欲しいと言われる。 大金を積まれたので、渋々健人のメモリと一時的に交換する事になったのだが……。 ・石田健人 親バカな院長の父親を持つ。 頭が悪く五流の大学にすら受かる事が出来ない。 父親の計らいで俊哉のメモリと交換したため、実質俊哉として健人の大学受験を成功させる事になった。 しかし、健人のメモリを入れられた俊哉が電車事故で亡くなってしまい……。 ・陽菜 双子の姉。自由に生きたいため都会に行った。 事故によってメモリが妹に入ってしまう。 ・陽香 双子の妹。地元でやりたい事があったため実家に残った。 ・智也/彩 家族で旅行中、事故にあって命を失ってしまった智也。 死の寸前に5歳になったばかりの娘の彩のメモリが壊れており、今、ここにいる彩は消滅寸前である事に気付く。 智也は愛する家族を救いたいという願いのため、彩に自分のメモリを差し込んだ。 その結果父親であった智也は5歳の娘として生きていく事になる。 ・美月 智也の妻で、悟・彩兄妹の母親。 交通事故に会った際に車の外に投げ出され、川に流されながらも悟を救出した。 しかし悟は体が二つになりそうなほどの重症であり、自身も頭を打っていたため悟を助ける事が出来ず意識を失った。 その後意識を取り戻した時、智也となった彩と対面する事になる。 ・水科奈々 ひょんなことからメモリ使用を拒否する集団「アーミッシュ」の一つと交渉することになった市役所の職員。 「大忘却以前からの世代」が生きている内は「メモリつけてください!→だが断る」の繰り返しだったが、 前世代が死に絶えた後「メモリを付けない→自活機能すらおぼつかない世代」だけになった頃から「コミュニティを維持する」という名目で集団に「ある方法」で干渉し出し、 「彩」が大金を積んで頼んできた願いを「ある方法」の応用で叶えた事で、「わたし」の過去に繋がる流れを産むきっかけを作ってしまった。 *&sizex(5){■&bold(){用語}} ・大忘却 とある日に全人類が一斉に記憶喪失になった事件。 これは現象が起きる以前の事は覚えているのだが、現象が起きて以降は個人差があるものの約10分程度しか記憶を維持出来なくなる。 普段人類は短期記憶してから長期記憶へと移行するのだが、このシステムが壊れた事で新しく長期記憶が出来なくなった。 そのため人類はメモなどを駆使して長い時間を過ごす事になるが、その最中にこの現象の原因は某国が核実験をしたからだと突き止めた。 某国は金がないので科学者たちが核っぽいのをでっち上げて上層部を誤魔化そうとしたが、 それっぽい理論が不完全だったため、科学者も予定外の現象が起きたのだと後世の人々は考えている。 さらにこの現象は光の速度で円状に広まっており、その内何処かの生命がいる星に悪影響を与えかねないと考えられている。 ・外部記憶装置/メモリ 『大忘却』によって記憶する事が不可能になったため、世界中の科学者が10分しか持たない記憶と戦いながら開発したメモリ。 その名の通り体の何処かに取り付ける小さな外部メモリで、自身が体験した事を外部に保存する事で長期記憶にする事が出来る。 『大忘却』以降生まれた人類は赤子の頃からメモリをする事になるので、 以降の人類の脳には意味記憶や手続き記憶はあれどエピソード記憶は全部メモリに保存されるようになり、 メモリを抜き取られると自身が誰なのかすら分からなくなってしまう。 そのため『大忘却』以降の人類はメモリを他人と入れ替えると、&color(red){&bold(){実質人格そのものを入れ替えたのと同義になってしまう。}} このメモリによって物忘れが事実上不可能となり、学校のテスト等で記憶力を問う暗記テストが消滅してしまった。 このメモリに実質人格が宿っているため『[[死]]』という概念が曖昧になってしまったため、 装着者が死んだ場合メモリを壊すことが義務付けられている。 追記・修正お願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,4) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 人格バックアップデータって奴? ベルトさんや蛮野みたいな -- 名無しさん (2016-09-15 16:52:36) - ↑どちらかと言えば記憶のバックアップデータが正しくてイメージするならばガイアメモリかな? -- 名無しさん (2016-11-26 23:17:23) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2016/09/15 Thu 09:18:10 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- 『失われた過去と未来の犯罪』とは[[角川書店>角川書店/KADOKAWA]]から出版されている長編小説……だが、実態は短編集のようなもの。 2部構成となっており、第一部は作品世界の序章、第二部は連作短編形式となっている。 著者は『[[脳髄工場]]』『[[キャッシュ>キャッシュ(小説)]]』『[[AΩ 超空想科学怪奇譚]]』『[[肉食屋敷]]』『[[アリス殺し]]』等で有名な[[小林泰三>小林泰三(小説家)]]。 幻想的な表紙イラストを担当しているのは吉田ヨシツギ。 *&sizex(5){■&bold(){あらすじ}} ようこそ、謎と人間の新しい可能性へ―― 『[[アリス殺し]]』の鬼才が贈るブラックSFミステリ、ここに開幕。 全人類が記憶障害に陥り、長期記憶を取り外し可能な外部装置に頼るようになった世界。 心と身体がバラバラになった今、いくつもの人生(ル・ものがたり)を覚えている、「わたし」は一体何者――? ・第一部:女子高生の結城梨乃は、自分の記憶が10分ともたないことに気が付いた。&br()いち早く状況を理解した梨乃は急いでSNSに書き込む――&br()「&color(purple){&bold(){全ての人間が記憶障害に陥っています。あなたが、人類が生き残るために、以下のことを行ってください}}」。&br()それから幾年。人類は失った長期記憶を補うため、身体に挿し込む「外部記憶装置」(メモリ)に頼り、生活するようになった。 ・第二部:「わたし」の中には、なぜか何人分もの記憶、思い出が存在している。&br()「替えメモリ受験」をしようとした学生の話。&br()交通事故で子供を亡くした父親の話。&br()双子の姉妹の話。&br()メモリの使用を拒否する集団の話。&br()謎の「声」に導かれ、「わたし」は自分の正体をついに思い出す……。 物語の終幕に、「進化の果て」が浮かび上がる。 公式より引用。 *&sizex(5){■&bold(){登場人物}} ▲&bold(){第一部} ・結城梨乃 第一部の主人公。17歳の女子高生。父親譲りの冷静な性格の持ち主。 ふと気付くと自分の記憶に穴がある事に気付き、それでメモを取ったところ世界全体で記憶障害が発生している事に気付いた。 それでこの事態に対処すべくネット等を使い、世界中の人々へ対処法を伝えていく。 後世(第二部)では梨乃を始めとした事態に早期に気付き、それに対処しようとした者を『第一動者たち(プライム・ムーヴァーズ)』と呼んでいる。 ・結城譲二 原子力発電所に勤める梨乃の父親。梨乃同様落ち着いた性格をしている。 梨乃同様に記憶を失っている事に気付いたのだが、発電所に勤めている関係でどうしようもなくなってしまう。 自分達に問題が起きたので発電所をストップさせたいのだが、 記憶が10分程度しか持たないのでストップしている最中に作業員全員の記憶がリセットされて混乱し、問題が発生するのは目に見えていた。 かといってこのままメモを取りながら発電所を稼働させるのも危険すぎた。 記憶が何度もリセットされながらも議論していると、発電所内に警報が鳴り響く……。 ■&bold(){第二部} ・「わたし」 第二部の語り手とも言える存在。 何処とも分からぬ場所に放り出され、自身に語り掛けてくる「誰か」との会話に応えるように様々な人々の物語を追体験していく。 終盤で明らかになる「わたし」自身の物語、そして「複数の人々の記憶」を追体験出来る原因は……。 ある意味では本作の題である「失われた過去」と「未来の犯罪」の双方を象徴するようなキャラでもある。 ・広田哲司 『大忘却』以降に生まれた世代のため自分の脳内に記憶が一切存在しない。 とある事情で急いでいたが、途中で女性とぶつかってしまった事でメモリを落としてしまう。 その結果偶然自分のメモリが女性――智紗子に、智紗子のメモリが自分に入ってしまって……。 ・田所智紗子 哲司と同じく用事があって急いでいた女性。 上記の件でメモリが入れ替わったせいで、哲司の体に入れ替わった……と錯覚する事になってしまう。 ・徳川俊哉 難関の医大のストレートで合格する事が出来た秀才。 ある日中学の同級生だった健人の父親から俊哉のメモリを健人に貸してあげて欲しいと言われる。 大金を積まれたので、渋々健人のメモリと一時的に交換する事になったのだが……。 ・石田健人 親バカな院長の父親を持つ。 頭が悪く五流の大学にすら受かる事が出来ない。 父親の計らいで俊哉のメモリと交換したため、実質俊哉として健人の大学受験を成功させる事になった。 しかし、健人のメモリを入れられた俊哉が電車事故で亡くなってしまい……。 ・陽菜 双子の姉。自由に生きたいため都会に行った。 事故によってメモリが妹に入ってしまう。 ・陽香 双子の妹。地元でやりたい事があったため実家に残った。 ・智也/彩 家族で旅行中、事故にあって命を失ってしまった智也。 死の寸前に5歳になったばかりの娘の彩のメモリが壊れており、今、ここにいる彩は消滅寸前である事に気付く。 智也は愛する家族を救いたいという願いのため、彩に自分のメモリを差し込んだ。 その結果父親であった智也は5歳の娘として生きていく事になる。 ・美月 智也の妻で、悟・彩兄妹の母親。 交通事故に会った際に車の外に投げ出され、川に流されながらも悟を救出した。 しかし悟は体が二つになりそうなほどの重症であり、自身も頭を打っていたため悟を助ける事が出来ず意識を失った。 その後意識を取り戻した時、智也となった彩と対面する事になる。 ・水科奈々 ひょんなことからメモリ使用を拒否する集団「アーミッシュ」の一つと交渉することになった市役所の職員。 「大忘却以前からの世代」が生きている内は「メモリつけてください!→だが断る」の繰り返しだったが、 前世代が死に絶えた後「メモリを付けない→自活機能すらおぼつかない世代」だけになった頃から「コミュニティを維持する」という名目で集団に「ある方法」で干渉し出し、 「彩」が大金を積んで頼んできた願いを「ある方法」の応用で叶えた事で、「わたし」の過去に繋がる流れを産むきっかけを作ってしまった。 *&sizex(5){■&bold(){用語}} ・大忘却 とある日に全人類が一斉に記憶喪失になった事件。 これは現象が起きる以前の事は覚えているのだが、現象が起きて以降は個人差があるものの約10分程度しか記憶を維持出来なくなる。 普段人類は短期記憶してから長期記憶へと移行するのだが、このシステムが壊れた事で新しく長期記憶が出来なくなった。 そのため人類はメモなどを駆使して長い時間を過ごす事になるが、その最中にこの現象の原因は某国が核実験をしたからだと突き止めた。 某国は金がないので科学者たちが核っぽいのをでっち上げて上層部を誤魔化そうとしたが、 それっぽい理論が不完全だったため、科学者も予定外の現象が起きたのだと後世の人々は考えている。 さらにこの現象は光の速度で円状に広まっており、その内何処かの生命がいる星に悪影響を与えかねないと考えられている。 ・外部記憶装置/メモリ 『大忘却』によって記憶する事が不可能になったため、世界中の科学者が10分しか持たない記憶と戦いながら開発したメモリ。 その名の通り体の何処かに取り付ける小さな外部メモリで、自身が体験した事を外部に保存する事で長期記憶にする事が出来る。 『大忘却』以降生まれた人類は赤子の頃からメモリをする事になるので、 以降の人類の脳には意味記憶や手続き記憶はあれどエピソード記憶は全部メモリに保存されるようになり、 メモリを抜き取られると自身が誰なのかすら分からなくなってしまう。 そのため『大忘却』以降の人類はメモリを他人と入れ替えると、&color(red){&bold(){実質人格そのものを入れ替えたのと同義になってしまう。}} このメモリによって物忘れが事実上不可能となり、学校のテスト等で記憶力を問う暗記テストが消滅してしまった。 このメモリに実質人格が宿っているため『[[死]]』という概念が曖昧になってしまったため、 装着者が死んだ場合メモリを壊すことが義務付けられている。 追記・修正お願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 人格バックアップデータって奴? ベルトさんや蛮野みたいな -- 名無しさん (2016-09-15 16:52:36) - ↑どちらかと言えば記憶のバックアップデータが正しくてイメージするならばガイアメモリかな? -- 名無しさん (2016-11-26 23:17:23) #comment #areaedit(end) }

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