徐栄

登録日:2011/03/15 Tue 21:09:29
更新日:2024/01/30 Tue 11:51:47
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「さすがは豪将・徐栄どの!」


徐栄(じょえい)(生年不詳-192)とは後漢末に活動した武将である。
三国志で語られる後漢末期、その初期のもっと評価されるべき登場人物の一人。


【徐栄最強伝説】

幽州玄菟郡の人。
漢朝の実権を握った董卓の下で中郎将を務め、反董卓連合軍と戦った。
初平元年(西暦190年)3月、董卓軍の強さを恐れて進もうとしない袁紹たち諸侯に業を煮やした曹操
彼は自らの手勢5000に友人の陳留太守・張バクから借りた兵を合わせて西進する。
しかし徐栄はこれを散々に打ち破り、曹操自身も死を覚悟するまで追い詰めた。


小勢ながら善戦した曹操軍の強さを認めた徐栄は深追いせずに兵を引いたが、
手負いの曹操に愛馬「白鵠」を譲り、徒歩で脱出行に従った曹洪の献身がなければ曹操の命はなかっただろう。


次いで徐栄は豫州に進出してきた長沙太守・孫堅と対戦する。
数万の軍勢を擁していた孫堅だったが、徐栄率いる董卓軍の攻撃にボロボロにやられわずか数十騎で逃走。
配下の祖茂に自分の赤い頭巾をかぶせて囮にし、ようやく命を拾うことに成功した。

……ここまでサラリと書いてきたが、ご理解いただけただろうか。
曹操孫堅、三国志に冠たるビッグネーム2人が(旗揚げ初期とはいえ)徐栄という1人の将の前になすすべもなく大敗しているのである。

最凶死刑囚を屠った本部以蔵と見まがうばかりだが、どっこいこれは厳然たる史実である。

徐栄が強くて何が悪い!

なお、前述した祖茂と頭巾云々は華雄のエピソードとして有名だが、実際は『三国志』孫堅伝から徐栄に負けたときの記述を参考にした羅漢中の創作である。
(そもそも正史における華雄は胡軫配下のモブ将Aに過ぎない)

◆その後の徐栄

未来の英傑たちを相手に華々しい戦果をあげた徐栄だったが、彼にはあっけない最期が待っていた。

初平3年(西暦192年)呂布が董卓を暗殺すると徐栄は呂布・王允陣営に帰順した。
ところが、王允が李カクたち董卓軍残党との交渉に失敗してしまい、徐栄は胡軫とともに兵を率いて長安に攻め寄せる残党軍を迎え撃つことになる。
だが、「董卓と同じ涼州出身者は皆殺しにされる」との風聞や旧董卓軍武将に対する王允の態度の悪さへの不満から胡軫が裏切り、結果、徐栄は戦死した。
享年不詳(恐らくは192年)。



幽州出身の徐栄は本来董卓の子飼いではなかったと思われ、漢の中郎将として戦ったのも王允に帰順したのもあるいは心中に勤皇の志を抱いていたのかもしれない。
しかしその曖昧な立場ゆえに乱世の混乱の中で命を落とすことになってしまった。

義理人情に厚い人物だったらしく、董卓へ同郷の公孫度を遼東太守に推挙した。
この公孫度が遼東に築いた「遼東公孫氏」は三国志の第四勢力として50年にもわたって歴史に影響を与えることになる。
さらに言えば公孫氏がなければ238年の司馬懿による遼東遠征もなく、楽浪郡へ渡来した倭国の使者が魏と接触することもなかったかもしれない。

つまり邪馬台国や女王卑弥呼の名前が歴史に残ったのも徐栄どののおかげと言っても過言ではない……ような気がする。



【メディアにおける徐栄どの】

蒼天航路

徐栄どの再評価の道を開いた徐栄フリークの聖典。
さすがに主役補正のかかった曹操をぶちのめすことはできなかったが、矢の雨を矛で弾くなど一騎当千の豪将として描かれ、
「腰抜けの袁と青びょうたんの曹だ!」「論ずるに術がござらん」など名言を残した。
あの董卓の不興を買いながら「おまえの心に巣食った曹操は切れたか」と喝を入れられて生き残り再登場フラグまで立てる。



……と思ったら呂布にコマの隅っこで頭握りつぶされる伝説の最期を遂げた。最後の言葉は「呂布殿!ひ 控えられよ!」
一読して徐栄が死んだことに気づかなかった読者のほうが多いとか。

アニメ版のCVは故・郷里大輔氏。
郷里氏最晩年の出演作となった。

・無双シリーズ

モブ。

・コーエー三國志

シリーズ初期では典型的な賊将のような能力値だったが、蒼天の影響か近年の作品では評価が上がった。
統率・武力80越えに加えて知力もそこまで悪くないので、脳筋だらけの董卓軍の中では扱いやすい良将。
さらに最新作「14」ではなんとPKで固有戦法「震天動地」が与えられ、名実ともに着々と地位が向上している。

・三国志大戦

2コス騎馬・武力7・知力4。
計略は自城が削れているほど武力が上がり、一定以上の城ダメで速度も上がる「火事場の神速」。
群雄勢力には比較的貴重な2コス騎馬であり、『魔王の右腕』という肩書き通り董卓の計略と噛み合うが素のスペックは微妙。

リブート後も1.5コス騎馬・武力5・知力4・征圧1とやはりスペックが微妙。
計略もやはり火事場だが、神速ではなく武力しか上がらない「火事場の馬鹿力」にされてしまう。
当然不人気だったので一定以上の城ダメで突撃ダメージも上がる「火事場の剛騎」へと変えられるエラッタが入り、ついでと言わんばかりに突撃ダメージがヤケクソ気味に上がった。
速度こそ上がらないが徐栄に雷が落ちれば二回ほどの突撃で相手は死ぬので、コンボパーツとして一定の地位を築いてはいる。
とはいえさすがに徐栄ほどの将がこの程度では・・・と思われたのか、その後に1.5コス弓兵・武力6・知力6・征圧1の上に特技勇猛&攻城&刻印と色々マシマシなスペックのものが出てきた。ただし刻印はデメリット特技。
計略は火事場でなく逆に削る方の「破滅的な麻痺矢」で、多少の城ダメと引き換えに武力を大幅に上げて矢を当てている相手の速度を下げるというかなり強力な計略である。
何をさせても優秀なだけあってそれなりに使われいるが、むさい外見の割に撤退台詞が「さ、さむい・・・」と今一つ冴えない。



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最終更新:2024年01月30日 11:51