Z旗

登録日:2012/06/16(土) 09:05:22
更新日:2020/07/07 Tue 22:07:09
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Z旗とは艦艇同士が交信する際に掲げられる国際信号旗の1つ。
40種類ある国際信号旗の中の、26種のアルファベット文字旗に属する。


意味は多々あり、軍艦は主に『私は引き船が欲しい』との意志表示や、単に文字として"Z"を現す信号として用いられる。
また、漁場では「私は投網中である」の意を示す信号としても用いる。


追記・修正お願いします















/………。\


…嘘ではないです。
だからそんなに睨まないでください東郷さん…

まだ言ってないことあるだろ!とお思いの方、本当にすまない!
では改めて上記の国際信号旗以外に用いられた意味を挙げようと思う。それは



『もうこの戦いに負けたら後がない』

…である。恐らくこちらの意味を知っている方のほうが多いのではないだろうか。

ただ勘違いをしてはいけないのは、こちらの意味はあくまで特殊な例であり正式な使い方ではないことである。
通用するのは日本海軍か、後述の逸話達を強く連想させる時ぐらいだろうか。


話の始まりは1805年のトラファルガー海戦に遡る。
本土に侵攻せんとする敵のフランス・スペイン連合艦隊を迎え討つイギリスのネルソン提督が、戦艦ヴィクトリー号に掲げることを命じた以下の旗旒信号があった。


「England Expects That Every Man Will Do His D U T Y」
英国は各人がその義務を尽くすことを期待する



受信した各艦からは歓声に満ち溢れ、一斉にこの旗旒信号を掲揚したという。彼らの国を守ろうとする心意気が込められているのだろう。
そして、ネルソン提督はこの戦いで命を落としながらも敵艦隊の撃滅に成功した。
以後、英国人にとって、トラファルガーおよびネルソン提督の象徴として方々で引用される。



時代は下って、日露戦争末期に勃発した日本海海戦。

ロシア帝国の誇る当時世界最強の艦隊、ロジェストウェンスキー中将率いるバルチック艦隊とそれを阻止せんとする東郷平八郎司令長官率いる聯合艦隊が対馬沖にて相対した際である。


今まさに艦隊決戦が始まろうとする中、戦艦三笠の艦上に掲げられた。その意味は

皇国の興廃、此の一戦に在り。各員一層奮励努力せよ。

である。この直後に捨て身の戦法である丁字戦法が行われた辺りに、この一戦に賭けようする東郷司令長官含む聯合艦隊の覚悟が伝わってくるであろう。
因みにこのエピソードは海外でも大きく報じられ、この意味とZ旗も有名になったとか。因みに以下のように英訳されている。



"The destiny of our empire depends upon this action. You are all expected to do your utmost"



また、実は太平洋戦争の始まりとなった真珠湾奇襲の際にも山本五十六司令長官の命で空母赤城に掲げられている。正しくはZ旗ではなく、DG旗であり、その意味は

「皇国の興廃繋りて此の征戦に在り、粉骨砕身各員其の任務を全うせよ」

となる。因みに山本司令長官は元々米軍と戦いたくはなかった穏健派であった。
この際も戦意高揚の意味で使われたのだが、本人としては『やるなら先手を打たねば、必ずこちらがやられる』という心情が込められていたらしい。
何とも皮肉な話である…


さらに太平洋戦争では節目々々で用いられたが、多用された為意味がインフレを起こしている。(マリアナ沖海戦等)


因みに『Z』にした理由は単にかっこいいからつけた訳ではない。

Zはアルファベットの最後の文字、つまりもう後がないという意味で使用されているのだ。



戦争が終結し、聯合艦隊が崩壊した現在もZ旗は三笠、そして海上自衛隊の艦上に翻っている。
国を守る為の志として受け継がれていくことを祈るばかりである。




(冥ω殿)『アニオタwikiの興廃、此の追記にあり。各員一層奮励修正せよ。』

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最終更新:2020年07月07日 22:07