ストッピングパワー

登録日:2011/06/09(木) 18:39:01
更新日:2023/12/19 Tue 22:32:00
所要時間:約 4 分で読めます





この項目には難しい数式が含まれます
数字にアレルギー反応がある方は注意してください





ストッピングパワーとは

被弾した相手の行動能力を奪う力の事。目標が人間の場合はマンストッピングパワーとも言う。本項目ではこちらを主に述べる。
これが高いほど人や動物は行動不能になりやすい。
あくまでも行動不能に陥らせる程度を表す指標なので即死させる事は絶対条件ではない。





弾丸の重さ

一般的に同クラスの弾薬であれば弾頭の質量が大きいほどストッピングパワーが大きくなる傾向がある。
例えば同じ9mmパラベラム弾でも8gの弾丸と9.5gの弾丸では(初速が同じなら)9.5gの方がダメージは大きくなる。

もやしっ子のタックルより、ラグビー部のタックルの方が痛いのと同じ事である。


命中時の速度

初速(命中時の速度)を増す事でも大きくなる傾向がある。
たとえ弾頭が軽量でもスピードを上げれば軽量の分を補う以上にストッピングパワーを大きくする事が出来る。
これが顕著なのはライフル弾で、多くは拳銃弾より格段に小型で軽量な弾頭にもかかわらず、桁違いに高初速なので非常に威力が高い。

ヘビー級ボクサーがとってもゆっくり打つパンチより、もやしっ子の軽い拳でも「これでもか」と思いっきり打つパンチの方が痛いのと同じ事である。



弾丸の形状変化

命中後の弾頭形状の変化も大きく関わってくる。
同じ.45ACP弾でもフルメタルジャケット弾かソフトポイント弾やホローポイント弾(詳しくは弾薬を参照)かで大きく変わる。
ソフトポイント弾やホローポイント弾は先端の鉛が露出している分、命中時に大きく変形し、弾自体の運動エネルギーをフルに活かす事が出来るので、
人体に対して大きなダメージを与えられる。

この為、軽量・小口径なSS109(5.56mm×45、所謂NATO弾)やSS190(5.7mm×28弾、P90の弾薬)は、
人体等の柔らかい物体に命中すると横転して破壊力を増すように設計されている。


しかし、ストッピングパワーに関係するのは上に挙げた物理的要素はだけではない。



その他の要素

  • 医学的知識
撃たれた箇所が致命的な部位か否かの判断、応急処置の方法といった医学的知識の有無。

  • 命中部位
頭部の被弾は瀕死の状態になりやすいが、腕や足なら100%行動不能になるとは限らない。(*1

  • 薬物の有無
.45ACP弾の項目にもあるフィリピンのモロ族がいい例。薬物の作用で痛みを感じないので、この場合ストッピングパワーの意味はない。

  • 精神的要素
神崎・H・アリアは弾丸が腕をかすった程度で行動不能になるとは思えないが、鳳仙エリス(Canvas2)はどうだろうか。
彼女は赤色にトラウマがある為、身体的には無事でも精神的に参ってしまう。

  • メディアの影響
メディアやエンターテインメントでは銃の威力がかなり誇大に描かれており、「撃たれたら死ぬ」という強い思い込み。精神的要素の重大要因。
このため全く致命的でない部位に被弾しただけでも動けなくなる。
何処にも被弾していないのに銃声を聞いただけで苦痛を感じて動けなくなることもあるほど。
実際は、成人男性なら普通の銃弾なら一発は耐えられる。当たり所にもよるけど…



信頼に値するものか否か…

ここまでストッピングパワーについて述べてきたが、実はニュートンやジュールといった単位はなく、あくまでも総合的な指標であり、
客観的な数値表現が困難なものである。
弾丸そのものの要素以外に心理的な要素も関わってくる。実験が困難(人体実験となる為)で不明な点が多い。
このような理由からマンストッピングパワーという指標に疑念を持つ声やこの指標自体が間違っているという意見もある。



初活力

胡散臭いストッピングパワーだが、目安として初活力(*2)を使う事もある。
だが、上に挙げた様々な要素・要因に左右されるものなので初活力だけがすべてではない。
初活力の単位はいくつかあるがここでは「ft-lbs(フットポンド)」を用いる。

  • ft-lbsの算出方法
弾丸重量(gr)×初速(fps)×初速÷450240=初活力
(gr=grain:グレイン、fps=feet per secpnd:フィート/秒)
(1グレイン0.0648g=7000分の1ポンド)

この計算式の結果は下記参照
9mmパラベラム弾…350ft-lbs
.45ACP弾…390ft-lbs
5.56mm×39…1050ft-lbs
5.56mm×45…1250ft-lbs
細いライフル弾の方がft-lbsが大きくなっているのは初速の違い、9mm<.45ACP なのは口径が大きい分重い弾頭を使えるから、である。




(*1)アメリカ海兵隊では狙撃の際「股間を狙え」と教えられるとか。
着弾点が左右にずれれば大腿動脈、上にずれれば下行大動脈への被弾が考えられるからである。ここに当たれば失血死やショック死の可能性は充分にある。

(*2)発射された瞬間に弾丸が有しているエネルギー。


う~ん、なるほどわからん。



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最終更新:2023年12月19日 22:32