池澤夏樹

登録日:2011/02/17(木) 15:42:16
更新日:2023/08/26 Sat 00:58:07
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池澤夏樹(いけざわ なつき)


詩人、翻訳家、作家、評論家、etc...など幅広く活躍する。

男性。1945年北海道帯広市生まれ。

声優の池澤春菜は氏の実の娘である。



【来歴】
父に作家の福永武彦、母に詩人の原條あき子を持つ。

埼玉大学理工学部物理学科に入学するも、後に中退。

その後は海外小説などの翻訳を手がけ、何だかんだ──結婚、海外へ移住、長女誕生、世界中を旅して回る、その他諸々──あって、1978年に詩集『塩の道』を出版。

1984年に処女小説『夏の朝の成層圏』を発表。
続く『スティル・ライフ』は中央公論新人賞と芥川賞をダブル受賞。

以降、詩や小説、エッセイなどを次々と発表。
数多くの賞を受賞しており、Wikipediaなどで“主な受賞歴”の欄を見ると「うおっ、マジで! こんなに!」と思うほど。


今も世界各地を回りながら執筆に翻訳に編集にと多彩な活動を続けている。



【作風】
作品の特徴のひとつに、えも言われぬ“詩情”がある。
ここは小説『スティル・ライフ』の文章を抜粋し、実際に御覧頂くことにしようそうしよう。


“雪が降るのではない。雪片に満たされた宇宙を、ぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇っているのだ。静かに、滑らかに、着実に、世界は上昇を続けていた。ぼくはその世界の真中に置かれた岩に坐っていた。岩が昇り、海の全部が、厖大な量の水のすべてが、波一つ立てずに昇り、それを見るぼくが昇っている。雪はその限りない上昇の指標でしかなかった”

──「スティル・ライフ」


自身が「ぼく」を通じて雪舞う空間へひっそり溶け出し、身体と意識がふわりと広がる感覚。
フランス文学者の須賀敦子女史は「私たちの多くが経験したことのある、あの呼吸を拒否したくなるような、雪片にとじこめられた、果てしない瞬間の重なりのような時空の中での、気象現象とヒトのひそやかな結びつきをあますところなく伝えている」と解説文で述べている。


【作品など】
詩集、小説、翻訳、エッセイ、評論など多数あって書ききれず。
氏のHPやWikipediaを覗いてみよう。BBSでオススメを訊くも吉。

翻訳家としては英語圏現代アメリカ文学や現代ギリシア詩・映画(ていうかほとんどテオ・アンゲロプロスのこと)についての貢献が大きい。
編集者としてはそれぞれ全30巻の世界文学全集と日本文学全集が知られる。
前者の題材はほぼモダンからポストモダンとはいえ前者は正典クラスの名作から日本未紹介だった作品まであり、出版不況の現代日本でも成立した新しい全集の形と言える。
後者は近代口語以前の作品(近代文語は5000円の人しかないけど)は研究者だけでなく現代小説家による、新訳で現代人でも読みやすい。


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最終更新:2023年08月26日 00:58