不可思議/Wonder(MtG)

登録日:2011/06/19 Sun 15:49:20
更新日:2024/01/08 Mon 14:42:34
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鳥たちは畏敬の眼差しで不可思議を見つめた。
やがてゆっくり、こわごわと、彼らは空に舞い立った。

―始まりの書  


《不可思議/Wonder》とは、Magic the Gatheringに登場するカード。


概要

Magic the Gatheringには定番の能力の一つに「飛行」、というのがある。

飛行を持つクリーチャーはそれを持つクリーチャーにしかブロックされない*1
至ってシンプルなルールながら、シンプルさに反して飛行を持つクリーチャーの絶対数が少なく、さらにその中から実用性のあるものとなるとさらに限られる。
つまり飛行を持つクリーチャーは大抵の場合において妨害されることなく一方的かつ自由に攻撃することができるのである。
もし対抗手段がなければ常に一手先を越されることを受け入れる他なく、多くの不利を被ることになる。

これによりマジックにおいて古くより強力な能力として重視されてきた。

これから紹介するカードもそんな一枚。

不可思議 / Wonder (3)(青)
クリーチャー — インカーネーション(Incarnation)
飛行
不可思議があなたの墓地にあり、かつあなたが島(Island)をコントロールしているかぎり、あなたがコントロールするクリーチャーは飛行を持つ。
2/2

テキストからもお分かり頂けると思うが、意味不明としかいいようのないクリーチャー。
書いてあることが不可思議」「存在自体が不可思議」「何故空を飛べるのか不可思議」等と言われた壊れたカードである。

島をコントロールしている状態でこのクリーチャーが墓地に置かれていると、自分のクリーチャーだけが全てお空を飛ぶ。

そうなるとどうなるか。

対策が無ければ飛行を持ったクリーチャー群によって圧殺されるのみである。

事実上マナは要らない、にもかかわらずデメリットもほとんどない、とんでもないクリーチャーだ。

有名な全体エンチャントの空中浮遊と比べるとよくわかる。
空中浮遊 / Levitation (2)(青)(青)
エンチャント
あなたがコントロールするクリーチャーは飛行を持つ。
島をコントロールしているという条件にもなっていない条件以外はそのまま同じ。であるのにもかかわらずこちらは4マナである。

一応小さいながらもこのカード固有のデメリットはあり、墓地対策の影響を受けるというのがあるにはある。
だが実際には実用的、それも汎用性もある墓地対策となると数が限られていて、余程の理由がない限り普通のデッキに採用されることはまずない。そもそも墓地で効果を発揮するカードの存在自体が全体で見たらレアケースである。
逆にこのカード固有のメリットは大きく、墓地から影響を及ぼすため、墓地対策に比べれば遥かに充実していてかつ一般的なパーマネント対策では止めることが出来ない。
唱える訳でも無いので大抵はカウンターも不可。とむしろ大きな強みさえあるのに不可思議は実質0マナである。

不可思議なこともあったものだ。


一応、唯一デメリットと言える要素を挙げるなら何らかの方法で墓地に落とす必要があるという点が挙げられる。
だが、不可思議が登場したオデッセイブロックは「共鳴者」と呼ばれる手札を捨てることをコストに能力を起動するカードが沢山存在したため、デメリットにはなりにくかった。

それに自身が2/2飛行持ちなので、直接戦場に出して玉砕覚悟でアタックさせるという、非常にイヤらしいプレイングも可能。
対策しなければ2打点クリーチャー、かといって適当に除去して墓地に落とそうものなら他のクリーチャーが飛行を持つ、厄介な存在である。

何より不可思議が青なので、「マーフォークの物あさり」や「嘘か真か」に代表される、
デッキから引っ張り出しつつ墓地にカードを送る呪文が充実しているのもこのカードの評価を後押ししている。


後に開発者が「このカードを青にしたのは失敗だった」と漏らす程の力を持つ不可思議は、当時のトーナメント状況を一変させた。

つまりここまで書いた不可思議不可思議である所以を全て詰め込んだデッキ、青緑マッドネスの登場である。

捨てながらプレイできる能力「マッドネス」を持つクリーチャーや墓地に落ちた状態でプレイできる「フラッシュバック」を備えたカードをふんだんに搭載したビートダウンなのだが、マナに依存しないためとにかく速い。

2ターン目の共鳴者「野生の雑種犬」からマッドネスコスト0で3/3にパンプアップできる「日を浴びるルートワラ」や、3ターン目に6/6のワームトークンを生み出す「ワームの咆哮」。それらに不可思議によって飛行を持たせ、一気に相手を仕留める。相手の抵抗はマッドネスコスト青のカウンター「堂々巡り」で対処。ドローは「マーフォークの物あさり」や「嘘か真か」がサポート。実に隙がない、非常に強力なデッキだった。


この青緑マッドネスはスタンダードのみならず、エクステンデッド環境でも大暴れすることになった。


余談

ちなみにこのインカーネーションと呼ばれるクリーチャーは各色に存在する。
それぞれが中々に強力な力を持っていたが、黒だけが沼渡りを与えるという非常に微妙な能力だった。

ただしこれは、インカーネーションが収録されたエキスパンション・ジャッジメントが、「黒は少なく弱い」と言う偏りを持つセットであったため。
と言うと近年のアヴァシンの帰還(黒に奇跡はない(泣))を想起するプレイヤーもいるかもしれないが、直前のエキスパンション・トーメントは、闇の隆盛(笑)と違ってガチで黒が強いセットであった。
《もぎとり》、《精神ヘドロ》、《陰謀団の貴重品室》など、現在も名前を聞く強力カードはトーメント出身である。
ジャッジメントにも《陰謀団式療法》とか《死せる願い》有ったし。


追記・修正は島がある土地なら、墓地に逝くことで他人を空に飛ばせるプレインズウォーカーが願いします。

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最終更新:2024年01月08日 14:42

*1 一応、到達という飛行クリーチャーブロックを可能にする能力も存在する