Brotherhood Of Steel(Falloutシリーズ)

登録日:2011/10/31 Mon 00:27:10
更新日:2024/01/27 Sat 02:10:25
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Brotherhood Of Steel(以下BoS)はFalloutに登場する勢力。
Falloutシリーズ全作品に登場しており、
多くの作品*1で隊員がパッケージ版のジャケットを飾るシリーズの象徴的存在である。

Interplayによる旧作とObsidianによるNVを除く3以降*2で作中の扱いの良し悪しが大きく変わる勢力である。

概要

核戦争によってほとんどのテクノロジーが失われたウェストランドで数少ない戦前のテクノロジーを保有・運用する武装勢力。
戦前のパワーアーマーとエナジーウェポンで武装し、
個々の隊員の練度も高く間違いなくウェストランド有数の戦力を保有している。

組織の目的は「戦前のテクノロジーを管理し、人類が再び過ちを犯さないようにする」こと。
しかしながら母体が戦前の米軍故にその悪い部分を見事に受け継いでおり、収集する技術も兵器関係に偏りがちで、
「3」以降の善玉寄りのBoSですら民間人からの「接収」を程度の差はあれど行っているため、方々から嫌われている。

Falloutの世界観では後ろ暗いところのない組織など天然記念物に等しいとはいえ、
BoSはスタート地点が地点ゆえ堕落が酷い。

思想

シリーズで最も古い時代を描くFallout76にて、初代マクソン、ロジャー・マクソンの肉声入りのホロテープが手に入り、BoSの設立目的やその理念、目指すべき将来のビジョンが熱く語られている。
それによれば

  • 世界を滅びに導き、自分達は安全なシェルターに避難しているであろう支配者達(おそらく後のエンクレイヴを指している)に対抗すべく、旧来の軍人の階級ではなく、ナイト、パラディンといったBoS独自のシステムを採用し、支配からの脱却と存在意義を与える。
  • 世界の崩壊によって希望を失った人々に対して、希望を持って生きるための目的を与え、文明を取り戻すこと。
  • 未来の人々のために旧世界の技術を集め、研究し、それを次世代に繋ぐこと。

とされているが、かなり早い段階で内部分裂が発生。
  • 外部の人間も組織に加えるべきだと考える革新派
  • 純血を保つべきであると考える保守派
が対立し、保守派が勝利。メンバーは身内のみ(=初期のBoS創設メンバーの子孫)が原則となる。

にもかかわらず、入るのはNGなのに抜けるのは自由という先細りが明らかな歪な組織体系となってしまい、
当然のごとく時の流れと変化する情勢の中でその理念は形骸化。
作中作内でハイテクレイダーと陰口を叩かれるまでに思想の硬直化した「戦前の亡霊」と化した。

一方、そんなBoSの本流から望む望まざるに関わらず分裂していった*3各地の支部は(ウェイストランドにとって)「いいBoS」となることもある。

そうやって節を曲げた結果、
例外中の例外として受け入れた外部の人材がたまたま各作品の主人公で、それが組織再生のきっかけになるのがお約束となっている。

またその性質上、危険な技術の産物たるグールやスーパーミュータントは毛嫌いを通り越して見つけ次第即せん滅が基本的な対応となっている。

歴史

もともとは大戦直前に反乱を起こしたマクソン大尉率いる合衆国陸軍の部隊の末裔であり、
核戦争を占拠したマリポーサ軍事基地のシェルターでやり過ごしたことで人員や兵器そして、その技術を無傷で保持することに成功。

その後これまた占拠した政府用シェルター「ロスト・ヒルズ・バンカー」を拠点に「Brotherhood Of Steel」を創設する。
当初は戦前のテクノロジーの収集も自存自衛のための手段だったが、
上述の内部の政治闘争や外部の脅威による大規模な部隊の壊滅要するに善人からから先に死ぬなどで早期に自浄作用を喪失。
組織は変節と分裂を繰り返し、時代が下るにつれて手段と目的が逆転してゆく。

最終的に地域と派閥によっては周辺住民からテクノロジーを略奪したり村ごとせん滅したりと、
「新鮮な肉」「貴重なテクノロジー」に代わっただけの単なるハイテクレイダーへと成り下がる者たちすら現れる。
その姿は組織を見限った元隊員からして「明日も未来も見ようとしない連中」と言われるほど。
そんな隊員の中にはもはや創設者マクソンの名前すら知らない者すら存在し完全に目的を見失っている。

その意味では曲がりなりにも明確なビジョンの下行動していたエンクレイヴよりも深刻で、
その姿はまさに「戦前の亡霊」。刹那的に生きるウェイストランドの象徴的な存在と言えるかもしれない。

総本部は最新の時系列である「4」時点で絶賛バンカーに引きこもり中。支部の多くもせん滅という有様。
このままいけばBoSは遠くない将来その歴史に幕を下ろすことになる。

一方で分裂していった各支部はルート次第、そして程度の差こそあれアメリカ復興に貢献している場合もあり、その最たるものが「3」の東海岸支部である。

西海岸BoS

悪いBoSにして正統なBoS。総本部である「ロスト・ヒルズ・バンカー」もこちら所属。
上記の通り先細り硬直化し手段と目的が逆転したハイテクレイダー。
エンクレイヴ同様、その武力とテクノロジーによって最もウェイストランドに平和と秩序を取り戻すことのできるアメリカの正当な後継者になりえたにもかかわらず、
今や時代の流れに取り残され、淘汰される存在となった不運な存在である。

ただ、設立当初から手の施しようのない偏屈さだったといったわけではなく、
外部の勢力とは良好ではなくとも敵対はせず、自分たちでは生産できない食料を手に入れるためとはいえ交易もするなど、一定の関係を築いてはいた。
多少の柔軟性も持っており、「1」当時では暗躍するスーパーミュータント軍、「マスターズアーミー」の脅威を察知しつつある中で、創設者ロジャー・マクソンの孫にあたる3代目ハイエルダーのジョン・マクソンはBoS史上初となる外部からの参入者を認め、共にマスターズアーミーへと立ち向かった。
「2」でも自分たち以上の技術力を持つエンクレイヴの存在に警戒心を強め、彼らの拠点への潜入任務に利害が一致したとはいえ組織外部の人間を起用、
その見返りにバンカー内への立ち入りと施設の利用を許可している。

しかし「2」~「NV」の間に、何をトチ狂ったか西海岸における最大勢力である新カリフォルニア共和国(通称「NCR」)に喧嘩を売り、戦争が勃発*4
戦前の技術の象徴であるエナジーウェポンとパワーアーマーで武装したBoSではあったが、技術力では劣っているもののかつてのアメリカさながらの圧倒的な「数」を展開するNCRを前に戦況は次第に劣勢となる。
総本部であるロスト・ヒルズ・バンカーはNCRによって完全包囲され、やむなく休戦するも、
他の支部との連絡もままならなくなった為に各支部は勝手に行動し始めたりと、まさにBoSの凋落の象徴とも言える状態にある。

最大の罪はNCRが再興しかけた金本位制という文明を金鉱脈ごと文字通り爆砕したこと*5
これによって「NCRドル」の価値は瞬く間に下落し、ケツ拭く紙に逆戻りしてしまった。

南西部

Fallout:NewVegas」に登場。旧ネバダ州周辺、モハビ・ウェイストランドにあるヒドゥンバレーにバンカーを築いている。

当初は別の戦前の施設を拠点としていたが、NCRとの戦争によって戦力の多くを失い撤退、バンカーに引きこもりを決め込んでいる典型的なBoS。
NCRとのキルレシオは15:1と驚異的な戦績を叩き出したにも拘らず敗退してしまったところに、彼らの保持する戦前の技術が既に絶対的なイニシアチブを取るものではなくなりつつあることを示している。*6

ほとんどのルートでせん滅されるかハイテクレイダー化し、まるでBoSの未来を暗示するかのような支部と言える。

ちなみにここのエルダー、マクナマラは西海岸BoSの中でも有数の開明派で、
彼との交渉次第では来たるモハビ・ウェイストランドの趨勢を決める戦争を前に仇敵であるNCRと和解、エンディングによっては正式に休戦協定を結び、周辺地域のパトロールに務めさせることも可能。

東海岸BoS

Fallout3」に登場。ワシントンDCを拠点とし、司令官はエルダー・リオンズ。
遠征途中にかつてのピッツバーグことピットで世紀末や地獄という言葉すら生ぬるいSAN値直送な世界*7を目にし、徹底的な破壊と略奪による大規模掃討作戦「天罰」を強いられたことで改心することとなった。
徹底的な破壊と略奪といわれるとヒャッハーの香りしかしないが、既に状況が手遅れであり、時系列的に既に末期状態の西海岸BoSを改心させた時点でお察ししてほしい*8

話を戻すとそうして改心したことで現地住人の支援に舵を切り、他のBoSと違い徴兵を行うことで外からの人材を受け入れ、キャピタル・ウェイストランドの脅威のせん滅、治安の回復を第一に行動するようになるのだが、
結果として西海岸の本流からは異端の烙印を押されて一切の支援を打ち切られてしまう。
更には本部に同調した連中が離反して「アウトキャスト」を結成する始末。
結局身動きが取れなくなり、ここでもまた理想が現実に負けたのであった。

…というところで我らがVault101のアイツが登場。

彼を受け入れたことでキャピタルを救い、東部エンクレイヴこれでも残党との抗争で彼らの先進技術を接収することで飛行戦力であるベルチバードやパワーアーマーの新規生産、さらに未完の最終兵器ブリキ大王すら所有・完成させるにいたり、

結果としてBoSの本来の理想を取り戻し、それを実現するだけの戦力すら手にすることとなった現地民には相変わらず嫌われてるが

そんなわけでBoSの中で最も長く生き残り、繁栄する可能性の高い支部。
FOファンからの人気も高く、いずれはクソッタレな西海岸本部に反旗を翻すんじゃないかと言われたり言われなかったり。
フェラル以外のグールに対しても威嚇射撃で済ませている(言い換えると威嚇射撃する程度に差別しているが)。

ボストン遠征隊(仮)

3から10年後の旧ボストン周辺、連邦が舞台のFallout4に登場したその後の東海岸支部。
上記の通りエンクレイヴの技術と施設を接収したことで強大な軍事力を手に入れ、
巨大飛行船プリドゥエンと多数のベルチバードを従えるという鮮烈な登場をする。


プリドゥエンは支部の本部を兼ね、支部の最高幹部が軒並み乗船しているため、遠征隊と言う名の最高司令部兼最精鋭戦力と言う形となる。
「3」の最終決戦で損壊したブリキ大王様もパーツは90%再建済みであり
後は111のパパン/ママンの協力があれば組み立てて稼働できる状態に仕上げている。
実際、最終盤のストーリーでBoSと正面から協力or敵対する場合はブリキ大王の起動をめぐる物語となる。
なにより、本作で東海岸BoSを倒しきることはできず首脳部と切り札こそ殲滅したが本隊は健在。インスルートに至っては、組織の全力を出した最終決戦そのものがBoSに対する示威行動にしかならない(要するに残存戦力が後先考えず潰しに来たら余力無しでこちらが潰される)ことが語られている*9
まさに歴代最強のBoSである。

しかし、実は「3」後の彼らは暗黒期に突入していた。
エルダー・リオンズが老衰死、後を継いだサラ・リオンズもスーパーミュータントとの大規模な戦争で戦死。一時は指導者が立て続けに変わるなど所詮はBoSか…と思わせる状況に陥っていたのだ。
そこで台頭したのが、3では血筋だけが取り柄だった従者マクソン。
3の姿からは想像もつかないほど立派な指導者となり、「現地民の支援」と「BoSの理念」を上手いこと一体化させることで空中分解しかかっていた組織を再結集、アウトキャストの帰順や西海岸本部の支援も復活させる政治的成功をみせ組織を持ち直させた*10
さしあたってボストンには現在の思想に反し自分たちのシマにも干渉してくる「シンス」の大本たるインスティチュートを潰しにカチコミをかけてきた形となる。

一方で現実に迎合し西海岸派に迎合した結果、BoS自体に蔓延る高慢さと排他性への揺り戻しがかかっており、所属人員からはしょっちゅう反リオンズなボヤキが聞けるウェイストランドの民にとっては危うい状況にある…
前述のサラの死にも不可解な点が多く、きな臭いものを感じる(因みに先代サラはマクソンの後見人であった)。

しかしながらゲーム上の都合も含むとはいえマクソン個人は柔軟な思考の持ち主であるのも間違いなく、組織の理想に反することでも大義名分や政治的都合さえ付けば実利や人情を優先することができる*11柔らかさは残っている。

アパラチア

『Fallout76』に登場した支部。
最終戦争時、アパラチアで演習を行っていた陸軍のレンジャー部隊が母体。
精神病院を改装した「ディファイアンス砦」を本部とし、発電所等を拠点にして他の組織と協力して人々を守っていた。
しかしアパラチアを襲った脅威との戦いで次第に疲弊していき、他組織との関係も悪化*12、精鋭部隊による起死回生の作戦も失敗し、脱走者及びMIAなどで組織を離れていた者を除いて全滅した。

新生アパラチア支部

その後、プレイヤーの活躍でアパラチアが再び人類の住める場所となった事でロストヒルズバンカーからの遠征部隊と言う形でBoSも帰還。
彼らが天文台を改装した「ATLUS砦」に居を構えアパラチアの新たなBoSとなる。
しかし水面下では後世でいう西海岸派と東海岸派が対立しており、プレイヤー次第で組織の方針が変化することになる。

いずれにせよ東海岸BoSの登場は200年近く先のため、アパラチアに「BoSと言う組織」が長居することはない可能性が高い。


アナザー扱い


  • 中西部
「Fallout Tactics:Brotherhood of Steel」に登場した支部。
「1」でマスターズアーミーが崩壊した後、BoS内部の政争に敗北した革新派が主体となっている。
東に逃れたスーパーミュータントを飛行船プリドゥエンで追撃するも、嵐で人員の大半を失った挙句シカゴに墜落、本部とも連絡が取れなくなり肝心の技術の大半も喪失する。
結果、使える人員であればスーパーミュータントだろうがグールだろうが人語を話すデスクローだろうがなんでも登用するため、その顔ぶれは他のBoS支部では考えられないことになっている。
排他的な他の支部に比べれば他勢力に対してオープンではあるが利他的というわけでもなく、特に技術確保に至っては実質的に恐怖政治の方針をとっている*13
BoSの思想を維持しつつ、ウェイストランドに良くも悪くも帰化した派閥と言える。
様々な勢力と戦った中西部BoSの結末はプレイヤーによって異なり、自領地から接収・略奪を繰り返す単なる圧政者になることもあれば、中西部の環境を完全に回復させる英雄になることも。
アナザーとしては作品の扱いはよく、FO4では「このプリドゥエンは2代目」「中西部に小さな分遣隊がいる」と軽くだがその存在について触れられている他、
25周年記念で一部のDL販売ショップにて期間限定で無料配信された。

  • テキサス
「Fallout:Brotherhood of Steel」*14に登場した支部。
「1」に登場したハイエルダー、ジョン・マクソンの死去後、パラディン長ロンバスがその後を継ぎ、スーパーミュータント撲滅のために旅だった遠征軍一団で、テキサスの試作Vaultに拠点をかまえる。
例によって拠点から出発したロンバス率いる部隊が消息を絶ち、グールを含む現地人の主人公3人を登用することになる。
案の定部隊は壊滅しており唯一生き残っていたロンバスも戦死するが、主人公らの活躍によりテキサスに存在した別のVaultでFEVの研究を進めて再起を図っていたスーパーミュータントを殲滅することに成功した。


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最終更新:2024年01月27日 02:10

*1 2・NV・4以外

*2 NVを開発したObsidianはInterplayで旧作に関わったスタッフが立ち上げた会社の為、実質的には旧作同様の扱い

*3 遭難で帰還も前進も不可能になったり、現地のあまりの惨状に組織の大義を曲げるなど

*4 この部分は、本来「3」となる筈だったが最終的に開発中止になった「Van Buren」で語られる予定だった

*5 実際、2241年のカリフォルニア北部を舞台にした「2」では、シリーズで唯一キャップではなくNCRが発行した金貨が流通していた

*6 尤も、これは施設に隠された技術に目が眩んだ当時のエルダーが、兵士をほぼ際限なく戦線に投入できるNCR相手に籠城するという戦略を取ってしまったという愚策による部分が大きい

*7 オブラートに包んで言うとここの住人の末路は「クリーチャーに食われる」「人間に食われる」「クリーチャーになる」「胎児の時点でクリーチャーになる」という絶望的な四択

*8 そしてそこまでやって「地獄未満のナニカをなんとか地獄までもどした」のがDLCの「The Pitt」である

*9 インスルート終盤のファーザーのセリフより

*10 マクソン個人の戦闘力も非常に高い

*11 プリドゥエンへのスパミュやグールの立ち入りや、「組織の責任者として殺すべき」恩人の秘密裏な助命など。これを「111との取引」という方便で行っている。後の(作中でははるか昔の)アパラチアにおける誰かさんとは対照的な柔軟性。

*12 この点に関しては他の組織も同様

*13 クスリをキメたレイダーがBoSの名を聞くだけで正気に戻り失禁するほど

*14 上述の「Tactics」とは違うゲーム