カストロプ動乱

登録日:2012/05/27(日) 16:34:52
更新日:2021/11/18 Thu 00:36:17
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銀河英雄伝説内で起きた架空の反乱とその鎮圧作戦。

【概要】

宇宙歴796年/帝国歴487年
銀河帝国の名門にして先の財務尚書であったカストロプ公オイゲンは、その職権を乱用して私腹を肥やしていた。その死に際して帝国はその不正に得た資産の返還を求めた。だが、カストロプ公の嫡男マクシミリアン・フォン・カストロプはこれに反発し、その財力を背景にして反乱を企てた。

帝国は討伐軍を派遣したのだが、マクシミリアンはフェザーンを通じて自由惑星同盟の首星ハイネセンを守る防衛衛星「アルテミスの首飾り」を手に入れ、自らの星に配置してこれによってシュムーデ提督率いる3000の討伐軍を撃退した。またこの時説得に訪れていた、縁戚のフランツ・フォン・マリーンドルフ伯爵を監禁している。

このフェザーンからマクシミリアンへの「アルテミスの首飾り」の売買は、利益の他に帝国がアスターテ星域会戦で大勝したため、銀河帝国・自由惑星同盟・フェザーン自治領の国力バランスを調整する、という思惑があった。これはフェザーン自治領主アドリアン・ルビンスキーが考えた。

そして第二回討伐がラインハルト・フォン・ローエングラム元帥に命じられた。

ラインハルトは先のアスターテ会戦の戦果により帝国元帥になっており、その元帥府には平民や下級貴族から若く有能な指揮官を集めて、その陣営の強化に着手していた。アウグスト・ザムエル・ワーレン中将、コルネリアス・ルッツ中将、カール・グスタフ・ケンプ中将、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト中将、エルネスト・メックリンガー中将、ウォルフガング・ミッターマイヤー中将、オスカー・フォン・ロイエンタール中将を集め、そしてラインハルトの親友で最重臣のジークフリード・キルヒアイスを少将に昇進させ提督の列に加えた。

ラインハルトはキルヒアイスに勅命を出し、2000隻を率いさせ討伐の任を命じた。(第1回の討伐軍より数が少ないのは、一回目より少ない数で勝ったほうがキルヒアイスにはくがつくためとラインハルトが決めた)


【登場人物】
  • ジークフリード・キルヒアイス
討伐部隊司令官。少将。
これまでラインハルトの副官として行動し、「ラインハルトの付録(ベルゲングリューン談)」と評されるほど軽く見られてきたが、この戦いでその才覚を見せつける。

  • ハンス・エドアルド・ベルゲングリューン
  • フォルカー・アクセル・フォン・ビューロー
キルヒアイスの参謀。大佐。
上記の通りキルヒアイスを軽く見ており(ベルゲングリューンに至っては公務中に飲酒までしていた)、作戦の成否について悲観的であったが、キルヒアイスの作戦案を聞いて考えを改める。



  • マクシミリアン・フォン・カストロプ
元財務尚書オイゲン・フォン・カストロプ公爵の長男。父の不正蓄財を咎められて叛乱を起こす。
典型的な貴族で、部下に対し横暴・傲慢を極めた態度をとっており、結果的にそれが命取りとなる。


【戦闘開始】

キルヒアイスは前もって大量の工作艦に指向性ゼッフル粒子(気体爆薬)を満載させて、艦隊に編成した。そしてそのゼッフル粒子をリング状に展開された「アルテミスの首飾り」に、同じくリング状に撒き首飾りの自動攻撃で発火させ首飾りを全て破壊した。

キルヒアイスは今謝れば寛大な処置があると降伏勧告を出したが、マクシミリアンは必ず処刑されると拒否。さらに自分が反乱したのは焚きつけられたからだと臣下へ責任を擦り付け、さらには父のオイゲン、フェザーンにも責任があると言い出した。
最終的にフェザーンへ亡命すると言い出したのだが、替え玉として自殺するよう強要されるに至ってマクシミリアンへの怒りが頂点に達した臣下や一族郎党、そして自分が召抱えていた女性達に刺殺された。その後臣下がマクシミリアンの死亡をキルヒアイスに伝え、帝国軍を迎え入れた。
その際第一に略奪暴行を厳禁、違反者は即刻銃殺刑に処すると宣言したキルヒアイスに二人の参謀も心服する。

若いな…
ああ…


だが、 誠の名将か…!

【戦闘後】

この功績でキルヒアイスはカストロプの反乱の鎮圧により中将に任じられた。これによりローエングラム陣営の№2と誰もが認めることになった。

反乱鎮圧後、キルヒアイスは首謀者を死なせた責任を感じていたがラインハルトがたしなめた。



なお、上記のあらすじはOVA版のもの。
だいたい原作通りだが、若干の違いがある。

マクシミリアンがマリーンドルフ伯爵を監禁したのは原作通りだが、原作においては討伐軍を撃退して調子に乗っていたマクシミリアンはマリーンドルフ伯の領地を併合、半独立の地方王国の建設をもくろんでいた事が言及されている。

また、マクシミリアンがフェザーンから『アルテミスの首飾り』(と同型の軍事衛星群)を買い付けたのはOVA版オリジナル。
原作では普通に艦隊戦をしており、マクシミリアンには社会的常識などはなかったものの、軍事的才能はそれなりにあったとされている。
当然ながらキルヒアイスが指向性ゼッフル粒子でそれらを潰したのもオリジナル展開である。

彼の『侍らした女性や部下にメッタ刺しされた上に階段を転げ落ちて死亡』という展開もOVA版オリジナル。
原作ではキルヒアイスに敗走したマクシミリアンが罪が軽くなる事を望んだ部下により殺害されたという事しか書かれておらず、具体的な描写はなされていない。

ちなみに彼の古代ローマ風な格好などもOVA版オリジナル。


【道原版】

ラインハルトがキルヒアイスの実力を示すためにシュムーデ提督より少ない艦隊で討伐に向かわせるのは同様。
ビューローとベルゲングリューンの態度はOVAより軟化しており、ビューローが説明をする中でベルゲングリューンは「この戦力差でどう戦うのか」と試す姿勢を見せる程度。

マクシミリアンは細身で嫌味なロン毛の姿で描かれ、年端もいかぬ少女(10代半ばくらいか)とヤッたりその少女に首と手首を鎖で繋いで傍に置く外道な姿を見せた。
本拠地惑星には反射衛星砲を備えており、これでシュムーデ艦隊を圧倒した。そして(性別が名言されていないがおそらく)妹のエリザベートが艦隊指揮を担う*1

キルヒアイスは会戦に先立って降伏勧告を行うも、余裕を見せるマクシミリアンは先述の少女の姿を映しスクリーンに引き寄せ「こんなふうにかわいがってやる」と挑発。
なおも説得を行うが3度の勧告を拒絶され、キルヒアイスは「惑星ごと滅びなさい」本格的な討伐作戦に動き出した。
キルヒアイスは小惑星の投射と爆破でカストロプ陣営を攪乱し、小惑星爆破に乗じた艦隊への奇襲とさらに小型艇を大気圏突破させる。
反射衛星砲を自星に打ち込むという予想外の方法により一部艦艇が破壊されるも、別働隊も突入に成功していたことで砲塔の破壊に成功。カストロプの私兵艦隊も壊滅させた。
敗北を認めないマクシミリアンに老臣が後ろから銃を向け、キルヒアイス艦隊が惑星に降下する形で動乱は幕を閉じる。

オーディンに帰還したキルヒアイスはラインハルトにマクシミリアンへの同情の言葉を向けるが、ラインハルトは「姉上と俺以外に優しくする必要はないんだ」と言葉を遮る。
キルヒアイスは「自分は優しいわけじゃない。ラインハルトさまとアンネローゼさまを守るためならいくらでも利己的になれる。」と思いを新たにするのであった。

なお、ミッターマイヤーとロイエンタールはこの作戦について賭けをしており、詳細は不明ながらミッターマイヤーが勝ってロイエンタールが酒を奢ることになったとさ。


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最終更新:2021年11月18日 00:36

*1 なおエリザベートが女性であるならば、これが銀河英雄伝説の作品全体で女性が戦闘前線で指揮を担った唯一の例となる。