ゴジラ対メカゴジラ

登録日:2011/06/05(日) 17:32:01
更新日:2024/02/25 Sun 22:47:31
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宇宙をとび ミサイルを撃ち込む! 全身が武器の凄いゴジラが現われた!





『ゴジラ対メカゴジラ』は1974年3月21日に公開されたゴジラシリーズ第14作目である。
観客動員数133万人

1974年春の東宝チャンピオンまつりで上映され、同時上映は「ハロー!フィンガー5*1」「新造人間キャシャーン*2」「侍ジャイアンツ*3」「アルプスの少女ハイジ*4」「ウルトラマンタロウ*5」。


【概要】

本作はゴジラ生誕20周年記念作品として製作された。
本作で誕生したメカゴジラはデザイン、造形、演出から人気となり、ロボットや超合金がブームなのもあって東宝に大きな収入をもたらした。

予算は関係者によれば『ゴジラ対メガロ』並みとする者や、増えたと言う者もいる。
本作では記念作なのもあり、キャストに平田昭彦や小泉博、佐原健二等が久々に出演。
また円谷プロの作品等に出演した名優岸田森が唯一参加しているゴジラ作品である。

監督は引き続き福田純氏、脚本はベテラン脚本家の山浦広靖氏を起用しており、監督が得意なスパイ物のテイストが加えられている。
音楽は久々の佐藤勝氏。印象的なメカゴジラのテーマは『ゴジラFINAL WARS』でも使われた。

本編は返還間もない沖縄を舞台とし、沖縄ロケは観光地やホテル、フェリーと大々的なタイアップを行っている。
そのためロケ費用はタイアップで賄い、予算を節約している。

特技担当は引き続き中野昭慶氏。
日本沈没」の大ヒットの後だった為、中野監督に発破をかけたと当時スタッフだった川北紘一氏は語っている。

最初期の企画案には「アメリカと中国の核実験場から現れた2匹のゴジラが激突する」というものもあり、本編のゴジラと偽ゴジラの戦いはこの名残である。

本作の原型となった『大怪獣沖縄に集合!残波岬の大決斗』ではメカゴジラが登場しない内容になっており、その時点ではゴジラ、モスラ、アンギラス、新怪獣の「機械怪獣ガルガン」と「ガルガ星人」が登場予定であった。
またキングシーサーを眠りから呼び覚ます「那美」がこの脚本に初登場しており、設定はそれぞれキングシーサーやメカゴジラに受け継がれた。

メカゴジラの登場が決まった検討用台本時のタイトルは『残波岬の大決斗 ゴジラ対メカゴジラ』では、侵略者R星人の尖兵のガイガンとメカゴジラにゴジラがキングバルカン(キングシーサー)とともに立ち向かうという内容だった。


【ストーリー】

ゴジラジェットジャガーが共闘し、ガイガンメガロを追い払ってから一年後。
沖縄海洋博建設の技師である清水敬介の弟正彦は、玉泉洞で光輝く不思議な金属を拾う。
金属は物理学の宮島博士に鑑定してもらったところ、地球上の金属でないスペースチタニウムと判明した。

また敬介は建設予定地で不思議な壁画の書かれた洞窟を発見し、調査にやって来た考古学者の金城冴子は壁画に書かれたのは予言である事を読み解き、祭壇に置かれたシーサーの置物を発見する。
置物は清水兄弟の叔父である考古学者の和倉博士に届けられるが、その夜に博士の自宅が襲撃されて置物が盗まれそうになるが、敬介に阻止される。

一方ゴジラが突如出現し、破壊活動を行う。
そこにアンギラスが現れ、仲間のはずのゴジラを攻撃するが、ゴジラに敗れてしまう。

そのままゴジラはコンビナートを破壊するが、そこにもう一体ゴジラが出現。
宮島博士は片方のゴジラからスペースチタニウムが出た事や、体の傷から片方はロボットのゴジラ=メカゴジラであると判断する。
そしてメカゴジラはゴジラの皮を燃やして正体を表し、ゴジラとメカゴジラは光線を撃ち合い、相討ちに終わる。

メカゴジラが宇宙人によるものと考えた宮島博士達は玉泉洞を調査するが、宇宙人に捕らえられてしまう。

一方和倉博士は置物が沖縄の守り神キングシーサーを蘇らす事を突き止め、敬介達は沖縄へ置物を運ぶが、フェリー内や沖縄に上陸してからも再三襲撃を受ける。
しかし、国際警察の南原に助けられ、一行は玉泉洞にて宮島博士も救い出す。

そして敬介達はキングシーサーの復活を成功させ、南原達は宇宙人の基地へ潜入する。
復活したキングシーサーを出撃したメカゴジラは戦闘を開始し、そしてリベンジに燃えるゴジラも出現する。


【登場怪獣】

ゴジラ
今回はメカゴジラと戦うために出現した。
沖縄での再戦前にを体に受けて体を電磁石のように出来る能力を得る。

残酷描写がさらに増えて血だらけになりながら戦う。
本作ではメガロ時のスーツを補修したが、背びれの位置がおかしくなっていたりする。

アンギラス
今回はニセゴジラに気付いて戦いを挑むが、敗北する。
テレビマガジン1979年10月号によれば本作の終了後、傷は後遺症もなく完全に回復し、ゴジラと共に平和に過ごしているという。
怪獣総進撃』が未来の話(1994)だとすれば本作(1974年)の傷を癒やした後、20年後にキングギドラとの戦いに挑んだという解釈もできる。
この作品を最後に、アンギラスは長い間ゴジラシリーズに登場出来なかった。

キングシーサー
沖縄で復活した怪獣で、右目に受けたビームを左目で打ち返せるが自前の飛び道具はない。
苦戦しており、あまり役に立ったとは言い難い。
そもそも沖縄の守護神なのになぜ「キング」と英語が使われているのやら……皮肉すら邪推しかねない人も

メカゴジラ
詳しくは項目で。メカゴジラのインパクトは強く、次回作でタイトルをゴジラから奪う。


【登場人物】

◆清水敬介(演:大門正明)
沖縄海洋博の建築技師で、洞穴を発見した事から事件に巻き込まれていく。
演じた大門氏は後年ウルトラマン80でイトウチーフ役を演じた。

◆清水正彦(演:青山一也)
敬介の弟で、玉泉洞でスペースチタニウムを拾う。
流星人間ゾーンにはなれない。

◆金城冴子(演:田島令子)
洞穴を調査した首里大学の考古学者。
読みは「かなぐすく」である。
フランス革命で散った男装剣士ではない。

◆宮島博士(演:平田昭彦)
ノーベル賞を受賞した事もある物理学者で、正彦の拾った金属をスペースチタニウムと判断した。
作中でメカゴジラと最初に言ったのは彼である。
娘の郁子も同行する。
今回はメカゴジラ撃退のヒントを作っている。

◆和倉博士(演:小泉博)
考古学者で清水兄弟の叔父。
シーサーの置物の文を解読し、キングシーサー復活のきっかけを作った。

◆南原(演:岸田森)
国際警察の捜査官で、密かに宇宙人の陰謀を捜査していた。
演じた岸田森はゴジラ作品は本作のみの出演である。
吸血鬼でもSRIの所員でもない。


◆国頭那美(演:ベルベラ・リーン)
沖縄で伝統の唄を歌っていた。
キングシーサーを復活させる「ミヤラビの祈り」を歌った。


【ブラックホール第三惑星人】

地球侵略を企む宇宙人で、メカゴジラを作り上げゴジラに挑戦する。
また邪魔になりそうなキングシーサーの復活も妨害していた。
普段は人間の姿だが、正体はゴリラのような顔をしている。

◆司令(演:睦五郎)
本部からの指令で地球征服計画の指揮を執る。

【DVD】

オーコメは中野監督が担当。シネスコの魅力と撮影の苦労を語っている。

また、映像特典には残っている小道具やメカゴジラのスーツの一部が見れる。
また、「VSビオランテ」の原作者である小林晋一郎氏による歴代メカゴジラのデザイン論も読むことが出来る。
歯医者の仕事はどうした

【余談】

ゴジラ FINAL WARS』のOP映像に、なぜか今作に登場したニセゴジラのシーンが使用されている。

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最終更新:2024年02月25日 22:47

*1 完全新作。当時人気絶頂だったアイドルグループ・フィンガー5の短編映画。ちなみに同年夏の『東映まんがまつり』でも『フィンガー5の大冒険』なる映画が公開されている。

*2 テレビシリーズ第1話『不死身の挑戦者』を上映。

*3 73年冬に引き続き、テレビシリーズ第14話『殺生河原の決闘』を上映。

*4 テレビシリーズ第4話『もう一人の家族』を上映。

*5 73年冬に引き続き、テレビシリーズ第11話『血を吸う花は少女の精』を上映。しかしよりにもよって何故このトラウマ回が選ばれたのだろうか…。