シーザーリージョン(Fallout:NewVegas)

登録日:2011/11/01(火) 18:32:15
更新日:2024/04/29 Mon 15:29:13NEW!
所要時間:約 5 分で読めます




「さらば、シーザーに忠誠を」


シーザー・リージョン(Caesar's Legion)はFallout:NewVegasに登場する、コロラド川の東、アリゾナで86の部族を平定し、モハビへやってきた巨大軍事集団である。
古代ローマ帝国の軍団を模しており、個々の兵士は高い士気と戦闘力を誇っている。
殺した敵兵を磔、さらし首にするなど、その残虐性は群を抜いているうえ、奴隷制を採用し奴隷狩りも行っていることから、様々な勢力から敵として認識されている。
しかし一方で、ドラッグやアルコールを禁制品とし、リージョンに従順なトレーダーに対しては護衛をつけて安全を保証するなど、ただのレイダーとは違う知性的な面も持ち合わせている。

ゲーム開始時点では、モハビ・ウェイストランドにおいて、新カリフォルニア共和国(NCR)とフーバーダムの領有をめぐってにらみ合っている。


概要

アリゾナに住まう部族から端を発した、古代ローマ帝国を模した軍事独裁制を敷いている巨大勢力。
皇帝たるシーザーが定めた極めて厳格な掟が存在し、命令には絶対服従で、破ろうものなら即処刑も珍しくない。

シーザーに絶対の忠誠を誓っており、健康で屈強な男は兵士として厳しい訓練を積むことになる。
そうして育成された兵士は一人一人が高い練度を誇っており、銃火器も扱うが、身体が財産と考えていることから特に近接戦闘力に主眼が置かれている。
一兵卒はマチェットや投げ槍で武装し、高位の兵士であっても爆殺フィストや消火オノをエモノにする者も少なくない。
基本的に末端の兵士に至るまで銃火器で武装しているNCRの強さが「数」にあるとしたら、リージョンはまさにその対極、「質」にあると言える。

シーザー・リージョンが単なる部族の集まりやコミュニティと一線を画すのは、その徹底した同化政策にある。
敵対する部族に対しては苛烈な攻撃を加え、降伏を促しても従わない場合には老若男女問わず皆殺しにする。
降伏した場合、まず女性陣はリージョンの高官の妻や奴隷として男性陣とは引き離される。
次にそれまでの部族としての生き方は完全に否定され、部族のアイデンティティは歴史ごと葬られる。
こうして、シーザー・リージョンに下った部族は復讐することも出来ず、単一のシーザー・リージョンの一員となる。
この多様性の否定も、かつてのアメリカの価値観を受け継いだNCRと対を成すところである。

経済活動面での特筆すべき点として、なんと領域内では独自に発行した金貨や銀貨が流通していることが挙げられる。
これらの通貨はウェイストランドで普遍的な通貨であるキャップとの為替レートも存在する=他勢力との経済的取引も可能。
ただ、アルコールや薬物の流通は禁じられており、スティムパックでさえも対象となるため、傷を癒すのはヒーリングパウダーやビタードリンクといった部族時代からの伝統的なものに限られる。
それら種々の掟を守ると誓ったトレーダーやキャラバンにはリージョン兵の護衛がつき、道中の安全が保障される。

こうした徹底的な政策により、かつては数km離れた先にある街とも連絡が取れないほどレイダーが我が物顔で歩いていたアリゾナは、現在では他の地域では到底考えられない程の治安の良さを誇っている。


……とまあ、敢えてシーザー・リージョンの極力良い面を選んで書き連ねたが、傍から見ると
  • 女は奴隷か所有物という前時代どころか紀元前クラスの男尊女卑
  • NCR内はおろかウェイストランド全体でも忌避される奴隷制(みんな大好き爆発首輪もあるよ!)
  • 敵対勢力に対して為される、頭捻じ切ってオモチャにしてくる連中が可愛く見える残虐行為の数々(後述)
と、モハビではスリーアウトでチェンジであり、
シーザーの元同僚であるアポカリプスの使徒からはレイダーとなんら変わらない集団としか思われておらず、ほかの勢力にもローマのコスプレオタクのレイダー集団としか見られていない。

前述の経済力も、領土に応じた人口自体はあるものの、奴隷は所有物であって経済主体ではない存在のため、実際はさほどでもない。*1

その勢力としての統率もシーザーのカリスマあってのもので、シーザーなくしてリージョンは長くはもたない*2……というのは、内外含む複数人が持つ見解である。

ちなみに、同性愛に寛容なウェイストランドにおいてもシーザー・リージョンは男に対しても女と同じくらいヤリまくるという一部の人には楽園といえる集団でもある。


歴史

事の始まりは、NCR領に属するアポカリプスの使徒エドワード・サロウとビル・カルフーン、二人に通訳として同行したニュー・カナーン人の宣教師ジョシュア・グラハムがグランドキャニオンでブラックフット族と接触したことだった。

初めの内はエドワードたちを歓待し、交流を図っていたブラックフット族だったが、どういう理由でか彼らを拘束することに決めた。
ブラックフット族は南西のすべての部族と戦争状態にあるにもかかわらず、戦士たちの練度は低かった。
ブラックフット族が負けてしまうようなことがあれば、自分たちも殺されかねないことを危惧したエドワードは、ブラックフット族に銃や爆発物のあつかいを教授するようになった。

やがてエドワードはブラックフット族になくてはならない人材となり、彼はもはやNCRにもアポカリプスにも帰る必要がなくなった。
そしてブラックフット族以外の南西の部族たちも教育し、平定できると考え、エドワードはシーザーと名乗るようになり、通訳を務めたジョシュアは彼の右腕となった。
ここにシーザー・リージョンが生まれ、ブラックフット族も含め86の部族を平定し、勢力を増していった。

その後、フーバーダムを発見したシーザー・リージョンはその占拠とモハビの征服を試み、一足先にダムを確保していたNCRと交戦、第一次フーバーダム戦争が幕を上げる。
初めは優勢であったリージョンだが、NCRレンジャーによる遠距離からの引き撃ちと街一つを囮に使った爆破作戦で兵士を多数失うと一気に劣勢に傾き、最終的にはコロラド川の東側へと押し戻された。

これを受けてリージョンは、ダムを保有しモハビに多数の軍事拠点を作ったNCRに対してゲリラ戦を展開、
NCRも上層部が来たる決戦に備えて戦力を極力温存する方向を固めた為、戦線は事実上の膠着状態に陥った。

そこに何も知らない「運び屋」が、とある荷物を携えてやって来たことで、戦況は急激に変化することとなる。


リージョンの残虐性

  • 征服した部族は男はリージョンに組み込むか皆殺し、女は問答無用で奴隷に転職
  • 反抗した奴は磔かさらし首、殺した死体は骨になるまでさらし続ける
  • 捕虜の手足を切り落としてエサにしたうえで、地雷を仕掛ける

  • 占領した住民に対して楽しいくじ引きを行ってくれる
くじ引きの景品は
1等……ペナルティなしの自由解放。なんて空気がうまいんだー
2等……首以外おもちゃにされて奴隷へと転職。命はあるよやったね!
3等……競技場でワンワンと喧嘩!勝ったら自由だファイト!
4等……広場でハリツケ。みんなの注目を浴びて人気者間違いなし
残念賞…ラッキールーザー。惨劇の前に首を刎ねられるよ!残念無念また来世。
特別賞…バーンドマン体験ツアー、上手に焼けましたー!
という心折仕様となっている。

  • 失敗は絶対許されない。
たとえシーザーの親友で最高司令官だろうと上手に焼かれて谷底にまっさかさま。
できの悪い部隊に対してはやさしい司令官が隊長をやさしく殴り殺して部隊が死ぬまで鍛えあげてくれます。


シーザー・リージョンの愉快な仲間たち

・シーザー
シーザー・リージョン創設者にして指導者、あだ名は「ハゲ」(原語の)リージョン内部では『カエサル』と発音する。本名はエドワード・サロウ。
方々からハゲをネタにされ、それを悩みすぎたせいかひどい頭痛を患っており彼の命すら脅かすまでになっている。
元アポカリプスの使徒であったが生粋のローママニアであったことが災いして、NCRに愛想を尽かしてシーザー・リージョンを創設した。

ローマ帝国の再来を実現すると語っているが、周りが脳筋ばかりで誰も理解してくれず話ができる相手がいないのが目下の悩みである。

ゲイであり、医者のコンパニオン、アルケイドをプレゼントすると二重の意味で泣いて喜んでくれる 。

+ もうちょっと突っ込んだ話
NCRに愛想を尽かした理由は政治体制にあり、現代的民主/共和制が腐敗の原因と見たからである。
その処方箋として古典的軍事独裁制を執ったのであり、古代ローマ帝国風はある種のハッタリでもある。趣味なのは否めない
そしてNCR併呑の暁には相互作用によって新たなより良い政治体制が止揚される、と考えていた。弁証法ってやつである。
なお、ここまで彼の思想を理解している者はリージョン内部を含めて劇中にはほとんどおらず、マーカスなど少数に限られる。
ついでに言うとリージョンが古代ローマ風であることに気付いている者もほとんどいない。子供向け絵本が歴史書扱いされる世界である上に、シーザーが巧みに『自身の霊感に基づくもの』と思い込ませているためだが。

文明から遠ざかった部族民を無理矢理纏め上げるために鉄の掟を布いたことと独裁体制もあって、国全体が脳筋仕様。
頭を使える者はおおよそ陰険フルメンタリーで表稼業はできない……と、後継者には恵まれていない。
そのためか、目立つ活躍をした運び屋を(極端な話リージョンに核攻撃をしていても)引き抜こうとするなど人材発掘に関しては寛容だったりする。
ただまぁ、シーザーがリージョンの兵站管理を独りでやっているらしく、そこまでのワンマン体制を継承できるバケモノはいないのだが。
前述の通り、シーザー亡き後の統率が問題視されているが、そもそもシーザーにとってはリージョン=手段なので、それで問題ないのだろう。止揚まで持って行けるならば、だが。
なるほど完璧な哲学っスね―――ッ 不可能だという点に目をつぶればよぉ~~~

その激務が祟っての片頭痛かと思いきや、その正体は脳腫瘍。そのせいか能力(特に知性とカリスマ)がボロボロ。
当人に旧所属の割には自己診断するだけの医療知識はなく、そのためマトモな医者を探していて、見つかれば素直に従う。
それにつけこんで悪さを働く運び屋も当然ながら多数……と言いたいが、リージョンルートはハードコアモードより人気がないのである。
レア実績を獲るついでに彼の思想に触れたついでに悪さしてみるのも一興ではなかろうか。

ジョシュア・グラハム(バーンドマン)
シーザー・リージョンの前司令官。FalloutにおけるCCO真実
リージョンを生んだのがシーザーなら、育てたのがコイツ。

その残虐性は北斗からの出張者、リガタス・ラニウスが聖人君子に見えるほどであり、リージョンが残虐無比なのは大体コイツのせい。
エドワードとブラックフット族との通訳を務めていたのが、やがて教育を担当するようになり、最終的には軍を指揮する立場となった。
しかし彼自身には兵站の知識は無かった為に、本編より4年前に行われた第1次フーバーダム戦においてNCRの作戦にはまり、敗北。リージョンを潰走させた責任で、全身に松脂を塗られ火をつけられたあげく、グランドキャニオンに突き落とされた。
常識的に考えて「これで死なないならもうどうやったら死ぬの?」って感じだが、NCRレンジャー及び第1偵察隊の暗殺計画からたびたび生還し、死亡報告だけで五度もあったという驚異のタフさから、彼は生きていると考える者は少なくない。シーザーがジョシュア・グラハムの名を呼ぶことを禁止したため、リージョン内ではバーンドマンと呼ばれている。

詳細はジョシュア・グラハムの項目を参照

・リガタス・ラニウス*3
現在のシーザー・リージョンの総司令官であり、リージョンのNo.2。脳筋リージョンの象徴的な人物。
そのいでたちは拳王親衛隊そのものであり、世紀末覇者と何らかの関係があるのかもしれない。

素手で15人殴り殺したり、できの悪い部隊の指揮官を殴り殺したり、NCRの兵士の死体を神への捧げものにしたりと、明らかに出る作品を間違えちゃった人。
間違いなく英雄ではある。ただし石器時代のだけどな!
実際、現シーザーが亡くなり彼が次のシーザーになると、シーザー・リージョンは曲がりなりにも秩序をもたらした一大勢力から完全にただの巨大レイダー集団と化す。

一方で軍を指揮する司令官としては前任者よりも優れており、実際なまじ軍事拠点を作って足元を固めてしまったNCRはリージョンの電撃的なゲリラ作戦に終始悩まされた。
ついに勃発する第二次フーバーダム戦争においては、ダムの構造を把握したうえで大量の兵士をダム内に浸透させ、遠距離から狙撃してくる天敵のレンジャー相手には榴弾砲で無力化を図るなど、
彼自身は決してただの脳筋ではない。戦いに知能全振り?それはそう。

海外では人気が高く、彼が主役のファンメイドの短編映画が作られるほど。

・バルプス・インカルタ
シーザー・リージョンのフルメンタリー(諜報員)の最高責任者。リージョンのオーベルシュタイン。
フルメンタリー最強と自負するその能力に嘘偽りはなく、モハビ各地の工作活動の計画を立案、実行によって複数の街を落としており、NCRも彼の首に高額の懸賞金を掛けている。

脳筋リージョンにおいては異質な犬耳お兄さんであり、頭が切れ話の通じる人、あとイケメンである。
たぶんリージョンが組織として機能しているのはコイツのおかげ。
辛辣な物言いをする人物で、ラニウスがシーザーの地位に就いた際には「脳筋のアホがトップじゃリージョンもお先真っ暗」というセリフを幹部たちの前で吐いてくれる、大胆な人。



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最終更新:2024年04月29日 15:29

*1 NCRと険悪な間柄にあるエネルギーウェポンの販売商社が「リージョンと取引しても大して旨味がないからNCRの方がマシ」(要約)と言うほど

*2 十年以内、短ければ五年程度で瓦解する

*3 厳密には「リガタス」は司令官を意味する階級であり、ジョシュア・グラハムも現職時は「リガタス・マルパイス」と呼ばれていた