ホウケイ酸ガラス

登録日:2009/06/07(日) 19:23:41
更新日:2021/08/15 Sun 00:35:55
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ホウケイ酸ガラス(硼珪酸ガラス、borosilicate glass)とは、ガラスの主成分である二酸化ケイ素に無水ホウ酸を混合したガラスである。
ホウ素を酸化ホウ素として少なくとも5%以上含む。
無水ホウ酸の添加によりガラス生成温度が低くなっているため科学的耐性、特に耐熱性、耐酸性、耐水性、耐候性(屋外で使用する際の太陽光・風雨・温度変化に対する耐久性)が増大している。
また電気的性質も良好となる。

組成はNa2O(ソーダ)-B2O3(無水ホウ酸)-SiO2(二酸化ケイ素)

JIS規格においては線膨張係数とアルカリ溶出量によりホウケイ酸ガラス-1、ホウケイ酸ガラス-2の二種に分けられている。前者のほうがどちらの値も低い(要するに耐性ガラスとしての性能は上)。

耐熱ガラス・硬質ガラス・ボロシリケイトガラスとも呼ぶ。
アメリカのガラスメーカーであるコーニング社が開発し、パイレックス(PYREX)という名前が商標登録される以前から総称してパイレックスと呼ばれていたが、現在パイレックスが商標登録され、上記の呼び名が一般的である。
パイレックスの化学組成比率はこんな感じ。
SiO2 80.9
B2O3 12.7
Al2O3 2.3
Na2O 4.0
K2O  0.04
Fe2O3 0.03



発明されたのは100年ほど前。
カメコもお世話になっているかもしれないドイツの産業用ガラス会社ショット社の創始者である化学者フリードリッヒ・オットー・ショット(1851~1935年)によって1887年から1893年にかけて開発された。当時は「イエナガラス」と呼ばれていた。
この会社は現在はテンパックスとしてこの種のガラスを売り出している。

ちなみに東芝が作っている耐熱のホウケイ酸ガラスはテレックス。

熱膨張率が低く、熱衝撃(急激な温度差)に強い為、耐熱製品として利用される他、理化学器具やガラス工芸の分野で広く利用されている。
なぜ熱膨張率が低いかというと加わるホウ素の原子量が低いため、全体の密度が通常のガラスよりも低く約1/3になるためである(原子番号は5。すいへいりーべぼくのふね・・・という周期表の覚え歌では「ぼ」にあたる。原子量は10.811)。
光学ガラスとしてはクラウンガラス(屈折率と分散能が小さい)としてホウケイクラウンなどが存在している。

具体的な使い方としては寒暖計、理化学実験のビーカー・フラスコ・ピペット、ランプ、なべやコーヒーメーカーなどの調理器具、封入用ガラス、原子力製品における制御棒やラシヒリング(中性子吸収材として必要)、注射など医療器具、反射望遠鏡などがある。

ただしホウ素の分析実験においては微量のホウ素が溶け出す恐れがあるのでそういう時は試料の容器としては避けよう。
またフッ化水素が発生する実験では四フッ化ホウ素イオンが発生してしまうのでそう(ry。

耐熱ガラスには他に石英ガラス(融点の高さや紫外線透過性においてはより優れている)等があるが高価でしかも加工が難しい為、比較的安価なホウケイ酸ガラスが普及している模様。ただしパイレックスの亜種に石英ガラス並の耐熱性のバイコールというものもあるが、こっちも製法が複雑。

現在はバトスピのコアとしてその名を知らしめている。

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最終更新:2021年08月15日 00:35