ライフF35

登録日:2010/10/05(火) 12:06:29
更新日:2023/06/16 Fri 19:04:06
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スペック(発表時)
シリンダー数/配列 60度W型12気筒
総排気量 3493cc
圧縮比 13.1
潤滑方式 ドライサンプ
燃料供給装置 電子燃料噴射
冷却方式 水冷
最高出力/回転数 600ps程度/12000rpm
全長×全幅×全高 530×704×471.5mm
エンジン重量(乾燥) 140kg





1990年に参戦したF1コンストラクター、ライフのF1用自社製エンジン。

開発デザイナーはイタリア人の、フランコ・ロッキ。かつてフェラーリにも在籍していた名エンジニアだった。

その開発コンセプトは「V8のエンジン重量でV12のエンジンパワーを生み出す画期的なエンジン」という一見聞こえの良いエンジンであった。
W型エンジンと呼ばれるものには2つ種類があり、V型を横に2つ並べたような配置のもの(要するに4列)と、V型エンジンの真ん中にもう一列シリンダーを追加したもの(3列)があるが、これは後者。
エンジン前後の長さはV8と変わらずコンパクトに収まるというわけである。

当初このエンジンはF1チームのいずれかに供給しようと作られたものだったが、その奇抜なエンジンのナリのせいかどこのチームもこのエンジンを欲しがらない。結局ライフはファーストレーシングというチームがF1用に作っていた(がクラッシュテストがクリアできず参戦できなかった)マシンを買い取り、それを改良した車体にW12エンジンを搭載したのである。車体の名前も改められてL190となった。

しかしながらいざ出走してみれば、エンジンは「重い・パワー不足・信頼性の欠如」という三大ダメ要素が合わさった言わば駄作である。
モノコックに致命的な欠陥を抱えたシャシーのために、同時期に出走したスバル・コローニC3Bとタメを張る(もしくはそれ以下の)遅さを予備予選で披露してしまった。

当時のトップクラスマシン、マクラーレン・ホンダMP4/5Bとのタイム差が約20~30秒も離されており(高速サーキットであるイタリアのモンツァサーキットですら253.68km/hしか出していない!)、その独特なマシンの外見と合間って、最早F1と言うよりF3レベルだった。

余談だが、当初このチームのドライバーは元F1ワールドチャンピオンのジャック・ブラバムの倅、ゲイリー・ブラバムだった。しかしマシンの圧倒的なローパフォーマンスに嫌気がさし、第2戦を終了したと同時にチームから逃げ出してしまったのである。なおこの第2戦も出走後すぐにマシンがストップするという、このエンジンのダメさ加減を十二分に発揮していた。その後ドライバーはスポーツカー(WSPC)を走っているブルーノ・ジャコメリに交代したが、速さが変わる訳もなく予備予選落ちが続いた。

その後このエンジンは第13戦のポルトガルGPにて遂にお役御免となりF1の歴史に埋もれる事となった…。

だが、このロッキ氏が提唱したW型エンジンは後にフォルクスワーゲン・グループが市販車用エンジンとして開発が進められ、8LW型16気筒エンジンを搭載する「ブガッティ・ヴェイロン」は当時の市販車最速記録を残している。


追記・修正は、フェラーリと見間違えないようにしてからお願いします。

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最終更新:2023年06月16日 19:04