登録日：2011/12/22 Thu 05:41:34
更新日：2024/03/02 Sat 12:42:37
所要時間：約 4 分で読めます
ウェブマガジン「YOMBAN（読むバンダイビジュアル）」で2009年3月から毎月連載し、同年12月に完結。
2010年10月からは「Webコミックゲッキン」へ掲載場所を移し、2011年10月末日を以って公開終了と相なった。
なので、2011年12月現在、書籍化されていない本作を読む手段はない。
再び読める機会を気長に待とう。
【概要】
デビューから一貫して一筋縄ではいかない小説を書く作家・円城塔のライトノベル第一弾。分量的には文庫本一冊で収まるくらいか。サイト上には“複雑系・ライトノベル”と一筆添えられていた。
ページを繰れば氏の作品の特徴である
数学や
物理学周辺の専門用語が
普段より控えめの味付けで、何より「いつ/どこで/誰が/何を/どうした」が少なくともわかるような書きっぷり。
もっとも、「よくわからない」「いつも通りで安心した」「ラノベの名を借りたこれは何かだ」との声もある。
また、各話ごとに変わる表紙はイラストレーター・iqu.氏が手がけ、お話に可哀らしく爽やかな彩りを与えている。
以下に記す
Q&Aはそんな本作の内容を
無駄に暴力的に噛み砕き、醸し出される雰囲気を靄や霞よろしく薄ぼんやりと掴めはしないか試みるものである。
──どんなお話なの？
ボーイ・ミーツ・ガールのはずです。
──ひょっとして学園モノ？
舞台は学校にも属しています。
──ラブコメ？
わかりかねます。
──可哀い女の子は出るの？
女の子自体がまれです。
──パンチラある？
膝チラがあります。
……お掴み頂けただろうか（反語）。
乱暴極まる説明──それも国民的マンガ『
サザエさん』を
人妻モノと言い切るくらいのやつ──なのは承知の上だが、
でっち上げているわけではないのでご寛恕願いたい。
それとも、少女に一目惚れした少年と少年に一目惚れした少女が出会うまでのお話だろうか。あるいは。
【あらすじ】
静止軌道──打ち上げられた衛星が地球に沿って落ち続けるところ。人っ子一人いないし、いても困る。
それでも僕の瞳はあの女の子に釘付けで、さっきから警告音が鳴り止まない。
ひょっとしてこれは一目惚れだ。
ところで、研究型学園都市<RAN>に朝が来た。
周りを馬鹿にでかい粒子加速器がぐるりと囲む港街で、目下懸命に
自転車を漕いでいるのは
入江汀だ。後輪から伸びるステップには
穂刈伊那がすらりと立っていた。
進む通りに人影は見えず、
カラスの鳴き声がまばらに響くばかり。
噴き出た汗は額を伝い頬を伝い、しかし拭う余裕もなくひたすら漕ぐ。ペダルを踏み込むたび揺れる肩へ細い指先がきゅっと食い込むのがわかった。
早朝、二人きりの通学路。
振り返れば君がいて、
もっと後ろには
白煙を上げる
戦闘機が
こっちへ
ああ、この心拍数の高まりはきっと、君だけのせいではないのです──。
【
登場人物】
■穂刈伊奈（ほかり いな）
実家が八百屋さんの女子高校生。
ポケットに生の
ニンジンを忍ばせたり、早朝5:30に交差点の真ん中であぐらをかきながらノートPCを広げるくらいには変人。一体どんな世界が見えているのか甚だ疑問である。
甘いものが動力源ですので、
チョコレートなどを定期的に与えて下さい。
■入江汀（いりえ みぎわ）
動物で喩えると
犬系の男子高校生。
変人の穂刈とは
幼馴染で、彼女が起こす騒動によく巻き込まれる。
考え事をすると周りが見えなくなるタイプ。
■宮寺幸一郎
研究学園都市の研究所に所属する教授。
「超域環境総合情報人間学部統合広域基礎情報科学系」という嫌がらせとしか思えない名称の分野を専攻している。
■北野南平
内務省から派遣されてきたあやしいエージェント。
ピシッとスーツを着ているのにどこかだらしない印象を漂わせる。
【登場非人物】
■鈴木君（仮名）
命名は入江。少年に見える。
戦闘能力は普通くらい。長いマフラーに何かこだわりがあるようだ。
固体識別名<ファントム>。
■田中さん（仮名）
命名は入江。ピンク色をした少女に見える。
戦闘能力は高いがおつむが少々弱く、それを指摘すると怒り出す。
「もう嫌なの、こんな星」とは彼女の弁。
固体識別名<ヴォイド>。
■テイレシアス
第一情報軍団旗艦。
お茶請けに
漬け物が出る。
追記・修正宜しくお願い致します。
- 周りを粒子加速機が取り巻いている町という時点で突っ込みどころがｗ -- 名無しさん (2014-05-23 18:31:30)
最終更新：2024年03月02日 12:42
