風評破壊天使ラブキュリ

登録日:2014/05/01 (木) 16:54:00
更新日:2021/04/09 Fri 00:21:56
所要時間:約 4 分で読めます




人の心を苦しめる、

怪しい風評許しません!


『風評破壊天使ラブキュリ』はチャンピオンREDに短期連載された大和田秀樹の漫画作品。
ムダヅモ無き改革』『機動戦士ガンダムさん』など、過去様々な作品で様々な方面に喧嘩を売ってきた大和田氏だが、
今作では福島原発事故に伴って発生した「放射能デマ」と「風評被害」をネタにしている。

とは言ってもただのギャグ漫画でも、まして原発礼賛漫画でもなく、作品としてのテーマは「正しい放射線知識の啓蒙」、そして何より「悪質なデマを撒き散らして、他人を傷つけたり利益を得る者こそ裁かれるべき悪である」という真摯なもの。
東京大学医学部付属病院放射能線科准教授(つまり放射線のプロ)・中川恵一氏を監修スタッフに据え、放射線のあれこれとデマを吐く輩に出くわした時の対策、怪しげなデマに惑わされない心構えの養い方をわかりやすく解説している。

ただ、そういう漫画なのでデマを吐く輩とそれに加担する者へのバッシングはかなり苛烈、というか理不尽なものも多い。
「デマ」と言う形で政府の都合の悪い情報を明かした相手を貶めたりする作品と言う批判も存在する。
中川恵一自体が御用学者として悪評が多い存在なので言わずものがなである。
洒落にならない題材を扱っているだけに、その点での批判はある。
実際にチャンピオンRED連載時に巻末コメントで他の作家に批判をされていた。

ちなみに、今作の印税の半額は東日本大震災の被災地に寄付される。(単行本1冊につき29円)


【登場人物】

  • 中村七海/キュリピンク
ごく普通のヤンキー少女。気に食わない奴はまず思いっきり殴るタイプ。
放射線に関する知識は一般人レベルだが、中傷まがいのデマを吐いて人を傷つける者には怒りを露わにするそれなりの正義感を持つ。
デマ野郎をフィジカルな手段で黙らせるのが役目。

  • 十二吋花音/キュリブルー
宇宙人。自らの故郷を壊滅させ、地球に流出した「デマゴの実」を回収するためにやってきた。
嘘とデマの危険性、そしてそれが引き起こす悲劇の重大さを強く認識しており、デマを撒き散らす者への怒りは七海に負けず劣らず強い。
デマに怯える一般市民に正しい放射線知識を解説するのが役目。

  • メレンゲ
いわゆる淫獣(マスコット)枠。星型の体にもっさりした眉毛、ギョロ目、分厚い唇とむき出しの歯というとてもキモいデザインだが、見慣れると可愛く見える気がしなくもない。
デマを撒き散らす人間の居場所の探知と、デマゴの実の回収を担当。

  • デマゴの実
花音の故郷の星から流出した植物の種。人間の脳に寄生し、自己顕示欲を異常増幅させ、目立つのと嘘をつくのが大好きな「デマゴーグ怪人」に変えてしまう。
デマゴーグ怪人を放置しておくと、悪質なデマと不安と恐怖を撒き散らす者がどんどん増えていき、最終的には世界の破滅につながる。
地球に落ちてきた時点では全部で4つ存在し、これに寄生された人間は「デマゴーグ四天王」となった。

  • メロリン二等兵
元は「『粗野だけど根はいい関西人』役しかできない役者」だったが、デマゴの実に寄生され怪人に変貌。
「原発事故以来中絶や流産が激増している」というデマをtwitter経由で撒き散らし、事実無根と批判されると「政府の隠蔽」「自分は政府の陰謀を暴いたがために職を失った」と嘯く。

  • グンマープロフェッサー
「某大学の教授」がデマゴーグ怪人に変貌。
スーパーの店前で「放射線検出量0ベクレルでない米はすべからく汚染された米」というデマを大勢の主婦に吹き込み、挙げ句「汚染地域の連中は殺人犯」「殺されるくらいなら殺してやる」と叫ぶ。周りから「真実の伝道者」として扱われることに快感を覚えていた。

  • サプリメントジェントル
居酒屋で出されたアジフライに「ベクレてる」とケチをつけ、「東京湾は1京ベクレルもの放射能に汚染された死の海であり、そこで獲れた魚を食べると内部被曝する」「内部被曝の影響は外部被曝の600倍」というデマを流して不安を煽るアメリカ人。
だが、その真の目的は「放射能除去サプリ」と銘打った安物の錠剤を高く売りつけることだった。

  • ザ・TUBE
やはり「某大学の工学部教授」がデマゴーグ怪人に変貌。恥を恥とも感じない厚さ1メートルの面の皮を誇る、最強の四天王である。
自著で「東北・関東の広範囲はすでに汚染されており、とても人の住めるレベルではない」「東日本だけでなく、九州や沖縄産であったとしても日本の農産品は全て汚染されているので買ってはいけない」などといった出展の記載のないデマを発信。復興に向けて懸命に頑張っている人々の思いを踏みにじると共に、多くの日本人の国外脱出や日本産食品忌避を促した。

  • それ以外のデマゴーグ怪人
ラブキュリの活躍によって四天王は倒されたが、彼らのデマによってタンポポの綿毛のようにばら撒かれ、多くの人間に寄生したデマゴの実が発芽。
「東北・関東の野菜は放射性物質に等しい」「急性内部被曝で甲状腺障害が増えている」「小学生が被曝して死んだ」「低放射線量の方がむしろ危険」などなど、様々なデマを撒き散らすデマゴーグ怪人が大量に現れる。
まだ芽に過ぎない段階だったため、ラブキュリ、そして「出典も何もないあやふやな情報は全てデマと割り切り、そして無視する」「事実だけを見る」という対処法を教わった一般市民の冷静なツッコミによって次々と撃滅されていった。


追記・修正は怪しいデマを信じないよう気をつけつつお願いします。
「報道機関や研究者の発表」だとか「知り合いが言ってたんだけど」などという枕詞がつくものに関しては特に信じないでください。

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最終更新:2021年04月09日 00:21