ビュウ(バハムートラグーン)

登録日:2014/07/13 (日) 14:30:30
更新日:2024/01/03 Wed 23:55:53
所要時間:約 6 分で読めます




ビュウとは、バハムートラグーンの主人公である。

〇人物

神竜バハムートに守護され、それを信仰するカーナ王国のドラゴン戦闘部隊「戦竜隊」の隊長で、ジョブは二本の剣を使い戦う「クロスナイト」。

詳しい年齢は公式発表がないため不明だが、王女ヨヨと同年代であることを始め、作中の描写からは十代後半から二十代前半の若者というのはほぼ間違いない。
装備は比較的軽装で、胸のマフラーが特徴。
初めて見る人はグラフィックの関係で彼がロン毛だと勘違いすることも。

グランベロス帝国の侵略時、仲間と共に帝国軍を迎え撃つが、敵の囮作戦に掛かり、王宮を攻め落とされ、自身もグランベロス将軍たちに手も足も出ずに敗退、王女ヨヨも攫われてしまう。
この時、隊に所属していたドラゴンたちも四散してしまった為、やむなく亡命し、各地に散った戦竜をもう一度呼び集めて戦竜隊を再結成。
反乱軍の仲間たちと共に対帝国戦争を戦っていくことになる。

この作品の登場人物は名前に何らかの由来がそれぞれあるが、ビュウの名前の由来としては、彼視点で話が進んでいくことから、視界・視野を表す英単語「view」からきているという説が有力。

ビュウ自身は普段の会話イベントでは台詞を発せず、選択肢を選ぶ形でストーリーが進んでいく。
その為、彼がどんな性格なのかというのは画面上にはそのまま現れないが、現れる選択肢と、仲間からの評判からは、温厚かつ、なかなか面倒見の良い性格であることがわかる。
彼が隊長を務める戦竜隊の3人の部下たちも、元々はカーナ城下で帰る所もない不良だったのをビュウに誘われたのが入隊のきっかけで、特にビッケバッケは彼を「アニキ」と呼ぶほど慕っている。

旗艦ファーレンハイトのメンバーたちも、事あるごとに彼を頼りにしており、概して評判は良い。
「ビュウに任せておけば安心」という信頼感がそうさせるのか、パーティー編成からドラゴンの餌やりまで、戦いに欠かせない日々の業務は全て任されており、インターミッションの度に、艦内を忙しく駆け回る一方、恋愛や将来についての悩みなど、プライベートな相談を持ちかけられたりもする。
ちなみに、女性メンバーの部屋に立ち入りが許されている唯一の男性キャラクターでもある。

そして、人間と同じくらいに、ドラゴンにとても好かれやすい。
職業柄慣れているというのもあるようで、初めて出会う竜であっても彼にはすぐに懐く。

シナリオ上では赤い竜サラマンダーが彼の愛竜のようなポジション。
基本的にこのゲームは、誰がどのドラゴンと組んでも構わないため、特に彼専用の竜という訳でもないのだが、初期パーティで組んでいることに加え、イベントなどでもビュウはこの竜に乗ることが多い。
サラマンダーの方も、騎乗していない時にもビュウの意思をきちんと汲んで動いており、ファンの間でもビュウといえばサラマンダーというイメージが強い。


と、これだけ見ればごくごく普通の主人公像だが、実はこれは彼の一面に過ぎない。


本編中で現れる選択肢には大抵の場合、まともなものの他に一つ、おかしな選択肢が現れるが、これが普段のイメージからは想像できないくらい、やたらとはっちゃけた台詞であることが多い。


以下はそれらの中の一例である。

  • 「オレサマは空の見張りでいそがしいのだ!」
(航行中、見張りをしている彼の元へクッキーの差し入れにきたヨヨへ断りの台詞。
初見では可哀想で選べないという人の多い選択肢だが、2周目からはとある理由からむしろこちらを選ぶ人も増える。)

  • 「いらないよ、ジジイ!」
やはり差し入れに来た乙女ジジイのセンダックへの断り台詞。どんな顔をして言っているのだろうか…
 初見ではセンダックへの気色悪いイメージが先行してこちらを選んでしまうユーザーもいるが、2周目からは(ry

  • 「センダックに愛をこめて」&「マテライト、お前が行け」
(帝国へ潜入するスパイを選ぶ際、センダックあるいはマテライトを選ぶ際の選択肢。
 なおマテライトへの台詞がやたらとぞんざいなのは、選定を丸投げされた挙句「怨むならビュウを恨むように」などと言われたから)


彼の奇矯な行動はこれだけに留まらず、プレイヤーの選択次第では、


  • 飛び降りるなよと言われたその直後に艦橋から甲板へダイブする
  • 「好きな人の好物を聞いてきて」という恋する乙女の依頼に真逆の回答(つまり大嫌いなもの)を教えた挙句、それが原因で振られた彼女から命を狙われる
  • 仲間になったアサシンに戦友マテライトや王女ヨヨの暗殺を依頼する
  • 生まれたばかりの赤ちゃんドラゴンのフンを食べ、それにより神竜と交信する

などなど、いろんな意味でカオスな彼の姿を見ることができる。

「は?んな主人公いるわけねーだろ。二次創作の設定を公式みたいに書いてんじゃねぇよ」
と思った未プレイの貴方、気持ちはわかるが全て本当のことである。
疑うならゲームをプレイしてみよう。





〇ヨヨとの関係

彼を語る上で欠かせないのが、ヒロインである王女ヨヨにまつわるエピソードである。

元々、ビュウとヨヨは幼馴染であり、口うるさい側近マテライトを差し置いて、恋人同士が訪れる「思い出の教会」に駆け落ちごっこのような事をしたりと、お互いを憎からず想い合う中だったが、そもそも二人はまだ幼く、正式な恋人同士というわけではなかった。

そして、帝国によるカーナ侵攻の際、ヨヨは攫われた先で帝国将軍パルパレオスと知り合い、急速に距離を縮めていく
キャンベル攻防戦で救出されて以降、相変わらず親しげにビュウとも話し、時には手作りクッキーを差し入れに来るなど、ヨヨは昔と変わらないように見えるが、幽閉中にかつてビュウと訪れた思い出の教会に、パルパレオスと二人で行っていたことなどもわかり、少しずつかつての彼女のイメージとの間で違和感が膨らんでいった。
そして、多くのプレイヤーの心にあらゆる意味で強烈な印象を残す、第18章「思い出の教会」がやってくる。
この戦い、カーナ城周辺に異次元の魔物が大量に出現し、それを現地に駐屯していたパルパレオス以下の帝国軍が迎え撃っているのを救出に向かうというもの。
戦いが終わり、教会の前で倒れているパルパレオスをヨヨは助け起こし、


ビュウに背を向け、思い出の教会に、二人で肩を並べて入っていく


「あの頃にはもう戻れない」という言葉を残して





そう、ビュウはこの瞬間、ヒロインであるヨヨに「ふられた」のだ




敵味方に分かれて戦うことになりやむなく…というのではない
それまで通り、仲間として一緒には戦いながらも、恋人という座は敵国の将軍に奪われて終わってしまったのである。


上述のように、ビュウは元々「台詞を発しない主人公」である為、この場面においても、怒りや悲しみの台詞は表示されない。
つまり、この時のビュウの心境がどんなものであったのかが一切分からず、彼がどんな想いで、教会の奥へと進む二人を見ていたのかは、プレイヤーが想像するしかないのである。
ただでさえ辛い場面が、このおかげで切なさ倍増となり、当時プレイしていた多くの子供たちにトラウマとなって記憶されることになる。

この時唯一、選択肢として現れる言葉がある。
上記のヨヨの「あの頃には(ry」の台詞に続く、「でもそれはきっと二人にとって良いこと」という言葉を聞いた直後の台詞だが、現れる選択肢は

「そうだね」
「わからないよ」

の2つ。

普段から突飛な発言も多い彼だが、流石にこんな場面ではその元気もないのか、選べる言葉はどちらもシンプルで淡白なものだった。
ちなみに、この選択肢で「そうだね」と肯定を選ぶと、おそらくヨヨの台詞としては最も有名な「大人になるって悲しいことなの」のくだりに続く。
この辺に関してはヨヨの項目も参照されたい。

このショックを彼がこの後どれだけ引きずっていたのかも、台詞を発しない仕様上、プレイヤーは分からずじまいなのだが、いずれにせよ戦いは続き、ビュウは体調不良を訴えるようになったセンダックに代わり、艦長代理となって反乱軍をまとめていく。

ビュウたち若い世代を子供扱いしていた老臣マテライトも、その成長を認めたのか次第に一線を引く気配を見せ始めた事もあり、反乱軍改めオレルス解放軍となったファーレンハイトクルーの中で、ビュウは名実ともにリーダーの役割を果たすようになる。
そして、異世界アルタイルでの最終決戦。
最強の神竜アレクサンダーを倒し、世界を救った一同は、無事オレルスへと帰還する。
戦竜隊の3人を初めとして、メンバーはそれぞれ新しい生活を始めるが、ビュウは故郷カーナに戻ったのではなかった。
異世界に戻らずこちらに残った神竜バハムートの背に乗り、オレルスに争いが残らないよう見守る役目を担うことになったのだ。
「バハムートラグーン」とは、ビュウとバハムートに見守られた、かつてのオレルス世界が、いつしかこう呼ばれるようになった名称なのである。




〇評価

主人公がヒロインに失恋するだけでなく、目の前で他の男とくっつくという事件は、上述のように当時のユーザーに大きな衝撃を与えた。
そして、あまりのインパクトの大きさの為にそれがひとり歩きしてしまい、発売からしばらく、ビュウは典型的な「不幸主人公である」というレッテルを貼られてしまっていた時期があった。

だが、発売から年数が経過した現在、改めて見ると、必ずしもビュウは不幸とは言えないのではないかという見方も増えつつある。
確かに、ヒロインであるヨヨには振られ、しかもそれ以降誰かとフラグが立つわけでもなく、最後まで独り身のビュウは世間で言うところのリア充ではないかもしれない。
だが、これまで見てきたように、ビュウが報われなかったのは恋愛面においてのみであり、

仕事→戦竜隊隊長、後には艦長代理にまで抜擢される
実績→世界を救った英雄、しかもその功績は埋もれたりせず、きちんと皆から評価され、神竜の乗り手という大役も任せられる
人間関係→前述のように皆に慕われている。ドロドロな人間関係も多いファーレンハイト艦内においても、ビュウ自身を悪く言う者は一人もいない。というか彼がいなければ身勝手なヨヨとパルパレオスのせいで解放軍は間違いなく空中分解していただろう

と、それ以外については全て成功しているのである。

何を持って成功と見なすかは人それぞれだが、「主人公がふられるゲーム」というだけでこの作品を駄作・クソゲー扱いすべきではないのと同じように、ビュウについても、失恋・寝取られという、その一面だけで、不幸な主人公扱いするのは早計である、ということは心に留めておくべきだろう。




ビッケバッケ「モグモグ…ビュウのアニキ、項目立てはもういいかい?」

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最終更新:2024年01月03日 23:55