アナザー・マインド(ゲーム)

登録日:2014/08/22 (金) 23:35:00
更新日:2020/12/01 Tue 09:24:23
所要時間:約 3 分で読めます




あなたは、誰?





アナザー・マインドとは、1998年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から販売されたプレイステーション用ゲーム作品。
既にファイナルファンタジーなどのヒット作を世に送り出していたスクウェアが実在の俳優を用いて制作した
異色の実写ADVゲームである。





【概要】
プレイヤーは記憶を失い、意識だけの存在として女子高生「瞳」の中で目覚め、
次々とトラブルに巻き込まれる瞳を時に励まし、時にツッコミを入れつつ協力してそれらを切り抜け、
事件の真相とプレイヤーの正体を探っていくADVゲーム。
全9章のシナリオは各章毎に分岐が設けられており、プレイヤーと瞳の行動により
事件が円満に解決する事もあれば人が死んでしまうなど後味の悪い結果で終わる事もある。
またどのような結果を迎えようとシナリオは次の章へと進んでいき、やり直しはできない

ゲーム中、プレイヤーは目の前で起きている出来事に対して介入する術を持っておらず、
肉体の主導権を持つ瞳と会話する事で解決策の提示を行う。
場面によってはプレイヤーの側から瞳に話しかける(ツッコミをいれる)必要もあるため、
本作は史上初のツッコミゲーと呼ばれたこともある。

実写ゲーという人を選ぶジャンルに加え、後述する独特なシステムや周回に不向きな仕様などから
大きな評価は得られていないが、バグもなく破綻の少ないシナリオ、ハマれば面白い会話システムや魅力的な登場人物などの要素から、
知る人ぞ知る良ゲー(人によっては鬱ゲー)となっている




【システム】
  • ダイアローグシステム
いわゆるADVゲームにおける選択肢を、用意された文法を並べて文章を作成し、
瞳との会話という形で選択を行う本作独特な形式。
予め用意されている言葉の中から「誰が」、「何を」、「どうする」といった具合に文章を並べていき、
適宜、肉体の主導権を持つ瞳とコミュニケーションを取りながらゲームを進めていくことになる。
組み合わせのパターンは非常に多く、ゲームのキャラクターと本当に会話をしているかのような感覚を味わう事ができる。
ただし似通った文法や同じ意味合いの文章も多いため、瞳のリアクション自体はそこまで多い訳ではない。


  • つっこみシステム
ゲーム中、特定の場面でプレイヤーの方から瞳に話しかけるかどうかを選ぶことができる。
話しかける内容はただの世間話からゲーム進行に関わるアドバイスまで多岐に渡り、
様々な場面で話しかける(ツッコミをいれる)事ができる。
もちろん、話しかけなくともシナリオは進行するが、瞳が見落としている情報を指摘したり、
困っている彼女に助け舟を出すなどすれば物事が良い方向に進む事が多い。
ただし瞳自身も自我を持った1人の人間であるため、彼女が焦っていたり機嫌を損ねていたりすると、
呼びかけを無視したりこちらの意図から外れた行動を取るなど、必ずしもこちらの思い通りに動いてくれるとは限らない。


  • 隠しパラメータ
瞳には画面では確認できないパラメータが設定されており、プレイヤーとの会話で変動していく。
的確なアドバイスをして瞳から信用されていると「信頼度」、優しく接したりなどで好感をもたれると「好感度」、
そしてギャグを狙った変な展開ばかりだと「おちゃめ度」が上昇していき、逆の行動で下がっていく。
信頼度が高いと頼られて瞳の方から話しかけてくれたりすんなり指示に従ってくれたりするが、逆に低いと指示通り行動してくれないこともある。
ただし信頼度が高くても、温泉に入っている時に「目を開けろ」と指示しようが発狂しようが断固拒否される。







【あらすじ】
交通事故で入院した葉山瞳は、昏睡状態から目覚める際に自分ではない他の誰かの意識が自分の中にいる事を知る。
戸惑う瞳ではあるが、「もう一人の誰か」は名前以外の記憶を失っており、
自分が何者なのか、どうして瞳の意識の中にいるのかもわからないと言う。
やがて退院の日を迎えた瞳は、高校生として普段どおりの生活を送りつつ、自分の中の「同居人」の正体を探ろうと試みるが、
身の回りで次々と起きる不可解な事件に巻き込まれてしまい、「彼」と協力して事件に立ち向かう事を余儀なくされるのだった。





【登場人物】
  • 真野俊平(デフォルト名)
プレイヤー、即ち画面の前のあなた。名前は変更可能。
瞳の意識の中で目覚めた男性であり、名前以外の記憶をほとんど失っている。
そのため、性格や知識はゲームを操作するプレイヤーに委ねられている。
また会話は全てダイアローグシステムで行うため、プレイヤー自身が台詞を発する事は最後までない。
感覚は瞳と共有しているが体を動かす事はできないため、彼女に助言する形でゲームを進めていく。
ゲーム中では瞳に取りついた幽霊や瞳の別人格ではないかと疑われ、挙句は寄生虫扱いまでされる。


  • 葉山瞳(デフォルト名)
名前は変更可能。16歳、高校2年生。交通事故を機にプレイヤーの意識と肉体を共有する事になった少女。
昏睡状態から目覚めた後、過去や未来の映像を見る不思議な力が発現する。
天然ボケ気味の大人しい少女だがいざという時の行動力と決断力は目を見張るものがあり、
ゲームの展開によっては時限爆弾の解体やヤクザとの立ち回りを演じる事も。
プレイヤーとの同居生活については最初こそ戸惑いや不安を見せたものの、
すぐに打ち解けて良好な関係を築いていく。
プレイヤーとは感覚を共有しているため、裸を見られぬよう着替えや入浴は目を閉じて行っている。
写真が趣味であり、日記やスケジュール帳も兼ねたフォトブックはゲーム中に見返すことができる。
天然ボケをプレイヤーから「ナイスボケ」と突っ込まれるのはお約束。


  • 高木真理子
瞳の親友。17歳、高校2年生。瞳と対照的な快活で今どきの女子高生という感じの少女。
瞳とは休日に買い物や映画に出かける間柄で、引っ込み思案な瞳を引っ張るお姉さん的立場だが、
事件に巻き込まれて危険な目にあったり事件解決に奔走するプレイヤーと瞳に振り回されることも多い。
瞳と旅行に行くシナリオがあるが、残念ながら彼女の入浴シーンは瞳の妨害によって見る事はできない。


  • 明円輝夫
フリーのルポライター。30歳。ある事件で知りあうことになる社会派ルポライター。
軽い性格と3枚目な言動のせいで胡散臭がられることも多いが、瞳達の心強い味方となる。
バスに乗り損ねて山道を二時間以上も歩く羽目になったり人助けのために池に落ちたりと苦労も多く、
没シナリオでは彼の車が高速道路の事故に巻き込まれる予定だった。


  • 鳴海健一
ベテラン刑事。42歳。瞳が入院中に起きた事件で知りあう事になり、時には厳しい言葉で瞳を気遣う不器用なおじさん。
終盤、瞳を助けるために………。


  • 猿渡純
若手刑事。25歳。鳴海の部下で常に行動を共にしている。
鳴海と同じく瞳の事を気にかけており、終盤では彼女を守るために奔走する。


  • 向井夏子
サイコセラピスト。27歳。「ムカイ・カウンセリング」という診療所を営んでおり、瞳のカウンセリングを担当する。
彼女の中に宿ったプレイヤーの正体を催眠術で見極めようとする。



余談

本作はマルチエンディングを採用しているが、最終章でバッドエンドを迎えても
スタッフロールが流れてクリア特典が解禁されるため、エンディングが複数あることを知らない
プレイヤーからは後味が悪いゲームという誤解を受けてしまいやすい。
またゲーム自体のクリア時間はそれほど長くないが、スキップやバックログがない不親切な仕様に加え、
バッドエンドのえげつない後味の悪さが周回プレイの妨げになっていると言っても過言ではない。
それを回避するためにも、最終章は今までに培ってきた瞳との絆を信じることが何よりも重要である。





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最終更新:2020年12月01日 09:24