リアルミニ四駆

登録日:2014/09/25 Thu 20:51:04
更新日:2024/03/31 Sun 15:11:31
所要時間:約 7 分で読めます




20年近くも昔、日本で爆発的なまでのミニ四駆ブームが起きる切っ掛けとなった、
こしたてつひろ先生による名作漫画『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』。

コロコロのホビー漫画の多分の例に漏れず、初期から自動可変ウィングや
スプリング内蔵ローラーなど、現実には再現不可能と思われる夢ギミックが満載だったこの作品だが、
メインキャラクター・三国藤吉の2代目の愛機となるスピンコブラは
遂に従来のミニ四駆の形から大きく逸脱し、機械仕掛けその物と言った風体となった。

さて、それに黙っていられなかったのは、ミニ四駆のキットを制作・販売している田宮模型である。
彼らは、漫画でそこまでメカニカルに描かれたマシンを
そのまま通常の走行シャーシに載せて販売する…という無粋な真似に走らず、
何と走行不能とする代わりに、そのメカメカしい質感を完全再現したプラモデルで発売する、
と言う『ミニ四駆』にあるまじき、異例の形態を採用した。
これによって誕生したのが、ミニ四駆の中でも異質中の異質と言えるリアルミニ四駆シリーズである。


発売から30年以上、累計1億7千万台を売り上げているミニ四駆には、
何も純粋なレース用の物だけではなく、別の用途で作られた物も沢山ある。
実車の再現を第一に考えた本家本元のミニ四駆シリーズ、
野外で遊ぶ事を想定して作られた、パワーあふれるワイルドミニ四駆、
古き良きアメリカのトラック文化を1/32スケールで再現したトラッキンミニ四駆…

と、そうしたモデルのいずれにも『走れない』、本格的な観賞モデルとして登場した物は無く、
後にも先にもこのリアルミニ四駆シリーズしか存在しない
(一応大会限定配布で、素材の脆さゆえに完全観賞用と公式が告知している
サイクロンマグナムのグリーンクリアボディが存在するが、キットとしては依然リアルシリーズのみ)。

無論、ただ走れないだけの観賞用モデルではなく、
簡単な改造、もしくは無改造で走行用シャーシに載せ、
実際にレースで活躍させる事も出来るのが大きなポイント。
思い出補正で使う者、単に惚れ込んで使う者、理を詰めて行ったらそのボディに辿り着いた者…
理由は様々だが、今もリアルミニ四駆のボディを走行用シャーシに乗せ、
日夜レースに明け暮れているレーサーも決して少なくは無い。


種類は以下の6車種が存在し、いずれも漫画・アニメの
『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』並びに『爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAX』に登場したマシンである。
その為、漫画・アニメを見て憧れた子供たちがなけなしの小遣いを握りしめて買った結果、
購入後に走らないモデルと知って落胆したパターンも多かったとか。
購入前に箱の注意書きはちゃんと見よう!


2019年現在はプロトセイバーEVO.とスピンコブラ以外の全てが絶版な上、
純粋にリアル仕様で販売されたのは2009年と2020年2月にバックブレーダーが、2020年3月にバイスイントルーダーから、2020年6月にスピンコブラが一時的に再版されたのが最後の為、今では定価で手に入れる事はかなり難しい事は覚悟しておこう。


No.1 スピンコブラ

リアルミニ四駆が誕生するきっかけとなったマシン。
トレッドパターンの彫刻された特製タイヤにメッキホイール、
メッキ処理でメカメカしさに溢れた内部パーツ、
そしてそれらが良く拝めるクリアボディと、このマシンで後のリアルミニ四駆の方向性は全て決まっていた。

原作漫画では猛威を振るいまくっていたブロッケンGやビークスパイダーと言ったモデルを
全く寄せ付けず、アニメでも(無印では)かなりの高性能マシンとして描かれていた為に
このモデルを買い求める子供たちは決して少なくは無かった。

2017年、プロトセイバーEVO.に続いて満を持してのプレミアム化が決定。
スーパー2シャーシの強化ホワイトを標準装備しており、最初から走行モデルとなっている。
ボディはクリヤーカラーからメタリックブルーへと変更されており、塗装の手間が省けるのも嬉しいポイント。
しかも通常生産である為、今後はいつでも好きな時にコブラが手に入るようになる。

のちに、2020年6月に純粋にリアル仕様で再販された。

No.2 プロトセイバーEVO.

2代目の、そして現在最後のプロトセイバーもリアルミニ四駆として登場。
スピンコブラとは違い、キャノピー部分が一体成型ではなく別パーツとなった為、
子供でもマスキングなどの技術を用いなくても、簡単に見本写真を再現できるようになった。

偶然ではあるが、このマシンは10年後に登場するMSシャーシに無改造で載る数少ないボディであり、
MSシャーシ自体も戦闘力がかなり高い優良シャーシの為、
漫画・アニメさながらに戦闘力の高い、万能なプロトセイバーEVO.を簡単に再現できる。
その為、MSシャーシにこのボディをチョイスしているレーサーもかなり多い。

余談だが、このマシンは相当の不良在庫があったのか、
一時期は田宮模型に見学に行けば貰えたりとかなりの冷遇を受け続けていたが、
第三次ブームにより価格も高騰、定価の3倍出してもまだオークションの相場には届かないなど
かなりの高騰っぷりを見せている(それでも他のリアルシリーズに比べればまだマシと言う…)

…しかし、時は流れて2016年、
何の前触れもなくARシャーシを引っさげ、ボディの成型色をパープルに変えて
走行用モデルのプロトセイバーEVO.プレミアムとして堂々の復活を果たす。
しかも通常ラインナップなので、焦らなくてもいつでも手に入る。
純粋なリアル仕様ではないものの、方軸最新であり当然性能の高いARシャーシを採用しており、
最初からかなり戦闘力の高い実戦向きなモデルとなっている為、復帰組にも優しい一台となっている。



特にアニメの『爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP』で
最初から最後まで最強ライバルの一角にあり続けた、アメリカ代表『アストロレンジャーズ』の
メンバー全員の愛機として用意されたのがこのバックブレーダーSA☆
このwikiですら個別項目が存在するほどの超人気マシンなので、
詳しくは該当項目をチェックDA☆
人気とは裏腹に実のところリアルミニ四駆で一番ギミックがしょぼい。
せめてアクティブサスペンションは再現してほしかった。

余談だが、ニ度リアルミニ四駆そのままに再版された上、
クリアボディーやらブロンズメッキボディやらと単品も数多く発売されたにもかかわらず、
スピンバイパーと同等の、リアルシリーズ屈指の超プレ値で取引されている。
オペレータールーム!どういう事だ!オペレータールーム!!

2015年、クリヤーボディだけが通常ラインナップで再販された為、
プロトセイバー、スピンコブラと並んで手に入りやすいマシンでもある。


No.4 スピンバイパー
スピンコブラに続いて、第3のスピンも堂々のリアルミニ四駆化。
今までのリアルミニ四駆よりもメタリックパーツの露出度が遥かに高く、
より近未来な、リアルミニ四駆足り得るモデルと化している。

無改造でS1、TZ、SFMの3シャーシに載せられる親切設計となっており、
一時期は(粗雑な改修で)VSシャーシに載せられて走行用キットとして販売されていた。

原作・アニメでの最強のスピンであった事もあってか、現在非常に高い人気を誇り、
バックブレーダーと共に相当のプレミア価格で取引されている。
欲しい人は迂闊に手を出さず、タミヤに再販希望メールを出して気長に待った方が良い気が……

と思ったら、2015年に赤色のVSシャーシ搭載版が、ボディの成型色を黒に変えて限定販売決定!
香港のWAIGO HOBBY限定でな!!
…このあんまりな仕打ちに、流石に日本のレーサーたちは阿鼻叫喚の地獄絵図に叩き落された。
一応日本国内でも個人ないしショップが輸入販売を行っているが、やはりかなり高額。

ちなみに、2016年にはなぜかWAIGO HOBBY限定で
先述の黒バイパーのボディ色だけを青・白に変えたパターンも発売される事に。
香港人はどれだけスピンバイパーが好きなのだろうか…
だが、ステッカーが黒に合わせたままであり、余白が黒いので正直手抜き間が否めない。

そして2017年夏、VSシャーシ搭載版のパールブルースペシャルがようやく日本でも再販。
しかし生産個数が非常に少なかったらしく、あっという間に店頭から消え去ってしまい、
結局新たな難民が多数生まれる結果となってしまった。

2020年、リアル仕様の再版が7月に予定だったが、コロナ禍の影響で生産計画が狂ったのか、延期が決まり、そのまま長い事発売日未定だったが半年が過ぎた同年12月、ようやく2021年1月に発売が決定した。


No.5 バイスイントルーダー

爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAXに登場した、草薙兄弟の兄のモデル。
可変トレッド機構を再現し、今までのリアルミニ四駆よりもより一層近未来感を増した。
ただしファントムバイスへの合体はさすがに再現できない。

余談だが、走行用シャーシに載せられる部分がかなり少なく、
そのまま作っても誰だコイツ感が拭えない為、
走行用に買うのは正直オススメできない……
レツゴには珍しい、超シャープな超軽量ボディとしてなら価値はあるが、
そこまでするならポリカボディを加工した方がもっと良い物が作れる上に軽い。

正直な話、リアルミニ四駆シリーズ屈指の空気マシンであり、
三次ブームになってからは話題に登ることすら稀なマシンだったのだが、2019年末に突如として再販が決定。
しかも他のマシンと違い走行用シャーシに換装されるわけではなく、純粋にリアルミニ四駆としての再販である模様。
これは2009年のバックブレーダー再販以来10年振りの快挙であり、レーサーたちを大いに驚かせた。


No.6 ディオマース・ネロ

爆走兄弟レッツ&ゴー!!MAXのラスボス機も、やはりリアルミニ四駆として登場。
同時に、これが2020年現在最後のリアルミニ四駆シリーズとなる。

一見メカニカル要素がさほどないように見えるが、
コクピットの移動やボディのスライドでサーチ―モードからターミネーターモードへの変型を再現でき、さらに前後輪が同時にステアする4WSを再現などまさにリアルミニ四駆の技術の結晶とも言えるモデル。

2002年、スピンバイパーと共にVSシャーシに装いを新たにして再版されたも、これまた絶版。
ブームの末期も末期に登場したモデルだけに、知名度はかなり低いと思われるが
それでもなお他のリアルシリーズと見比べても遜色のない人気・値段を誇る。
3次ブーム来てるんだからいい加減何とかして下さいよ、タミヤさん……

とか言ってたが2020年、スピンバイパーと共にリアル仕様の再版が7月に予定だったが、コロナ禍の影響で生産計画が狂ったのか、同じく延期が決まり、そのまま長い事発売日未定だったが半年が過ぎた同年12月、ようやく2021年1月に発売が決定した。


追記・修正はなけなしの小遣いを貯めて初めて買ったミニ四駆がリアルシリーズで走行せずに泣き明かした皆様にお願いします。

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最終更新:2024年03月31日 15:11