ロボット長官

登録日:2014/12/09 Tue 14:10:59
更新日:2023/06/08 Thu 22:33:00
所要時間:約 4 分で読めます





どうも人間は物覚えが悪くていかん。コーヒーの味が毎日違うんだからな


ロボット長官とは『ウルトラセブン』の第43話「第四惑星の悪夢」に登場した人物もといロボット
身長:1.65メートル
体重:160キログラム
演:成瀬昌彦


概要

地球から120億万キロ(子供か)離れた場所*1に位置し、ロボットが人間を支配している「第四惑星」の中心人物。
外見上は人間と変わらないが、メンテナンス用に顔や後頭部に取り外し可能な部分が存在し、
そこからねじ回しで内部の機械を整備したり、油を挿したりと妙にアナログな方法で定期的にメンテナンスしている様子。

ロボットであるが故に融通が利かず、また、後述するが第四惑星では人間の立場が異常に悪いことも相まって、
秘書をさせている人間のアリーが淹れたコーヒーが、彼の記憶している温度や味と僅かでも差異があれば彼女に暴力を振るうほど怒る。
ちなみにこの後のシーンで「コンピューターは間違いをしない。そしていつも冷静だ」と言っており、話の流れ的に「どの口が言うのか」と突っ込みたくなるが、
自分のことを棚に上げるタイプなのか、普段の冷静さをかなぐり捨てるくらいにコーヒーに拘りがあるのかは不明。後者ならそれこそ人間に淹れさせなければ良さそうなものだが

人間のことはただの労働力と見なしており、彼に限らず第四惑星ではドラマのリアリティ追及のために銃殺されるシーンで本当に人間を銃殺するなど、その扱いは消耗品のごとくぞんざい。
そして、そのようにぞんざいに扱ってきた結果として第四惑星人は向こう500年のうちに絶滅すると予測されるほどその数を減らしており、
彼らに代わる新たな労働力として地球人に目を付けている。

なお、彼が中心人物として治めている第四惑星は基本的に地球にそっくりだが、月が四つあるなど明確な違いがある。
前述の通り第四惑星人はロボットたちに支配されており、彼らの中には「人間もロボットらしく生きるべきだ」と主張する一派もいるが、
そのような主張をする人間は反乱分子とみなされ、A級政治犯として銃殺刑にされている。
そして、命がけででもそんな主張をする人間が出てくる辺り、彼らに所謂「人権」や「自由」などは一切ないと思われ、
大半の第四惑星人はロボットに怯えながら生きている。


劇中での様相

「第四惑星の悪夢」は、そんな第四惑星にダンとソガ隊員の乗った長距離用宇宙ロケット「スコーピオン号」が誘導されるところから始まり、
彼らと面会したロボット長官は、二人に地球人をエネルギー源とするため地球を植民地にする目的を語る。
目の前で起きている事態が理解できない二人だったが、ロボット長官の秘書を務めるアリーからメモという形で彼らの命と地球に危機が迫っていることを伝えられ、
隙を見て脱走。
アリーは恋人と共にダンたちを人間居住区に匿おうとするも軍人に逮捕されてしまい、二人は処刑を言い渡されるが、その寸前でダンとソガが彼らの救助に現れた。
しかし、ロボット署長に銃撃されたソガが負傷してしまい、一転してダンは窮地に陥るが、そこでウルトラセブンに変身。
セブンはエネルギー消費が激しいワイドショットを初めとする光線技でロボットの街や地球侵略部隊を徹底的に攻撃し、
ロボットたちの地球侵略は未然に防がれることとなった。
ロボット長官がどうなったのかは不明だが、おそらくセブンに破壊された建物等と運命を共にしたものと思われる。

その後、ダンとソガはスコーピオン号で第四惑星を脱出して地球に帰還し、地球で自分たちが見聞きしたことを訴えるが信じてもらえず、
何故かソガがロボット署長に負わされた怪我も治っていたため、 宇宙航行時の人工冬眠中に夢でも見ていたのだろうと言われてしまう。

自分たちが経験した第四惑星での出来事は本当にあったことだったのか、それとも夢だったのか。
そう悩みながら、ダンたちはロケットの無人制御化に乗り出す地球防衛軍の姿に「いずれ地球もあの第四惑星のようになるのではないか」という不安を覚えるのであった――

という形で『第四惑星の悪夢』は幕を下ろすため、第四惑星が本当に存在するのか、それとも夢だったのかは謎のままで終わる。
実相時昭雄監督作品にはよくある展開である。
尤も、こののちには『ウルトラマンレオ』のサーリン星人や『ウルトラマン80』のファンタス星人のように
本当に自分たちの作った機械に滅ぼされてしまった宇宙人も登場するので、単なる夢だったとは言い難い後味の悪さもある。

ちなみに、同話のシナリオ決定稿では武装した人間達の反逆に遭い、ロボット署長と一緒に乗っていた車ごと襲撃され、
その際に頭の蓋が外れて部品が飛び出すという、破壊されたことを示唆する場面があった。
さらに決定稿2では処刑場に出現したウルトラセブンに驚き、署長ともどもジープに乗って逃走を図るもセブンに踏み潰されたという結末を迎えている。


関連キャラクター

◆ロボット署長
演:森塚敏

ロボット長官の部下で、勲章のついた軍服を着たロボット。護身用に拳銃を所持している。
まるで硬めのガムでも噛んでいるかのごとく、ほぼ常に口から「ゴリッ、ゴリッ」という音を立てているという特徴がある。
平時は街の治安維持にあたっているらしく、人間には容赦がなく子供でも平気で乗馬用ので殴りつける。
最後は恐らく長官共々破壊されたと思われる。
ちなみにロボット署長とは後でつけられた名前で、書籍によっては別の名前で記載されていることもある。


余談

ロボット長官の演者である成瀬昌彦氏は、プロテ星人の人間体や『帰ってきたウルトラマン』のナックル星人長官の人間体も演じている。

ダンとソガが搭乗した宇宙ロケット・スコーピオン号が第四惑星に漂着した際、現在日付を示すカウンターが2000年8月30日と表示されており、
セブンの時代設定が1987年だとすると13年間も地球から時を超えて来たことになるが、
セブンの時代設定はたまに放送当時の1967-1968年が描かれていたりするので本話限定の可能性も高い。

本作は予算の都合で巨大な怪獣も宇宙人も登場しない、いわゆる「怪獣の出ない3部作」の3本目である。
怪獣は登場しないが実相寺昭雄監督の演出によって見ごたえのあるSF作品に仕上がっている。
だからと言ってロボット長官や署長を怪獣図鑑で「怪獣」として扱うのはどうかと思うが。
アンドロイドゼロワン、君もだ。

脚本の上原正三氏は「ウルトラセブンでは共同脚本を含めて相当数書くことになった。中でも第四十三話『第四惑星の悪夢』は忘れがたい。」と語り、
実相寺監督について上原氏は
「『新型宇宙ロケットのテストパイロットとしてダン隊員とソガ隊員が乗り込む。ロケットは順調に飛行。だが着いた所は地球そっくりの惑星。
 そこはロボットが支配する第四惑星だった。』そんなストーリーであった。実相寺は天才演出家と噂される男だ。

 私は天才が苦手なのでよけい緊張した。
 『なまげん(生原稿)は読みにくい。印刷にしてよ』
 原稿をぺらぺらと読んだ実相寺は、そう言い残してどこかへ行ってしまった。
 それもいきなり決定稿でよいという。何となげやりな男だと思った。
 組むんじゃなかったと後悔した。しかも多少の手直しで決定稿になった。

 ところが試写を見て驚いた。凄い映像世界。シナリオの不足部分を、ト書きの行間を演出することで見事に補っている。
 不可思議で不気味なSF作品に仕上って面白いのだ。演出家の才能をあらためて認識させられる作品になった。」
と語っている。

ゲーム『ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス』にはこのエピソードをもとにしたシナリオが存在し、
そちらではロボット長官たちはモビルスーツに乗り込んでセブンを強襲するという展開になっている。

『ウルトラ怪獣散歩』では3シーズン第6回では終盤ケットル星人とペロリンガ星人が知名度の問題で論争になり、
ケットル星人が「知名度が超低いペロリンガさんに言われたくない」と言うと
ペロリンガ星人は「はあ!?ほぼほぼ人間なあいつより知名度低いってどういうことだよ!?」とロボット長官の静止画が使われた。

アニメ『SSSS.GRIDMAN』では放送第9話にて、新条アカネが所持する怪獣コレクションの一つとして
ロボット長官のソフビ(造形からして恐らくサンガッツの円谷怪獣総進撃シリーズ)が登場している。


追記・修正は正確に行え。

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最終更新:2023年06月08日 22:33

*1 地球から冥王星までの距離はおよそ48億kmで、さらに2.5倍も離れていることになる