スベトラーナ・ベリコバ

登録日:2015/02/18 Wed 12:47:29
更新日:2023/11/01 Wed 10:28:22
所要時間:約 6 分で読めます




「この機会を逃せば、我々の真の独立派は永遠に幻となってしまいます。
それだけは絶対に避けなければなりません。何があろうともです 」


スベトラーナ・ベリコバとは、『バイオハザード ダムネーション』の登場人物の1人。

CV:ウェンディー・リー/川崎恵理子



旧ソビエトの社会体制崩壊後に独立して主権国家となった東スラブ共和国の女性大統領。
わずか一代で国内最大の大富豪(オルガルヒ)に成り上がった美女であり、多くの企業団体からの圧倒的な支持を集めている敏腕政治家でもある。
ビジネスで蓄えた資金力で政界に進出して地位を高め、共和国初の女性大統領となり、
その後、国内から産出される石油や天然ガスといったエネルギー資源で豊かな経済社会を実現させたり、豊富な財力で政治に介入したりする等、彼女なりの揺るぎない愛国心と優れた手腕で東スラブを発展させていた。

だが、それらの政策は企業やオルガルヒ等の富裕層の優遇に偏ったものであり、その裏で冷遇される貧困層にとっては圧政以外の何者でもなく、一部の貧困層で構成された反政府勢力である独立派を生み出す大きな要因となってしまった。

小説版では東スラブの格差社会や政府の横暴が掘り下げられており、国内における治安維持の為なら、体制を転覆させるかもしれない不穏分子(テロリストや革命家)はおろか待遇改善を訴える貧困層に対しても容赦なく取り締まっていた。
具体的には、民衆が抗議ビラや抗議デモで政府に不満を訴えただけでも一方的にテロリストと見なして逮捕し、それに抗議すると今度は政府軍が出動して武力に物を言わせてデモ隊を砲撃する等、非道な弾圧を平気で行っていた。

その結果、国内での貧富の格差が時を追うごとに広がって貧困層の不満を爆発させ、反政府勢力の台頭、政府側と独立派による内戦に導いてしまう。

その状況を憂いたスベトラーナは、ゲリラ戦の拠点である土地を明け渡すという約束で独立派に停戦を申し出て説得、敵対していた彼らと和解することに成功した。
しかし、その数年後、一度は独立派に自治区として明け渡した土地に豊富な地下資源があることが判明した途端に手のひらを返して、「テロリストに土地を不法占拠された」という難癖に等しい理由を突きつけて政府軍による武力侵攻を再開。*1
当然これにブチ切れた独立派は徹底抗戦を宣言。東スラブ国内は再び戦場となり、内戦は日増しに泥沼化した。

……とここまでだと、この手の人物によくある「戦場から遠く離れた後方でふんぞり返って指示だけ出す」タイプで終わってしまうが、
スベトラーナはバイオハザードの歴代キャラに匹敵する程の超人なのである。




超人なのである




……大事な事なので二回言いました(笑)

大統領である彼女には教官クラスの軍人というもう一つの顔があり、ロシアの軍隊格闘術「システマ」を駆使する女傑でもある。
…どこぞの借金持ちゴスロリ姫とは無関係。

その実力は、多くのクリーチャーを散々倒してきたレオンやエイダと互角以上にやり合う程の戦闘力であり、シナリオと尺の都合により最後まで2人に敗北することはなかった。



◆過去◆

劇中では殆ど触れられなかったが、小説版によると元々は解体前のソビエト連邦出身であり、反政府活動家だった父親の影響を受けて反政府運動に参加していた。
なお、その父親はスベトラーナが幼い頃に政治犯収容所へ送られ、そこで命を落とした。
その後、父親を奪った国家への復讐という形で活動していた彼女もKGBにスパイ容疑として捕まった挙句、その時に受けた拷問によって心身共に深い傷を負った。
それらの経験が東スラブの独立に命を賭ける原動力となっているのだが、彼女のやり方は本質的に「守るべきもの」と「切り捨てるもの」を自分達の都合で選り好みしているに過ぎず、皮肉にも彼女が憎む大国と何ら変わりないものであった。
それ故か、他のバイオハザードシリーズの黒幕と比較すると、紛争やバイオテロを一種のビジネスライクなもののように何処か醒めた捉え方をしていたようではある。

ちなみに上記の拷問の傷跡が今でも背中一面に残っており、劇中の着替えシーンで確認できる。



◆本編での活躍◆

東スラブの真の独立を果たすため、泥沼化しつつある内戦の早期終結に力を入れる一方で、政府が極秘で量産化した支配種プラーガを利用して世界的に大きな発言権を得る為の自作自演のバイオテロを画策。
その準備として、自ら養蜂家(ビーキーパー)と名乗ってプラーガを国内に放ち、独立派によるバイオテロを誘発させ、独立派を支援している長老達を石油で得た利益で買収。
…もっとも、初めからその約束を守るつもりはなく、のちに長老達全員を用済みとして処刑した。
そして、独立派に「B.О.W.を実戦使用した凶悪なテロリスト」というレッテルを貼った上で彼らへの武力行使の正当性を国内外へ広く訴え、内戦終結後の国連やEUの加盟を円滑に行う下地を作るというのが(おそらくは)彼女の筋書きである。

序盤で「BSAAの特別調査官」という肩書きで政府に潜入していたエイダ・ウォンの正体にいち早く気づき、彼女と格闘戦を繰り広げて圧倒したが、まだ彼女には利用価値があると判断したのか、あえて殺さずに身柄を拘束するだけに留めた。
…その後あっさり逃げられたがな。

エイダ「気をつけた方がいいわよ。あのオバサン結構怖いから」

その後、レオンとエイダの介入を受けながらも、目論見通りにサーシャ率いる独立派が大統領府を襲撃するように仕向けることに成功。
その際にはリッカーを引き連れたサーシャの奇襲を受けるも、返り討ちと言わんばかりに既に先手を打っており、
あらかじめ設置しておいた特殊強化ガラスの見えない壁(その強度は対物ライフルですら壊せない程)で彼らの攻撃を完全にシャットアウト。残念でしたぁ。

だが、それでも見苦しく食い下がるサーシャを見るなり彼女は澄ましたような顔で…

「私を殺してどうするというの? その後の事は? 独立を果たした後は一体誰が国を導くの? 貴方?」

将来に対して明確な展望も具体的な打算もあるわけでもなく、そのくせ自分達を愛国者と思い込んで「お前は国を破滅に導く偽善者」と非難してきたサーシャに対し、これまでの独立派の行いに対する皮肉を含んだ言葉を浴びせると共に切り札である巨大タイラントを召喚して徹底的に現実の厳しさを見せつけた。
そして、トドメと言わんばかりに地下施設内全てを焼却するシステムを起動させ、秘書官と共に脱出した。

その後、別の建物にある新しい大統領執務室で記者会見を開こうとしていた。…ついでにエイダを国際指名手配した。
レオン達を始末した後に全ての悪行を独立派に被せ、記者会見を開いて新たに東スラブ共和国を国際社会へと参入させることを目論んでいたのだ。
勝利を確信したスベトラーナは一度リハーサルを行なってからカメラの前で国民に向けたメッセージを読み上げようとした瞬間、
秘書官が突然駆け寄って予想外の報告をしてきた。

それは彼女の陰謀に気づいたアメリカがロシアと手を組んで東スラブへと侵攻を開始したという最悪のニュースであった。

圧倒的な軍事力でタイラントを瞬殺し、政府軍を降伏させた。…それは正にスベトラーナの野望が潰えたことを意味しており、彼女も現実の厳しさを徹底的に見せつけられてしまったのだ。
漁夫の利を得る形でアメリカとロシアに武力介入された東スラブ共和国は平和維持という名目で米露が中心の暫定政府が置かれることとなり、長年続いていた内戦があまりにも皮肉な形で幕を下ろしてしまう。
劇中ではこの時点で彼女はフェードアウトしており、その後の末路もイングリッド・ハニガンの口から「大統領を辞任した」と語られるのみであったが、小説版ではスベトラーナ達の結末が詳しく描かれている。



◆末路◆

半生を懸けてまで実現させようとした理想を打ち砕かれ、失脚するのも時間の問題であった。
それはかつて独立派に対してそうしたように、今度は自分達が行なってきたプロパガンダを米露という大国の大義名分に利用された挙句に武力で制圧されてしまったのだ。
敗北を悟ったスベトラーナは自暴自棄になることなく、潔く事実を受け入れて銃で自決しようとしたが、彼女を慕っていた秘書官に制止された。
補佐を務め自分を気遣おうとする秘書官に諭された事により、一度は希望を失いかけたスベトラーナは大統領を辞任した後、
自分を未だに必要としてくれる支持者達を連れて国外へと逃亡した。

……いつの日か再び返り咲く日を夢見て




◆余談◆

字幕版を演じた中の人は過去に『バイオハザード アウトブレイク FILE2』でリタという女性警官のCVを演じていた。





追記・修正は反政府勢力を排除してからお願いします。

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最終更新:2023年11月01日 10:28

*1 地下資源による利権で独立派の影響力が強化される(政府側にとっては不都合な)可能性を防ぐためと思われる。