橘高淳

登録日:2015/07/01 (水) 14:55:45
更新日:2023/12/25 Mon 12:49:25
所要時間:約 4 分で読めます







ガタガタ言うな





概要

橘高(きったか)(あつし)とは、プロ野球の元公式審判員である。

1962年12月17日・滋賀県出身。名字は『きったか』と読む。
かつては、阪神タイガースに所属していた元プロ野球選手でもある。

プロ野球審判員としての現役時代はあのトラブルメーカーの白井一行氏などと並んでトラブルが起きやすい審判として有名。


解説

野球選手として

高校時代は、滋賀県立瀬田工業高等学校に通学していた。

橘高はそこの野球部に所属し、全国高校野球選手権大会に出場を果たす。
瀬田工業の野球部も、ベスト4の成績を残すことに成功する。

そして橘高はついに、1981年に阪神タイガースに捕手としてドラフト外で入団。

与えられた背番号は、『65』だった。
ちなみに、同期入団は後に一緒にセリーグ審判となる渡真利克則*1であったことも有名な話。
この渡真利氏は、審判としての評価も高い人だった。

入団を果たしたものの、橘高は選手として実績を残せなかった。

同期入団の渡真利は、タイガース優勝時のウィニングボールで名前が知れ渡った。
その一方で、橘高は一度も1軍に登録されることもなく1983年に戦力外となる。
その後は、阪神タイガースでブルペン捕手を務めることになる。

しかし、ブルペン捕手を務めてから1年という僅かな期間で退団する。


審判として

ブルペン捕手を辞めた彼は、1985年にブリンクマン審判学校を経て、セントラル・リーグ審判部に入局。

これまでの審判としての通算試合出場数は、2300試合を超える。
オールスターゲームへの出場は4回、日本シリーズ出場は6回にも及ぶ。
その実績もあってか、現在はクルーチーフにもなっている。

また、ストライクコールに特徴がある。

2022年に定年退職。


評判

悲しいことに、橘高の審判としての評判はあまりよろしくない。

橘高自身がベテランという事もあり、長年プロ野球を見てきているファンからの評価は低い。
検索エンジンで彼の名前を検索すると、サジェスト汚染もあるだろうが『誤審』などの不穏なワードが出てくるほど。

その一番の理由としては疑わしい判定の多さと、彼の態度にあるとされる。

少し感情的なのかもしれないが、とにかく選手や監督に向かって汚い発言が多い。
ガタガタ言うな』『二流選手が文句を言うな!』などは有名な台詞。

二流選手発言は当時の立浪和義に向かっての発言であるが、立浪は名球会入りを後に果たしたほどの名選手である。
この発言などから、一部のファンからは『橘高氏は(自身がプロ選手として活躍できなかったから)プロ選手にコンプレックスを持っているのでは?』という邪推も。
また、選手や監督は暴言によって罰金を科されるのに対し、審判の暴言に罰則が無いことを疑問視する声も。

態度を抜きにした判定面でも批判は多い。

判定も誤審と疑われるような物が多くみられ、トラブルの原因を作っている。
球審としても、ストライクが可変ゾーンだと指摘する声が多い。

ただ、ここまで書くと悪評だらけに見えなくもないが、決して能力が低いわけではない。

彼の堂々とした審判としての立ち振る舞いなどは評判がある。
こういった部分は、良い意味でも悪い意味でも安定していると言える。

また、上記のような誤審や暴言等は近年は以前と比べて減少傾向にはある。
だが悲しいことに、少しでもトラブルがあると『また橘高かよ』と言われてしまうのが辛いところ。
やっぱり、失態を犯すと汚名返上するのはかなり厳しいってことか。

とりあえず、感情的になる面を抑えれば今後評価は向上するかもしれない。



有名なトラブル

一番有名なのは、1998年7月31日阪神VS巨人戦。

当時巨人のバルビーノ・ガルベス投手が本塁打を打たれた際に橘高球審の判定を不服として抗議した。
それは、被弾直前に際どいコースの投球をボールと判定されていたためである。

不味い雰囲気になったため、長嶋茂雄監督はピッチャー交代を告げガルベスをベンチに戻そうとする。
この時なんとガルベスは、橘高目がけてボールを投げつけた。
幸いにも、ボールは直撃せずに彼の方にバウンドしたボールが転がっただけであった。
この際に、ガルベスはボールボーイにボールを返しただけだと主張。

この前代未聞の行為に橘高は当然激怒し、ガルベスに向かって走った。
激怒して向かってくる橘高に対し、ガルベスも応戦し乱闘騒ぎとなってしまった。
結果的に、ガルベスはそのシーズンの全試合出場停止処分となった。

そして、橘高でもガルベスでもなく無関係な吉原孝介が乱闘に巻き込まれ顔面を負傷することに。


2000年5月6日の中日VS横浜戦もかなり有名。

7回裏の中日の攻撃、立浪和義選手はストライク判定に不満を持ち橘高を小突く。
橘高は立浪を退場処分にするが、その時星野監督に体当たりされる。
そして、中日ベンチから選手・コーチが一斉に橘高球審のもとに詰め寄り乱闘騒ぎになった。

大西崇之が橘高の胸付近を殴り、橘高は右肋骨骨折と左肩、背中などの軽傷を負う。
大西がこのような行動をしたのは、橘高が「この若造が!」*2と言い放ったらしく、それが原因である。
もっとも、大西が暴力行為に走ったことは許されることではないが。

また、後に名球会入りする立浪に対しても「二流選手が文句を言うな!*3と罵声を浴びせている。
審判が文句を言うなと言ってしまえば、ある意味おしまいである……。
それに立浪が仮に二流選手だったとしても、一度も一軍の試合に出場していない橘高が二流選手と罵る資格は無い。

最終的に立浪・星野監督・大西の3人が退場処分を受ける。
星野監督は5日間の出場停止と50万円の罰金、立浪は5日間の出場停止、大西に10日間の出場停止と10万円の罰金。

その後、この3人はそれぞれ別地域に住む一般人2名によって傷害罪で名古屋地方検察庁に刑事告発される。
「なんで当事者じゃない人間が刑事告発?」と思うが、実は刑事告発は誰でも出来たりする。
しかし、橘高本人から被害届が出ていないとの理由で、3人は書類送検された後に起訴猶予処分となった。


2011年10月2日の西武VSソフトバンク戦でも、橘高は再び変な行動をしてしまう。

9回裏の西武の攻撃、打者・栗山巧のハーフスイングを橘高三塁塁審はスイングと判定し空振り三振で試合が終了。
これに西武の渡辺久信監督は、これを不服として橘高に向かって抗議に向かう。

橘高は、ハーフスイングの抗議は禁じられていることを伝えようとした……
までは良いのだが、ここで「ガタガタ言うな」と言いかけてしまい渡辺監督を激昂させる。

これはまずいと思ったのか、橘高は「今のは取り消し」と言って発言をすぐに取り消そうとする。
しかし、時すでに遅く渡辺監督の怒りは収まることは無かったのだった……。
思わず漏れた本音なのかもしれないが、普通は漏らさないし『今のは取り消し』という弁解もどうなのか……。
一応橘高自身も、この発言については反省の弁を述べている。

なお、栗山選手がスイングをしているかどうかの判定は難しいところ。
だが、審判たちがゲームセットのコールをしないなど、対応のまずさを見せる試合になっている。


ここで挙げた例にもいくつかトラブルが起きているので、興味があれば検索してみよう。



補足

彼絡みでトラブルが起きたいくつかの試合の内、三試合が『プロ野球珍プレー・好プレー大賞』で取り上げられた。

この番組は、文字通りプロ野球の珍プレーや好プレーを取り上げる番組である。
実はこの番組、橘高を初めとする審判団は心地よく思っていなかった。
番組内で審判を茶化したり、みのもんたのアフレコが気に入らなかったのだとされている。

番組に対し、ナレーションなどの自粛を求めたことも。







追記・修正は、橘高氏が審判を務めた試合を観戦してからお願いします。

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最終更新:2023年12月25日 12:49

*1 現在は阪神園芸職員。

*2 当時の大西は29歳の中堅選手。

*3 当時の立浪はチームの主力で有り続け、後に2000本安打を達成している「超一流選手」となっている。