ハサミ少女と追想フィルム

登録日:2015/12/12 (土) 09:14:00
更新日:2021/11/27 Sat 12:11:10
所要時間:約 4 分で読めます




「ハサミ少女と追想フィルム」は佐島佑による小説。ジャンルは青春ホラーミステリ。
角川ホラー文庫より出版されており、ジャンルにも「ホラー」と付くが、オカルト要素はあるものの恐怖感を与えるような描写は少ない。
ライトノベルと一般文芸の境界にあるキャラクター文芸として扱われている。
2015年12月現在、2巻目まで刊行されている。


【あらすじ】
内気な美大生の道郎は、おかしな先輩・檜垣に映画作りに誘われる。
檜垣に渡されたホラー映画を見ていると、画面から大ハサミを持った少女が飛び出してきた!
以来、不思議な事件に遭遇するようになり……。
(KADOKAWAオフィシャルサイトより)


【登場人物】
  • 都築 道郎(ツヅキ ミチロウ)
「大事なものは、自分の中に置いておくより、みんなで語り合いたいもの」
帝陽美術大学文芸学科の一年生。
やや内気な性格の上、新入生歓迎会に参加できなかったことでグループに入り損ねたところを、
檜垣に目を付けられホラー映画の脚本を任されることになった。

人の個性に合わせて面白い台詞を考える特技持ち、
それを檜垣に言い当てられアテガキでシナリオを製作している。
カルミンと出会ったことでハザマの存在を知り、その想いに触れていくこととなる。

  • カルミン
「こうなれば、わたしも、じぶんのチカラでみちろうを怖がらせてから帰るぞ」
道郎が『アンダーベッド・シザーズ』の録画DVDを鑑賞した際に画面から飛び出した、
黒いワンピースを着た金髪の美少女。背丈の半分はある巨大なハサミを振るう。
道郎や霊感の高い人間以外には見えず、通り抜けてしまうため物体に触れることもできない。
自身に近いハザマの存在を察知し、その鎖を出現させ断ち切る力を持つ。

本来は人間を切断することを遊びと呼ぶ無邪気で凄惨なキャラクター。飛び出した当初は道郎を斬ろうとした。
徐々にもとの世界と、そこでの自身についての記憶がボヤけていっており、
一度は襲おうとした自分を守ろうとし、モトの世界に帰そうとする道郎に懐く。

  • 檜垣 鷹士(ヒガキ タカシ)
「時に、ミチロウ。君は一人暮らしかな?」
帝陽美術大学放送学科の三年生。適当な性格で厚かましいが人を見る目には優れている。
顔が広く学内の情報に詳しいが、美術学科に関しては知らないこともあり悔しがっている。
同学年と思わせる形で道郎に近付き映画作りに誘い、シナリオ担当を任せた。
自身は監督と撮影場所の確保などの雑務を行っている。
モノづくりに対しては真剣で、道郎の才能を認めつつも脚本が大したことなければ二度と組まないと断言もして、
逆に監督として大したことないと思われたなら切り捨てられる覚悟もしている。

  • 速水理緒(シミズ リオ)
「あっ。道郎くん、私のことを、変人を装っている人だと思ってないよね?」
道郎と同じゼミに通う少女。流木研究会所属。
少々個性的で道郎からは好意を寄せられている。
もともと集団活動に興味があり、ストーカー事件を契機に映画作りに参加した。

  • 星野朱里(ホシノ アカリ)
「そんなんじゃないさ。感謝されるような仕事だよ。どうする?」
檜垣の先輩の卒業生。通称は「江古田の魔女」だが本人的には不本意。
カツラで色々おしゃれできるという理由でスキンヘッド。
趣味でトーテムポールを製作しながら何でも屋を営んでおり、後輩にバイトを紹介している。
ハザマの類を目視し、鎖から解き放つ力を持っている。
道郎に異なる世界のものと深く関わらない方がいいと忠告の言葉を送ったことでカルミンからは嫌われている。

  • 八森 昌樹(ハチモリ マサキ)
「僕、大学生デビューできてます?」
帝陽美術大学写真学科の一年生。傷付きやすいがお世辞を額面通りに受け取る面倒臭い性格。
顔立ちはいいが自身のなさからネガティヴな雰囲気を醸し出していた。
写真を撮って女子と仲良くなった友人の真似をして、
同サークルの女子の写真を撮ったことで軽蔑され、弁解しようとメールを大量に送ったことで孤立していた。
地面に寝そべり泣き伏せっていたところを道郎に慰められ容姿を褒められたことで自信を持ち、そのまま映画作りに協力することになった。
理緒に好意を寄せ始めたため、道郎からは警戒されている。


【用語】
  • ハザマ
この世界と別の世界との間で自分が揺れているモノの総称。
死者の霊や、物に宿った魂など様々。
この世に繋がろうとする想いが鎖となり、執着していた物や縁のある人物などと繋がっている。
ほとんどのハザマの鎖は普段は見えていないが、
純粋な動物霊や憎悪など強過ぎる感情に染まったハザマは、他者を引き込むことができる。
後者は自身の体も縛られていることが多い。

  • フィルム
カルミンのハサミにより断ち切られた鎖から変化して生じる。
触れた者の脳内にハザマの過去や想いを象徴した映像を追想させる。

  • アンダーベッド・シザーズ
ホラー映画でテンプレ的な男女5人が森の中の洋館に入り込みカルミンに襲われるという内容の洋画。
途中まで見た道郎は登場人物の行動に興醒めし欠伸を噛み殺している。
深夜帯でTV放送されたことはあるようだが無名でDVD化もされていない。
カルミンが飛び出した録画DVDは、データが破損し映らなくなった。
道郎に手渡したのは檜垣だが、他の映画と共にとあるサークルに置いてあったものを無断で持ち出しただけで詳しくは知らない。


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最終更新:2021年11月27日 12:11