ロボコップ3(映画)

登録日:2015/12/19 Sat 10:31:41
更新日:2024/04/15 Mon 18:26:37
所要時間:約 8 分で読めます




LIST PRIME DIRECTIVES:

1>SERVE THE PUBLIC TRUST
2>PROTECT THE INNOCENT
3>UPHOLD THE LAW
4>NEVER OPPOSE AN OCP OFFICER





パワー最強ついに最後の超絶バトル
究極の興奮が―――「飛来」する。




『ロボコップ3(RoBoCop3)』は93年の米国のアクション、SF映画。


【概要】

90年に制作された『ロボコップ2』の続編。
また、87年に制作された『ロボコップ』から続く、オリジナル版3部作の完結編でもある。
3作目にして遂に主演のピーター・ウェラーが降板(※ウィリアムス・バロウズ原作の傑作カルトにして、本人が原作のファンだった『裸のランチ』出演の為)。
もう一人の主演とも呼べるナンシー・アレンも出演はしているものの早々に退場、とシリーズを見てきたファンからは寂しい限り。
こうした事情もあってか、ファンからもネガティブな要素のみを強調されて語られがちで“本作だけはシリーズに入れるのには躊躇いがある”との声までが聞かれる。
しかし、音楽担当と共に久々に“初代ロボコップのメインテーマ曲”が復活していたり、完結編らしく過去作(特に初代『ロボコップ』)からの引用やオマージュが多く、デトロイトの命運も明らかになる等、最終編に相応しい作品としては纏められている。


大ヒットとなった『ロボコップ』シリーズの完結編だが、ブームが一段落していた事もあってか前2作に比べるとマイナーな印象の作品となってしまった。
これまでの『ロボコップ』のキャラクターには合致しない様な異常な高性能を誇る敵キャラクターや、何よりも本作のみのロボコップの描写には少なくない批判が集まり、色々な意味で過去作に比べてツッコミ所の多い作品となってしまったのは間違いない。
……しかし、落日の暗黒メガコーポと化して手段を選ばなくなったオムニ社や、それを裏から操るバブル時代の日本企業のカリカチュアライズとも呼ぶべきカネミツの存在といった舞台設定は十分に魅力的で、それらの本作独自のマッポーめいた世界観を評価する声もある。
技術の問題か予算の都合か、クライマックスの合成丸出しの飛行シーンは当時から笑いものであったらしいが、日本の特撮作品の影響とも言われるそうした展開には矢張り燃える物があり、本作を受け入れられたファンからは“ヒーロー”ロボコップの到達点として、逆に評価すべきポイントとして挙げられている。

原案は前作に引き続いて米コミックス界のカリスマ、フランク・ミラー。
本作の敵キャラクターの名前のオートモが『AKIRA』により世界的な評価を受けた漫画家・大友克洋に由来しているのは日本の漫画にも強い影響を受けたミラーらしいチョイスといえる。
監督は原案・脚本も手掛けた80年代ゾンビSFの秀作『クリープス』等で、知っている人は知っているSF&ホラーオタクのフレッド・デッカー。そのため劇中には「サンダーバード」など数々のパロディが登場する。


【物語】

過去の市の混乱の責任を追求された事もあり、今や斜陽となったオムニ社は巨大日本企業カネミツを唯一の救い主として縋り付き、借金の返済の為にデトロイトを綺麗な街(デルタ・シティ)に作り替えてカネミツに売り払うべく、私兵部隊リハッブ隊を使った強引な立ち退き攻勢により次々と市民を収容所送りにしていた。
それと共に街の荒廃とスラム化が益々進行し、デトロイトは武装化したパンクギャング集団「スプラッタパンクス」がうろつく、かつて無い危険地帯へと変貌。
警察の任務は危険さを増し、更には立ち退きに抵抗する市民レジスタンスをテロリストとして追うようにとの指示までもが下ってしまう。
オムニ社の強引な手法に憤りを感じつつも、雇用主である彼らに逆らえない警官達は倫理観との板挟みになる中で忸怩たる想いを抱えていた。
そんな中、任務中に記憶していた情報からレジスタンスの隠れ家に赴いたロボコップは、時を同じくして掃討にやって来たリハッブ隊と対立。
市民を守るべく指令4(オムニに逆らわない)に苦しみつつも抵抗するロボコップだったが、市民が隠れていた教会で相棒のルイスが殺害されてしまう混乱の中で、自らもボディに重篤なダメージを受けてしまうのだった。

立ち退き期限まで残り4日……守る側も追い詰める側も共にギリギリの状態の中で、カネミツは最終手段として秘密エージェントのオートモをデトロイトに送り込む。
果たして、ロボコップは市民と街を守り抜けるのだろうか……?


【登場人物】

※吹替は「日曜洋画劇場」版。

■ロボコップ/マーフィー
演:ロバート・バーク
声:磯部勉
嘗て、オムニ社が誕生させた犯罪防止捜査官にして街のヒーロー。
相棒ルイスとの別れを乗り越え、街を守るべく最後の戦いに臨む。
残念ながら中の人は交代となったが、ちゃんと前任のウェラー似の骸骨顔のバークを選んだ為か、メイクの具合も合いまりパッと見の違和感を無くしているのは流石である。
しかし、登場シーンの半分はポンコツ状態。

■ルイス
演:ナンシー・アレン
声:小宮和枝
マーフィーの相棒であり、恐らくは最も彼を愛していた人。
過去の戦いを生き抜いて来た彼女だったが最後は……。

■マリー・ラザラス博士
演:ジル・ヘネシー
声:日野由利加
オムニ社に雇われている女性科学者(美人)で、ロボコップのメンテナンスやメンタルケアを担当している。フライトパックも彼女が開発した物。
ルイスから引き継がれた本作のヒロイン。
過去作からマーフィーに好意的な美人科学者のキャラクターは登場していたものの、ヒロインとして扱われたのは『3』にして初である。

■ニコ
演:レミー・ライアン
声:紗ゆり
立ち退きを迫られていた一家の娘で、本作の裏主人公的ポジションのロリっ娘。
既に一流ハッカーの片鱗を見せる天才で、ロボコップが好き。
母親の死亡情報を見るに日系人設定の模様。

■ポール・マクダゲット
演:ジョン・キャッスル
声:小林勝彦
オムニ社に雇われた私設傭兵部隊リハッブの隊長で、本作の宿敵。
かなり強引で残酷な手段も厭わない性格。
オムニの子飼いかと思いきやカネミツと直接の連絡も取り合っており、これが社長への反抗的な態度の理由と考えられる。

■リード署長
演:ロバート・ドクィ
声:藤本譲
お馴染み市警の責任者。
市警にリハッブ隊の本部を作られ内心では腹に据えかねていたのか、指名手配犯となったマーフィーがカチ込みに来た時には嬉しそうに居場所を教えていた。
更に後半では……。

■カネミツ
演:マコ岩松
声:麦人
「君たちは肥満で怠慢だ!」
オムニをも超える暗黒メガコーポであるカネミツ世界産業のトップ。
オムニへの多額の融資の見返りとして、“綺麗にした”デトロイトの受け渡しを迫る。
空白の20年間以前の日本企業のイメージを集約した様なキャラクターだが、悪辣なばかりでなく計画が失敗したと悟るとあっさり負けを認めて立ち去るなど潔い面を描かれている辺りに当時の日本人観が見て取れる。

■オムニ社社長
演:リップ・トーン
声:平野稔
現在のオムニ社のトップだが、前任のオールドマンやジョーンズの様なカリスマ性は微塵も感じさせない小物。

■ドナルド・ジョンソン
演:フェルトン・ペリー
声:秋元洋介
お馴染みジョンソン。本作では副社長に就任。
もはやただの小悪党だが、斜陽のオムニ社の尻拭いに奔走する苦労人。

■バーサー
演:CCH・パウンダー
声:塩田朋子
オムニに抵抗する市民レジスタンスのリーダー。
度胸も度量も兼ね備えた女傑だったが……。

■ザック
演:スタンリー・アンダースン
声:小島敏彦
■フレック
演:ブラッドレー・ウィットフォード
声:仲野裕
■モレノ
演:ダニエル・フォン・バージェン
声:山野史人
■クーンツ
演:ステファン・ルート
声:福田信昭
市民レジスタンスの幹部級のオッサン達。
シリーズ恒例の裏切り者もいるので視聴して確かめよう。


【登場キャラクター】


■ロボコップ
カラーリングが再び純粋なシルバーに。
左前腕部を外してアタッチメント式の複合型兵器(機関銃火炎放射器ミサイル)を装備する等、大幅なパワーアップをした反面、前作までは全く触れられていなかったエネルギー切れ問題等の今更な弱点が発覚したり、どう考えても以前より脆くなったとしか思えない様な描写もあってか違和感を感じてしまうファンも。
弾丸を掴める位に反応速度が早い反面、戦闘でのもっさりさが涙を誘う。
今作の最大のポイントは日本の特撮作品やアニメの影響とも言われるフライトパックによる飛行シーンだが、演出はともかく、合成感が丸出しな事には「もう少しマシに出来たろ」との声も。
ただし、物語が暗めである分、遂にパワーアップしたロボが降臨した場面のカタルシスは最高の物である。
ちなみに、序盤で火だるまにされた際に生身の顔が煤けてただけで済んだのは、剥き出しの生体部品も特殊なコーティングによる強度補正がされているためである。

■オートモ
演:ブルース・ロック
カネミツが送り込んだニンジャエージェント。
……その正体は、カネミツが技術力の粋を集めて作り上げた精巧な自立型アンドロイドだった!しかも2体いる!……と云う、これまでの世界観をぶち壊し、観てきた観客の思い込みも粉砕する破壊力抜群の超高性能な敵ロボット。
アメリカンな東洋趣味の部屋で、怪しげな台座に胡坐をかき瞑想する姿は勘違いしたオリエンタルヲタクその物の細マッチョ、絶対ワンオフの特機だと思うじゃん?
動きの素早さはロボコップの比では無く軽々と宙返りを行い、背中に装備したニンジャソードはロボコップの装甲すら易々と切断する程の切れ味を誇る(都合よくアタッチメント部分のみを切ってたのにはツッこんではいけない)。
流石に防御力のみは低めの様だが鉄パイプで顔面を叩かれてもびくともしない、顎関節が故障した様だが力ずくの応急処置と、その後さらに頭部へ機関銃を撃ち込まれても2体目との連携とで復調した、量産型である事もあってかロボコップとの戦力差は絶望的だったが……。
動きがニンジャと云うか、中国拳法みたいなのは当時の常識なので気にしてはいけない。
終盤では前述の通り同じ顔の個体が2体登場し、抜群の連携を見せる。
また、決着方法が前2作に比べて頓知が利いておらず、イマイチだったのも残念な所。
切り札として自爆装置を内蔵している。
名前の由来は『AKIRA』の原作者である漫画家の大友克洋。

■ED209
「犬の様に従順になっちゃう」
番犬の仕事をしていたが、幼女にハッキングされて操られた。
最後の最後まで欠陥品であった。




「大したもんだよお前の追記修正は……確か……マーフィーだったかな?」

「そう呼んでいいのは友人だけだ、貴様達は違う……ロボコップと呼べ!」

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最終更新:2024年04月15日 18:26