登録日:2016/04/29 Fri 21:19:37
更新日:2023/09/06 Wed 08:11:39
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!!!CAUTION!!!
この項目は視覚現象としての「色(色彩)」について記述するものです。
サムライスピリッツシリーズに登場するキャラクター「色」については該当項目を参照してほしいところですがテキストがまだない
坂本真綾の楽曲「色彩」についてはたぶんどこかに記述があるでしょう。だがその他一切のことはわかりません!
Magic the Gatheringの色についてもそちらを参照ください。

また、項目内で文字色を頻繁に変更しており白い背景では読み苦しい箇所も多々ございますが、
「色の名前と文字色をできる限り一致させる」という本項目の趣旨からご容赦いただきたく思います。




色とは目に入る光の刺激によって起こされる視的知覚の一つ。「色彩」という類語も存在する。



色のしくみ


どうみても理科の復習だが、色についての知識を試す色彩検定でもこのへんは必須項目なのでざっと説明する。

光には波長というものがあり、特定の波長の光が目に入ることで色として認識される。
人間が色として認識できる波長域は限られており、波長が長い光(700nm前後)はっぽく、波長が短い光(400nm前後)はっぽく見える。
この範囲におさまる光を「可視光」と呼ぶ。

赤い光より波長が長いから「赤外線」、青紫の光より波長が短いから「紫外線」というわけである。
海が青く見えるのは水分子が黄色の光を吸収し青い光だけが反射されて目に入るためで、
これに対し空が青く見えるのは地球の大気が青い光を散乱させることで「」という色が認識されるためである。
すべての色の光を反射する物質は白く見え、すべての色の光を吸収する物質は黒く見える。
取り込んだ光エネルギーが熱に変換されるため黒いものは温まりやすい。

しかしながら「これは520nmの緑色だな」などと正確に把握できるわけもなく、色の見え方はその時の環境光や見る人の主観に左右されるもので、
これを「色知覚」と呼び、環境光が変わっても色の見え方があまり変わらないことを「色の恒常性」という。

また色が色として感じられることはクオリアの一種である。


色の3属性


色知覚は「色相」「明度」「彩度」の3要素からなる。
ペイントソフトをいじったことがある人なら「HSV」という単語を見たことがあるだろう。

  • 「色相」(Hue)…赤み、青みなどの色の属性そのもの。
色相を規則的に変化させ円形にループさせたものを色相環と呼ぶ。イメージはSAIのカラーウィンドウのみたいな輪っか。
ちなみに日本では色相環の起点を赤色に設定するのが普通だが、ドイツやスウェーデンでは黄色から色を並べる。

  • 「明度」(Value)…色の明るさ。
を混ぜると明るくなり、を混ぜると暗くなる。
明度の高い色でまとめると パステルトーン になり、明度を下げるとダークトーンと呼ばれる。

  • 「彩度」(Saturation)…色の鮮やかさ。
グレーは彩度を持たないため「無彩色」と呼ばれる。
彩度が高いと ビビッドトーン 、低いとダルトーン、無彩色だと モノトーン と呼ばれる。


この3つのパラメータを調整してペイントソフトなどで色を作る場合(ここではピンク色を例とする)、
色相(H)をにし、

彩度(S)を上げて鮮やかな赤を作り、

明度(V)を上げて「明るく鮮やかな赤=ピンク」を作る。

後述の三原色の割合を調節することで調色することも出来るので好みで使い分けよう。


三原色


  • 光の三原色 例:テレビ
前項の長波長を代表する・中波長を代表する・短波長を代表する青紫の総称。
すべての色を混ぜると白い光になることからこの方法で色を作ることを加法混合と呼ぶ。
「RGB」はこの三色の頭文字をとったもの。

  • 色材の三原色 例:絵の具、印刷
青紫をネガポジ反転したシアン(C)マゼンタ(M)イエロー(Y)の3色。シアンチャーン
すべて混ぜるとに限りなく近くなるのでこちらの手法は減法混合と呼ばれる。
印刷に使うインクはこの三色の頭文字に、より暗いを作るための黒インクを足して「CMYK」とひとまとめに称される。

どちらの三原色も混ぜ合わせる(混色)ことによってほとんどの色を作り出すことができる。

ちなみに赤と緑のように色相環で向かい合う関係にある色を補色と呼び、前述の色相環では向かい合って位置する。
0M0)・・・・←こちらを見ればわかるように補色の組み合わせは視覚的インパクトが非常に強いが、
多用しすぎると目に悪くハレーションを起こしてしまう。
手術室の壁や医療関係者の服が緑色なのは、血液の赤の補色を用いることで、
赤色を見続けたときに目にちらつく残像(補色残像)を消して目の負担を減らすため。
(0H0)キリッ←つまりダディを見つめすぎて目がチカチカしたらここを見よう! もっとチカチカするぞ!


カラーコード


このwikiやWebページを編集したことがある人ならなじみが深いであろう。
かつてのアニヲタの集いでは色タグが用いられていたが現在は
&color(#ff0000){赤}
あるいは
&font(red){赤}
などと記述する必要がある。

カラーコードは#000000(黒)~#ffffff(白)の間で赤い光、緑の光、青紫の光が16進数トリプレットにそれぞれ2バイトずつ割り当てられている。
アンサイクロペディアの 色の一覧 にも色名とともにカラーコードが併記されているがどうみても16進数でないものが混じっている。
16進数ということで適当な6ケタの数字を入力してどんな色が出力されるか試してみるのも一興。
ちなみに「セーフカラー」はどのOSから見ても同じように見える色のことだが、液晶技術が進歩した昨今ではそれほど顧みられなくなっている。

以前コーヒー色というのがネタになったことがある。正確にはCoffee(コーヒー色)ではなくC0ffee(シーゼロエフエフイーイー色)
煮干し、紫キャベツ、重曹、牛乳で作れるらしいのでお試しあれ、クックパッドでC0ffeeを検索すると引っかかる。

これを利用することで色彩豊かなページを作ることができるが、カラフルな項目も度を過ぎると色彩の暴力になりかねないので注意。
キャラ分けなどの意図がない限りはページの背景色も含めて3~4色で構成すると無難にまとまるだろう。なおこの項目ではその限りではない。

「配色には美的センスが必要」と思われがちだが理論武装すれば意外となんとかなるもので、上述した色合い・明度・彩度を統一したり、
使おうとしている色が色相環のどの位置にあるのか調べることで、統一感のある配色がある程度できるようになる。


色名


  • 「基本色彩語」
その色名を見聞きしただけで「ああ、あの色か」とすぐにわかる色。
・黒・の認識には文化の差異を超越した共通性があり、
その反面、他の表現を用いて説明するのは不可能で、「赤ってどんな色?」と訊かれても「赤は赤色だよ」「○○みたいな色だよ」としか答えようがない。
ちなみに古代より用いられてきた日本の原色というべき組み合わせは「」「」「」、それに「()」の4色で、
これらの4色は後ろに「い」を付けるだけで形容詞になる。

  • 「伝統色」
伝統的に使用されてきた色の名前。
編集用プラグインでおなじみ『 原色大辞典 』の「和色大辞典」および「洋色大辞典」で代表的なものを参照できる。
たかが色の名前と侮るなかれ、色の名前にはその民族の文化が色濃く反映される。
農耕民族と狩猟民族の違いからか日本の伝統色では植物由来のものが多く、
西洋では動物の皮や毛・血に由来する色名が多く残される傾向がある。

西洋人は空の色にも強い関心を示しており、とある色彩事典ではスカイブルーの条件を
「夏の晴天の午前10時から午後3時までの間、水蒸気や埃の影響の少ない大気の状態におけるニューヨークから50マイル以内の上空を、
厚紙に1インチ角の穴をあけてそれを目から約30cm離してかざし、その穴を通して観察する」としている。細かいな。

伝統色は時代性をも内包しており、古くから使われてきた染料は植物由来のためか明度・彩度が低めで柔らかな色が多く、
近世になると人工染料の登場によって鮮やかな色彩を出すことが可能になった。
三原色のひとつマゼンタ(M)もイタリア統一戦争(1859年)の「マゼンタの戦い」と同時期に発見されたため記念に名付けられたもの。
日本では青色緑色もとくに区別されず「」と呼ばれていた時期があった。緑色なのに「青りんご」「青信号」と呼ぶのはその名残。
そのため外国ではときどき「日本人はを見分けられない」というジョークとして弄られてたりする。

  • 「系統色名」
「明るい/暗い」「赤みの」「緑みの」「鮮やかな」「くすんだ」などの修辞を用いて系統的に色を表現するもの。

  • 「固有色名」
」「」「」などの普通名詞に「色」と付けることで作られた色。このうち慣用的な色名はそのまま「慣用色名」と呼ばれるが、
瓶覗」「利休鼠」「ヴェルディグリ」など実際に見てみないとどんな色なのかわからないものも。


服の色と地位・権威


色は地位や権力を示すシンボルでもあった。

紫色が高貴な色とされるのは染料が貴重であり、限られた階級の人間以外の使用を禁じられていたためで「禁色」という異名を持つ。
カトリック教会の枢機卿には地位の象徴として赤い法衣と与えられ、そのまま「カーディナル」という色の名前が存在する。
サイバンチョが黒い服を着用しているのは何色にも染まらず公平な裁きを下すという「中立」な立場の象徴のため。

これとは対照的に被差別階級は着る服の色を制限されることがあった。
江戸時代後期に発令された奢侈(しゃし)禁止令により派手な色の服を規制された町民たちは、
規制の対象外である地味な色()をいかに粋に着こなすか工夫を凝らし、
48種類の茶色と100種類の鼠色……と比喩されるほどの微妙な色彩を使い分けたことから「四十八茶百鼠」という言葉が生まれた。
現代のオタクたちも似たようなことをやっているので「規制されるとかえって燃える」のは日本人の国民性なのかもしれない。


アニメ・ゲーム・漫画・特撮などにおける色々


スーパー戦隊シリーズにおける戦隊ヒーローの色は幼児でも認識できる6つの基本色()が採用されやすいが、
途中で仲間になったり1話限りのゲストキャラではその限りではない。詳しくは該当項目参照。
プリキュアシリーズでもカラーリングがある程度固定化しており、シリーズを通してピンク黄色のプリキュアが最も多いらしい。

初代ファミコンの赤+白が当時一番安価なプラスチックだった……という話は実は デマ で、単に山内社長の好きな色だったから。
そして「黒いゲーム機は売れない」というジンクスをプレイステーション2が打ち破ったことは有名。
そんでもって「セガサターン、シロ!」は姿三四郎のもじりと「白いセガサターンが新発売」というダブルミーニング。

余談だがゲーム機に限らず商品のカラーリングを決定するときは
など使う人を選ばないベーシックな色」「ブラウンなど高級感のある色」「ピンクなど個性的な色」の
3つのラインから決めていくようだ。
商品のラインナップを見て「この色はどの客層をターゲットにしているのか?」など妄想すると面白いかも。

ポケットモンスターシリーズはゲームデザインの根幹に色名がかかわっていた。
」「」という具合に異なるバージョン名に色名が割り当てられ、パッケージもそれぞれの色にデザインされた。
マサラニビハナダなどの地名は日本の伝統色に由来しており、町にある看板の文章で元になった色がどのような色かなんとなく推測できる。
GBCで発売された「」でカントー地方に行くと建物の屋根の色が町の名前に対応しているのがわかる。
また色違いポケモンがまれに出現したり、分布の違いによってポケモンの色が微妙に違ったり、
「色」という要素を積極的に取り入れるゲームの代表例といえるだろう。

FF:U ~ファイナルファンタジー:アンリミテッド~作中では「ディープヴァーミリオン」「スチールグレイ」など実在する色名が詠唱された。

ジョジョの奇妙な冒険では1部でジョナサン・ジョースターが使用する波紋の一部に
山吹き色(サンライトイエロー)、緋色(スカーレット)、青緑(ターコイズブルー)、銀色(メタルシルバー)など
色名が採用されているほか、
3部で登場するスタンドの一部にも「魔術師の赤(マジシャンズ・レッド)」隠者の紫(ハーミット・パープル)」のように
「大アルカナ+色名」で命名されているものが存在する。

サンドボックス型ものづくりゲームMinecraftでは「染料」と呼ばれるアイテムを合成することで特定のブロックに色を付けることができる。
その辺に生えているタンポポポピーなどの花やサボテンから染料を採ったり、イカ墨を加工したり、地下深く潜ってラピスラズリを採取したりその入手方法はさまざま。

伝説巨神イデオンでは地球人(主人公側)が「武力行使の意思なし」と伝えるために白旗を上げるが、
バッフ・クラン(異星人側)にとって白旗は「お前らを地上から抹殺し真っ白に塗りつぶす」という意味を持っていたため事態が泥沼化してしまう。
こちらも後述する「異なる文化間の色のイメージの相違」を描いたエピソードとして挙げておくべきだろう。
ちなみにバッフ・クラン社会において降伏を意味するのは赤色である。


色のイメージ


→「炎属性・熱血」、→「水属性・クール」など色から連想されるイメージはある程度共通している。
色彩の持つ心理的効果もイメージの構築と密接にかかわっている……が、「色彩心理学」は心理学の体系からは外れて独自に発展してきたものであり、
色の持つ意味や心理的効果に必ずしも科学的な裏付けがあるとは言い難いため過信は禁物。
(例:青色は全人類にもっとも好かれている色である、橋を特定の色に塗り替えると自殺者が減った、など)

そして色の持つイメージは万国共通なわけではない。
「太陽を赤色のクレヨンで描くのは日本人だけ」という話をどこかで聞いた諸兄もいるかもしれない。
実際にはベトナムなど日本以外でも赤色で太陽を描く国もあるようだが、外国ではたいてい黄色のクレヨンで描かれる。
青色で描かれる国もあるらしい。
その他色という単語は人間の欲情をも意味するが、イヤンなイメージの色は日本ではピンク、アメリカではブルー、中国では黄色と全く異なる。
(アメリカではポルノを「ブルーフィルム」と呼ぶことがある)
このように色彩に抱くイメージはその国の文化によってかなり違うので、「ピンク髪のキャラは淫乱」などという風説は海の向こうではおそらく通用しない。

さらに「男性は青女性は赤」のような性別による色のイメージも時として厄介な問題を招いてしまうことがある。
詳細は省くが「女性ならみんなピンク色が好きだろう」という具体性を欠いた雑なマーケティングにより、
結果的に女性受けの悪いデザインの製品が作られてしまう事案が「ダサピンク現象」と呼ばれひところ話題になった。
一口にピンクといってもギャルっぽいケバいピンクと、大人の女性がビジネスシーンでも使えるような上品なピンクとではかなり異なり、
そもそもピンク色を好まない女性も一定数存在する。

また「好きな色」「似合う色」「見ていて楽しい色」が同じとは限らず、マーケティングにおける色の重要さを物語るエピソードといえよう。


さまざまな色覚を持つ人々


ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる特殊な知覚現象をいう。
その一部として本来独立しているはずの「色」と「音」「数字」「時間」のイメージが結びつく、というものがある。詳細は項目参照。
この能力を活用すると長大な数列でもすらすらと覚えられるようになるらしいが、人の顔をなかなか覚えられないなど日常生活には支障をきたすようである。

  • 色覚異常
「色盲」はいずれか1つの色を感知する神経細胞が働いていない状態、「色弱」はいずれか1つの色を感知する神経細胞が異常な働きをする状態。
たいていの場合はないし緑色が見えにくくなり、/黄色が見えにくくなることはまれ。
またまれにいる「1色覚」はモノクロ状態でしか世界を捉えられないうえ、重度の弱視を併発している。
ひと昔前までは学校でも「色が正常に見えているかどうか」という検査が行われていたが、差別を助長するという理由で任意制になった。
X染色体にエラーがあると発現するため、2本とも遺伝子を継いでいないと発症しない女性に比べX染色体を一セットしか持たない男性(XY)の発症率が高い。
また日本人を含むアジア人は欧米人に比べて赤色に対して鈍感であるとされており、日本で販売されるテレビ等は赤色を強くするように調整されている事が多い。
近年、着用することで色覚を補正するウェアラブル端末が開発された。

鳥類や爬虫類には人間の知覚できない波長の色を認識できる4色型色覚の生物がおり、鳥の目から見るとカラスの羽は青色に見えるらしい。
人が見分けられる色は桿体細胞1つにつき100種類^3で約100万色程度だといわれているが、
4色型色覚を持ち1億色を知覚できるという「スーパービジョン」の人間もまれにいるとか……



この項目の作成にあたり『色の名前事典』(福田邦夫,主婦の友社)には非常にお世話になったので興味があればご一読をおすすめする。
色見本の再現性を高めるために5版で印刷され、用紙もいいものを使っているのでサイズの割にちょっと高いが、
デザインや創作を志す人なら持っておいて損はないだろう。色の表現を勉強したい文字書きにもおすすめの一冊。



追記・修正は空の青さを目の見えない人に伝えようと頑張りながら色々お願いします。

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最終更新:2023年09月06日 08:11