甲鉄城のカバネリ

登録日:2016/05/01 (日) 00:17:39
更新日:2024/01/14 Sun 22:03:04
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「貴様、人かカバネか」

「どちらでもない」


「俺はカバネリだ」



『甲鉄城のカバネリ』はWIT STUDIO製作のオリジナルアニメ。
ノイタミナチャンネルにて2016年4月~7月までの全12話でTV放映。
その後、2019年5月には新エピソード「海門決戦」が劇場アニメとしてリリースされた。

監督は『進撃の巨人』『ギルティクラウン』などの「荒木哲郎」、シリーズ構成・脚本は『コードギアス 反逆のルルーシュ』などに関わった「大河内一楼」が担当する。

他にも、キャラクター原案に『超時空要塞マクロス』『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』などの「美樹本晴彦」、音楽に『機動戦士ガンダムUC』『進撃の巨人』などの「澤野弘之」など豪華スタッフが名を連ねている。
まあ脚本については不安の声も結構あるのだが。

地球世界全体がバイオハザードに覆われたという世界観だが、その根源に迫るのではなく、
あえて「何も分からないままに戦い、逃避行を続ける」甲鉄城近辺に視点を絞ったドラマ作りになっている。
そのため、「結局何も解明されない、解決していない」と批判を浴びている。
一方、中盤の失速はあれども、超作画のバトル、ロマンあふれる戦闘列車、それに乗り組み時に対立しながらも共に戦う甲鉄城メンバーの細やかな内面描写により、ロードムービーとしてのクオリティは素晴らしい。
事態の根源に近づかない点も、「敵の事がわからない」という不安感を恐怖描写に逆用している面もある。

なお、登場人物の漢字表記と発音が照らし合わせにくいのは何ともしがたい。


●ストーリー


世界中に産業革命の波が押し寄せ、近世から近代に移り変わろうとした頃、突如として不死の化物が現れた。鋼鉄の被膜に覆われた心臓を撃ち抜かれない限り滅びず、それに噛まれた者も一度死んだ後に蘇り人を襲うという。後にカバネと呼ばれる事になるそれらは爆発的に増殖し、全世界を覆い尽くしていった。

極東の島国である日ノ本の人々は、カバネの脅威に対抗すべく各地に「駅」と呼ばれる砦を築き、その中に閉じ籠もることでなんとか生き延びていた。駅を行き来ができるのは分厚い装甲が施された装甲蒸気機関車(通称、駿城(はやじろ))のみであり、互いの駅はそれぞれの生産物を融通しあうことでなんとか生活を保っていた。

製鉄と蒸気機関の生産をなりわいとする顕金(あらがね)駅に暮らす蒸気鍛冶の少年、生駒。彼はカバネを倒すために独自の武器「ツラヌキ筒」を開発しながら、いつか自分の力を発揮できる日が来るのを待ち望んでいた。

そんなある日、前線をくぐり抜けて駿城の一つ甲鉄城が顕金駅にやってくる。車両の清掃整備に駆りだされた生駒は、義務であるカバネ検閲を免除される不思議な少女を目撃する。

その夜、生駒が無名と名乗る昼間の少女と再会するなか、顕金駅に駿城が暴走しながら突入してきた。乗務員は全滅し、全てカバネに変わっていたのだ!顕金駅に溢れ出るカバネたち。パニックに襲われる人々の波に逆らうようにして、生駒は走る。今度こそ逃げない、俺は、俺のツラヌキ筒でカバネを倒す!

―――こうして、本当に輝く男になるための生駒の戦いが始まるのだった。




●用語


  • カバネ

産業革命の波が世界に広がるにつれ、現れ始めたとされる不死の化け物。一夜にして東欧の小国を滅ぼし、そこから爆発的に増殖を始めた。
核となる心臓を破壊しない限り決して滅びず、頭を切り飛ばされても時間が経てば再生する。ただし、心臓は金属並みの強度を持つ心臓被膜で覆われており、並の銃器では破壊不可能。
人間の血液に反応するという生態を持ち、人に襲いかかって血を啜るが、カバネになった者には興味を持たない。
カバネに噛まれた者はある程度の潜伏期間を経てカバネと化してしまう為、日ノ本では厳重な検閲システムが敷かれており、疑わしき者は牢獄に三日三晩拘束して様子を見る。しかし実際のところは疑わしいと見るや即抹殺される事もあり、無論冤罪もある。ちなみに、呪いであると思われているようだが、ウィルス感染である。
潜伏期間がある事から、幕府によって自決袋が民に配布されており、お椀型のこれを心臓に当てて爆薬を炸裂させ、「人としての尊厳が残っている内に自らの手で死ね」という慣習が広まっている。
これらの対処は非情ではあるが、かといってカバネになってしまうと前述の厄介な不死性を発揮してしまうため、圧倒的脅威になる前に早く処理したいと考えてしまうのは仕方ないと見れる部分もある。無論、それはそれで自分の首を絞めることになるわけだが。

  • カバネリ

人とカバネの狭間に在るもの。カバネの肉体を持ちながら、人の心を保つ者。
外見は人間と変わらないが、心臓にカバネと同じ心臓被膜が出来ている。
活動には人間の血液が必要となり、血を流しすぎると正気を失って人に襲いかかってしまう。
現在確認されているのは生駒と無名の二人。カバネリとなる条件は不明だが、生駒は首を拘束するという力技でウィルスが脳に到達するのを防いだことでカバネリとなった。

  • 日ノ本

舞台となる国。ユーラシア大陸の東に存在する島国。
戦国時代に終止符を打つ東西大名における一大決戦の結果、勝利した西国大名が幕府を開府し、国号を日ノ本と改めた。
幕府は諸外国との積極的な交流を持って数多くの技術を導入し、蒸気機関が発達を遂げた。


カバネの発生に伴い、要塞化された重要拠点。鉄道網の要所に作られていることから「駅」と呼称される。

  • 駿城(はやしろ)

駅と駅をつなぐ装甲機関車。
これによる駅同士の生産物の流通によってなんとか生活は保たれているが、出入りが多いほどカバネが侵入する危険性も高いという事でもある。

  • ツラヌキ筒

生駒が開発した新型の銃。
従来の蒸気銃ではカバネの心臓被膜を破壊するには力不足である事から、より貫通力の高い武器を目指して生駒が開発している。
金属噴流を生成する特殊な弾頭を、鋲打ち機を改造して作った専用射出機で発火・射出して敵を貫く。明言はされなかったが、現実に存在する対戦車弾薬「成形炸薬弾(High-Exprosive-Anti-Tank)」に類するものと思われる。
欠点は、ある程度近づいて撃つ必要があるため、「噛まれたらアウト」なカバネの性質と相性が悪い点。カバネリが使う分には問題はない。出血したら暴走するけど。



●登場人物



  • 生駒(いこま)
CV.畠中祐

主人公。顕金駅で蒸気鍛冶として働く少年。カバネリ。
カバネとなった妹を自分の手で殺した事があり、その時助けを求めて他人に頼り、自分で戦おうとしなかった事を悔い、戦う力を求めて独自にカバネの研究を行い、ツラヌキ筒を開発していた。また、合わせてカバネとなるのは噛まれた場所から脳へと侵食してくるウィルスだと想定を付けていた。
顕金駅がカバネに襲撃された際、直前に完成したツラヌキ筒で撃破に成功するが、カバネに腕を噛まれた事で感染してしまう。腕を締め上げるなどで脳への侵攻を止めようとするが、圧力不足からか失敗。とうとう首まで到達したため、機械を使って思いっきり首を絞めることで何とか進行の阻害に成功するも、カバネリとなってしまう。また、ウィルスのせいなのか精神的ショックなのか、この時髪の色が変化している。
一度は排斥されてしまったが、「自分が蔑んだ奴に助けられた記憶を抱えて生きていく様をあの世から嗤う」ために命懸けでカバネと戦い、甲鉄城を顕金駅から発射させる。本人はそのまま死ぬつもりだったが、無名に拾われた事で甲鉄城に乗り込むことになる。
乗り込んだ当初は自分から降りようとしていたが、無名が降りる事を許さず、叩きのめされてしまったため、とりあえずカバネ研究の最先端である金剛郭でカバネリの体をどうにかする事を目的とするようになる。
訓練を受けておらず実戦経験も乏しい一般人だが、カバネに噛みつかれても破滅せず、無名のようなタイムリミットもない体質を活かした前衛のタンク役。
ガス欠した無名の回収も生駒の担当。

  • 無名(むめい)
CV.千本木彩花

ヒロイン。カバネリ。12歳とは思えない色気の持ち主。
「兄様」なる人物の指示で、金剛郭に向かう途中で顕金駅に立ち寄った後、顕金駅の住民が脱出行を余儀なくされたことで、彼らと行動を共にすることとなる。
刃物の扱いに長けており、下駄には刃が仕込んであったりする。首のスカーフを外すと超人的な身体能力を発揮できるが、反面力を発揮すると「呪い」の進行が早まり、短時間しか戦えない上に極度の疲労から嗜眠症に襲われる弱点がある。
睡眠時にカバネのような紋様が出るためか、寝る時は横にならずに体育座りで着物を頭から被るように閉じこもって寝る。一人テント。
カバネの疑いをかけられた男を庇った生駒に興味を持っており、生駒が自分と同じ存在になった事で彼を傍に置き、自分が戦えない時の盾として背中を預ける事になる。
人間との相互理解には無頓着な面があり、どうせ話しても無駄というスタンスで勝手な振る舞いをする事が多い。

  • 四方川菖蒲(よもたあやめ)

顕金駅を治める四方川家惣領。顕金駅廃駅の際に父を失い、脱出行のリーダーとなる。武士階級だからか、本作には珍しい名字持ち。
未だ未熟なため、進言に対し流されやすい面もあるが、カバネリである生駒や無名に対しても感謝し、恐怖に囚われる民衆の迫害から彼らを守るべく尽力する等芯の強い面もある。

  • 来栖(くるす)
CV.増田俊樹

菖蒲の身辺警護を務める、 顕金駅の青年侍。剣の腕は相当なもの。
頑固で融通が利かない面があり、生駒や無名に対しても頑なに接する。
二人が騒動を起こすと真っ先に現れるため、「またお前か」と視聴者に思われているとかなんとか。

  • 逞生(たくみ)

生駒の親友である蒸気鍛冶の少年。無鉄砲な生駒に手を焼きながらも、密かに彼と共同でカバネの研究を行っている。
生駒がカバネリとなった事で最初は怯えてしまったが、生駒の戦う姿を見て無名と共に甲鉄城に生駒を引き上げた。
生駒に眼鏡をかけることに定評がある。

  • (かじか)
CV.沖佳苗

蒸気鍛冶の少女。優しく気配りに長けており、炊事や子守を買って出る家庭的な女性。

  • 侑那(いくな)
CV.伊瀬茉莉也

甲鉄城の運転士。当初は見習いだったが、顕金駅廃駅の際に師匠を失い、運転を担当する事になる。
仕事上当然とはいえ、女性の身で圧巻の筋肉美

  • 鈴木
CV.マックスウェル・パワーズ

見るからに怪しい外国人(?)。名前は日本名だが片言なので国籍は不明。カバネ禍以前に日ノ本に移住してきた技術者らしい。
何故か次回予告を担当しており、所々に英語を交えた語り口で笑いを誘ってくる。
次回予告は公式サイトでいつでも見られるので確認すべし。




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