アーケードゲームエミュレータ基板

登録日:2016/05/30 (月) 13:49:55
更新日:2024/02/05 Mon 03:03:07
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近年のゲームセンターの一角にて「200in1」「500in1」「2000in1」といった文字が掲示、あるいは映し出されたアーケードゲーム筐体が設置されているのを見かけたことは無いだろうか。

それらは「ひとつの筐体で、多数のゲームタイトルを選択・プレイできる」というものである。
しかしネオジオMVSやNESiCA等とは決定的に違う点があり、それが『メーカーや年代の一切の区別が無く、ものによっては“本来、汎用ビデオゲーム筐体では稼動しないはずの作品も収録されている”場合すらある』そして『多いもので何千個ものゲームが収録されている』ことである。



これが本項目で解説していく「アーケードゲームエミュレータ基板」の概要となる。
通称「エミュ基板("基盤"と間違われることも多々ある)」「エミュ台」などと呼ばれる。
ごく一部界隈では「いかがわしい台」の略として「イカ台」と呼ばれることもある。





○基本的なしくみ

基板のモデルによって異なるが、コイン投入の前後にプレイしたい作品をコントロールパネルのレバー+ボタンで検索・選択し、決定して起動する。
ゲームの立ち上げが完了したら、そのゲームをプレイする。
コインの事前投入が必要なものの場合は、立ち上げ後に1クレジット分が内部で自動投入されるシステムになっている。
立ち上げまでコイン投入が不要のものは、立ち上げが完了してから通常のゲームと同じように「コイン投入→クレジット認識→プレイ」の手順を踏む。

「◯◯in1」という名前は、◯◯(作品の総収録数)がひとつの筐体でプレイできる、という意味合いを持つ。
すなわち、412in1…などといった端数が発生している物も存在しうるということである。



○動作について

アーケードゲームエミュレータ基板には、大半の場合Windows XP~のモジュールが内部基板に実装されているが、古いものではWindows 2000などが用いられることもある。
のちに「PCをマザーボード、グラフィックボードetc…一式を解体→収めやすく再構成」しただけのものから、さらにはPCをほぼそのままといったような“実質的に基板の正体がPCそのもの”というケースに変化しつつあり、それがAT/X電源によって電力供給され、起動するというもの。
さらに近年では、Raspberry PiのようなARMのシングルボードコンピュータがベースとなった超小型のものもみられる*1


これらの内部にはエミュレータ(ゲーム動作のための模倣システム)が入っており、各ゲームはそれによって動作する。
エミュレータと各作品のデータがUSBドングルによって保護されているものもあり、これは基本的にドングル無しでの起動はできない。

多彩な作品に対応するため、基本的にコントロールパネルは2L12B(2レバー12ボタン、プレイヤー1人あたりレバー1本とボタン6個というアーケードゲームとしてはストリートファイターII以降に普及した標準的コントロールパネル)は最低でも保障されているといってよい。
ものによってはトラックボールやトラックパドル、ループレバー(あるいは各種代替操作デバイス)が用意されているものなども存在する。



基板自体の解説は以上とし、次に本基板における問題点を列記していく。





○著作権

冒頭にて述べた「メーカーや年代の一切の区別が無く」さまざまな作品が収録されている、というものがある。
それこそナムコ、コナミ、タイトー、セガ、カプコン東亜プラン、アイレム、セイブ開発、ジャレコ、データイースト……と、現存しない会社を含めたさまざまなメーカーの、膨大な数の作品が収録されている。


では、そのメーカーの数々が『公式に認可を出して本基板に収録を許諾した』のか?


無論、答えは「NO」である。

一切の許可など無く、いわゆる“勝手に収録されている”状態、つまり不正なコピーであり、「非正規品」および「海賊版」である。
中には『ストⅡ』や『KOF』などでゲーム内容が改造され本来使えないキャラクターやモードを追加したガチの「海賊版」ソフトが混じっているケースもあったりする。
異常なほど多岐に渡るゲームメーカーの作品を収録しているため、もしどこかの制作会社で「正規品」としてこんな企画が挙がったとするならば、これらにかかってくるロイヤリティに天文学的な金額が発生するであろうことは想像に難くなく、門前払いのごとく没になると言って差し支えない。


○エミュレータ

これも著作権に係ることであるが、内部システムはどうなっているのか。

その大半にはPC用アーケードゲーム専用エミュレータとして著名な「MAME(読み:メイム - Multiple Arcade Machine Emulatorの略称、無償利用可能)」が使用されている。
“大半”と表記したのはさまざまな基板があり、その中に可能性として「MAMEを用いないものがある…かもしれない」からである。

これを母体として各作品は模倣起動し、ゲームとしての動作を全うする。


ここでの問題は「MAME」は、2016年4月よりも前のバージョンにおいて、商業的利用の一切を禁止しているということである。
以降はGPLライセンスに変更され可能となっているが、実際のところそれ以前のバージョンをもとに製造された基板がかなり多い。


通常、ゲームセンターの客側がアーケードゲーム基板のシステムインターフェースを目にすることはほとんど無い。

例えばやさしい例で言うと、普段通常稼動している筐体においてモニタに映る光景に「難易度調整やサウンドテスト、入力チェックやスプライトテストといった“バックヤード的な”場面」が含まれないようにされているため。

無論それらはディップスイッチやサービスモード起動のためのボタンなどといった、ゲームの設置/管理者でなければ触れることができない領域を経て初めて映し出されるものである。

本基板はその“バックヤード的な”面を始めとした部分に、それらを垣間見ることができる。
通常稼動時は何の変哲も無いゴシック体・ポップ体文字やゲームのスクリーンショットなどによってそれを目にすることはできない。
が、内部設定を変更するときなどの管理用モードを呼び出すときなどに「MAME」に非常に酷似したテキスト、あるいはロゴや特異な動作、ならびにインターフェースを目にすることができる。

なお、実際のゲーム基板での動作と「MAME」上での動作の差異といったような、極細部に至るまで精通・熟知している者には、通常稼動時にそれを見分けることも容易である。
具体的にはゲーム選択後の起動における基板立ち上げ/読み込み中の部分を始め、ゲーム本編における実機との動作の違い、サウンドの変化等…といったものなど。
難易度設定が高い状態で固定されていたり、入力遅延があったり、エミュレーションが未完成、もしくはエミュ基板自体の性能不足により、まともに動かない状態になっているものが選択できてしまうケースもある。


○実際の稼働状況

日本国内、多数のロケーションにて現在稼働中である。
有名チェーン店をはじめとし、ショッピングセンターやバッティングセンター、旅館施設やスポーツ施設などの一角のゲームコーナーから、強豪揃いで対戦の活発なところや特定ジャンルの作品が多稼動しているところといった「ゲームセンターとして名の知れた店舗」まで広く全国的に稼動している。

それこそ北は北海道南は九州沖縄まで稼動が確認されており、これらは「ゲームセンターWiki」的なコンセプトのサイトで細部の稼働状況まで確認することも可能(連射付き、1コイン2クレジットといった点など)。
どのような店かを問わず、2010年代に急速に出回ったものの、ゲームセンターにおいてはそれ以降の新規導入は減少傾向にあり、2020年代にかけてはより場末やゲームセンターではない店舗に移動するなどで、一時ほどは見かけなくなったかもしれない。
ハードウェアの品質もよくないために故障が多いという話もあり、それによって数を減らしている可能性も考えられる。


○製作者は誰?

当初は、一般の人間が本基板を新品で手に入れようとするのは難しいものであった。
というのも、本基板に限ったことではないが、アーケードゲーム基板は通常オペレーターに向けて販売されるものであり、本基板もそれに同じくして、そのルートを追うことができるのはごく限られた一部の人間となる。

が、中古として払い下げられた基板をオークションなどで見かけることができる。
取扱説明書に設定の仕方や組み込み方が記載されているが、その説明書に英語圏以外の外国、特に東南アジア系の文字を中心に目にすることができる。
具体的な製作者や発案者は未だ(あるいは公的には)判明していないが、ここからある程度察することができる。

近年では、インターネットショッピングサイトにて極めて低価格で販売されており、さらにそれらが街中のゲームセンターで稼働していることも確認されている。





●実情

ざっくりと言ってしまえば、本基板の存在および稼動は「限りなく黒に近いグレー」である。
著作権等の一切を無視されており、それはメーカーのみならず、エミュレータのシステムを作り上げた側にも及んでいる。

にも関わらず、今日まで大きく取り上げられることもなく全国的に様々なロケーションで息づいているのはなぜか?


まず第一に、「ゲームセンターという極めて限られた場所においての、一定の高度な造詣・知識を持った者にしか知ることのない稼動状況」というものがある。
著作権への意識も高いとは言えない中、何でもない街中にあるゲームセンターにて、目の前で稼動している筐体が「法的にほぼアウトかもしれない物である」と認識できる人間がそもそもごく一部である。同時に、その人間にとってはその存在がメリットともなり得るということである。
これはその巧妙さを突いていると言えるかもしれない。


次に、その純粋な利点である。
1台の筐体において複数のゲームを選択・稼動させることができるというのは、オペレーターにとって大変なメリットである。
筐体と個々の基板を相応数用意する必要が無く、稼動スペースがたった1台分で済むのと電気代の大幅なカットという実益は想像以上に大きい。


さらに本基板は、システム的に"過去のものである(すなわちローテク)"性質が大きく、基本的には1970年代の黎明期のゲームから90年代くらいまでのものを中心に、極めて古い作品が動作するものが非常に多い*2

言ってしまえば「古いタイトルの基板を1枚導入する」ことと同価であるため、基板本体のコストは格段に安価に抑えることができる。
年々システム基板の性能向上や単純なアーケードゲーム基板の高価格化が進んでいく中で、過去作品の収録とエミュレータのみで終始が完結する本基板は価格が跳ね上がる心配が全く無いゆえに、実に低価格であるといえる。

ゲームセンターの経営悪化が著しい現在では、これらがオペレーター側に貴重なメリットとなっているのも無視できない。


なお、エミュレーター基板の稼働を巡って、ゲームを設置して稼働するオペレーター側が刑事・民事の訴訟になったり、炎上したりした例は確認されていない*3

既存のアーケードゲームのソフトウェアや基板の不正コピーは、アーケードゲームの黎明期から「コピー基板」として存在する。しかし、それを製造・販売した者が罪や法的制裁を受けたことはあっても、それを設置稼働した店舗に法的責任が問われることはほとんどなかった。現在においても、レトロゲームのコピー基板は店舗で稼働したり、中古市場で取引したりされることは少なくないが、商品価値が低く扱われても、それの購入や使用がグレーと考えられる機会は基本的にないといってよい。
エミュレーター基板もそのような「レトロゲームのコピー基板」の一種として、慣例的に同様のものとみなされている可能性が考えられる。

また、古いアーケードゲームのゲームセンターでの稼働は、メーカーにとって利益がない「中古基板」の代替に過ぎないうえ、メーカー側にとっては新たにビジネス化できる領域ではないようである。北米では主にナムコ公式の「in1」筐体がいくつか発売されているが、国内では以前タイトーが数タイトルを実験的に『NESiCA×Live』にレトロゲームを配信した事例はあるものの、ほとんどプレイされなかったためか、すぐに追加配信は行われなくなり、他のメーカーも後を追っていない。

もし、メーカーがエミュレーター基板を稼働しているオペレーターを告発しても、単にそのお店の経営を苦しめたり閉店に追い込まれたりして、貴重な取引相手であるオペレーターを減らしてまうリスクがありながら、仮に潰したところで新たなビジネス化ができずに何の利益も得られないことも、事実上の放任状態となっている理由として考えられる。


最後に、プレイヤー側の視点である。

最早特定の、それもごく一部の限られたロケーションでのみしかプレイできなくなった作品…ものによっては実機が既にこの世界に存在しないという作品までも、本基板には実に多数収録されている。

古い作品などの"当時のゲーム"を再び「ゲームセンターでプレイしたい」という層は実に多く、特に地方都市を中心に本基板の存在はありがたいという声も存在し、最大の利点となっているというのもまた事実である。

地方都市のレトロゲーマーなどを中心に、本基板のあるロケーションを探しに/プレイしに行くというケースまで存在する。

そして、お金を入れることで利益を得るのは、エミュ基板業者ではなくお店であり、エミュ基板であっても買い支えたい気持ちからプレイするという考えもある。



供給側はほぼ間違いなくクロとされる本基板であり、それは疑う余地もない。

しかし経営側とプレイヤー側にとってはどうだろうか?





○時代の進歩

“1台の筐体に多数のタイトルを、メーカーや年代の区別なく多数収録する”というエミュ基板の特徴は、非正規品という重大な問題を抱えながらも、オペレーターにとっては非常に利便性が高いものである。

のちにアーケードゲーム基板がPCベースとなり、データ記憶量の増大や管理、ネットワーク経由でもゲーム配信といった技術的改良が時代とともに進んできたことで、タイトーの「NESiCA」やセガの「ALL.Net P-ras MULTI」のように、ひとつの基幹システムによって複数の「正規品の」作品を稼動させるという「理想的な」環境を構築できるようになった。

1台の筐体で複数のタイトルを稼働する利便性は共通していながら、これらは技術的改良とメーカーによるバックアップもあるため、動作面において原作と極めて遜色なく稼動できるようになっているのもポイントで、ひとつの大きなアドヴァンテージとなっている。


○コラム

一部のゲームセンターの中には、筐体内にPCをそのまま入れてダウンスキャンコンバータを組み込み(あるいは31kHz対応モニタに接続することによって)、モニタに画面を映し出し、何一つ隠さずにMAMEを起動させてゲームプレイを可能としているロケーションも確認されている。


当たり前の話ではあるが、メーカー直営店のゲームセンターにて稼働されることはまずない。本基板が稼働されるロケーションはメーカーと関係のない遊戯施設グループか、もしくは個人店のほぼ二択である。
(強豪店を始めとした一部例外がある。ほぼ完全に独立個人店ながらメーカーからのサポートなどの恩恵を受けており、しかし本基板を稼働させていたりする…といったケースも少ないながら存在する。)


横画面のものを多く見かけがちだが、縦画面作品専門にタイトルを収録し、縦画面用として制作されたものも多く存在する。
なお、横画面のものでも縦画面作品が収録されていることは多く、画面左右をトリミングしたり、あるいは引き伸ばすことで強引に対応させてプレイ可能にしているなどがある。


本基板はモデルによってのゲーム動作の差が大きい傾向がある。
メニュー画面に表示されている「(副題など)+◯◯in1」などが便宜上の名称として扱われている傾向にあり、それらで呼び分けつつ「□□ 〇〇in1は余程古いゲームを選んだりしないとガクついてまともにプレイできない」「△△ ◯◯in1は比較的新しいゲームを選んでもスムーズに動作する」といったバラつきが存在する。


ちなみに、エミュ基板もアーケードゲーム基板の一種であるため、初期に製造された一種はMAMEでの動作がサポートされており、MAMEでMAMEを動かすというマトリョーシカができあがってしまう。


○出来事

  • 2017年11月、MAMEとアーケードゲームのソフトウェアをHDDにプリインストールしたパソコンを「アーケードゲームが8000タイトル遊べる」などと説明し、Yahoo!オークションで販売した者が逮捕された。
    これはゲームセンターで稼働できる形態の「エミュ基板」ではないが、性質が近いものを含めて刑事事件となった、おそらく唯一の事例 (2022年現在)。海外で製造されたコピー済み基板の輸入販売ではなく、当人の手でコピーを行い、販売までを行っている点がエミュ基板と異なり、それが逮捕につながったと思われる。

  • 2018年2月、ある有名なゲーセンに72時間密着したドキュメント番組がテレビ放送され、店を訪れたさまざまな客の姿が映された。
    その番組中で、店内で何かを探している男性にスタッフが声を掛けると、「1つの中に何百種類もゲームが入った筐体が3台くらいあって、ゲーム好きの同僚にも見せようと下見で2年ぶりに来たら全部無くなってて残念」と話した。つまりこれはエミュ基板のことである*4
    しかし、番組制作側はそれが何なのかよくわかっていないまま、まさか海賊版の話とはつゆ知らず「思い出のゲームを探しに来た*5が無かった同僚想いの男性」としていい話っぽく放送してしまい、番組を観ていた人(=実情を知る有識者)達は変な空気になってしまった。
    • 補足・余談となるが、この店舗はレトロゲーム系に非常に強い有名店であり、2023年現在も営業中である。該当の2年前の時点ではエミュ基板の筐体が3台稼働していたわけだが、レトロゲームに強い故に当然というべきか、その当時も「きちんと純正の基板で稼働しているタイトルがフロアの9割以上を占めていた」事実がある。
      言い換えれば「基板1枚で1タイトル」ではフロアやプレイ要望をカバーしきれないため「やりたいタイトルが(タイミング等も相まって)置いていない事態を回避できる」策としてエミュ台が有効である、という場面が公になったとも言える。
      確かに“純正基板での稼働・動作に勝るものは無い”のだが、それよりも「(実情はともかく)プレイしたいタイトルが確実にできる」ことの方が優位である…という構図にもなった。

  • 2019年11月19日、「アーケードゲームのレンタル仲介」の事業を営む個人が、レンタル実績として「エミュ基板が稼働している筐体を設置した(貸出先の)事務所の写真」を個人のアカウントでTwitterにツイートし、炎上する騒ぎとなった。このサービスは「貸出元(ゲーセン運営企業)」と「貸出先」をつなぐマッチングサービスであった。
    非正規品であるという指摘を受けて「これ、抜く側のやつです!」と噛み合わない返信をしたり、後日「事務所の名前が写ってしまっていた」として、事務所名は消さずに筐体の写真のみ削除したりと迷走したが、後日正式に謝罪を行い、貸出元から提供された基板が非正規品であることを知らないまま、仲介・設置からツイートまで行ってしまったと弁明した。
    当人は、人気バラエティ番組「マツコの知らない世界」に「年間330日ゲーセンに通うゲーセン好き」として出演し、同事業の業務を紹介したことで知られていたことも炎上に拍車をかけていた。

  • 2021年11月、あるショッピングモールで開催された「レトロゲーム博」において、100円で遊べる状態で展示された4台のテーブル筐体のうち、1台が59in1のエミュ基板であった。
    これはおそらく主催者側の知識不足で稼働してしまっている例で、展示というコンセプトに相応しくないなど、快く思わない意見がSNSなどでみられた。

  • 知識不足で異業種の店舗などにエミュ台が導入されて、誰もエミュ台が海賊版であることを知らないまま、そのままテレビで紹介されたり、ニュース記事などに載ってしまう例が散見される。
    • 2022年7月、東海地方にあるレトロをテーマとした喫茶店が地元のテレビのニュースで取り上げられ、「店内にはインベーダーゲームも遊べるテーブルがあります」としてテーブル筐体が紹介されたが、エミュ台だった。
    • 2023年4月、全国放送の朝番組で、新潟にある純喫茶の名物である「テーブルゲーム」を紹介。そこでアナウンサーが「ドンキーコング、ギャラクシアン、パックマン、スペースインベーダーといろいろ選べます」と、エミュ台のゲームセレクト画面を紹介していた。
    • 2023年7月、昭和のバブル時代を色濃く残すホテルが一度閉業したが復活した。その復活を知らせるニュース記事で、リニューアルされたゲームコーナーにはエミュ台があり、そのままニュース記事の一部として掲載された。

  • SNSにゲームセンターの風景をアップしたが、画面に映っていたのがエミュ基板のゲーム選択画面で台無しになってしまった例もある。
    • あるテレビ局の女性アナウンサーが、Twitterに「ゲーセンでカッコつけてみた」としてビデオゲーム筐体の椅子に座りかっこつけポーズをキメた写真をツイートしたが、背後の筐体の画面に映っていたのがエミュ基板だった。
    • アーケードゲーム雑誌の元編集長が、Twitterでゲーセンのビデオゲーム筐体が映った写真とともに、「ゲーセンの空気が好きで、自分の居場所だ」という旨のツイートを行ったが、その写真に写った筐体6台のうち、3台の画面はエミュ基板のゲーム選択画面だった。


○公式エミュレーション基板

今のところ確認できるのは以下に挙げるもの。

  • 有限会社M2が持っている1枚。基板というか中身はPC(つまりアーケードゲームの非正規エミュ基板が「ほぼPC」であるのと同じ)。各メーカーに許諾を貰い、家庭用に移植する『M2 Shot Triggers』シリーズは、チェック用として秋葉原のゲームセンター『Hey』でフィールドテストを行うが、その際コインオペレートや中身のアップデートを行う事があるために、PS4の実機ではなくエミュレータ基板が使用される。
    このテスト時以外にも、移植版のオリジナルモードをHeyで稼働させるために数回使用されている。
    ちなみにだがM2が関わっている移植作品(Switchの「SEGA AGES」シリーズやメガドラミニなど)は、公式に許可をとってエミュレーションで動かしている。

  • タイトーは、アーケード筐体『NESiCA×Live』において、レトロゲームを数タイトル配信しており、100円投入でプレイ可能。

  • バンダイナムコは、北米地域において、往年の名作アーケードゲームを多数から選択して遊べる「パックマン ピクセルバッシュ」などの、いわば「公式エミュ基板」を発売している。

  • 近年だと、家庭用向けに「ネオジオX」「ネオジオミニ」「アーケードアーカイブス」「カプコンアーケードスタジアム」「アストロシティミニ」「イーグレットIIミニ」「カプコンホームアーケード」など、アーケードゲームの公式ライセンスによってエミュレーションを使った復刻版が複数発売されている。

特にMAMEの商用利用が解禁されて以降は、アーケードゲームの復刻版発売が盛んになっており、知らない間にエミュレーターに触っていたという人も多いと思う*6
他の家庭用ゲームハードでもよく言われる事柄であるが、決して『エミュレータ=悪』だとは思わないようにお願いしたい。


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最終更新:2024年02月05日 03:03
添付ファイル

*1 家庭用の復刻ミニゲーム機に類似した構成

*2 本基板でも、近年にリリースされたものの中では2010年前後のかなり新しいゲームまで動作するものもある。それらが収録された基板は高速かつ高度な処理性能が求められるため、基板価格も高額になる傾向があり、ゲームセンターでの稼働は比較的少数に留まる。

*3 利用客の各個人の心の中で店舗に対する心証を悪くしてしまったことは少なくないと思われるが。

*4 取材時点ですでに撤去済み、以降も設置されていない

*5 ドキュメント番組においてのこの男性の話した内容からするとそれが「エミュ台である(=純正基板ではない)」という認識がされていなかった可能性が高い

*6 「エミュレータ移植」というもの自体が、そもそもメーカー自身が行う手法として90年代頃から存在している。