星のカービィ ロボボプラネットの大冒険!

登録日:2016/07/16(土) 13:42:00
更新日:2024/04/20 Sat 23:28:09
所要時間:約 10 分で読めます






ポップスターピンチ!!
カービィは平和を取り戻せるの!?




星のカービィ ロボボプラネットの大冒険!』とは、2016年7月15日に角川つばさ文庫より出版された小説版カービィシリーズの1作である。
作:高瀬美恵
絵:苅野タウ・ぽと
対象年齢:小学中級から
価格:680円(税別)



概要

小説版カービィシリーズ7作目にして初となる、原作ストーリー自体の小説化が行われた作品。
ストーリーの大まかな流れは原作となるゲーム『星のカービィ ロボボプラネット』のストーリーモードに沿っているので第4弾と同じぐらいシリアス。もちろん敵はハルトマンワークスカンパニーである。


流石にゲーム版の流れをそのままなぞるのはページ数的に無理があったのか、オープニングと最終決戦以外は結構改変されており全体的に駆け足気味。この為、次回作では前編と後編に分けられた。

なので全く予備知識のない読者にはあまり優しいとは言えず、先に原作をクリアした読者向けの作りとなっている (一応解説役はいるが)。
更に裏モードの要素は(ある人物らの設定を除き)全くといっていいほど反映されていないため、ある意味「忙しい人向けのロボボプラネット」な作品でもある。

その一方で、侵略前の敵方のやり取り、デデデ大王がデータを採取されるまでの経緯…等など、ゲーム本編では描かれない部分の補完も行われているので、既プレイ済みのプレイヤーも手に取ってみる価値あり。
何気に小説版シリーズの中では作中視点が頻繁に切り替わるのも大きな特徴である。
ロボボクリア済みの読者が最も気がかりであろう「あの二人の事」については、良くも悪くも予想を覆す展開が待っている。

ちなみに前作はオリジナルキャラが1人も出なかったが、今回はちゃんと登場する。



なお、原作ノベライズという点からも分かるように、
今回はストーリーモードのネタバレが直球で描かれているので、いくら原作と差異があるからと言っても事前にクリアまではしておいた方が良い。それか一生原作をしないであろう人向け。
なるべく本記事では核心を避けた上で解説するが、(特に)コメント欄などの閲覧には注意。




あらすじ

カービィ達が住む平和な星・ポップスターに、ハルトマンワークスカンパニーと名乗る、なぞの集団がやってきた。
その集団はなんと、住民や植物など星中のすべてをキカイに変えてしまった……!
たまたま無事だったカービィとワドルディは、ポップスターを元に戻すため、大冒険を始めることに!
カービィたちは、ポップスターの平和を取り戻すことができるの!?
カービィが新たな力で大活やくしちゃうよ!


(裏表紙より引用)

登場人物

レギュラー

  • カービィ
食いしんぼうで元気いっぱい。
吸いこんだ相手の能力をコピーして使える。

「だれだか知らないけど、ゆるせないよ。プププランドをこんなにしてしまうなんて!」

呑気にお昼寝していた所で目覚め、ポップスターのキカイ化という只ならぬ事態に困惑し、身も心も機械になってしまった住民達を見て正義の怒りに燃える。
そのためなのか、本作では普段の食い意地はった性格は大きくなりを潜めており、カンパニーの敵達にも毅然と立ち向かっていく。

一方、ケイン所長から能力をコピーして「ドクターカービィ」になった時は小難しい単語や言い回しを連発する気難しい科学者キャラと化す驚愕の変貌を遂げた。
しかし、性格こそ変われども根底にあるのはやっぱり食欲の様子(それでもワドルディの指摘で本来の目的は忘れなかったが)。



デデデ大王の部下で苦労人。
カービィとは友だち。

「大王様?まさか、あいつらと戦うんですか!?」

キカイ化侵略には真っ先に巻き込まれ、デデデ大王と共に立ち向かうが力及ばず敗れてしまう。
侵略がひと段落した後はデデデ大王を救助しようとするが、瓦礫に埋もれた彼を助けるには人手が足りず、その上キカイ化した住民に襲われたため、カービィと共に戦うことになる。
残念ながら槍持ったりバンダナかぶったりはしないが、終盤で重要ポジションに。



自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。

「当たり前だわい!あんな連中を放っておけるか!」

ゲーム版冒頭のチェスシーンがしっかり描写されており、しかも普通にワドルディに勝っている。遊びごとに関しては真面目に強いのだろう。
カンパニーの襲撃には平和すぎてお飾り同然だった城の大砲を動かし、城に乗り込んだアーマー兵達にもひるまず戦う。
が、抵抗空しく倒れ、血液を採取されハンマーも奪われ原作通り瓦礫の山に埋もれてしまった。
(なお本作ではスージーがメタナイトを相手しに行っているため、ケイン所長が採取を指示したことになっている)
採取された彼のデータから後にクローンが生み出されることになるが…

出番が少ないせいか、相対的にいつものワガママぶりも少ない。



常に仮面をつけていて、すべてが謎につつまれた剣士。

「バル艦長、あの球体に狙いを定めろ。手かげんは不要。出力最大だ」

第5弾で宇宙的有名人だと判明したメタナイトだが、当然と言うべきかカンパニーにもその名は知れ渡っていた。
単身で挑んだ原作と違い、メタナイツと共に戦艦ハルバードを駆り抵抗を試みたが、人質にとられた乗組員を前にして非情に徹することができず自ら投降。そのため、ギリギリだがこの時点でのハルバード墜落は免れている。まぁ最終決戦では原作通り落とされるけどな!
原作通りに無慈悲なセキュリティマシン「メタナイトボーグ」に改造されてしまう。
ただし本作ではギガントグラウンドのくだりがカットされて終盤に押し込まれているため、カービィと戦うのは1回だけ。
スージーにガチで惚れられてるようだが、当の本人はスルー気味。

作中でハルトマンとスージーの関係に気付いた唯一の人物でもある。



ハルトマンワークスカンパニー

ポップスター侵略を狙う、ハルトマンワークスカンパニーの社長。

「ゆけ。あの星を根こそぎ、キカイ化してやるのだ。わがハルトマンワークスカンパニーの力を見せつけてやるのであーる!」

みんな大好き?銀河に名立たるハルトマン社長。
物語冒頭から早速姿を現しており、スージーにポップスターへの侵略計画実行を指示した。
この時点で宝物の一つである金の懐中時計にまつわる話を出しており、「修理するには中身を全部取り替えなくてはならないと聞き、そのままにしているため針が止まっている」とのこと。
カービィ達ゲンジュウ民を見下す傲慢な性格は健在で、マザーコンピューターを元・生き物だと思い込んだカービィを馬鹿にすらしている。
かつては優しい性格で、大事な家族がいたらしいが……?



仕事熱心でとっても偉そうな美人社長秘書。

「待ってらっしゃい、ポップスターのゲンジュウ民ども。おまえたちの森も、海も、何もかも、わがカンパニーのものにしてみせるわ!」

カンパニーの美人秘書。強気で意地っぱりな面が強調された。
「メタナイトを連行するために人質をとって投降を促し、用が済んだら爆弾でハルバードを撃沈させる」「『役目を終えた社員に価値などない』と部下を切り捨てる」など、ハルトマンと同じく外道で傲慢な一面が強くなっている。
一方で事あるごとにうるさいケイン所長へのツッコミ役も兼ねる。女子力(物理)
その裏では、ハルトマンが昔の記憶を忘れたことに何か思う節があるようだが…

MiiVerseコミュニティでディレクターが公言する前の作品であるのと、あくまでメディアミックスという都合上のためか、本作ではこの二人の例の関係は断定されずボカされている。
しかし原作よりも更に強い形で示唆されているため、ある意味分かりやすくはなった。



  • ケイン所長
ハルトマン研究所の所長。
研究熱心だけど、口数が多すぎる。

「見よォ!これこそ、わが研究所が心血をそそぎィ!全身全霊をささげェ!あらんかぎりのチカラをふりしぼって作り上げたァァァァァ――!!」

本作のオリジナルキャラにして小説版シリーズ随一の変人
丸眼鏡の目立つ白衣のセコイ男で、スージーよりも前からハルトマンの下で働いている。

そのテンションを一言でざっくり言い表すなら「カービィ界のシュトロハイム
カンパニーの技術力は宇宙一ィィィィィィィ!!!!
とにかくやたらとお喋りで口数が多く、何かと目の前の出来事を口で説明したがる癖があり、まるでスポーツ中継の実況者みたいな台詞とリアクションを連発する。
それでいてキンキンやかましく喋り立てるものだから、上司のスージーにも煙たがられており、敵に有利になりかねない情報をうっかり喋って背負い投げされることも。
あまりにキャラが濃すぎて、彼を吸いこんでコピーしたカービィの性格にも影響を与えるほど。
ぶっちゃけるとナレーションだけでは補いきれない(作中人物に固有名詞を喋らせる必要がある)説明を担当した読者向けの解説役でもある。スピードワゴンでもあったか。

悪役のオリジナルキャラと言えば、これまでに登場した連中は大体クズい本性を隠し持っていたが果たして彼は…?



その他

メタナイトの同志達。バル艦長は以前からハルトマンワークスカンパニーを知っていた。
共にカンパニーへ抵抗するものの、メタナイトの投降にともないあえなく戦艦を落とされてしまうが…
今回はSDX(USDX)プレイヤーならご存知であろうあの迷言が飛び出す。



ポップスターの住民達。
本シリーズでは初顔となるボンカースは、何にでも理不尽に因縁をつけまくる札付きの乱暴者。カンパニーから送り込まれたアーマー兵達の侵略にも恐れを知らず立ち向かっていったが、他の住民ともどもロボットにされてしまう。
彼らはみんな心も改造されてカンパニーに忠誠を誓うようになり、特に元から機械のウィリーは休みなく働き続けることに喜びを見出す社畜な思想に染まってしまっている。
なお、キカイ化後の体は一部分のみが多かったゲーム版と違って全身くまなく改造済みの模様。
コックカワサキにいたっては料理と称してオイルをぶっかける始末である。
なお、原作ではコックカワサキとバーニンレオは登場しない。

原作ではカンパニーの手で改造された住民がいる一方、高度文明発展に迎合し受け入れる生身の住民もいたのだが
小説版では例外なく全ての住民が強制的にキカイ化されてしまっており、原作のキカイ化侵略とは性質が異なり問答無用の侵略行為と化している。
……メタ的には児童文庫である以上、悪役は悪役としてハッキリ描写しないと勧善懲悪が成立しづらい、という作劇上の都合もあると思われる。



  • ネスパー
ケイン所長からアクシスアークスの門番を任されていた超能力者。そこは会社のロボット使えよ…というかセキュリティサービス出してあげなよ
小説版のカンパニーが生身で一般社員を雇うという珍しい状況だが、実は幹部級なのか、はたまた実は超能力を固有能力としたロボットなのか…
いやに古風な言葉遣いで喋る。
カービィ達の前で超能力を披露し、すっかり気分をよくするが…
某奇天烈ロボットは決して関係ない



  • ハルトワーカーズ
カンパニーのモブ社員。
ただし、見た目こそハルトワーカーズだがこの呼称が用いられることはなく、代わりに場面によって「アーマー兵」「戦闘員」などと複数の呼称が用いられている。
原作の設定に倣うなら本作でもロボットの筈であるが、喋り方に差がある。
前者はカタカナ口調の機械的で冷酷なのに対し、後者は普通の口調で、カービィの強さに恐れをなして逃げる程度には人並みの感情を持っている。
あるいはガワだけハルトワーカーズで生身の社員もいるのかも知れない。
アーマー兵が装備している光線銃は攻撃用の他に、対象を直接キカイ化させることも可能。



  • インベードアーマー/ロボボアーマー
カンパニーの誇るパワードスーツ。本作ではケイン所長の研究所が開発したという設定になっている。
本来乗りこなすには半年もの厳しい特殊訓練を受けなければならず、普通の兵士にはそうそう扱えない。
オクターンオーシャンの基地に侵入したカービィを捕獲するべく迎え撃つが、怒りに燃えるカービィには通用せず無力化させられ、カービィが乗り込んだことで原作通りロボボアーマーに変形した。
ちなみにロボボアーマーという名称はケイン所長の命名
ロボボは基地の途中でトラップにかかり大破してしまうが、後々みんなの期待通りの大活躍が…

インベードアーマーの発展系であるリレインバー等も登場する。が、巨大なミサイルを撃つなど原作には無い武装がある。



  • マインド・コントローラー
メタナイトボーグに取りつけられた制御装置の正式名称。
これによってメタナイトは自我を完全に奪われていた。



カンパニーの経営、及び兵器開発を支える重要なコンピューター。
物語序盤にマザーコンピューター名義で早々に存在が明かされ、極秘プロダクトの開発に関わっている。



各編あらすじ

一応核心に触れない程度に紹介。


  • 1 なぞの敵、あらわる!
ポップスターを突然襲ってきた謎の球体。
そこから現れた大量の敵による無慈悲なキカイ化侵略が始まった!


  • 2 敵の正体
戦艦ハルバードで対抗するメタナイト達の前に、侵略者「ハルトマンワークスカンパニー」の軍団が乗り込む。
一方、お昼寝から目覚めたカービィはキカイ化した地上の光景や人々に戸惑い、カンパニーへの怒りを燃やす!


  • 3 ロボボアーマー!!
オクターンオーシャンの基地に乗り込んだカービィ達は敵のパワードスーツを奪う。
カービィが乗り込むとそれは強力なロボボアーマーに変形した!


  • 4 美人社長秘書スージー*1
ドクター能力に変身したカービィは何だか気難しい性格になってしまう。
秘書スージーとの戦いでもそれは変わらなかったが…?


  • 5 二人との再会!?
いよいよ本拠地のアクシスアークスに乗り込んだカービィ達。
社長室で待ち受けていたのは、改造されたメタナイトとクローンのデデデ大王だった…


  • 6 社長ハルトマンと星の夢
全ての黒幕、プレジデント・ハルトマンが遂にお出まし。
直々に専用マシンを駆り、カービィに襲いかかる。
だが、最後に彼らを出し抜く一人の人物が…!


  • 7 最後の戦い
最終決戦は全ての生き物の命をかけた、負けられない戦いへ!
カービィに勝機はあるのか?


  • 8 戻ってきた平和
消えたキカイ化、元に戻ったポップスター。
そして……皆が一番気になるあの件は………









追記・修正は「あの二人」の行方を案じつつお願いします。
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  • 衝撃のラスト
  • 悪役救済

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最終更新:2024年04月20日 23:28

*1 当初は誤植で前作第4節のサブタイトルと一字一句全く同じ「芸術で仲直り」というサブタイトルだったが、後に修正された。