バットマン:ダークビクトリー

登録日:2016/08/05 Fri 16:19:14
更新日:2023/01/19 Thu 06:35:18
所要時間:約 12 分で読めます




『Batman: Dark Victory』は1999年にDCコミックスから出版されたアメコミ作品。

+ 作品情報
『Batman: Dark Victory』#1~#14
発売 1999年11月から
脚本 ジェフ・ローブ
作画 ティム・セール

日本では2010年にヴィレッジブックスから邦訳本が全2巻で発売されている。

1996年から1997年にかけて発売された『バットマン:ロング・ハロウィーン』の続編。
前作同様殺人鬼ハングマンによる事件とトゥーフェイス/ハービー・デントを軸としながら、
『ロング・ハロウィーン』で描き切れなかったマフィアの崩壊とヴィランの活躍が描かれている。
本作ではそれに加えバットマンの相棒となるディック・グレイソンが登場し、
彼との交流で少しずつ変わっていくバットマン/ブルース・ウェインの姿も描かれている。



注意:以下には『バットマン:ロング・ハロウィーン』のネタバレを含みます。



【物語】

ホリデイ事件から約1年後、ハービー・デントを失いながらもバットマンとジェームズ・ゴードンはそれぞれの方法で悪との闘いを続けていた。
そして再びやってきたハロウィーン。異常者たちを集めた『アーカム・アサイラム』で囚人の脱走事件が発生しトゥーフェイス/ハービー・デントが姿を消す。
時を同じくしてかつてのホリデイのように記念日に殺人を行う通称ハングマンが現れる。
バットマンはホリデイ事件のような悲劇を防ぐためにゴッサムを奔走する。


【登場人物】

ゴッサムを守る闇の騎士。姿を消したトゥーフェイスと謎の殺人鬼ハングマンを追う。
ホリデイ事件以降、ゴードンと距離をとっており単独で捜査を行っている。
中盤からは両親を失ったディック・グレイソンを引き取り自ら正体を明かすなど変化を見せ始める。

  • ジェームズ・ゴードン
ゴッサム市警本部長でバットマンの良き理解者。
ハービーの件が尾を引きバットマンから距離を取られているがそれでも信頼は変わっておらず度々彼を他の警官からかばっている。
警官ばかりを狙うハングマンの逮捕に執念を燃やす。また家庭にかける時間が減っていたのか妻と息子に家を出られており、何度も電話をかけている。
エイプリルフールに『バットシグナル』の前でハングマンの犠牲になりかけるがトゥーフェイスに救われる。

  • ジャニス・ポーター
ハービー・デントに代わってやってきた地方検事。ハーバード・ロー・スクールを首席で卒業しボストンで6年間地方検事を務めた才女。
かなりの堅物でバットマンのやり方を認めておらず度々彼やゴードンと衝突する。実はトゥーフェイスやマリオと繋がっており情報をやり取りしている。

ゴッサムにやって来たサーカスのブランコ乗りグレイソン一家の一人息子。両親がブランコの最中に死亡しブルースに引き取られる。
当初は両親の死を引きずりブルースとの関係が上手くいかずにいたが、
バットマンに命を救われその正体がブルースであると知り『バットケイブ』に入れてもらうほどの仲になる。
両親の死の真相を知った後も彼に協力するようになる。


≪マフィア≫

  • カーマイン・ファルコーネ
かつてゴッサムを牛耳っていた『ファルコーネ・ファミリー』のボス。ホリデイ事件の末にトゥーフェイスに殺された。
トゥーフェイスが脱走した直後、墓地から死体が盗まれソフィアのもとに指が贈られる。

  • ソフィア・ファルコーネ
カーマインの娘で『ファルコーネ・ファミリー』の新たなボス。ホリデイ事件の末に車椅子生活となっており首もまともに動かせない。
顔には父親と同じ傷跡がついている。トゥーフェイスに恨みを抱いており彼を殺そうと考えている。

  • アルベルト・ファルコーネ
カーマインの息子で連続殺人鬼ホリデイの正体。ホリデイ事件の責任を問われ死刑となるはずだったが、
カーマインの遺産によって精神異常が認められ『アーカム・アサイラム』に収容されている。
ポーターの働きもあり釈放され、電子モニターを付けられウェイン邸近くの祖父の屋敷に軟禁される。
その屋敷で死んだ父の幻聴を聞いたりホリデイ事件で使用された銃を送られるなど不思議な現象に見舞われる。

  • マリオ・ファルコーネ
カーマインの息子。国外退去処分となっていたがゴッサムに帰還した。ファルコーネ一族の汚名をそそごうと一人奮闘する。

  • アンジェロ・ミルテ
ソフィアの右腕のボディガード。母の日にソフィアとアルベルトを狙うジョーカーに殺された。

  • ウンベルト・マローニ、ピノ・マローニ
サルバトーレ・マローニの息子で現在の『マローニ・ファミリー』のボス。普段はレストランを経営している。
ソフィアのボス就任記念に『アーカム・アサイラム』を襲撃しトゥーフェイスを暗殺しようとするが失敗する。
実は双子でトゥーフェイスと繋がっておりアーカム襲撃もソフィアのためではなくトゥーフェイスのためだった。

  • エドワード・スキーパーズ
バットマン:イヤーワン』に登場したジェファーソン・スキーパーズの弟。『ファルコーネ・ファミリー』の密輸を担当している。ズッコと仲がいい。

  • アンソニー・ズッコ
『マローニ・ファミリー』の一員で麻薬の手配を行っている。ペンギンの縄張り争いに敗れたためサーカスを使った新たな密輸を思いつく。
ゴッサムにやって来たサーカスを利用しようとするが断られたため見せしめにブランコ乗りのグレイソン夫妻を殺す。
その後、真相を知ったバットマンとディックに追い詰められ心臓発作を起こし死亡した。

  • ルシア・ヴィティ
ソフィアの従姉妹でシカゴに本拠地を置く。

  • ボビー・ガッゾ
スーパーマンのホームタウン、メトロポリスのマフィア。ファルコーネの相談役。


≪警察≫

  • クランシー・オハラ
ゴッサム市警署長で古株の警察官。ゴードンと親交があり彼にマフィアを一掃するための内偵班を選んでいる。
その後、ハロウィーンに自身の最初の担当地区であるゴッサムシティ・ブリッジでハングマンの最初の犠牲者となった。

  • ギリアン・B・ローブ
『イヤーワン』に登場した元ゴッサム市警本部長。ホリデイ事件の後始末に苦慮するゴードンのもとを訪れ彼に嫌味を言う。
その後、感謝祭にハングマンに殺された。

  • アーノルド・フラス
『イヤーワン』に登場した元ゴッサム市警の悪徳警官。警官を辞めた後はズッコの仕切っているクラブの用心棒になっている。
クリスマスにそのクラブでハングマンに殺された。

  • ブランデン
『イヤーワン』に登場した元ゴッサム市警警部補。当時はSWATチームリーダーでバットマンを追い詰めたこともある。
大晦日にマローニの営むレストランの冷蔵庫でハングマンに殺された。

  • フランク・プラット
『イヤーワン』に登場したゴッサム市警巡査部長。当時はSWATチームの一流狙撃手だったが現在は第9分署の夜間勤務。
ブランデンと共にバットマンを追い詰めた際に、バットマンに殴り飛ばされたことがある。
バレンタインにバットマンに尾行され彼を撃つもその隙を突かれハングマンに殺された。

  • スタン・マーケル
『イヤーワン』に登場したゴッサム市警刑事。当時はゴードンの部下で巡査部長だったが現在は第11分署の警備主任。
聖パトリックデイに元デント夫妻の家でハングマンに殺された。

  • ヘンリー・グスタフソン
オハラに選ばれた内偵班の1人。元海兵隊員。ハングマン捜査ではオハラ担当兼ゴードンのボディガード。
母の日にゴードンが来るのを車で待っていたがハングマンに殺された。

  • マーク・オコナー
オハラに選ばれた内偵班の1人。狙撃の名手で警察学校の教師。ハングマン捜査ではブランデン担当。父の日に自宅の浴槽でハングマンに殺された。

  • キング
オハラに選ばれた内偵班の1人。ハングマン捜査ではフラス担当。独立記念日に下水道でのトゥーフェイス捜索中にハングマンに殺された。

  • ローレン・ウィルコックス
オハラに選ばれた内偵班の1人。ハングマン捜査ではプラット担当。トゥーフェイスが法廷を脱出した夜に裁判所のエレベーターでハングマンに殺された。

  • ジュリア・ロペス
オハラに選ばれた内偵班の1人。ハングマン捜査ではローブ担当。


≪ヴィラン≫

  • ハングマン
ゴッサムに再び現れた連続殺人鬼。かつてのホリデイ同様ハロウィーン以降毎月記念日に警察官を殺害している。
殺害方法は丈夫な縄で一瞬で締め上げどこかに吊るすというもの。
遺体にはハービー・デントのファイルに書かれた「ハングマン」(吊るされた男の絵を完成させるまでに決められた言葉やメッセージを当てる遊び)が貼り付けられている。行った殺人は以下の通り。
10月…記念日ハロウィーン、被害者クランシー・オハラ、メッセージお前達の誰も安全ではないお前達9人は安全だ、原文N□NE □F Y□□ □RE S□FE
11月…記念日感謝祭、被害者ギリアン・B・ローブ、メッセージこのゲームは二人で遊べる、原文TW□ C□□ PL□Y T□□S G□M□
12月…記念日クリスマス、被害者アーノルド・フラス、メッセージ悪か善か己で見極めろ、原文KN□□S □F Y□□VE BEEN BA□ □R G□□□
1月…記念日大晦日、被害者ブランデン、メッセージそして皆に正義を、原文AN□ J□ST□CE □OR A□□
2月…記念日バレンタインデイ、被害者フランク・プラット、メッセージ罪故に有罪、原文□UILT□ □S SI□
3月…記念日聖パトリックデイ、被害者スタン・マーケル、メッセージ仲間による裁き、原文□ J□RY □F Y□□R □EERS
4月…記念日エイプリルフール、被害者ジェームズ・ゴードン(生存)、メッセージ不明、原文不明
5月…記念日母の日、被害者ヘンリー・グスタフソン、メッセージ第一級殺人、原文M□RDER IN T□E FIR□T DE□REE
6月…記念日父の日、被害者マーク・オコナー、メッセージ法廷の秩序、原文ORD□R I□ TH□ □O□RT
7月…記念日独立記念日、被害者キング、メッセージ正義は盲目なり、原文□U□TICE I□ B□IND
8月…記念日無し、被害者ローレン・ウィルコックス、メッセージ目には目を、原文AN□ □Y□ FO□ AN□ □Y□
9月…記念日レイバーデイ、被害者バットマン(生存)、メッセージお前の負けだ、原文Y□U L□SE
10月…記念日ハロウィーン、被害者トゥーフェイス、メッセージなし、原文なし

ゴッサムシティの元地方検事。バットマンとゴードンと共に『ファルコーネ・ファミリー』を追っていたが、
ホリデイ事件の末に酸を顔に浴びてトゥーフェイスに変貌した。
その後、自らの手でカーマイン・ファルコーネを撃ち殺し『アーカム・アサイラム』に収容されていた。マローニ兄弟によるアーカム襲撃で脱獄。
姿を隠しながらヴィランたちに指示を出していたが、独立記念日に下水道を捜索され逮捕される。
その後、自ら法廷に立ちハングマン事件の資料を盗み姿を消す。

猫のようなコスチュームに身を包んだ女盗賊。『ロング・ハロウィーン』に引き続きファルコーネの周りを探っている。
大晦日にソフィアにカーマインの死体捜索を打診、バレンタインデイにリドラーの力を借りて手掛かりをつかむ。
しかし、死体安置所で何者かに殺されかけバットマンに救われる。その後、以前からズレが生まれていたブルースに別れを告げ姿を消した。

  • カレンダーマン(ジュリアン・デイ)
記念日にまつわる犯行を繰り返す異常者。ホリデイの登場によってその存在は忘れられたも同然であり自嘲気味に語っている。
エイプリルフールにヴィランたちを招いた法廷で、トゥーフェイスにハングマンの正体について証言する。

  • リドラー(エドワード・ニグマ)
なぞなぞをこよなく愛する犯罪者。ホリデイ事件唯一の生存者だったためバットマンにハングマンの謎について尋問される。
バレンタインデイにキャットウーマンとバットマンにカーマインの死体の場所を聞かれ死体安置所を提案する。

  • スケアクロウ(ジョナサン・クレーン)
恐怖に心を奪われた元心理学者。案山子のようなコスチュームに身を包んでいる。クリスマスにズッコと取引をしたためバットマンに狙われる。
その際、バットマンにガスを浴びせ彼の精神にダメージを与えハングマン捜査に影響を与える。

  • ソロモン・グランディ(サイラス・ゴールド)
強盗に殺され沼に沈んだ商人がゾンビとして蘇った姿。マザーグースの一説ソロモン・グランディしか喋らない為この名前で呼ばれている。
知能は低いがバットマンを追い詰める程の腕力を持つ。
大晦日にホリデイ事件でトゥーフェイスと行動を共にしていた時期があったためバットマンに捜査の協力を求められる。
鎮静剤で落ち着きバットマンをトゥーフェイスの隠れ家に案内するが爆発に巻き込まれる。その後、8月のトゥーフェイスの法廷脱出に協力する。

  • ペンギン(オズワルド・コブルポット)
鉤鼻と小柄な体格が特徴的なギャング。聖パトリックデイにファルコーネ・ファミリーの積荷を狙った際、
バットマンにトゥーフェイスの居場所を尋問される。

犯罪の道化王子とも呼ばれるバットマンのライバル。しばらく鳴りを潜めていたが母の日にマローニやファルコーネを襲撃する。
ソフィアとアルベルトを狙った際、ボディカードのミルテを殺害しソフィアを追い詰めるがアルベルトの思わぬ反撃にあいバットマンに捕まった。

  • ミスター・フリーズ(ビクター・フリーズ)
ある事故がきっかけで氷点下の中でしか生きられなくなり特殊なスーツに身を包む科学者。妻の病気を治すために犯罪を行う。
独立記念日に下水道の捜索を行う警察たちを冷凍銃で圧倒する。その後、8月のトゥーフェイスの法廷脱出に協力する。
また、持ち前の冷凍技術が活躍する場面も多い。

  • マッドハッター(ジャービス・テッチ)
不思議の国のアリスに異常な執着を見せる小男。洗脳を得意とする。
独立記念日に下水道にやって来た警察たちを対処しようとするがバットマンにあっさり処理される。

  • ポイズン・アイビー(パメラ・アイズリー)
植物を操る力と人を操る毒を体に宿す悪女。8月のトゥーフェイスの法廷脱出に協力しそのまま彼を操ろうとするが失敗する。


≪その他≫

  • アルフレッド・ペニーワース
ウェイン家に仕える執事。捜査や人間関係に苦しむブルースに助言を送る。
新たな家族であるディックに対しては、両親を失った直後のブルースより親身に接しようと努力する。

  • バーバラ・ゴードン
ジェームズの妻。息子と共に家を出てシカゴに行っていたが根負けしバレンタインに家に帰ってくる。

  • ギルダ・デント
ハービーの元妻。写真のみの登場。ハービーが『アーカム・アサイラム』に収容されると姿を消した。



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最終更新:2023年01月19日 06:35