忌むべき悪魔の像(shadowverse)

登録日:2016/11/17 (木曜日) 11:27:07
更新日:2023/10/27 Fri 14:17:36
所要時間:約 5 分で読めます




「選ばれし双勇がその力を示せし時、大いなる魔像は覚醒する。」

忌むべき悪魔の像とは、スマートフォン/PC向けTCG「Shadowverse」のカードの1つである。
第2弾Darkness Evolveに収録されているフォロワーカード。

概要


2コスト フォロワー ニュートラル
0/3 守護
ファンファーレ ???なら、+4/+2する。
※意図的に発動条件を伏せています。

素の状態だと0/3という貧弱なスタッツの守護(リーダーや他のフォロワーを攻撃から庇う)だが、ある条件を満たすことで+4/+2とスタッツが底上げされる。
これだけ見れば効果さえ発動できれば強そうに見える。
何しろたった2コストで4/5の守護が出せるのだ。
4/5というとよく使われがちな4コストの進化後が大体4/5か5/4なので如何に発動時の能力がコストに対して破格かが分かる。
おまけにニュートラルなので、どのリーダーでも使うことができる。

じゃあ伏せてある発動条件とは?











ファンファーレ 自分の場に進化後フォロワーが2体以上いるなら、+4/+2する。

自 分 の 場 に 進 化 後 フ ォ ロ ワ ー が 2 体 以 上 い る な ら

(  ゚д゚)……。

( ゚д゚ )


さてここで進化システムについておさらいしよう。
進化は先攻なら5ターン目以後、後攻なら4ターン目以後に行える行為で、フォロワーのスタッツを上げたり進化時効果を使ったり召喚したターンに相手フォロワーを攻撃したり出来る。
進化を使うにはEPという先攻に2ポイント、後攻に3ポイント試合開始時に所持しているものを消費し、
そして、1ターンに1回のみという制限がある。

お 分 か り い た だ け た だ ろ う か。

まず進化はEPを回復させるカードを入れない限り多くても3回しか出来ないのだが、
正攻法で行った場合それを2回使わないとこいつの条件を満たせない。
そしてそもそも進化でスタッツが上がったフォロワーを相手が無視することはほぼ無いので確実に処理される。
仮に残るような状況があったとしてもあまりにも限定的すぎる。
処理できないほど手札が弱かったならわざわざこいつを使うまでもなく勝てるし、
処理できるのにあえて無視してきたなら既にリーサルが見えている可能性が高い。


じゃあ進化権を回復させる効果を使えば…と思うかもしれないが

  • ダークエンジェル・オリヴィエ
9コスト フォロワー ニュートラル
4/4
ファンファーレ 自分のEPを3ポイントにする。

  • ジュエルデビル・モリアナ
4コスト フォロワー ヴァンパイア
3/3
ファンファーレ 復讐状態なら、自分のEPを1回復。

  • クリスタリア・エリン
6コスト フォロワー エルフ
4/6
守護
ファンファーレ 自分のリーダーを3回復。
エンハンス8;その後、自分のEPを1回復。

  • 大亀の長老
4コスト フォロワー ドラゴン
2/4
ファンファーレ 覚醒状態なら、自分のEPを1回復。

ダメだこれ。
まず、オリヴィエはコストが重い。この時点で既に試合終盤であり、忌むべき悪魔の像が効果を発動できたとしても「だからどうした」という局面である。
エリンも、EPを回復するには8コスト払ってエンハンスを発動する必要があり、オリヴィエ同様既に試合終盤である。
モリアナは4コストとわりかし軽いかと思いきや、発動条件が復讐状態*1の時のみと厳しい。
大亀も、発動条件が覚醒状態*2の時のみであり、結局進化権を回復できるのは終盤である。


じゃあ他のフォロワーも進化させる効果を使えば…といいたいところだが、こちらも

  • アークエンジェル・レイナ
8コスト フォロワー ニュートラル
5/5
進化時 進化していない自分のフォロワーすべてを進化させる。(それらの進化時能力は働かない)

  • ネプチューン
7コスト フォロワー ドラゴン
守護
ファンファーレ オルカ1体を出す。
進化時 自分のオルカすべてを進化させる。

  • クリスタリアプリンセス・ティア
5コスト フォロワー エルフ
1/1
ファンファーレ クリスタリア・イヴ1体を出す。
このターン中に(このカードを含めず)カードを2枚以上プレイしていたなら、
そのクリスタリア・イヴは進化して、守護を持つ。

  • エルダートレント
6コスト フォロワー エルフ
5/4
ファンファーレ このターン中に(このカードを含めず)カードを2枚以上プレイしていたなら、
このフォロワーは進化する。

  • プリンセスマナリア・アン
8コスト フォロワー ウィッチ
3/3
ファンファーレ マナリアドラコ・グレア1体を出し、進化させる。
進化後 攻撃時 相手のフォロワーすべてに1ダメージ。

  • マナリアドラコ・グレア
8コスト フォロワー ドラゴン
3/3
ファンファーレ プリンセスマナリア・アン1体を出し、進化させる。
進化後 このフォロワーは1ターンに2回攻撃できる。

  • ブラックスワン・オディール
6コスト フォロワー ネクロマンサー
5/4
ファンファーレ 相手の場にホワイトスワン・オデット1体を出す。その後、このフォロワーは進化する。
進化後 自分のターン終了時、相手のリーダーと相手のフォロワーすべてに2ダメージ。

  • ホワイトスワン・オデット
6コスト フォロワー ビショップ
4/5
ファンファーレ 相手の場にブラックスワン・オディール1体を出す。その後、このフォロワーは進化する。
進化後 自分のターン終了時、自分のリーダーと自分のフォロワーすべてを2回復。

救いはないんですか!?
やっぱりどれも重いんである。*3

そして、そこまでかけないと真価を発揮しないと考えると「これ入れないほうが強くね?」という結論に自然に至ってしまう。
このカードのためだけにここまでギミックを詰め込んでしまえば、まず確実に構築が歪む
というか仮に真価を発揮できてもそこまで強いわけではないため、このカードを軸にした時点でデッキパワーが著しく低下する定めである。
とにかく、全くと言っていいほど対価が労力に見合っていないのが現実だ。


「でもシルバーとかブロンズとかの低レアならそういった癖のあるカードでも仕方ないんじゃない?」
とこのカードのレアリティを知らない人は思うかもしれないが、
このカードのレアリティは最上のレジェンドより1段下の「ゴールド」である。


このカードの何がいけなかったかというと、進化を2体要求する割に自分の場しか参照しないこと。
もし仮に「進化した他のフォロワーが2体居るなら」という条件だったら進化で相手の進化後フォロワーを狩るついでに
こいつを出すことで一気に有利な盤面を作る…といった限定的ながらも強力なカードだったかもしれない。

むしろここまで来ると、2コスト0/3の文字通り時間稼ぎに使ったほうが良い気がしてくる。
しかし、序盤に攻撃力0を出せば盤面を取られて中盤が苦しくなるだけなので中盤についでに出すという運用方法が考えられるが…

  • ベルエンジェル
2コスト フォロワー ニュートラル
0/2 守護
ラストワード カードを1枚引く。

そうすると今度は「こっちで良くね?」って話になってしまう。
悪魔の像より体力が1低いとはいえ、破壊時に1枚ドローという効果はやはり大きい。
破壊時発動という条件のおかげでコンボ性もあるし。
しかもこっちのレアリティはシルバーなため悪魔の像より入手が簡単という始末。
スタンダード収録なのでログボでパックチケットも貰えるし。


さらにビショップには似たような条件を持つ強力なライバルが登場してしまう。

  • 天界の忠犬
2コスト フォロワー ビショップ
2/2
ファンファーレ 自分の場に進化後フォロワーがいるなら、+0/+2して、守護を持つ。

効果を発動した際の性能は2/4守護と悪魔の像に劣るが、こちらは進化フォロワーが1体だけいれば発動するため条件を満たしやすく、
条件を満たせなくても平凡なフォロワーとして出せるなどと様々な場面で役に立つ上にレアリティもブロンズなためお手軽に手に入るという始末。
攻めてよし、守ってよしの優良フォロワーといえる。


……お分かりいただけただろうか。これが現実である。
そのあまりにもあんまりなカードパワーに加えて上位互換染みたカードの多さから、引き当ててしまったプレイヤーはこのカードをこう呼ぶ。
250エーテル」と・・・。
分解されてレッドエーテルへと還りプレイヤーのカード資産の支えとなることが、このカードの最大の活躍の場なのだ。*4

構築戦で駄目ならせめて2pickで・・・と思うかもしれないが、
シナジーカードを取れるとは限らない、効果を発動しなければ盤面を奪えない、ゴールド以上枠ならもっと優秀なカードがいくらでもある
という点から、やはりこちらでもピックは避けられる運命にある


さて、ここまで散々こき下ろしたが、これ以降のカードパックで低コストで条件を満たせるカードが有れば効果自体は強力なので評価が上がる可能性は十分にある。
現に初期パックしか無い環境でゴミだと言われていたビショップクラスのカウントダウンアミュレットも、
同じく「Darkness Evolve」で追加された新カード群により軒並み扱いやすくなり、ビショップクラス共々猛威を奮っている。
忌むべき悪魔の像がこのまま忌まわれる存在になるか、敬われる存在になるかはまだわからないのだ。




と思いきや、第4弾「神々の騒嵐」にてこんなカードが・・・

  • 風の軍神・グリームニル
3コスト フォロワー ニュートラル
2/3
守護
ファンファーレ エンハンス10;相手のリーダーと相手のフォロワーすべてに1ダメージ。
これを4回行う。

1コスト重いとはいえ、デフォルトで2/3の守護という異常な汎用性の高さ。
3ターン目にそのまま出してもいいし、中盤にPPが余ったらついでに置いてもいい。
おまけに10コスト払うことで実質相手のリーダーとフォロワーすべてに4ダメージと至れり尽くせり。
序盤は侵攻を凌ぎ終盤は最後のひと押しと、どのタイミングで引いても腐らないのだ。
加えてこのグリームニル、忌むべき悪魔の像と同じニュートラルのゴールドレア。
こちらは悪魔の像とは違い、様々な環境デッキに投入される強カードである。
流石に強すぎたので、後にエラッタで「相手のリーダーへのダメージ」は削除されたが、それでもなお現役。


おまけにヴァンパイアにも・・・

  • 糸蜘蛛の悪魔
2コスト フォロワー ヴァンパイア
1/4
守護
ファンファーレ 復讐状態でないなら、自分のリーダーに2ダメージ。

同じ2コストだが、こちらはなんとデフォルトで1/4というスタッツ。
相手のウィニーを受け止めつつ、自分は《ゾンビパーティ》《漆黒の法典》といった2コストスペルで取られない。
復讐状態でないと2ダメージ受けるものの、元々ヴァンパイアはスーサイド戦術を得意とするリーダーである。
加えて回復手段も豊富に存在するため、実際はほとんど気にならない。
そして、レアリティもブロンズ。復讐軸のヴァンパイアデッキを支えるいぶし銀である。


次々に強力すぎるライバルが現れるこのカードの明日はどっちだ・・・



そして迎えた第5弾「ワンダーランド・ドリームス」
ビショップのレジェンドとしてこんなカードが追加された。

  • スノーホワイトプリンセス
2コスト フォロワー ビショップ
1/2
ラストワード スノーホワイトプリンセス1体を出し、進化させる。その後、そのスノーホワイトプリンセスは能力すべてを失う。

わずか2コストと非常に軽く、進化の条件もラストワードであるため、2体並べやすくかつ進化権を消費しない。
ついに悪魔の像さんを救うカードが現れたか・・・!?

と思いきや、結局組み合わせられるのは前述の《天界の忠犬》なのでした。


  • 火焔の軍神・ヤヴンハール
3コスト フォロワー ニュートラル
3/2
自分のターン中、自分の他のフォロワーが進化したとき、進化する。
(進化後)交戦時 交戦する相手のフォロワーに2ダメージ。(進化してもスタッツは上がらない)

  • 雷鳴の軍神・フニカル
2コスト フォロワー ニュートラル
2/2
ファンファーレ エンハンス 5 ; 進化する。
(進化後)ラストワード ランダムな相手のフォロワー1体にXダメージ。
Xは「このバトル中、自分のフォロワーが進化した回数」である。

12弾で登場した前述のグリームニルの同輩コンビ。いずれもEPを使わずに低コストで進化できる能力を持ち、こいつらの登場で忌むべき悪魔の像も再注目されている。
特にヤヴンハールの効果は発動すれば必ず悪魔の像の条件を満たせるため、ベストマッチといっても過言ではない。
ヤヴンハール進化からの悪魔の像はネタと一蹴するには侮れないほど強固な盤面を構築できるため、分解するにはやや惜しい存在となってきている。
進化を重ねるだけじゃ構築歪むだけで勝ちに繋がらないやん、という方もご安心を。

  • 至高の戦神・オーディン
7コスト フォロワー ニュートラル
4/3
直接召喚 10ターン目かそれ以降の自分のターン開始時、このバトル中に進化した自分のフォロワーが6体以上なら、このカードを1枚、自分のデッキから場に出す。
疾走
攻撃時 フォロワーに攻撃したなら(ダメージを与えあう前に)、そのフォロワーに「このフォロワーの攻撃力の値」を同じダメージ。

グリームニルたち3人の上司であり、コストこそ重いが条件を満たすとデッキ内から自動召喚される「直接召喚」能力と、場に出たら即座に相手リーダーを殴れる「疾走」能力を持つ。
要するに「進化5回で自動的に攻撃力4の疾走持ちがデッキから飛び出してくる」ということ。おまけにオーディンのコストは消費されないので、余ったコストでさらに色々できる。また、1ターンに出せるのは1体だけだが、条件を満たしてデッキ内にオーディンが残っていれば 毎ターンオーディンが走ってくる
「オーディンを出す」という明確なフィニッシュプランを組めるため、そこまでの時間稼ぎとしては悪魔の像は十分有用なカードになっている。

第15弾パックでは、「ユニオンバースト」という進化が影響する能力が追加されるほか、悪魔の像の救世主が遂に現れた。

  • 無敗の剣聖・カゲミツ
1コスト フォロワー ロイヤル
0/1 
ラストワード 自分のターンなら、自分のリーダーは「自分のターン開始時、無敗の剣聖・カゲミツ1体を出し、進化させて、この能力を失う」を持つ。
ファンファーレ エンハンス 3; +2/+0して、突進 を持つ。
(進化後)1/1攻撃時 +X/+Xする。Xは「このバトル中、自分のフォロワーが進化した回数」である。

このカードを前のターンに自滅させておくことで、その次のターンに悪魔の像の条件達成に必要な進化フォロワーを一体(複数体も可能)用意できる。また、カゲミツの効果は進化時ではなく、攻撃時のため盤面に残れば複数回発動できる。当然相手はこのフォロワーを除去しようとするが、悪魔の像による強力な守護によって、カゲミツを盤面に残しやすくできる。

こうした相棒を得て、ロイヤル限定ではあるが構築級のカードとして使われるようになった。

第2弾のカードの殆どがインフレについていけていない中、進化のインフレによって逆に条件を満たしやすくなっているため、更なる悪魔の像の活躍が期待される。


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最終更新:2023年10月27日 14:17

*1 リーダーのライフが10以下の状態のこと

*2 PPが7以上の状態のこと

*3 《クリスタリアプリンセス・ティア》は5コストだが、ティアより前に2枚以上プレイが条件なので1コストのフェアリーを0コストにするカードでも使っていない限りは7コスト必要。

*4 ブロンズ1枚の生成に必要なレッドエーテルは50、シルバーで200。それ以上になると、ゴールドで800、レジェンドで3500となる。