SCP-489-JP

登録日:2016/12/20 Tue 20:32:20
更新日:2023/08/02 Wed 11:20:39
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SCP-489-JPはシェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト(SCiP)のひとつ。JPのコードが示す通り日本支部の管轄である。
オブジェクトクラスはEuclid。収容が不完全なオブジェクトである。

さて、コイツはどんなオブジェクトなのか?
本家もそうだが、SCPオブジェクトの項目名は内実を現しているとは限らない。しかしコイツに限って言えば、「名は体を表す」を地でいく。

その項目名はこちら。












SCP-489-JP - サメ殴り艇隊












……あー、うん。
断っておくが、あのサメを殴ることに命をかけてる連中とは全く関係ない。間違いなく元ネタだろうが関係ない。
やってることは大差ないが、これは立派な(?)SCPオブジェクトである。SCP Foundationの記事である。そしてジョーク区分でもない。
番号は「シャーク」のもじりだが。

気を取り直して、コイツがどんなオブジェクトなのかを説明していく。


概要

まずコイツらは、「艇隊」の名が示す通り複数隻の船で構成されたオブジェクトである。全長20m、排水量約50tの高速攻撃艇3隻から成る。
この手の乗り物系オブジェクトの通例として、3隻とも国籍、所属を示す痕跡は一切確認されていない。

が、ブリッジの左側に白抜きで「S.P.C.」と塗装されている。これが何を意味しているのかは不明である。
思い出したであろう名前は心の中にしまっておいてください。

で、何とというかやはりというか、自律して動く。というわけで、移動させる際は曳船を利用して引っ張ることになっている。

外装は普通の船同様、金属および樹脂素材で構成されているが、これまたやはりというか、損傷した箇所を自然に修復する自己再生能力を持つ。さらに燃料タンクの内部には石油分解菌と魚介類の死骸が蓄積しており、通常ではあり得ない速度で燃料を精製していた。現状、収容後の実験ではディーゼル燃料を使用しているが、特に異常は見られず性質も変わっていない。

さらには、ブリッジ下部から艇首部分にかけて、脳と見られる神経系と高度に発達したメロン体が存在しているのが特徴。このメロン体、音響兵器として使用できるレベルの音波を発生させることが出来る。
さらにさらにこの連中、なんと2時間程度だが潜水行動も可能。最近の船ってすごい。


オブジェクトとしての性質だが、これは、まあ、お分かりかと思うがサメへの攻撃である。
この船たちは各サメ目の魚類、その中でも特に大型の鮫に対する異常なまでの攻撃性を持っているのだ。
自身を中心とする一定範囲に各サメ目の魚の兆候を捉えると、乗っている人間の操縦を受け付けなくなり、とんでもない速度に加速して鮫に体当たりを試みる。
さらにこの3隻は互いに意思疎通を行っていると見られ、鮫の捜索や攻撃の他に、損傷した個体を守るためにチームとして行動しているらしい。

何でまたこの船たちがサメを集中的に攻撃するのかは、現時点ではわかっていない。ただ、収容前の報告からSCP-489-JPの持つ攻撃性は徐々に無差別化、過激化しているのではないか、と推測されている。
裏付けとして1980年代頃から、鮫以外の大型魚類、クジラ目の哺乳類、果ては漁船や潜水艦も攻撃の対象になっていることが報告されている。

これは長期間「獲物」にありつけないストレスの結果と考えられ、さらにSCP-489-JP同士が互いに軽い体当たりを行う事例も観察されているが、これもある種のストレスに因るものと思われる。

おまけにこの連中、サメであれば生き物でなくとも、つまりサメの絵とかぬいぐるみとかそういうものにも反応する。
本物のサメを発見した時よりも鈍い反応だが、収容違反を起こす可能性があるため、プロトコルには「サメ関連の事物を絶対に持ち込まないように」と追記されている。



実験記録


SCP-489-JPは前述のとおりサメを攻撃するオブジェクトである。そこで、どんな基準で攻撃するのかを実験した記録がある。

  • 実験その1
対象:イタチザメの成魚 アオザメの成魚 アカシュモクザメの成魚 コバンザメの成魚
実施方法:実験区域に対象の魚類を侵入させる。SCP-489-JP-1で実験。
結果:コバンザメを除く全ての鮫に対して反応を示し、体当たりを試みる。
備考として、コバンザメは分類学上サメ類とは近縁ですらないスズキ目の魚である。
一応、サメとサメではない魚を判別することはできるらしい。

  • 実験その2
対象:実物大ホホジロザメのロボット
実施方法:実験区域に遠隔操作でロボットを侵入させる。実験区域内にはSCP-489-JP-1を配置。
結果:実験開始時には反応を示さず。ロボットをさらに接近させたところ反応を示す。SCP-489-JP-1は時速██ノットでロボットに衝突。鮫ロボットは粉砕。
生き物であるか否か、を判別することも出来るようだ。

  • 実験その3
対象:実物大のメガマウスのイラストを描いた鉄板。
実施方法: 実験区域内にイラストを描いた鉄板をクレーンにて投入。SCP-489-JP-2を配置。
結果:投入直後には反応を示さず、240秒後にイラストの鮫に3度突進。鉄板は大破。
イラストにも反応。サメとみるととにかく攻撃に行くらしい。

  • 実験その4
対象:3m四方のナイロン製の布に漢字で「鮫」と印刷した物を海上3mに設置。実験区域内にSCP-489-JP-3を配置。
実施方法:ナイロン布を設置した場所にSCP-489-JPを誘導する。
結果:SCP-489-JP-3は時速██ノットまで加速後に潜航。その後ポーポイジングを行い、海上の目標を突き破り着水。
この後言語を変えて実験したがいずれも同じ。サメなら何でもいいらしい。


補遺

このオブジェクトを調査していた種子島研究員の報告では、各国海軍やその他の機関によるいくつかの遭遇例で、規則的なクリック音が録音されているという。
この一部を解析した結果、クリック音の信号は欧文モールスの文章を構成していることが判明。このことから、SCP-489-JPの知能が人間のそれに近い可能性が示唆され、現在、クリック音の全録音を解析している。
で、研究員はこんなメモを書いている。

SCP-489-JPの調査中に、アメリカ沿岸警備隊やイギリス海軍ではブリッジの「S.P.C」を「Shark Punching Craft」と呼んでいたことが分かりました。さしづめ「サメ殴り艇」と言ったところでしょうか。もっとも、CはCachalotのような気もしますが。

船か? ハクジラか?
いずれにしても確かなことは、コイツらはサメを殴ることに執心している、ということだ。


追記・修正はサメを殴ってからお願いします。

CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-489-JP - サメ殴り艇隊
by megabomb
http://ja.scp-wiki.net/scp-489-jp

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最終更新:2023年08月02日 11:20