SCP-553-JP

登録日:2017/01/06 (金) 09:51:00
更新日:2024/03/26 Tue 08:58:52
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かれのいうことならなんでもききます
かれがつるせっていうからつるします






SCP-553-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は『絞首便所』。日本支部によって生み出されたオブジェクトであり、オブジェクトクラスは「Euclid」に指定されている。


SCP-553-JPは、某府某市に存在する公園の公衆トイレである。
外観はいたって普通で、見た限りではとても異常性があるとは思えない。
その為、無辜の市民が間違って使用してしまわないよう、財団は「重金属による土壌汚染が発生しました!」という名目で公園そのものを封鎖し、
監視役まで配置して徹底的に公園内への立ち入りを排除しているのである。

このトイレの異常性は、二種類あるトイレのうち、男性用に入室し、個室トイレを使用した際に発生する。
内部に人間が入り、5分が経過するとトイレ内に20代前半と推定される日本人女性の幽霊が出現するのだ。

「ぎゃ〜出た〜!?」

なんて驚いている暇もなく、幽霊を目撃してしまった人間は首に何かが巻きついたような感触を覚え、
次の瞬間には凄まじい力で天井付近まで吊り上げられてしまう。
そう、あたかも見えない投げ縄を首に引っかけられ、そのまま宙吊り状態にされてしまったかのように―――

そして、哀れな犠牲者が縊死するのを見届けた幽霊は姿を消し、犠牲者の遺体は床に投げ出されてすべては終了する。

因みに、財団がDクラスを用いた実験により、この幽霊が映像記録に残ることと、首吊りにされる条件が
幽霊の姿を視認してしまうことそのものであり、視覚を封じた状態であれば生き延びること自体は可能であることが判明している。

…もっとも、一瞬でも幽霊を見てしまった人間は何がなんでも首を吊られてしまう為、どうあがいても幽霊を視認してしまった対象を助けることはできないのであるが。

なお、このSCPが財団に収容されることになったきっかけは、問題の個室トイレ内で縄もないのに首吊りと寸分たがわぬ状態で死亡した人間が三人続けて発見されたのが、府警内に潜入して居た財団のエージェントの注目を引いたからであった。


調査

財団は、この傍迷惑な幽霊の正体を掴むべく調査を行なった。
その結果、幽霊の正体は20■■年10月20日に問題の男性用個室トイレの中で首吊り状態で発見された女性であることが判明している。
府警本部は当初、女性の死因を自殺だと思って居たようだが、詳しい調査の結果殺人事件に切り替えて捜査を行なったらしい。

当然、財団もこの事件に着目し、週刊誌の記者に成りすましたエージェント・一宮を派遣して情報収集を行なっている。
以下は、エージェント・一宮が生前の被害者女性をよく知っているという近隣に在住して居た主婦にインタビューを行なった際に得られた証言の抜粋である。

主婦「(被害者女性)ちゃんが死んだ日の事やったね。最後に(被害者女性)ちゃんに会うたんは確か2日の昼頃やったかなぁ。うちがお隣の奥さんと喋っとったらあの子が通りかかってな。えらいおめかししてどこ行くんって聞いたら、あの子今から彼氏と買い物行くんやって嬉しそうに笑ろうとったわ」

エージェント・一宮「なるほど。で、その彼氏についてはご存知ありませんか?」

〈 重要度の低い会話が続く為割愛 〉

主婦「あ、そういや」

エージェント・一宮「なにか思い出したことでも?」

主婦「前に(被害者女性)ちゃん言うとったんやけど、彼氏はアメリカ人や言うとったな。名前は確か……ジェームズなんとかやったんやけど。なんやったっけ……ちょっと思い出せへんわ、堪忍な。」

この主婦の証言をもとに調査を行なった結果、財団が容疑者として目をつけたのは、
生前の被害者女性が交際して居たジェームズ・フランクリン(James Franklin)なるアメリカ人であった。





――――え、なんか聞き覚えがある?    もう少しお待ちを。





犯行後に逃亡したと思われる、このフランクリンなる人物の情報を掴むべく財団は在日米軍や入国管理局、果ては米国にある合衆国社会保障局にまで探りを入れてみたものの、この男が日本に入国した記録は得られなかった。

一方、被害者女性のツイッターや、彼女の知人友人を対象とした調査の結果、女性とフランクリンが出会ったのは日本国内で開催された合同コンパであったことが確認されている。
以下は、被害者女性が登録していたツイッターに残された文章の抜粋である。

12月15日
合コンにアメリカ人がいたんですけど。しかもイケメンでマジどうしよう。

イケメンアメリカ人、ジェームズって名前だった。メアド交換しちゃった。

(翌年)1月27日
彼に告白されました。まだ頭の中パニクっててどう言っていいやら。夢なんじゃないか、もし夢なら醒めないで欲しい。

2月15日
一晩中彼と一緒にいて思った事。私彼なしじゃもう生きていけない。彼の言うことなら何でも聞いちゃう。

4月3日
彼と一緒に住む新居をこれから見に行ってきます。

わたしきょうからここにすみます
かれのいうことならなんでもききます
かれがつるせっていうからつるします
ああわたしとってもしあわせ
しぬほどしあわせ

最後のツイートは、被害者女性の死亡推定時刻の6時間後に投稿されていることが明らかとなっている。

漢字が一文字も使われていない事から、女性を殺害したフランクリンが被害者の死亡時刻をごまかすために書き込んだ可能性が高い。
…が、アイツならもっとエグい目的だった可能性も

財団は、当然のことながら被害者女性とフランクリンが知り合ったという合コンの出席者を探し出してインタビューを行なっている。
その結果得られた証言は、「外人がいたような気がするけど、どんな顔だったかは覚えてない」という奇妙なものであった。

しかも、参加者の何人かが合コンの様子を撮影しており、フランクリンの姿も撮影したと証言したにもかかわらずフランクリンの写真は残されていなかったうえ、
事件発生前にSNSに投稿されていた合コンの写真からもフランクリンの姿だけが綺麗さっぱりと消えていたのである。

ジェームズ・フランクリンを写した画像はすべて不自然に消失しています。また、彼の顔を覚えている人間が誰もいません。これは現実改変の可能性を疑うべき案件だと思われます。
―信濃川博士




追記・修正は自宅でトイレを済ませてからお願いします。

CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-553-JP - 絞首便所
by itinomiyaP
http://ja.scp-wiki.net/scp-553-jp

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最終更新:2024年03月26日 08:58