グレムリン(仮面ライダーウィザード)

登録日:2017/05/05 Fri 02:54:00
更新日:2024/04/16 Tue 17:42:07
所要時間:約 5 分で読めます





ハロ〜♪



グレムリンとは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーウィザード』に登場するファントム。

演:前山剛久(人間態)
スーツアクター:岡田和也





概要

日食の儀式「サバト」で誕生した、ワイズマン直属の幹部ファントムの1体。
メデューサフェニックスと共に、他のファントムにゲート襲撃の指示を出す役割を担う。

太陽に吹っ飛ばされて考えるのをやめたフェニックスと入れ替わる形で、メデューサの2代目パートナーに就任。
しかし、その行動には不可解な点が多く、ファントムの襲撃を妨害したり、敵である仮面ライダーウィザードに間接的に協力したりと、敵味方問わず場をかき乱すことを好む。

本人いわく「人の心を持ったままファントムになった」異質の存在。
それを示すように、劇中では「新たなファントムを生み出す」というワイズマンの目的に疑問を持ち、その真意を探るべく暗躍する。
さらに、彼自身にもある目的があるようで……?


性格

誰に対しても馴れ馴れしく接し、人を食った態度を崩さない。端的に言えばウザい性格。

一応はワイズマンの意志に従っているものの、基本的には「自分が面白いかどうか」を基準に行動し、目標そっちのけで場をかき回す、
フェニックスとは別ベクトルで不真面目なファントム。
当然メデューサとの相性は最悪で、何度身勝手を咎められても一向に反省しない……というよりも寧ろイラ立つ彼女を見て楽しんでいる。

一方で、時折冷徹な面をのぞかせることもあり、その真意は誰にも理解できない。
フレンドリーな態度とは裏腹に、意外と猜疑心が強く実際には誰も信頼していない節がある。

イタズラ好きな面もあり、相手の死角から突然現れ、「ハロ〜♪」と声をかけてからかうのが趣味。
生前の勤務先によると、これは人間だった頃からの癖らしい。

人の心を保っているためか、人間としてのアイデンティティに強いこだわりを持ち、「グレムリン」という名前で呼ばれることを嫌う。
他のファントムを呼ぶ際も、人間態の名前を呼ぶよう徹底している(例:メデューサ→ミサ、フェニックス→ユウゴ)。
もっとも、ファントム自身は宿主の人間とは全くの別人格なので、名前を呼ばれても顔を顰める者が殆どだが。

ファントムを押さえ込んで魔法使いになった操真晴人には親近感を抱いているようで、「僕らは友達になれるかもしれない」と気にかけている。



人間態

「ソラ」と名乗る、明るい茶髪の青年。

服装は白いシャツに7分丈のズボン、肩には緑を基調としたケープを巻き、黒いハット帽をかぶった、なかなかのオシャレさん。
特に帽子には愛着があるらしく、なくした際には酷く動揺していた。

常にヘラヘラとした笑みを浮かべ、「フフフッ♪」と甲高い笑い声を上げるのが特徴。やっぱりウザい。
ファントムに指示を出す際にもヘラヘラしているが、たまに人殺しのような冷徹な顔つきになる。


生前の名前は滝川(たきがわ)(そら)
職業は美容師で、いくつかの美容院を渡り歩いて働いていた。
いたずら好きな性格は生前からだったらしく、現在のグレムリンとほとんど同じ。

生前は妹思いの優しい少女だったメデューサ、暴力を嫌う穏やかな青年だったフェニックスと比べると、やはりこの点は異質である*1
一方、「彼が担当していた女性客が店に来なくなる」という不可解な出来事が各店で起きている。
店長は「店を変える時、空が引き抜いていった」と考えているが……?

人間態のままでも高い身体能力を持ち、素早い動きで一気に高所まで移動できる。


怪人態


身長:232.0cm
体重:160.0kg
特色/力:「ラプチャー*2」と呼ばれる刀を操る、俊敏な身のこなし

緑を基調とした姿をしたファントム。
得物は2本の片刃剣「ラプチャー」で、素早い斬撃を繰り出す他、斬撃を飛ばすことで遠距離にも対応可能。
また、ハサミのように組み合わせることで、相手を挟み込んで動きを封じることもできる。
他にも、超高速で動き回ったり、壁のなかを自在に移動したりと、能力は多彩。

幹部ファントムだけあって戦闘能力は高く、ウィザードの通常スタイルと仮面ライダービーストの2人がかり程度はものともしない。
しかし、ウィザード インフィニティースタイルには敵わないらしく、「そうなられたら勝ち目はない」と語っていた。
また、本人にやる気がないのか、真面目に戦う場面はほとんどなく、適当に相手をしたらさっさと逃げ出してしまう。
他のファントムと共闘する際も同様で、彼に見捨てられたり、見て見ぬフリをされたりして倒されたファントムも多い。
前述の通り、基本的に他のファントムへの仲間意識は薄い模様*3

進化体


身長:240.0cm
体重:170.0kg
特色/力:高速移動、魔力による衝撃波を放つ

グレムリンが賢者の石を取り込んで強化した姿。
頭に2本の角が生え、両肩のパーツが尖った形状になるなど、全体的に鋭角なシルエットに変化している。
声にエコーがかかっており、より不気味な印象を与える。
白い魔法使いから奪ったハーメルケインをそのまま使用する他、ディフェンドウィザードリングの防壁を破る威力を持つ光弾、インフィニティースタイルの攻撃を受け切る防御力など、桁外れのパワーアップを果たしている。


劇中の活躍

初登場は第18話。
ゲートを探すコヨミの前に突然現れ、ランドドラゴンウィザードリングの元となる魔宝石を渡す。
ウィザードがランドドラゴンに進化したのを見届けると、追い詰められたヒドラを助けることもなく立ち去った。
この時点で彼がファントムであることは見抜かれている模様。

その後、暴走を始めたフェニックスの前に現れ、凛子を人質にウィザードを誘き出すことを提案し、彼の造反劇を裏からサポートする。
フェニックスが太陽送りになったあとは、メデューサと合流して怪人態に変身し、フェニックスに代わって彼女のパートナーとなる。

しかし、以降はワイズマンやメデューサの指示に従うこともなく、次々と独断で行動。
ワータイガーに協力して仁藤攻介の祖母を人質に取ったかと思えば、拘束されていたレギオンを勝手に解放してゲートを襲わせたり、
国家安全局0課にハリケーンドラゴンウィザードリングの魔宝石を流したのが彼だと判明したりと、まるでワイズマンを試すかのように場を引っ掻き回していく。

そのせいでワイズマンの怒りを買って処刑されかけるが、サバトや魔法使い、そして「賢者の石」の情報をちらつかせて交渉。
彼を説き伏せ、メデューサを含めた全ファントムの指導者となった。


第34話では、彼の素性を調べる晴人と大門凛子の前に姿を現すと、自分が人の心を持ったファントムであることを告白する。



僕だって、望んでこうなったわけじゃない……。

そういう意味では、僕らは似た者同士かもしれないね!

人でもなくファントムでもない僕たちは、仲良くなれるかもしれないよ?



困惑する晴人をよそに、アルゴスとウィザードの戦いを見物していたが、ゲートである清水千明(演:新木優子)を見ると表情が一変。
身を呈して彼女を守り、怪我を負って川に転落してしまう。



君は誰にもやらせない……!



その後、「人の心を持っている」と確信した晴人に救出されると、礼としてワイズマンの目的を晴人に伝え、その場を立ち去る。
さらに、再び襲撃してきたアルゴスから千明を救出すると、乱れた髪を見てヘアメイクを提案。
ファントムから匿う目的も兼ねて、彼女を自身のサロンに招待する。

父親に捨てられた過去を持つ千明を、「僕も似たような経験がある」と優しく慰めるソラ。
その表情は、冷酷なファントムのものとは思えないほど穏やかだった。

一方、晴人は空の素性を調べていた凛子から呼び出されて警察署に出向く。
そこで目にしたものとは……。





君が捨てられたように、僕も捨てられたんだ。

大切な人にね……。


























※以下、第35話以降のネタバレを含みます。


































けど僕は、捨てられたりしない……。

捨てるのは…


僕の方だ。


ちょうどいい!死の恐怖で絶望してよ!それでファントム生まれれば、一石二鳥だからさあ!!
アハハハハハハハハハハハハハハ!!




明らかになったその本性は、長い黒髪を持ち、白い服を着た女性」ばかりを狙う筋金入りのサイコキラー
担当した女性客が来なくなったのも、その姿を見た空に殺害されていたからである。

こうした犯行は、以前愛していた黒のロングヘアに白い服だった女性*4に見捨てられ、それに恨みを抱いて殺害したことから始まっている。それ以降、彼女と同じ姿をした女性を見るたびに記憶がフラッシュバックするようになり、その度に美容師という立場を悪用して、髪を切り落とした上での殺人を繰り返していた。
警察も行方を追っていたらしく、判明しているだけで(捜査本部のホワイトボードに貼り出されている人数)43人もの命を奪っている。言うまでもなく極刑モノである。

更に一連の犯行はサバトが行われる以前から続いている。
つまり、彼はファントムになる前から、ファントムと同等かそれ以上の危険人物だったのである。
彼が人間の心を持ったままファントムになったのも、最初からファントム並みの残虐性を備えていたからかもしれない……。
ターゲットを殺害するための部屋がご丁寧にも美容室を模したものであることや、前述のラプチャーがキッチン鋏のように分解可能であることがその印象を更に強めている。


そんなグレムリンの真の目的は、「人間に戻ること」
サバトに巻き込まれたのは彼にとっても予想外の出来事であり、晴人と同じく普通の人間でなくなったことに苦悩していた*5
危険人物ではあるが、その目的に関しては、自身の「希望」として懸命に追い求めていたのである。


人間に戻る方法を探すなかで、グレムリンは究極の魔宝石「賢者の石」の存在を知り、それがサバトやファントムの存在と深く関わっていることを知る。
そして、「ワイズマンの目的はファントムの増加ではなく、ゲートを絶望させることにある」「ワイズマンと白い魔法使いは同一人物であり、魔法使いとファントムの戦いは彼が仕組んだ計画」といった事実にいち早くたどり着く。
以降、ウィザードとファントムの両陣営に協力しながら、ワイズマン=白い魔法使いの出方をうかがい、賢者の石を奪取しようと行動していた。


上記のように千秋を助けたのは、その姿を見て殺人鬼としてのスイッチが入り、自らの手で殺そうと考えたため。
本性を現したソラは、千明の髪をざっくりと切断すると、恐怖におののく彼女をじわじわと追いつめる。
なくすと取り乱していたほど大切な筈の帽子を脱ぎ捨て、開いたハサミを片手に血走った目で迫る*6姿は、控えめに言ってもマジキチである。


しかし、すんでのところで晴人と仁藤が駆けつけ、犯行は阻止。
晴人と対峙したソラは、切り落とした千明の髪を愛おしそうに眺めながら、自分の本当の姿を知ってくれた喜びを語る。
その上で晴人を自分と同類だと語るが、晴人はそれを拒否。
決裂した2人は互いに変身し、手加減なしの真っ向勝負を開始する。

これまでと違い本気のグレムリンはウィザードを苦戦させるが、ウィザードがインフィニティースタイルにスタイルチェンジすると状況が一転。
一方的に追いつめられ、「ドラゴンシャイニング」で倒されそうになるが、寸前で回避して逃れる。
そして、自分が賢者の石を手に入れた後に決着をつけることを宣言し、姿を消した。

戦いのなかで、ウィザードに「仲良くなれると思ったのに」「拒んだのは君の方だ」と発言している通り、本来の性格は傲慢かつ自己中心的。
決して自分の非を認めず、意にそぐわない人間に躊躇なく危害を加える姿勢は、まさに怪物の心を持った人間と呼ぶに相応しい。


真の目的が露見して以降は、ファントム陣営から離れ、堂々と行動を開始。
賢者の石を宿したコヨミを襲うが、白い魔法使いとなった笛木奏が現れ、完膚なきまでに叩きのめされる。この戦いで実力差を悟ったのか、今度はサバトが失敗した直後の笛木を襲撃。賢者の石を取り出すカギであるハーメルケインをわざと自分に突き刺させ、奪取に成功する。

そして、ウィザードとの戦いで変身解除に追い込まれた笛木を背後からハーメルケインで突き刺した後、正面から斬りつけて殺害。人間としての人生を奪われた事への報復を果たすと、続いてコヨミにも襲いかかり、ついに賢者の石を手に入れる。




最期

グレムリンは賢者の石を体に埋め込み、進化体へ変貌。
しかし賢者の石に魔力が溜まっていなかったため、人間に戻る事は叶わず、賢者の石に魔力を溜めるべく、無差別に人々を襲い始める。

真由、譲、山本が変身した仮面ライダーメイジを軽くあしらい、破壊の限りと尽くすグレムリン。
しかし、コヨミの魂を救う決意を固めた晴人が現れ、最終決戦に突入する。

通常形態では歯が立たなかったインフィニティースタイルをも超える力を発揮し、ウィザードをフレイムスタイルに退化させるまでに追い詰めるが、強い決意を秘めたウィザードに攻撃を受け止められる。
そして、ウィザードが放った最初で最後のパンチを食らい、賢者の石を取り出されてしまう。*7

通常形態に退化したところに、渾身のキックストライク*8を受けて変身を解除。
最期は自身の希望(・・)を踏みにじった晴人に恨み言を吐き捨てながら苦い笑みを浮かべて消え去った。



他人の希望を奪って……
君はそれでも、魔法使いなのかい……!?

人の心をなくしたお前は……人じゃないだろ?

……言ってくれるねぇ……。




余談

●映画『劇場版 仮面ライダーウィザード in Magic Land』では、メデューサ、フェニックスと共に再登場。何気に初の3幹部勢揃いを果たした。
……が、本編での強さを発揮する事も無く、まとめてウィザードとビーストに撃破された。
「真っ先に対処が必要なのは他の2人よりもフェニックスの方じゃないのか」というツッコミはこの際置いておこう

●ネットムービー『ネット版 仮面ライダーウィザード イン マジか! ?ランド』では、「魔法ライダーを探せ!!」のコーナーに登場。
勘違いでボケ倒すメデューサに、何故か関西弁になりながらツッコミまくった(演じる前山氏は大阪府出身)。

●映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』では、バダンの力で地獄より復活し、同じく復活した怪人達と徒党を組んでライダー達と戦った。
パンフレットにも登場の記載が有るのだが、ワンシーンのみなので気付かなかった人もいるかもしれない。
この時の彼はロブスターオルフェノクとリブラ・ゾディアーツがファイズ、スーパー1と戦う中、その直上の橋でホッパー・ドーパントと共に真&Jのバッタコンビと戦っていた。
経緯は違えど、彼ら4人は元は人間であり、明確な「死者」である点が共通している怪人である。

●映画『劇場版 仮面ライダービルド Be The One』にも登場。白いパンドラパネルの力の影響で別の世界に迷い込んだ戦兎が目撃した、平成ライダーと怪人軍団の戦いに参加していた。この時は進化体の姿。
因縁のあるウィザードと戦う最中、乱入してきたジオウビルドアーマーに圧倒され、他の怪人共々必殺技の餌食となった。

●元ネタのグレムリンとはイギリスに伝わる妖精の一種のこと。
機械に悪戯をする妖精とされ、様々な科学や学問に対して詳しい知識を持つ近代的な特徴を持つ。
昔は蒸気機関の発明・開発の手助けをしていたが、自分達を人間が敬わなくなったことに腹を立てて人間に対して悪さを働くようになったと伝えられる。
機械やコンピュータが原因不明の異常動作をすることを「グレムリン効果」と呼ぶことがあり、昔のイギリス空軍内では中東、インド、地中海の島々でしばしば起きた飛行機事故が「グレムリンの仕業」と呼ばれたこともあったという。  

●一部視聴者は、ソラの残忍な本性に関して、音階の「ソ」「ラ」の次は「シ」=死が来ることから、その名前の中にすでにヒントとして仕込まれていたのではと考察している。
その本性が明らかになる35話のサブタイトルが「空の向こう側」である事から、死を暗示していることは窺えるだろう。
また、大切な人に捨てられたことは彼にとっての「希望」を失ったことを示しているため、どこかやり切れないものを感じている人々も(僅かだが)存在している。





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最終更新:2024年04月16日 17:42

*1 生前と同じ家に住み、しっかり掃除していたり、サバトを経てグレムリンになった後もちゃんと職場に届け出てから退職するなど。

*2 英語で「狂喜」という意味。これも彼の素性のヒントだろう。

*3 とはいえ、仲間意識の低さはファントム全体に言えるらしく、基本的に単独行動を好んだり、仲間が減ろうが増えようがどうでもいいというスタンスの者が多い。

*4 後にこの女性の正体は滝川空の実姉ということが監督の舞原賢三氏のツイートで明かされている。

*5 因みに人間に戻りたい一番の理由は「ファントムの体では殺人が楽しめないから……」という事が示唆されている。

*6 これは彼が人を殺す際のルーティンらしく、恋人を殺害する時も行っていた。

*7 ウィザードに登場するライダー=魔法使いは指輪をはめている都合上、子どもが真似しないようにパンチを使用しなかった。このシーンに限り、リングをはめていない手で殴っている。

*8 4つの魔法陣からエレメントのドラゴンを放ったのちに繰り出されるこのキックは、ガンバライジングにて「ホープストライク」と名付けられた。