メダカ(魚類)

登録日:2017/9/6 (水曜日)15:56:00
更新日:2024/01/30 Tue 22:38:46
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メダカとは、メダカ科、カダヤシ科、アプロケイルス科、キプリノドン科などの魚の総称。
ニホンメダカはメダカ科であったが、メダカ目の分類が変更されて現在のメダカ科はダツ目となっている。
ここでは、日本で一般的な「ニホンメダカ」と、熱帯魚として流通している「ニホンメダカ以外のメダカ類」を解説する。

概要


メダカは卵胎生メダカ類と卵生メダカ類に大きく分かれる。

◇卵胎生メダカ類

卵胎生とは、親が卵ではなく稚魚として生む(卵胎生)のグループ。
カダヤシ亜科は卵胎生メダカ類である。
カダヤシは外来種として日本の温暖な地方に定着している。
また、カダヤシよりもグッピーの方が水質汚染に強い為、沖縄県でカダヤシが棲めない汚染の進んだところにはグッピーが定着している。

◇卵生メダカ類

卵生とは、親が卵を生んで育てて稚魚が生まれる(卵生)のグループ。
ニホンメダカを含めた、その他のメダカ類が含まれる。
また、卵生メダカ類は「年魚」(寿命が半年から一年にも満たない魚)と「非年魚」(数年生きる魚)に分かれる。
「年魚」は、一年の間に雨季と乾季が交代するサバンナやジャングルが主な生態域で、雨期に親が卵を産み、乾期に親が死に、次の雨期に卵が孵る・・・
の様に「一度卵を休眠させて」から孵化させるという特殊な繁殖形態を持っている為、世代交代がとても早いのが特徴。
この為に熱帯魚の流通量としては他よりも多くない。
「非年魚」は特に変わった繁殖形態もないので、種類によっては養殖によって大量に流通している。

ニホンメダカ


和名は「メダカ」、漢字で書くと「目高」。名前の由来は一般的な魚よりも目が上方向に飛び出している様な形状から。
生息域は、日本各地を中心にアジアの一部に分布している。
メダカは身近な田んぼや小川、池などで普通に見られており、金魚やと同じく日本人にもっとも親しまれている魚である。
しかし、宅地造成や農業改革等の影響を強く受けて生息数が激減し、1999年には環境庁(現環境省)によって絶滅危惧種2類に指定されている。

メダカの様に、移動能力がそれほど高くないと、地域毎に適応した特徴を持つ様に進化していく為、外見はほとんど同じでも遺伝的には異なる集団になっていく。
かつては日本に住んでいるメダカは1種類とされていたが、その後の遺伝子解析から「キタノメダカ」と「ミナミメダカ」に分類された為、
今では、単に「メダカ」という名称は存在しない(はず)。まぁ、一般的にはメダカはメダカであるが。

なお、メダカ属(オリジアス属)としては、他に「チュウゴクメダカ」「カンコクメダカ」などアジア各国にいて、名前の通りでその国に分布している。

◇ミナミメダカ

ミナミメダカはさらに東日本型、東瀬戸内型、北九州型など9つの地域集団に分けられるが、外見はほぼ同じで、
  • 体側後半に黒色網目模様がない
  • 体側後半に黒色染み状斑紋がない
  • 体側後半の銀色鱗数は10~23枚
  • 雄背鰭の欠刻が深い
が基本的な特徴となっている(希に異なる形態も見受けられる)。

◇キタノメダカ

キタノメダカは1種類のみで、
  • 体側後半に黒色網目模様がある
  • 体側後半に黒色染み状斑紋がある
  • 体側後半の銀色鱗数は0~9枚
  • 雄背鰭の欠刻が浅い
が基本的な特徴となっている。

なお、双方の特徴が混じったハイブリッド型というのも見受けられており、自然流入や人工放流によって生まれたのではないかと考えられている。



ニホンメダカ以外のメダカ類


所謂、熱帯魚として流通しているメダカ類。

カダヤシ

卵胎生メダカ。
カダヤシ科のカダヤシは外見はニホンメダカにとても似ているが、分類上はまったく別系統となる。
プランクトンや魚卵等を食べる肉食性で、蚊の幼虫であるボウフラを捕食する事から『蚊絶やしする』≒『カダヤシ』と名付けられた。
汽水域でも生息可能で、比較的高い適応性を持っており、特定外来種として日本に定着している。
ニホンメダカが減少したのは外来種のカダヤシの影響とも言われているが、実際には自然環境の変化や破壊が主な原因である。

グッピー

熱帯魚の代名詞と言われても過言ではないほど有名な卵胎生メダカ。
イギリスの植物学者であるグッピー氏が発見者の1人で、当初は学名にも使われていた。現在の学名はポエキリア・レティキュラータとなっており影も形も残っていないが。
和名では「ニジメダカ」というものの、ほとんど使われていない。
雌はニホンメダカに似ていて質素であるが、雄は形も色も派手なヒレを持っている。
改良品種が非常に多く、丈夫で、群泳させておけば勝手に交配して子を産む、というよりもある程度隔離しないと増えすぎて困る事になる。
より美しい個体を得る為には遺伝子的要素の配慮が必要になる程に奥深くなる。
また野生産のグッピーもたまに流通する。雄の方が色が派手なのは巷に溢れる改良グッピーと同じだが、ヒレが巨大化せず雌とさほど変わらない体型をしているのが最大の違い。

プラティ

卵胎生メダカ。別名「サザンプラティフィッシュ」「ムーンフィッシュ」ともいうがほぼ使われていない。
ヴァリアタスや後述のソードテールといった同属他種との交配によって様々な色の改良品種が生まれた。
尾びれの付け根にミッキーマウス状の斑紋を持つミッキーマウス・プラティが有名だろう。
グッピーと同じく、群泳させておけば勝手に交配して子を産む。
丈夫で飼育しやすく、比較的活発には泳ぐものの、性格は基本的にはおとなしい。
糸状の苔を食べてくれるので、クリーナーフィッシュの役目もしてくれる。
金魚の様な赤色が一般的であるが、品種改良によって白や青の体色を持つプラティもいる。
一方、品種改良のされていない野生産およびその繁殖個体は地味なためか、流通する事が非常に少ない。

ソードテール

卵胎生メダカ。
雄の尾ひれの一部が剣のように伸びている事から命名された。和名も「ツルギメダカ」と見た目そのもの。
雄から雌へ、雌から雄へと性転換する魚としても有名。
気性が若干荒く、同種や他種はもちろん、低層にいるコリドラスにさえも喧嘩を仕掛ける事がある。
飼育時には、小さいサイズの魚との混泳や、ひれの大きな魚との混泳は避けた方が無難。もちろん、隠れ家は多めに用意したい。

アフリカンランプアイ

非年魚の卵生メダカ。
余り派手ではない青みがかったシルバーの体にライトブルーに光る目が特徴。
群れる習性もある為に群泳させると一筋のライトブルーがキラキラと光ってとても綺麗。
透明感があるので水草水槽に向いており、他の熱帯魚の引き立て役としても活躍できる。
やや臆病な性格なので、草などの多めの隠れ家を用意すると良い。

クラウンキリー

非年魚の卵生メダカ。
成魚が3センチ程度の小型サイズで、ベージュと黒の縞模様の体と、青、赤、オレンジに彩られた大きな尾ビレが実に美しい。
比較的入手し易くて性格もおとなしいのだが、雄同士の小競り合いは発生する。

ノソブランキウス

年魚の卵生メダカ。
カラーは派手なものが多く、アフリカ原産で100種類程度生息する。
ノソブランキウス・ラコビーは「泳ぐ宝石」と評されている。卵生メダカというと、これを一番に思い浮かべる人も多い。
後記のアフィオセミオンに比べれば温和な性格なので、多頭飼育やグッピーやネオンテトラとの混泳にも向いている。
基本的に年魚の卵生メダカは水質に五月蝿いが、ノソブランキウスはあまり水質に敏感ではないので飼いやすい。
高水温にも強い方で、弱アルカリ性から中性付近の水質を好むので、同種飼育や単独飼育ならば、多少の粗塩(「博多の塩」や「赤穂の塩」の事)を溶かしておくと病気の予防にもなる。

アフィオセミオン

アフリカ原産の年魚の卵生メダカ(一部除く)。「アフィオセミオン」は属名で、その中に様々な種類がいる。
カラーの派手なものが多く、ゴールデン・ライアーテール(アフィオセミオン・オーストラレ)はオレンジ~イエロー、アフィオセミオン・ガードネリィは輝く様に美しい赤、青、黄が全身に入る。
ブルー・グラリス(アフィオセミオン・ジョーステッダイ)の成魚は15センチ級のサイズだが、大体の種類は成魚で5~7センチのサイズ。
年魚なので稚魚から成魚になる時間が早め。ジャンプ力があるので水槽から脱走しない様に工夫する事が必要。

シンプソニクティス

年魚の卵生メダカ。
南アメリカやブラジル原産の魚で、メタリックやスポットが美しい。
気性が荒くいものが多く、混泳には向かない。
また、雄が雌を追い回す性質も持つので、水草などの十分な隠れ家が必要。




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最終更新:2024年01月30日 22:38