戦闘空母(宇宙戦艦ヤマト)

登録日:2017/11/29 Wed 11:00:00
更新日:2023/10/31 Tue 00:24:36
所要時間:約 3 分で読めます




戦闘空母とは宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場するガミラス帝国の宇宙用艦艇である。
戦艦空母、ないし戦闘宇宙空母とも呼ばれ、アニメのテロップでは戦斗空母と書かれた*1
史実における航空戦艦がモデルと思われるが、ヤマトシリーズでは類似のものも合わせて「航空戦艦」と呼ぱける事はない。
シリーズ中4作品に登場を果たしており、その特徴あるギミックや活躍で人気メカのひとつである


【概要】

その名の通り戦艦と空母の両方の特性を併せ持つ。
……とはいえ、史実の航空戦艦のどっちつかずなものではなく、火力も航空兵力も非常に高い。防御力も優れていて、黒色艦隊の集中砲火を耐え抜いたり、当たり所がよかったとはいえヤマトの主砲を食らって轟沈しなかった数少ない艦船のひとつである。いわばガミラス版ヤマト

船体は筒を左右に二つ並べた上に甲板をつけたような形で、後部に戦闘デッキと艦橋を持つ。
主砲はガミラス艦には珍しく砲身のついた三連装フェザー砲で、シルエットは地球艦に近い。この三連装フェザー砲を艦橋前面に二基、後部に二基、さらに船体側面に四基と、これだけでも最新鋭艦であるドメラーズ三世を軽くしのぐ。

艦前面から中央部までは飛行甲板になっているが、この甲板に組み込まれたギミックこそが当艦最大の特徴。
通常は平らな面から艦載機を発着艦させるのだが、この甲板が中央部から縦に二枚に割れてくるりと180度回転し、裏側に設置された火砲をあらわにして攻撃態勢に入るのだ。
ちなみに甲板裏の火砲は二連装フェザー砲四基、多連装フェザー砲二基、多連装ミサイルランチャー二基と、これまた堂々としたもの。

さらに艦内には多数の艦載機を収容し、ヤマトにも劣らない四次元収容能力で単艦による航空作戦も可能なほど(甲板の火砲も収納するのにこの艦のどこに積むんだ?)空母としての艦載機搭載能力にも長ける。

総合的にガミラス帝国最強の戦闘艦艇と呼んでも差し支えないであろう。



【活躍】

  • 宇宙戦艦ヤマト
ドメル将軍が召還し、オメガ戦線からやってきたハイデルンの乗艦。配色は桃色がかった赤
甲板に重爆撃機を係留して出撃する。
しばらくは戦闘には加わらなかったが、ヤマトの抵抗力がじゅうぶん衰えたところを狙って重爆撃機を発進させ、見事ヤマトの波動砲口にドリルミサイルを命中させた。
その後、甲板を攻撃モードに切り替えてドメル艦隊とともにヤマトに接近し、主砲を浴びせて完全に戦闘力を奪う。
しかし、逆転してきたドリルミサイルを正面から受けて爆沈。
その爆発で味方艦隊を巻き込み、艦隊は壊滅してしまう。
(この際に反転させた攻撃甲板は使わずじまいで終わった。)

  • 宇宙戦艦ヤマト2
バンデベル将軍の乗艦として登場。配色は緑に変更され、この時だけ『戦艦空母』と呼称される。
まずは鉄を食う宇宙蛍を散布してヤマトの足止めを目論んだところ、見事ヤマトは重力制御装置が故障して艦内大混乱。
まともに動けないヤマトに対し、急降下爆撃機を送って一方的に痛めつける。
そして甲板を攻撃モードに切り替えてとどめを刺そうとするが…

自艦の火器制御機構もまさかの故障(自分で撒いた宇宙蛍の処理を忘れていたため食いつかれていた)。
モタついているうちにヤマトは応急処置を完了し、手痛い反撃を受ける。
艦が損傷し、戦いようもないので逃げ帰ったバンデベルはデスラーによって粛正された。
(またも戦闘甲板は使われずじまいに終わった。)

ちなみに『2』小説版では終盤に、ヤマトとの激突で損傷したデスラー艦内にて、タランがデスラーに対し退艦と「第一空母への移艦」を進言する描写がある。

  • 新たなる旅立ち
再び初代と同じ赤い船体色になり、デスラーの旗艦となる。
かなり改造が施されているのか、作中では損傷で使えなかった固有艦載機や瞬間物質移送機も搭載、おまけにデスラー機雷の発射能力までプラスされ、四次元収容能力がさらにヤマト並みになっている。
最大の特徴は甲板中央にデスラー砲を搭載していること。
通称『デスラー戦闘空母』。戦闘空母といえばこの艦を思い浮かべる人も多い。
バンデベル艦の改装とも推測されるが詳細は不明。

残存艦隊旗艦として暗黒星団帝国の艦隊と交戦し、いままで飾りでしかなかった攻撃甲板も存分に砲火を放ち採掘艦隊と護衛艦隊を殲滅。プレアデス相手にも善戦するものの、歯が立たずにヤマトの救援でかろうじて助けられた。
その後、ヤマトと共同戦線を組んでゴルバと戦うが、圧倒的な戦力の前に唯一残っていた三段空母が轟沈し、艦載機も全滅。
そして最後の手段とばかりにデスラー砲を相手の砲門に撃ち込もうとするもメルダースに読まれており、放たれたデスラー砲はゴルバの閉じた装甲に弾かれてしまう。
「そんな石ころのようなエネルギー弾が、このゴルバに通用すると思ったか?」
と、嘲るメルダースの台詞は絶望的に有名。
デスラーはあきらめず、イスカンダルに向けられたゴルバの主砲に戦闘空母そのものを突っ込ませ、そこをヤマトに撃たせてゴルバを倒そうとする。
しかしスターシアに止められ、戦闘中断。満身創痍の戦闘空母は降下していくゴルバを見送ることになるが、イスカンダルはゴルバを巻き添えに自爆。
デスラーは失意の内ながらも、それでもガミラス民族の再興を目指して戦闘空母とともに去っていった。

  • 宇宙戦艦ヤマトⅢ
回想シーンでモスグリーンに塗り替えられたデスラー戦闘空母がわずかに登場。ガルマンガミラス帝国の建国一周年パレードで姿を見せる。やはりデスラーにとっては思い出深い艦のようだ。
また、拡大改良型のガルマン型戦闘空母も登場。全長522メートルの巨艦だが、ヤマトの主砲一撃で轟沈。戦闘甲板モードは廃止されているため実はちょっとだけ弱体化している。
これを見てガルマン=ガミラスだということに気づかない古代たちの鈍さはもはや伝説。



【ゲーム版】

PS版「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」にモスグリーン色の戦闘空母が登場。
TV版シナリオに進むと、終盤で大破したデスラー艦の艦首部分のみを無理矢理接続した形で現れ、都市帝国から脱出したサーベラーの乗る潜宙戦艦にデスラー砲を見舞って雪辱を晴らす姿が見られる。
サーベラーに復讐を果たす爽快さと、デスラー戦闘空母のデスラー砲がどこから来たかという疑問に答えを出す形のオリジナル展開であり、人気の高いシーンである。

PS2で出た暗黒星団帝国編三部作の内の一作目『イスカンダルへの追憶』で現代風にリデザインされて登場。
名前は『改ドメル戦闘空母級【デスラー・ガミラシア】』
ヤマトとほぼ同等の戦力を持つ強力なユニットであり、もちろんデスラー砲も発射可能。
この際、攻撃甲板が観音開きになり、その下からデスラー砲がせりあがってくる。


【リメイクシリーズにて】

艦橋周りを中心にデザインを刷新し、「ゲルバデス級航宙戦闘母艦」の名称が設定される。
また、ガミラス艦お馴染みの「目玉」が追加され、甲板にガミラス数字が書かれている。しかも『2』でのバンデベル艦よろしく格納式の連装砲が三連装砲になるわ、後部砲塔まで格納出来るので全通甲板にもなるわ、と戦闘力もギミックも強化。

ちなみにデスラー政権下での版図拡大政策の中、特殊艦艇の試作競争のさなかに産まれたらしい。
その設計コンセプトは「幅広い艦載機の運用能力を持ち、戦艦と空母の特性を併せ持つ単艦での長期作戦に適した、属州惑星の統治の旗印」
情報収集や未開拓地の探査、敵の補給線荒らしなどを期待されていたが、建造に通常艦艇の倍の費用と複雑な工程を必要としたので増産されなかった。
コストパフォーマンスに欠ける艦とも言え、特に小説版では空母としては能力不足で戦艦としてはコストパフォーマンスが悪いとはっきり言われてしまった。

本作でも七色星団戦前に三隻の多段式空母と共に試作一号艦の「ダロルド」がドメルの元に配された……が、搭載された重爆撃機の乗員がヴァンス・バーレン以下老兵なあたり乗員はお察しください。

ドメルの策の元でヤマトを追い詰めるも、ドメラーズと共に砲撃戦へ移った段階で、ヤマトから放出された特殊削岩弾が至近距離で爆発。
砲戦能力もないのにノコノコついてきた後続の三層空母「シュデルグ」をも巻き込む形で轟沈した。

  • 劇場版『星巡る箱舟』
赤、白、黒の三色で塗装され、ネレディア・リッケが艦長を勤める「ミランガル」と、ガミラスお馴染みの緑で塗装された「ニルバレス」が登場。
最終決戦ではミランガルはネレディアからある人物へ艦長を交代。ヤマトとガミラスで連合艦隊を組むに当たって双方を繋ぐ連絡役を担った。
ニルバレスは火焔直撃砲の奇襲により見せ場なく轟沈してしまったが、ミランガルは艦載機発進から甲板反転しての砲雷撃戦に加えて耐久力も見せ大活躍。
ガミラス側の主役と言えるその奮闘は旧作ファン必見。

  • 『2202』
極少数しか配備されなかった設定はどこへやら、設定無視もいいところでやたら大量に出てくるうえ、どいつもこいつも試作艦カラーである。使いまわすなら百歩譲ってニルバレスのCGモデルがあっただろうに…
最終盤では脱出したデウスーラのコアシップを収容した青色のゲルバデス級が出てくるが、252mのコアシップを甲板に軽々載せておりどう見ても設定全長の390mでは足りていない。
『2205』ではこれに関して「この艦はゲルバデスの外形を模した大型の輸送艦であり、戦闘能力のないハリボテである」と、いささか苦しい言い訳を述べている。

  • 『2205』
ガルマン星解放作戦でボラー艦隊に対する囮兼トラップとして無人のまま自爆し、共鳴現象によってボラー艦隊を行動不能に陥れた。
デスラー戦闘空母はデウスーラⅢ世として登場。ゲルバデス級よりもオリジナル版のシルエットに近く再デザインされている。
元々ゲルバデス級と別口で建造された競作艦だったが、ゲルバデス級をしのぐ重武装と指揮能力が祟ったかゲルバデス級よりさらに技術面、コスト面に問題を抱えることになり建造中のまま放置されていた。
そこに新母星探索という任務を帯びたデスラーが目を付け、艦橋離脱機構などの一部機能をあきらめる代わりに決戦兵器であるデスラー砲、瞬間物質移送機、ガミラス版波動防壁「ゲシュ=タム・ウォール」搭載などを施した上で新旗艦として遠大なる航海へと旅立つことになった。




戦闘空母へ、追記・修正用意。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 宇宙戦艦ヤマト
  • ガミラス帝国
  • 戦闘空母

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年10月31日 00:24

*1 当時の作画では闘の字がつぶれてしまうため