ドメル将軍(宇宙戦艦ヤマト)

登録日:2017/12/18 (月曜日) 7:02:15
更新日:2023/10/02 Mon 19:33:52
所要時間:約 4 分で読めます



ドメル将軍は、アニメ作品『宇宙戦艦ヤマト』に登場する人物である。
作中でも屈指の強敵であり、彼の編み出した戦法は後のシリーズでも猛威を振るっている。

CV:小林修(初代)/大塚明夫(2199)

【人物】

短く刈り込んだオールバックの髪型をした、引き締まった長身の男性。
ガミラス帝国軍最強とうたわれる名将で、『宇宙の狼』の異名を持ち、その名声は帝国内でも非常に高い。

性格は冷静沈着。自己を過信せず、敵をなめてかからない器の大きさを持っている。
戦闘指揮力は文句なしで作中最高クラスで、隙の無い作戦でヤマトを散々に苦しめた。
それにとどまらず搦め手にも長けており、ヤマトと地球の交信を復活させて乗組員のホームシックを誘ったり、
虐殺されたバラノドンの死体を見せつけることで正義感をあおって誘い込んだりと心理戦も非常に狡猾。
これは引っかかる方がマヌケとも言えるが、現に成功している以上ヤマトの心理をよく読んだドメルの勝ちと言えるだろう

誇り高く、私生活は地味で質素。日記をつける際には古めかしいタイプライターを愛用するなど渋い趣味がうかがえる。

だがその反面、部下への好き嫌いで対応が露骨であり、特に副官のゲールに対しては不要なまでの冷遇が彼の反感を買い、
それが作戦失敗につながってしまうなどの配慮の足りなさも見受けられる。
案内された司令官室で調度品を叩き壊してゲールの趣味の悪さを罵倒したり、バラノドン特攻隊の作戦を理由も告げずに一蹴したり、
気を遣ってタバコに火をつけようとしてくれたゲールのライターが故障していたら「役立たず」と告げたりと、上司としては
おせじにも良いタイプとは言えない。

ドメルが優秀なせいで対比的にゲールは無能と見られがちだが、彼の趣味の悪さが確かだとしても私的な趣味をそこまで罵倒されるいわれはないし、
バラノドンはヤマトが波動砲を使ってやっと撃破できたほどの強敵であり、別の作戦に組み込めば役に立つ要素は十分あった。
ゲールは人格的には問題があっても*1決して無能な人材ではなく、彼の才能を無視した挙句こき下ろして造反を招いたのはドメルの落ち度と言えるだろう。
というより、ゲールの行動は造反と言えるかどうかすら疑わしい。

ペットとして、「ロクロック鳥」という怪鳥を飼っている。これは松本作品で度々見られる首が長くてくちばしが横に開く
黒い変な鳥で、キャプテン・ハーロックが飼っている「トリさん」と同じ姿をしている。非常に凶暴だがドメルにだけは
懐いているとのこと。

【活躍】

初登場はヤマトがデスラーの作戦の数々を破り、そろそろ目障りになり始めた頃。
どこかの戦線で武勲を立て、勲章をデスラー総統からたまわるためにガミラス星に帰還した際に登場する。
国民からの「ドメル」コールを受けながらのパレードの中で、総統にヤマト討伐を申し入れ受諾された。
なおガミラス帝国において、デスラー以外で名前をコールされたのはドメルのみで、その特別ぶりがうかがえる。

正式に太陽系方面作戦司令長官に任命され、旗艦の戦艦「ドメラーズ三世」に乗り、旗下の艦隊とともにバラン星基地に赴任。
この際、前司令であったゲールを副指令に降格させて旗下に加えている。
その後、三千隻の艦隊で異次元空洞においての演習をおこなうが、偶然にもヤマトに遭遇。
誘い込んで、数の利を生かして殲滅しようともくろむがヤマトが徹底して逃げを選んだため、艦隊の全力で追撃をかけるも逃げきられてしまう。
この時、闘争心にはやらずに冷静な判断を見せたヤマトに対して「利口なやつだ」と評価しており、逃げ切られた際には
「ドメル艦隊敗れたり」とつぶやき、その日の日記に「ヤマトに遭遇、あなどりがたし」と書き込み、赤線をつけるほどにヤマトを倒すべき敵と定めていくことになる。

その後は、無人宇宙要塞やリレー衛星でヤマトに少なからぬ打撃を与えながらバラン星に引き込み、決戦に持ち込む。
バラン星にヤマトを引き付け、人口太陽と基地でヤマトを挟み撃ちにしてヤマトを撃破しようという作戦でヤマトを完全に詰みにまで追い込むも、ここで冷遇に我慢の限界に来ていたゲールがデスラーにバラン基地を巻き添えにしようとしていることを
密告し、デスラーから「止めろ」という命令を受けたため*2、作戦を急停止せざるをえなくなる。
その隙にヤマトには逃げられ、バラン星基地は壊滅という結果を招いてしまった。

そしてバラン星失陥の罪で軍事裁判にかけられ、一歩も譲らずに作戦の正当性を訴えるも死刑判決が下ってしまう。
だが、ドメルの実力を買っているデスラーは
「ドメルのやったことは許しがたいこと、しかしここでドメルを処刑してしまったら誰がヤマトをつぶせると言うのだ
と総統権限で処刑を握りつぶし、ドメルに最後の決戦の機会を与える。まあ、ヤマトを舐めてかかっていたデスラーにも原因はあるし…
こうして総統から全権を与えられたドメルは、新兵器「ドリルミサイル」「瞬間物質移送機」を開発させ、さらに各戦線から
戦闘空母、三段空母からなる最精鋭の艦隊を招集し、万全の態勢で作戦を立ててヤマトに臨むことができるようになった。

ヤマトに対して挑戦状を叩きつけ、デスラー直々の激励を受けて出撃するドメル艦隊。
これこそが世に名高い『七色星団の決戦』である。

しかし、万全の準備をし、ヤマトの武器を次々に潰す等順調に進んでいた作戦だったが、ヤマトの波動砲をふさいだドリルミサイルがはじき返される。
そしてドリルミサイルが空母の一隻に命中すると余波で艦隊が全滅。
ドメルの艦は辛くも生き残り、爆雷攻撃をヤマトに仕掛け、ヤマトを暗黒星雲に退避させる。
だがこのままではヤマト撃沈は不可能なことを見抜いていたドメルの作戦は、暗黒星雲に紛れてヤマトに取りつくこと。

ゲールに自爆の準備をさせるドメル。ゲールは狼狽するが、その後画面に現れることはなかった。*3
とりついたドメル艦から、ヤマトに通信が入る。

『沖田艦長、私が太陽系方面作成司令長官ドメルだ。』
『私が宇宙戦艦ヤマト艦長,沖田十三だ。』
『あなたの勇気と決断と知恵に、心から敬意を表します。』
『ドメル司令、我々はそれぞれの星のために戦ってきた。だが,もうこれ以上犠牲を出すことは望まん。我々をイスカンダルに行かせてくれ。』
『……それはできん。沖田艦長、あなたが地球を救うために戦っているのと同じように、私の戦いにもガミラスの命運がかかっているのだ。
 私は命を捨てても、ヤマトをイスカンダルへは行かせん!』
『しかし、ドメル司令・・・』
『あなたのような勇士に会えて、光栄に思っている。ガミラス星並びに偉大なる地球に栄光あれ!

ドメルは自爆スイッチを起動。
ヤマトの艦底に大ダメージを与えたが、ヤマトは辛くも生き残ったのだった。

【影響・評価】

後のシリーズでは故人であるため登場はしないが、彼の戦術は後のガミラスに大きな影響を残している。
特に瞬間物質移送機を利用した作戦は「デスラー戦法」としてヤマトを何度も苦しめ、詰めを誤りさえしなければ完全無欠の
戦法であることを示している。
心理戦にしても、ヤマト乗員のホームシックを狙うという作戦をデスラーもとっており、これにもドメルの影響があるかもしれない。
反面、最終決戦では不用意に空母をまとめてヤマトに接近させた結果全滅させてしまっているため、
彼もまたヤマトシリーズ伝統の「優勢になると手を抜く、油断する」パターンに当てはまるという意見も多い。
しかしそれを差し引いても世を去ってなお高く評価される名将であり、ヤマト史において外すことのできない名キャラクターであると言えるだろう。

【余談】

元ネタはWW2当時、「砂漠の狐」の異名を取ったドイツ陸軍の将校、エルヴィン・ロンメルであると思われる。

【『2199』にて】

エルク・ドメルというフルネームが設定された他、妻エリーサが登場。
今作ではゲールは副官ではなく、バーガー、クライツェ、ゲットーの3人が「ドメル幕僚団」として配下となっている。
また、処刑されかけるまでの過程も異なり、2199新規キャラのヘルム・ゼーリックにデスラー暗殺の容疑者として捕らえられるという形になっている。
(ただし、ゼーリックに暗殺されたデスラーは影武者であり、本物が健在であったが故に疑惑はすぐに晴れた)
やっぱり心理戦は大得意である。
こちらでは、沖田艦長の停戦要請を拒否した理由が、『ここで見逃せば、この戦いで散っていった者たちは無駄死にだったことになる。(だから行かせるわけにはいかない)』というものになっている。
余談だが、バラン星のゲート中央突破時、ヤマトとそれを取り囲むガミラス艦隊が登場するシーンがあるが、多くの艦が狼狽していたのと比べ、即座に同航戦に移行している艦が映るが、この艦は元ドメル指揮下の艦隊だとする話もある。
厳密には考察というより妄想に近いが、複数の艦で戦闘態勢に入っている事が証拠とされている。何よりファンに認められるそのチート性能をこの話が示している。

【コミック版】

ひおあきら版のコミックでは「ロメル」の名前で登場。
立ち位置はアニメ版とほぼ同じだが古代と同じような髪形でサングラスをつけているなど容姿は大きく異なる。強いて言えば南部に似ている。なお乗艦はドメラーズではなく艦隊旗艦級戦艦。
艦隊指揮能力は全シリーズ中でも屈指の実力で、艦隊を四分割した単縦陣でヤマトの四方を包囲して滅多打ちにし、沖田艦長をしても手の打ちようがないほどの強さを見せつけた。
また、アニメ版同様にからめ手にも長けており、艦隊運動でヤマトをサルガッソーに誘導したり、ドリルミサイルに工作員を忍ばせておいてヤマト内部の自滅を狙ったりもした。
終盤で、デスラーに反逆を起こしたヒスとゲルの企みを見抜き、デスラーを替え玉にすり替えて暗殺計画を防ぐことに成功する。このとき、抵抗しようとするヒスとゲルをガミラス銃の二丁拳銃の抜き打ちで射殺するシーンはかっこいい。
最後はガミラス星正面で全ガミラス艦隊を率いてヤマトを迎え撃つ。
圧倒的な戦力でヤマトを大破させ艦載機隊も壊滅状態に追い込むが、そこで謎の宇宙船(キャプテン・ハーロックの宇宙戦艦)に横槍を入れられる。
自ら戦艦を率いてハーロックと互角に渡り合うが、回避運動を読んだミサイル攻撃を受けて乗艦が操舵不能に陥り、最後のあがきでハーロック艦を大破させるものの自艦は撃沈され、その遺体は宇宙に散った。

松本零士版コミックでは次元空洞でヤマトと遭遇して逃げられるところまでは同じ。
しかし、ガミラス直前で七色星団とかいろいろすっ飛ばしていきなりヤマトに取り付いて自爆してくる。唐突すぎて唖然とした人も多いだろう。


アニヲタ空母へ、追記修正機隊発進せよ!

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最終更新:2023年10月02日 19:33

*1 ドメルの狭量さや当てつけともいえる扱いが彼の人格を歪めた理由の一つである可能性もある。

*2 デスラーの視点で見れば、最重要政策である国家ぐるみの移住計画の重要拠点を最高責任者の自分に相談も無しに破壊しようとしているので「兎にも角にも止めなければ」と考えてしまうのも止むを得ない。移住計画の遅れの調整は最終的にデスラーの仕事になるのだから、彼の説得と移住計画への悪影響緩和の為の下準備は必須だろう。

*3 当時の本放送では、最後にゲールが腹を決めて『お供します』と述べたという話もあるのだが、いかんせん時代が古く、当時は家庭用ビデオも全く普及していないため真偽は不明である。