Children Can't Choose Their Parents(漫画)

登録日:2018/06/09 Sat 21:16:01
更新日:2023/01/21 Sat 06:50:03
所要時間:約 3 分で読めます




Children Can't Choose Their Parents』とは、三原ミツカズによる短編漫画。

初掲載は「COMIC CUE」2000年Vol.9(イーストプレス刊)。
その後、三原の作品集『チョコレート』にスペシャルカラーエディションの豪華仕様で収録された。

三原ミツカズと言えば、ゴシックロリィタの雰囲気を纏いつつも、その実深いテーマを持った作品群を
多く輩出した事で知られる作家であり、これもそんな三原が発表した作品の一つ。
掲載誌が、三原がフィールドワークとしていた所謂レディコミ誌やロリィタ誌と異なる事もあってか、
獣姦」という実に全くアブノーマルなテーマを扱っており、最終的なオチに至る流れも一種のホラーチックなそれであるが、
三原ミツカズの手腕によって描かれた僅か8ページながらも流れる様なシュルレアリスム染みた雰囲気の内容は
作者のファンなら是非一度読んで損はないだろう。


【あらすじ】

なあ、ダレン
僕の彼女ときたら
唇はつんととがらせて
目はクリクリ大きくて

色なんかもう真っ白で

豪奢なベッドの上で、一羽の雌鶏と情交を行う一人の青年の姿から、物語は始まる。

夜も最高


モダンな雰囲気の建築が建て並ぶ、とある街。
青年ダレンは、親友のミカに恋人ができたとの報を聞き、久しぶりに彼に会う事となる。
かくして、ミカが連れてきた恋人……それは、ファビアンと名付けられた一羽の雌鶏であった。
ダレンは親友の悪い冗談かと疑うが、ミカはどうにも本気の模様。
流石に面食らって「夕食の間違いだろ?!」と問うも、当のミカは恋人を侮辱されたと早合点して激昂。
曰く、ミカとファビアンは愛し合っており、同じ皿から食事を取り、同じベッドで寝る間柄であり、
雛の頃からずっとミカ自身の好みに育ててきたのだそうだ。
ダレンは親友の狂ったかのような発言に頭を抱えるも、彼の発現の節々から「夜を供にしている」事を察し、
顔を赤らめながら「そのォ……いいのか?」と問う。

その夜、ミカはファビアンと宣言通り同じ皿で食事を取りながら、愛を語らっていた。
二人の関係を知った者は当然と言えば当然だが皆一様に似たような反応をしたらしく、
管理人のバァさんは泡を吹いて倒れ、親友のダレンすらあの始末だとミカは嘆く。

あくる朝、全裸でベッドから目を覚ましたミカは、ファビアンが産んだばかりの卵を温めているのに気付いた。

血相を変えてミカの邸宅に駆けつけたダレンは、卵がミカとファビアンの間に生まれた子供であると聞いて唖然。
曰く、卵を抱いてもう20日……ダレンは孵化する筈がない、無精卵だと親友を説得するが、
当のミカ自身もそれは分かっていたようで、「僕は狂ってない、でも夢くらい見たっていいだろう?」と寂しそうに呟く。
その様子を見て、ダレンは自分が言い過ぎたと謝るが……

ミカ
「いや…やっぱり僕は狂っているのか?卵が…」

それは奇跡か、あるいは何かの間違いか。ファビアンの産んだ卵が今にも孵ろうとしていたのだ。
言うまでもなく、ファビアンが他の雄鶏と交わった形跡はない。となれば、その相手はただ一人しかいない。
あまりの異常な事態に、ミカもダレンも絶叫、卵から顔を出したのは……



【登場人物】

  • ミカ
本作の語り部である青年。
顔立ちは美形なのだが、人間の女性に興味が無いのか雌鶏のファビアンに手を出した獣姦野郎。どこのゲイだ。
もっとも獣姦趣味は兎も角、別に狂気に堕ちている訳ではないので、ファビアンが産んだ卵も無精卵だと理性で判断したようだが、
その直後に卵が孵ろうとしてしまい……卵の真相は最後まで不明だが、ある意味我が子殺し?

  • ダレン
ミカの友人。名前は冒頭のモノローグでちょっとだけ語られるだけなので、下手したら見落としてしまいがち。
親友の獣姦趣味に頭を痛める、読者目線の一般人担当。

  • ファビアン
ミカが恋人と称する雌鶏。冒頭の描写からしてミカと肉体関係を持っているサイズ的に入るの?
ある日、彼女が卵を産み落とした事が、倒錯的な趣味に耽りながらも狂気には陥っていなかったミカに大きな衝撃を与えることに。


【余談】

タイトルは英語で「子供は両親を選べない」の意。つまりは……結末的にも「そういう事」なのだろう。



追記・修正は、動物愛護の精神を忘れずにお願いします。

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最終更新:2023年01月21日 06:50