黒潮会長邸地下の巨大な地下工場では無数の兵器や武器弾薬が作られ、それらは世界中に輸出されていっているようだった。
中でも隼人を驚かせたのが、今しがたTVでやられるのを見たばかりのゴーレムが地下工場へと帰還してきたことで、鎮座するゴーレムの負傷箇所から、隼人は間違いなく目の前のゴーレムが本物であることを確信するのであった。
まだ黒潮会長への疑惑を信じたくないと思っていた隼人だったが、海の底にとどく最深部で会議をしていた黒潮会長達の会話を盗み聞きしてしまい、誰が本当の敵なのかを悟るのだった。
実は、全ては黒潮会長をはじめとする悪辣な企業家や権力者達の自作自演であり、自分達の敵であるゆうれい船の名を騙ってゴーレムに街を破壊させ、自分達の企業に利益が出るように仕向けていたのだ。
更に、黒潮会長達は“ボア”なる存在と協力関係にあり、そもそものゆうれい船の誕生のキッカケも、黒潮が自分の悪事を知られた友人を事故に見せかけて家族共々に殺害しようとしたことが発端だった。
怒りに震える隼人は、鳴り響く警報は自分が潜入したのがバレたためだと思い、地上へ戻って全てを洗いざらいバラしてしまおうとする。
先ずは警察に駆け込んで黒潮邸の捜索を懇願するが、警察ではさっぱりと理由のわからない人間消失事件を不思議がるばかりで隼人の話なんか聞いてもくれない。
続いて隼人は道路に出て道行く人に手当たり次第に声をかけるが、やっぱり相手にされないのであった。
そして、隼人は目撃してしまう。
自分も愛飲しているボアジュースを飲んだ人間が泡になって消えてしまうのを。
ボアジュースも黒潮の会社が輸入している商品であること、何よりもさっき聞いたばかりのボアの名前との関連性に、自分達が欲望のままに飲まされていた正体不明のジュースへの恐怖に戦く隼人に、黒潮会長の使いが現れて何処かへと連れていこうとする。
工場での件がバレていると思っていた隼人は必死の抵抗をするが空しく車に乗せられてしまうが、隼人が連れていかれたのは意外にも黒潮グループ系列のTV局だった。
隼人のゆうれい船への怒りを知っていた黒潮会長は、隼人をゆうれい船打倒に世論を動かす為のプロパガンダに使おうとしたのだった。
しかし、既に真実を知っている隼人は、大勢の観客と全国中継されたカメラの前で黒潮の悪事の全てをバラし、更には“ボア”の名前も衆人環視の中で明かしてしまうのだった。
黒潮は部下に隼人の排除を命じるが、ボアジュースの緊急コマーシャルの流れる裏で、連れ去られようとする隼人の姿に混乱するスタジオと地上を襲撃する巨大な影があった。
それは、TVを通して地上の人間達に名前を知られたことで怒り、協力者であるのに失敗続きの黒潮会長を抹殺に来るとともに地上支配の実力行使に出た、ボアの配下の巨大なカニ型やエビ型のロボット達だった。
スタジオに出現したカニ型ロボットに捕まり、泡でドロドロに溶かされてしまった黒潮会長。
……次のターゲットは隼人だ!
カニ型ロボットの攻撃を避けながら、何とか逃げ出した隼人だったが、屋上へと追い詰められ、遂にはビルから落下してしまう。
……しかし、落ちていく隼人とジャックは謎の光線に空中で捕まると、そのままゆうれい船の中に吸い込まれて救出されたのだった。
ゆうれい船の中で、隼人はあのゆうれい船長と面談していた。
ゆうれい船の正体が超科学の粋を凝らしたハイテク戦艦であることを知った隼人は、生きている人間である船長がドクロの仮面なんか被っているのを不思議がるが、かつて負った火傷の傷を隠すために付けていたのが習慣になってしまったと言う。
そして、改めて語られる真の敵……黒潮会長や他の地上の権力者達を操り間接的に海の底から支配を進めようとしていた“ボア”なる存在のこと。
……船長によれば、既にボアの本拠地も把握しているが、強固な防衛体制の為に簡単には近付けず、他にもボアに力を与えて育ててきた者達のことも考えなくてはいけないのだという。
また、確かに船を襲って沈没させていたが、全て黒潮グループの船であり、積み荷として武器や弾薬を世界中にバラ撒くのを誉められたことではないと理解しつつ防いで来たのだという。
隼人の勇気とボアの存在が明るみに出してくれたことに上機嫌の船長は、おかしな発作が出てたのに隼人をメインブリッジに案内するが、そこでも再び発作に襲われた隼人は何かの装置に当たってしまうのだった。
ベッドに寝かされた隼人を診察した医師はボアジュースの禁断症状だと言う。
突然、猛烈に揺れるゆうれい船。
損害報告によると、頼みのレーダー吸収装置が切れてしまい、ボアの軍勢に発見されてしまったのだという。
「とんでもないことをしてくれたな」
しかし、気づいた時には時既に遅し……ボアの軍勢が到着して総攻撃を受けるゆうれい船は、雲海から海へと落下し海底に沈んでいくのだった。
しばらくして隼人が目を覚ました時には状況が一変していた。
何と、ボアの攻撃により酷いダメージを受けたゆうれい船では、隼人を含めてもたった四人が生き残っただけだという。
船長から説明を受けていた通りならばやられる筈が無いと訝しむ隼人に対し、看病していてくれたルリ子は隼人が原因と言おうとするが、床に伏せてしまっていたゆうれい船長が制止する。
そして、隼人はマスクを脱いだ船長の素顔を見て驚愕するのであった。
何と、ゆうれい船長の素顔は隼人が持っていた写真に写っていた本当の父の顔と同じ……すなわち、船長こそが隼人と生き別れになった本当の父親だったのだ。
親子の再会を果たし、父と共に涙した隼人だったが、落ち着いてくると余計にボア中毒だった自分の失敗により父を傷付け、大変な事態を引き起こしてしまったことへの後悔の思いが出てくる。
ボアの本拠地を叩こうと言う妙に好戦的なルリ子に煽られるも、「ボアを育てている者」を残すことが気になりなかなかその気にならなかった隼人だったが、ポケットに手を入れて考え込んでいるうちに、ポケットから大事に溜め込んでいたボアジュースの王冠を見つけ、自分達こそがボアを育てていたという事実に気づいた隼人は、怒りに燃えてルリ子と共にゆうれい船をボアの本拠地である海底都市へと向かわせる。
途中、本拠地の方向からやって来た軍勢とすれ違ったりしつつも、遂に海溝の更に奥深くにある海底都市へと迫るゆうれい船。
海底都市ではボアに装置により操られた大ダコの襲撃を受けるが、隼人のアイディアで装置を狂わせて自滅させる。
そして、最後の障害として防衛システムから放たれる無数の弾幕が既にボロボロになった船を襲うが、壊滅的なダメージを負いながらも突破に成功すると、遂にボアの潜む中心部への入り口に迫るゆうれい船。
最後の抵抗で入り口を閉めようとするボアだが、ゆうれい船の方が早い。
特攻を覚悟していた隼人とルリ子だったが、起きてきた船長に自殺はいかんと止められ、脱出挺の存在を教えられた隼人達は地上へ。
……そして、海の底では入り口が閉まる前にボアに到達したゆうれい船の原子炉が爆発。
声にならない断末魔の悲鳴を上げながら、僅かに真の姿を見せた怪物が本拠地を破壊しながら地の底へと沈んで行く。
地上では、主を失った甲殻類型ロボットの軍団が動きを止めていた。
……人類は勝利したのだ!
全ての戦いの後、本当の生家であった幽霊屋敷の跡地に海底から生還した隼人達の姿があった。
復讐を遂げてドクロの仮面を脱ぎ捨てることが出来た父親に見送られて、ルリ子(とジャック)と共にヨットで沖に出ていく隼人。
空には、幸福な未来を象徴するかの様に太陽が輝いていた。