籠庭のクックロビン

登録日:2018/09/09 Sun 23:00:49
更新日:2021/06/08 Tue 19:14:33
所要時間:約 10 分で読めます






誰が殺したこまどりを

それは私と■■■が言った

私の弓と私の矢羽で

私が殺したこまどりを








籠庭のクックロビンとは、SEECが販売したADVゲームである。
Nintendo Switch・Android/iosにて配信。

Android/ios版は基本無料でスタミナなどのゲーム内課金有。
Nintendo switch版は全コンテンツ解放済み・広告なしで1200円。




■概要

怪物が住むと噂される古城にメイドとして買われた少女・ロビンが
城を徘徊する化け物を見たことをきっかけに古城の秘密を探っていくホラーノベル。
タイトルの通り、マザーグースの童謡「クックロビン」を元ネタにしており、
作中でもチャプターが次に移るたびに、クックロビンの一編が表示されるという演出がなされている。
公式でのジャンルは、『ゴシックノベルホラーゲーム』


CERO判定は『C』で、始まる前に『一部残酷表現や暴力表現が含まれます』の注意書きが出るが、
ゴシック調の雰囲気や見た目のホラーテイストに反して、ドッキリ要素やグロ要素は少なめ。
キャラクターが次々と死んでいくジェノサイド展開や、スプラッタ表現などもなく、
肉体的な残酷・暴力というよりは、精神をジリジリと締め付けてくる作品となっている。

ゲーム本編はほぼ一本道であり、選択肢によって後述の『真狂ゲージ』が増減し、ラストまでたどり着くとゲージ量によってEDが決定する。
登場人物は肉体か精神面に何らかの異常を抱えているため、そういった要素が苦手な人は注意が必要。
彼らが隠している城を徘徊している”何か”の秘密を探りつつ、城の真相にたどり着くことが本作の目的であり
違う意味でひと癖もふた癖もある人物たちの正気と狂気の狭間の中で、本当の真実は何なのかを探っていく物語となっている
作中で問いかけとして多く出てくるのは、「真実」「幸せ」の二つ。


そのため全体的な物語そのものはビター…というか、かなり苦みがあるもので、もの悲しく寂寥感の漂うものとなっている。
特にすべてのEDを回った後で見れるエピローグは、色んな意味でかなりダメージを受ける。
あれを全て明かしたプレイヤーへのご褒美と見るか、追い打ちと見るかは意見が分かれるだろう。


「正しくてもいい。間違っていてもいい」
「ただ一つ後悔しない道を選べたなら、それが”私”にとっての――」



■物語


怪物の巣と噂される古城へ奉公に出された少女・ロビン。

メイドとして働くことになるが、城の主
ヴァルトシュタイン卿は呪われた伯爵と呼ばれており
使える使用人たちもどこか普通ではない。

これからの生活に一抹の不安を覚えていたロビンは
ある夜”異形の何か”を目撃してしまう。

城の人々はそれを”こまどり”と呼んでいるが…


「”こまどり”はね、殺されたのよ」


城の人々が誰も詳細を語ろうとしない中、
ロビンは一人、隠された真実を調べ始める。




■システム

  • 真狂ゲージ
選択肢によって増減するゲージ。
作中の選択肢によって『』側・『』側に傾いてゆき、最終的なバランスでエンディングが決定する。
ただしBADENDに関してはこの限りではなく、重要な場面での選択で決定する。

  • ストーリーチャプター
ストーリーはチャプターごとに細かく分けられており、簡単に好きな場面から始めることができる。
なお真狂ゲージは最初から始めない限りは戻る前のものが引き続き適用されるため、
選択肢を選びなおしてゲージを操作することもできる。



■登場人物

  • ロビン
主人公
メイド服が良く似合う銀髪の少女。
生まれてすぐに捨てられた孤児で、拾われた孤児院から買われてヴァルトシュタイン卿の城に奉公にやってきた。
”こまどり”との遭遇をきっかけに、城の、そして”こまどり”の秘密を調べ始めるが…

孤児院とは名ばかりの、孤児を『飼育』し『出荷』する場所で育ったため、自我が非常に希薄。
心優しいがどこか達観しており、自分を卑下することが多い。
そのため波風立てないことを第一に考えているが、謎の存在である”こまどり”には深く興味を示しており、思わぬ行動力を発揮する。
その理由は自分でもよくわかっていない。

可愛い


  • ヴァルトシュタイン卿
全身を包帯で覆った城の主。
その風貌と人間嫌いな性格のため、世間からは城と合わせて、
呪われた伯爵・魔術卿・使用人は異形(フリークス)・血も涙もない怪物の巣と色々噂されている。

顔も包帯で覆われているため感情が読み取りにくいのと、貴族らしい高慢な物言いと性格の気難しさから誤解されることも多いが、
態度は至って紳士的であり、一人一人に気を配り、配慮や労い・教育なども行う面倒見の良さから従者からは慕われている。
新しく城にきたロビンのことも気にかけており、お茶会を開いてコミュニケーションをとったり、直々に読み書きなどの教育を行うなど、色々と手厚く取り計らっている。
また彼の従者は自分のように、どこか普通から外れた者が多い。

城を徘徊している”こまどり”のことも知っている。
曰く「何でもない。何者でもない。悟られてはいけない。隠してもいけない。名を与えてはいけない。名を奪ってもいけない」ものらしい。


  • ”こまどり”
城の中を徘徊している謎の存在。
夜、城の中を歩き回っており、そのためか夜中はあまり出歩いてはいけない規則がある。

姿形は白くも黒くもあり、濁っているようにも淀んでいるようにも見える。
声のようなものを上げるときがあるが、言葉にも音にもなっていない”何か”で聞き取ることはできない。
移動もするがカタツムリ程度の速さしか動けない。
また現れるときには、必ず水音がする。

城の皆はその存在を知っており、存在そのものは秘匿されてもいなければ、特に恐れてもいない。
しかし正体が何なのか深く探ろうとすると異様な反応があるなど、何かが隠されている。
従者でも一部の者は正体を知っているようだが…。


  • ドロッセル
城の「開かずの扉」に幽閉されている謎の人物。
声を聴く限りでは、正体は女性らしい。
何か理由があって閉じ込められており、様々な秘密を知っており答えられる範囲で答えてくれる。
城の秘密を探ろうとするロビンには協力的であり、色々と助言をしてくれる。
彼女のことは城の中ではタブーらしく、彼女に会ったことや彼女の名前は絶対に口に出してはいけない

ヴァルトシュタイン卿のことを慕っており、自分の情報などの「旦那様の迷惑になる」ことは答えてくれない。
”こまどり”のことも全て知っているが、直接的なことは教えてくれない。
閉じ込められた理由も伯爵の邪魔になるためであり、本人によると「どうしようもなかった」らしい。
城の皆とも仲が良かったが、「それ故に自分が出てくることは望んでいない」と考えている。

彼女によると、”こまどり”は誰かに殺されたらしい
誰が”こまどり”を殺したかわかれば、全て繋がるらしいが…


城の従者たち

  • モスカ
ロビンと同年代でリネットと同い年の、城でメイドをしている少女。
重度の斜視を患っており、左目がいつもあらぬ方向(絵柄では目の虹彩・瞳孔が半分隠れる程の上)を向いている。良くお腹を空かしている。
性格は至って明朗快活だが、ドジでよく失敗している。
本人によるとバカであり、口癖のように「あたいバカだから」と口に出す。

親から暴力を受けていたため自虐的なところもあるが、基本は明るく無邪気。
新しく城に来たロビンのことも気にかけており、友好的に接してくれる。
ポワソンの淹れるお茶が苦手で、進められると拒否する。

ジャックの「ハエみたいに集りやがって」というセリフなどか分かる通り、つまみ食いを日常茶飯事でしており、オウルには怒られないがジャックに怒られることが多い(ジャック曰く、オウルのは餌付けらしい)。

”こまどり”のことは特に怖がっておらず、むしろ見たがっている。
しかし「殺された」ことに関しては、異様に取り乱す反応を見せる。


  • リネット
ヴァルトシュタイン卿付きの執事をしている少年。
モスカとは同い年。
端正な顔立ちをしているが、あまり見ない肌の色をしている。
年齢以上に落ち着いていて聡明だが、時折少年らしく感情を見せる。
ロビンのことは何故かあまりよく思っていないらしく、不愛想な態度が多い。

髪の色と瞳の色が原因で一族から奴隷市場売られた過去があり、そこから逃げ出したところをヴァルトシュタイン卿に拾われた。
そのため自分の髪色や瞳の色があまり好きではない。
名前も嫌っており、「リーネ」という呼び名もあるがこちらも嫌っている。
拾ってくれた上に教育も施してくれたヴァルトシュタイン卿に感謝しており、強い尊敬の念を抱いている。

”こまどり”のことを知っているようだが、それを見たロビンに城を出るよう勧めるなど、不可解な言動が多い。


  • レルヒェ
城のメイド長を務めている老婆。
己の仕事に誇りを持っており、ロビンやモスカにも厳しく接する。
夜も見回りをしている。
厳格で、表情が変わることは滅多にないが、こまどり関連には度々表情が変わる。
ヴァルトシュタイン卿に絶対の忠誠を誓っており、彼の意思を尊重する。

”こまどり”に関することを全て知っている従者の一人。
本人曰く「可哀想なことをした」「望まれたからここにいる」とのこと。


  • ポワソン
城の専属医師の老人。
128cmで幼い頃から発達が弱かった(恐らくは小人症)小さな子供のような体をしていおり、絵柄では片目が小さく白目ではあるが医者としての腕は確か。
性格は優しく城の皆を温かく見守っているが、健康管理に気を使っており少し神経質。

城について早々、倒れて寝込んだロビンの体調のことも気にしている。
緑茶が好みで医務室を訪れた者に振舞っているが、他のキャラクターからすれば苦味のある変な味の為、あまり評判は良くなく、モスカはかなり嫌っている。

他のキャラクターとは違い、両親は普通に育ててくれている。


  • ミール&レーグ
身体(腹部)が繋がっている結合双生児の幼い子供。
一応使用人という事になっているが、まだ幼いため見習いであり仕事はせずに城の中で遊んでおり、まだ字が分からないため本を読み聞かせて貰うのが好き。
どちらが姉でどちらが兄かは本人たちも分かってない。
双子ゆえか、男女差はあるが同じ言葉を言うことが多い。

その姿故に、生まれたときから見世物小屋で酷い暮らしを強いられており、そのため正気を失ってしまい、自分たちを買い取ったヴァルトシュタイン卿のことを、妄想の中で待っていた『父親』と思い込んで慕っている。

”こまどり”のことは見たことないらしく、会いたがっている。


  • ジャック
城の料理人。
オウルと瓜二つの姿をしている。オウルと反対で表情少なで攻撃的でいつも不機嫌だが、根はやさしい好青年。
ただしつまみ食いをするととても怒るため、モスカからは恐れられている。
作中屈指の良識人にして、普通に近い感性。
実は二重人格者で、オウルによると物心着いた頃からであり、最早どちらが本来の人格だったのか、わからないらしい。

”こまどり”のことはあまり詳しくは知らないらしく、城の中を徘徊しているくらいしか把握していない。
そのため本人も気にかかっているらしく、ロビンにそれなりに協力してくれる。
本人曰く「怖いものではない」


  • オウル
城のパティシエ。
ジャックとうり二つの風貌をしているが、性格は正反対でいつも笑顔で機嫌が良い。
誰にでも笑顔で接する人当たりの良い青年だが、自分以外に興味がなく、その為ならどんな手でも使うという部分からか、スカラとジャックからはかなり毛嫌いされている。
実は二重人格者で、本人曰く、物心着いた頃から二重人格である為、どちらが本来の人格なのか本人達にもわからなくなっているらしい。二重人格故か、ジャックの考えそうな事はオウルにはよく分かるらしい(逆は不明)。

”こまどり”のことは見たことはないが、ある程度把握しているらしい。
ジャックと同じくロビンに協力してくれるが、どこか得体のしれない振舞いが多い。


  • スカラ
城の専属の仕立て屋の女性。
美女だが片腕を失っており、腕一本で仕立てを行っている。
片腕だが、腕は一級品で城の者の衣装やドレスを作っている。
切符の良い姉御肌で、愛情深い性格。
ジャックからはブスと罵られ、喧嘩になる事も多々。

片腕のため苦労をしてきたが、見た目に関係なく腕を評価してくれたヴァルトシュタイン卿や城の皆に感謝している。
服を作ることに幸せを感じており、普段は衣裳部屋に籠って寝食を忘れて作業に没頭してしまい、たまに気絶する。
最近は人形用の小さな服を作るのが趣味。


  • ボヴィ
大柄な体格をした城の庭師。
自分の容姿を嫌っており、麻袋を顔に被っている。
そのため得体のしれない雰囲気を出しているが、本人の心は至って繊細。薬を塗ったりするのも苦手だが、それ以上に注射が苦手で薬を塗ったりしない彼をポワソンは注射で脅かして塗らせていた模様。

知的障害を伴う顔立ちにも現れるタイプの病気であるらしい為、知能に遅れがあり、言葉を上手く話すことができない他、話しては行けない事などを口に出してしまう。
彼の作中の話口調は片仮名が混じっている為、片言な話し方であると思われる。
そういう部分から自身のコミュニケーション能力に自信がないためか城の中にはおらず、庭の一角の小屋で一人過ごしている。

”こまどり”については何か知っているが、話すのが苦手なため詳しく聞き出すことは難しい。






追記・修正は、だれが”こまどり”を殺したか突き止めてからお願いします。

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最終更新:2021年06月08日 19:14