ダメージガエシ(ペーパーマリオRPG)

登録日:2018/09/16 Sun 15:05:54
更新日:2024/04/28 Sun 12:31:55
所要時間:約 9 分で読めます







スタッフは何故こんなバッジを作ったのか。



ダメージガエシとは、ペーパーマリオRPGに登場するバッジである。
そして、ゲーム内で屈指のチート性能を誇る最強装備でもある。

概要

まずは、「ペーパーマリオRPG」を知らない人向けの解説から。
このゲームには「バッジ」と呼ばれる装備アイテムが登場する。
バッジには様々な効果が設定されていて、装備することで様々な恩恵が得られるようになる(ワザの追加、パラメータの上昇など)。
各バッジには「バッジポイント」と呼ばれるコストが設定されている。これとは別にマリオにはBPと呼ばれるパラメータが設定されているのだが、装備するバッジは、バッジポイントの合計がBP以下でなければならない。例えばマリオの最大BPが「3」なら、バッジポイントが1に設定されているバッジを3個まで装備できる。
性能の高いバッジほどバッジポイントは高くなり、BPを圧迫して装備しづらくなる。

そして、ダメージガエシの性能はというと……

マリオを ちょくせつ こうげきしてきた
てきに ダメージの1/2を あたえる

バッジポイントは7。


これを読めば、本作を遊んだことのない読者にもその恐ろしさがわかるだろう。

要するに相手が強烈な攻撃をすればするほどそれが己に返ってくるのである。

自分が逆の立場だった場合を考えてほしい。
ポケモンなどの「1/2の反動ダメージがある」という技はいずれも「強力だから」という理由でペナルティが付いているものであるのに、これはそういった要素のないただの直接攻撃の小技でさえペナルティつきにしてしまうのだ。
(ちなみに最低ダメージ保証があるので、たとえ1ダメージの攻撃でも攻撃者にダメージは返る。)

戦えば戦うほど自分が追い詰められていく……「ダメージガエシ」を使われた敵はただただ絶望するのみ。泣くしかない。

当然、これを入手してしまうことができれば特殊なプレイでもしない限り「ペーパーマリオRPG」のボスキャラで戦いになる相手はいない。

数少ない欠点を上げるとすれば、バッジポイントが高いこと。7という数字は全てのバッジの最高値であり、6~7人の仲間を一同に戦闘参加させられる(も同然の)「スバヤクカワール」や、時々マリオが敵の攻撃を避けるようになる「ケッコウラッキー」と同じ値。
だが、恩恵が強すぎてこれでも少ないと思えるレベル。
そもそもこれを入手したマリオは(よほど特殊なプレイをしない限り)向かうところ敵なし状態になっているので、値の設定を論議するのは無意味。

本当に、何故作ったし。


もちろん、そんなバッジの存在が許されていいはずがない。
何をかくそう、このバッジは入手難易度もおそろしく高く、本ゲームの裏ダンジョンを完全クリアしないと入手できないのだ。

その裏ダンジョンは
  • クリアにリアルタイムで数時間かかる
  • 途中セーブ不可、死ぬか脱出したら最初からやり直し
  • 途中で宿屋の類はなく、アイテムの補給も乏しい*1
  • 終盤にはラストダンジョンのザコキャラの強化版のさらなる強化版が登場し、本気で殺しにかかってくる
  • 最深部にはボスキャラが待ち受けており、ゲーム内で「ラスボスより強いかもしれない」と称されるほどの強敵
という、理不尽要素のオンパレードであり、実質クリア後のおまけ。その先で手に入るのが「ダメージガエシ」なのである。

つまり、このバッジは「ペーパーマリオRPG」を骨の髄までしゃぶりつくしてくれたプレイヤーへのご褒美のようなもの。
「このダンジョンがクリアできるようならもう他に敵はいないので、思う存分チート級のプレイを楽しんでほしい」
……そんなスタッフのささやかな心遣いである。GJ!

というわけで「ダメージガエシ」は今なお世界中で、多くのマリオが装備している事だろう。
これから遊ぶやりこみ勢は是非このバッジをゲットして、悠々自適な完クリ作業を行ってほしい。


余談

ゲーム最初の街「ゴロツキタウン」では、バッジの売買を行う「バッジ屋」が店を構えている。
ゲーム中1個しか入手できないバッジを売る事も出来る(買戻しも可能)のだが、このバッジの売値は500コイン。
買値は堂々の999コイン(カンスト値)である。

金に釣られて売ってみたらとんでもない値段が表示され、思わず腰を抜かした方もいるのではないだろうか(尤も、このバッジを売る物好きは相当まれだと思われるが……)。
流石ラストダンジョン限定バッジ。貫禄ありすぎである。

ところで、一部のRPG作品では個数限定アイテムを間違えて売ってしまわないよう、売値を1Gにすることがある。
性能を考えると、思わず売ってしまいそうになるこの金額設定はいささか不親切と言えなくもないが、前述のように買い戻しもできるので安心してほしい。


追記・修正お願いします。
































   *   *
 *   + うそです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *




ダメージガエシとは、「ペーパーマリオRPG」に登場するバッジである。

理不尽難易度の裏ダンジョンの先に置いてあるのも事実だし、バッジポイントが最高値なのも、買値がカンスト級なのも実話である。

……そして、そんなスタッフのプッシュに反して驚くほど弱い。

どれだけ弱いのかと言うと、ゲーム開始地点の船着き場にぽつんと置いてあったとしても、おそらくゲームバランスに一切影響を与えない。

そう、見かけ上の強さに反して全くもって使えない。所謂カスレアである。



使えない理由1:返す分のダメージは自分もくらう

上記の説明で1対1交換に持ち込めると書いたが、真っ赤なウソである。
もう一度説明文を読んでみよう。

マリオを ちょくせつ こうげきしてきた
てきに ダメージの1/2を あたえる

最初にこのバッジの説明文を読んだとき、難関ダンジョンの最深部で手に入る背景と併せて、誰もがこう思うはず。
「自分が受けるダメージの半分を相手が肩代わりするのか!チートじゃん!!」

だが、説明文には相手がダメージを請け負うとは一言も書いてない。
ダメージは通常通り自分も食らうのだ。

例えば、敵の攻撃力が6あったとすると、敵は3点のダメージを返されるが、マリオも6点のダメージを普通に食らってしまう。
……あれ、弱くね?


使えない理由2:食らうダメージに対して返すダメージが割りに合わない

「それでも、半分は返してくれるんでしょ?」
残念ながら、それでも弱い。

バッジの性能を解り易くするため、このゲームのダメージの相場について見てみよう。
このゲームでは、レベルアップの度に
  • HP5アップ
  • FP(所謂MP)5アップ
  • BP3アップ
のいずれかを選べるようになっている。
マリオの初期HPは10で、ラスボスを倒す頃には大体レベル30くらいになっている。
つまり、ラスボス到達時のマリオのHPは平均して60、最大でも大体160くらい。
一方、ラスボス「カゲの女王」のHPは150である。
また、マリオは最終的にデフォルトの攻撃力が6になる。

何が言いたいのかと言うと
  • 先ほどの例で言うなら6点も食らうのはかなり痛い。
  • それで返せる攻撃はマリオの攻撃力の半分くらいにしかならない。
  • ボスキャラになれば敵のHPの方が高く、2対1交換でもこちらが損。
要するに、デメリットにメリットが見合っていない。
先ほどポケモンの技を例に挙げたが、そちらは互いに近しい性能のキャラで戦う事を前提に調整された対戦ゲーム。一人用のゲームと一緒にしてはいけない。


使えない理由3:マリオへの直接攻撃しか返せない

それでも、少しずつダメージを返せるのなら……という淡い希望も打ち砕かれる。
もう一度説明文を読んでみよう。

マリオを ちょくせつ こうげきしてきた
てきに ダメージの1/2を あたえる

仲間への攻撃に対してはダメージを返せないし、返せるのは直接攻撃だけである。

本ゲームの戦闘は、マリオとその仲間一人によって行われる。
つまり、敵の攻撃の半分はマリオを無視して仲間に飛んでくる。
また、敵の攻撃の中には、マリオを直接攻撃しない技も含まれる。

……要するに
ただでさえメリットが多くないのに、それを活かせる機会すらも少ないのだ。

風来のシレンシリーズに出る「バトルカウンター」と同じようなアイテムと言えば、通じる人もいるのではないだろうか。それらの盾は割と序盤の方で手に入り、後半になれば必要なくなる盾でもある。それが本作の隠しダンジョン「もっと不思議なダンジョン(シリーズ恒例の最高難易度ダンジョン)」をクリアした時に手に入っても、全く嬉しくはない。


使えない理由4:高すぎるバッジポイント

先ほども書いたように
  • 一部の攻撃でたくさんダメージを喰らうと少しだけ相手にダメージを返してくれる「ダメージガエシ」
  • 本来一人しか使えない仲間を実質総動員できる「スバヤクカワール」
  • たまに攻撃を避けられる「ケッコウラッキー」
これらのバッジポイントは同じである。

細かい説明は省くが、ぶっちゃけ性能にバッジポイントが見合っていない。
バッジポイントが7あれば、小粒な良性能のバッジを沢山つける事ができる。それをおしてまで「ダメージガエシ」を付ける理由は……?


使えない理由5:スーパーガード

そして、このバッジの存在を完全に否定するのがこのゲーム元来のシステムである。

本作では「スーパーガード」というアクションが存在する。
敵に直接攻撃をくらった瞬間、タイミング良くBボタンを押す事で、相手に反撃ができるという優れもの。無傷で相手に1ダメージを返す事ができる。
一応「タイミングがシビア」という欠点はあるものの、慣れてくれば安定して使えるようになる。そのため、デメリットは雀の涙。

無傷でやり過ごせるならば、当然スーパーガードをふんだんに活用することになるだろう。すると、マリオへの直接攻撃が通る事は滅多に起きなくなる。

……あれ?ダメージガエシいらなくない?
そう。わざわざスーパーガードを封印してまでダメージを喰らわないと使えないバッジにお呼びはかからない。
ただでさえ弱いのに、ゲームシステムにすら見放されているのである。せめて前作に出ていれば……

使えない理由6:ぶっちゃけ「ビリビリーン」でいい

ダメージガエシの効果はいわゆる「しかえし」状態を永続的に発生させるものなのだが、そもそも、しかえしより便利な状態異常を永続的に発生させるバッジがある。それが「ビリビリーン」
ビリビリーンを付けるとマリオは永続のビリビリ状態*2になるのだが、ぶっちゃけこれの方がよっぽど強い。
使用するBPはダメージガエシの半分以下の3。
ダメージガエシと異なり反射ダメージは1固定とはいえ、ボタンガードが若干難しい吸血攻撃をそもそも「出来なくする」メリットはそれ以上に大きく、そんなものが半分以下のBPで付けられるならダメージガエシは別に要らない。
しかも、ダメージガエシの場合は「自分が受けたダメージの半分」なので意図的に大ダメージを受けるように調整しなければいけないが、ビリビリーンならボウギョプラス系で攻撃を0ダメで弾けてもダメージを与えられる。

使えない理由7:活用するのが恐ろしく大変なうえに手間に合わない

ダメージガエシの仕様上、マリオが大ダメージを受ければ受けるほど反射ダメージが大きくなる。
つまり、意図的に「HPが非常に高く」「防御力が壊滅的」なマリオを作ればまあ使えなくはないのだが、ニバイダメージ込みでも「敵の攻撃力分」しか普通は返せず弱い。
普通はマリオの防御力が0なのでこれ以上は不可能だが、あるバッジを付ければその限界を超えられる。
「モロハノヤイバー」というバッジで「マリオの与えるダメージと受けるダメージを」1ずつ変化させられる。
そして、HPはレベル上げで200まで上げたら後はハートフエールを乗せてドーピングすればいい。
必要バッジポイントはハートフエールが3、モロハノヤイバーが2なのでこれをたくさんつけたら反撃マリオの出来上がり。
毎回凄いダメージを受けるが、その分反射ダメージも上がるので確実に雑魚敵は即死させられる。

……なんだ、使えるじゃないか!ダメージガエシ始まったな!
なんてことはない。
ハートフエールはいつでも量産可能だが、モロハノヤイバーの量産は期間限定ダンジョンで戦える雑魚敵から盗みまくるしかないからだ。
メガバッテンのアジトで出てくる「エリートぐんだんいん」が稀に持っている、落とすモロハノヤイバーをひたすらかき集めればいい、のだが、クリアすると2度と戦えない
そして、ドロップ率も装備率も低いので集めようとすれば何百回もこのダンジョンに入りなおさないといけない
もしくは、100階ダンジョンの70階台に登場するトゲノコエースから手に入れるという手もあるが、いつでも会える代わりに手間が掛かるという弱点が存在する。

更に、そんな苦行を乗り越えてモロハノヤイバーを大量に装備した場合は受けるダメージが凄まじいことになっているので、相手の飛び道具が当たったら反射できないままに当然凄まじいダメージを受ける
丁度このダンジョンのボスが「観客マシンガン」という飛び道具を使うのだが、例としてモロハノヤイバー10個とニバイダメージを装着したままアクションコマンド失敗して全部受けてしまうと(3+10)×2×10回=260ダメージ食らう。

使えない理由8:手に入る頃には使いどころがない

ここまでボロクソに書いてきたが、とどめと言わんばかりにさらなる悲劇が待っている。

超難易度の裏ダンジョンをクリアしたと言う事は、もう既にラスボスを倒し終わっているのである。*3
そして、裏ダンジョンに匹敵する難易度の場面はもう残されていない。
本作ではラスボスも裏ボスも倒すと復活しないのも逆風になっている。

……ここに来て戦闘を有利にする理由って何?


ダメージガエシに明日は無い。


しかも、「ダメージガエシ」の少し前には「ヤッツケーレ」が置かれている。
これがあると殆どの戦闘をカットできるようになり、世界中をお気軽に探索できるようになる。
……あれ?こっちの方がクリア後のご褒美にふさわしくない!?



というわけで、「ダメージガエシ」はその入手難易度にもかかわらず、徹頭徹尾使いどころのないバッジとしてプレイヤーの印象に深く刻み込まれる事になってしまうのであった。

しかし、彼には最後の使いどころが残されている。


「ダメージガエシ」は コイン 500まいで 買いますが
お売りに なりますかっ!?

はい
 いいえ

彼を葬って得た大金は、遊戯場で消費するなり料理の材料を集めるなり、お遊びがてら金塊を買うなり、好きなことに使ってあげよう。

時たまバッジ屋に拠ればラインナップにダメージガエシが並び、999コインという偽りの栄光を誇示することになる。そうしてプレイヤーは思う事だろう。



スタッフは何故こんなバッジを作ったのか。


追記・修正は、「ニバイダメージ」を併用したはいいものの、それでも全然使えない事に気づき、虚しさを覚えた人がお願いします。

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最終更新:2024年04月28日 12:31

*1 敵のドロップかぼったくりショップからの購入のみ。勿論どちらもランダムである

*2 帯電しており、敵が触れると1ダメージを与える他、チョロボン系統やバサバサ系統の吸血攻撃は触れた瞬間にキャンセルされて成功しなくなる。また、ビリビリーンによるビリビリ状態は「イツーモゲンキ」の影響を受けない。

*3 一応ラスボス撃破前に裏ダンジョンには行けるし、プレイ次第ではラスボス前にダメージガエシを手に入れることも不可能ではないが、先述したデメリットを考えると正直手に入れたところで宝の持ち腐れ。