コマンド入力式アドベンチャーゲーム

登録日:2019/03/26 (火曜日) 12:23:00
更新日:2022/06/05 Sun 16:16:29
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>アナタハ ヤカタノイリグチマエニ イマス
>ドウシマスカ?


概要

コマンド入力式アドベンチャーゲームとは、今ではもうほぼ絶滅したアドベンチャーゲームである。
PCゲーム黎明期には大量に作られたが、PC98(Win98ではない)辺りを境にほぼ作られる事はなくなっている。
一応、『STEINS;GATE 変移空間のオクテット』のようにあえて昔風に作ったゲームとして近年にも発売はされているので、若い人もそれで知っている人はいるかもしれない。


ゲーム内容としては、文章と絵でプレイヤーの置かれた状況が示され、そこでどう行動するかを直接文章で指示する事で進行するゲームである。
知っている人ならTRPGを想像すると分かりやすいかもしれない。
例えば、部屋の中に机がありその上にコップがある状況では「トル コップ」等と入力する事でコップを入手する事が出来る、といった具合である。


主に作られていたのがPCゲーム黎明期だったこともあり、古いゲームはシナリオがろくになくどちらかと言えばパズルゲームと言った方が近い物が多い。
各画面において出来る事を探し、アイテムを見つけ、それを使って各画面をクリアして次の画面へ進めていく、といった具合。
グラフィックアドベンチャーの始祖である『MYSTERY HOUSE』もこの形式のゲームだが、シナリオはほぼなく、
殺人犯に殺される事なく館内に隠された宝石を入手するのが目的のシンプルなゲームである。
とはいえシナリオ重視のゲームが全くないわけではなく、年を経るごとにシナリオ重視のゲームも数多く発売された。

さて、このタイプのゲームが何故絶滅したかと言えば、いくつかの要因がある。

1.シナリオに集中できない
先ほどパズルゲームに近いと言ったが、実際その通りで、ゲームを進める為には「 ゲーム制作者が望むコマンドを入力する 」必要があり、クロスワードパズルにも近い。
TRPGで言えばどんなことを言ってもGMが「それは出来ない」「そこに人はいない」等としか返ってこないのである。クソゲー
そのため、進行に必要なコマンドが思い浮かばなかったり、ヒントを見逃してしまったりすると簡単に詰む
こういった事情から、出来ることを想像して一つ一つ確認し、上手く当てはめ先へと進む楽しみはあれど、シナリオに集中させてくれないのである。
ADVがシナリオを楽しむ物として発展していったため、そういった世相と逆を行くためドンドン廃れていった。

2.家庭用ゲーム機とのアンマッチ
基本的にキーボードで入力する事が前提のゲームである為、ファミコン等の家庭用ゲーム機とは非常に相性が悪い。
ひたすらパスワードを入力し続けるゲームを想像すれば、家庭用ゲーム機ではやりたくないのは分かるだろう。
その為、PCゲームでは出続けたが、家庭用ゲーム機では全く発売されなかった。

3.作る側もコマンドを想定するのが面倒
プレイヤーからすると作り手側が何を求めているのかで悩ましいゲームだが、
逆に作り手側も何を入力されるか分からないので、コマンド入力の対応は取り切れない。
結果、最終的には「それは出来ない」という例外処理に頼らざるを得ない。
しかしそればっかりではゲームとして非常につまらなくなってしまうので、面白くしようとすると出来るだけ対応の幅を広くとる必要がある。
そして幅広く取れるように用意しても、その選択肢がプレイヤーに見えるわけではないので、結局無駄になってしまったりもする。

4.コマンド選択式アドベンチャーやポイント&クリック式アドベンチャーの登場
これらは今でも多少なりとも発売されているので知っている人も多いだろうが、
こういった形式のADVが出始めてからは主流はそちらへと移行していきコマンド入力式ADVはどんどん減っていった。
上記の問題も解決できるので、家庭用ゲーム機でも普通に発売されている。

有名なコマンド入力式アドベンチャーゲーム

MYSTERY HOUSE

絵と一緒に文章を表示するという今では当たり前の事を最初に行った世界初のグラフィックアドベンチャー。
それまでのアドベンチャーゲームは文字のみで進行していた。
全くの同名タイトルで似た内容のゲームが日本で発売されたので、当時は日本ではそちらの方が知名度があった。
今ではMYSTERY HOUSEを知ってる人ならその事情も含めて知っている人が多くなったが。

ポートピア連続殺人事件

「堀井ミステリー3部作」の第1作目。詳細は該当項目で。
「堀井ミステリー3部作」の2作目である「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」は日本初のコマンド選択式アドベンチャーであり、
本作もファミコンへの移植にあたりコマンド選択式+ポイント&クリック式が採用された。

デゼニランド

いわゆる ダサイタマ ネタを使い某夢の国をパクった「デゼニランド」が舞台のハドソン製テキスト入力式ADVゲーム。
全体的には簡単なコマンドでゲームが進行するのだが、「 棺桶に十字架をはめる 」シーンが「やる事は分かっているのに正解コマンドが分からない」為に行き詰った人が多い事で有名。

WILL -THE DEATH TRAP Ⅱ-

スクウェア製のなかなかいかした雰囲気のゲーム。
アイテム管理やコマンド入力はしっかりやる必要があり、適当にコマンド入力しているとクリアフラグが消えてクリアできなくなる。
しかもそこでゲームオーバーにはならず、クリアできなくなってもプレイは続行されるのでミスに気づきにくい。

Masquerade

ゲームクリアに懸賞金をかけたコマンド入力式のADV。
殺し屋に命を狙われている探偵が主人公であり、殺し屋を撃退しながらマフィアのボスを倒すのが目的のシンプルなゲーム。
…なのだが、コマンド入力式ADVの難しさを逆手に取ったゲームであり、懸賞金をかけた相応にクリアは非常に難解。
最後の答えはヤクでもきめてないと分からないんじゃなかろうか
最初の問題である開始地点のホテルからの脱出すらできずに詰んだプレイヤーも多い。


最後に

そんなわけで今では全く作られる事のなくなった形式のゲームだが、かつては大量に作られたゲームであり、当時のPCゲーマーには忘れられないゲームでもある。
名作と呼ばれる物もいくつも存在する…が、今のゲームに慣れた人がプレイして楽しいかといえば、うん、まぁ……。


発展形?

マックスウェルの不思議なノート

入力した単語がオブジェクトとなって画面内に出現し、それを使用して各ステージのミッションをクリアしていくゲーム。
数万もの単語を対応するという力業でかなり自由な単語入力に対応したゲームとなった。
2010年代のDSソフトなのでまさか「答えを1択しか受けつけない」なんてことは許されない中、ギミックとアイテムの動きをマッチングさせまくったスタッフの苦労が偲ばれる。

人工知能

ゲーム外ではあるが「ユーザー側で好きな単語や会話を発し、それに対応する行動を取るプログラム」は、コンピューター技術やAIの発達と共に進歩していき、実用化が進んでいる。
当初はこの項目のゲームと同様「あらかじめ対応を全て用意する」という形でプログラムが作られていたが、「経験を積ませプログラム側で判断させる」形になった事で飛躍的に進化した。
2010年代にはユーザーの声で命令を聞き、家具を操作する物も一般販売されるレベルになっている。
いずれはプレイヤーの好き勝手な入力に対応して進むことのできるゲームが作られる日が来るかもしれない。



ココハ ヘンシュウガメン デス
ツイキ シュウセイ デキマス

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最終更新:2022年06月05日 16:16