マコバヴィレッジの惨劇(バイオハザード)

登録日:2019/03/29 Fri 19:39:31
更新日:2024/04/20 Sat 03:10:14
所要時間:約 9 分で読めます





マコバヴィレッジの惨劇』とは、バイオハザードシリーズのドラマCDのタイトル。


ドラマCD「バイオハザード ドラマアルバム」のエピソードの1つであり、97年5月~6月までのTBSラジオ『ゲーマーズパラダイス 留美・まりなのノックは無用』内で放送されたラジオドラマ。
バイオハザードの前日譚にあたる話で、ジルがタイプライターに記録する形で語られているのが特徴。

時系列が1の前のはずながら、本作の内容がゲーム本編と矛盾する描写があり、他の作品に関連するものがないため
今となってはその後のシリーズとは繋がらないパラレルワールドになっていると思われる。
(そもそもそうじゃないとジルがゾンビの存在を知っていて、バイオ1で初見じゃない上、この村を連想しなければおかしい)
…とは言え、『閉鎖的な街』、『謎の宗教』、『怪物化した人間が普通に生活』、『怪しい教会』、『中世的』と、『バイオハザード4』に通ずる要素が多数登場しており、本作が後の作品に影響を与えた箇所もあるかもしれない。*1

当時『新世紀エヴァンゲリオン』で大人気だった声優・宮村優子がジルの声を当てているのだが、ジルの雰囲気に合わないのでやや不評だった。
また、ゲーム内で使われていたBGMやSEが用いられるのだが、突拍子もなく鳴ったり意味不明に効果音だけを並べたりと、状況を把握する事ができないのも不評を買った原因か。*2
物語冒頭でジルがドライバーの傷に対し物凄い説明口調で傷の詳細を独り言で口走るかと思えば、交戦中は喘ぎ声悲鳴と効果音のみで何の説明もなかったりと、ラジオドラマとしての完成度自体低め*3
もっともこれがバイオハザード初のラジオドラマだった為に、ネタバレ防止も含めて手探りで作られたからと思われる。
当時ここまでバイオハザードがヒットすると予想されなかったので、予算的にも厳しかったのかもしれない。

ゲームが爆発的ヒットになり、後に本作の失敗を踏まえ、より設定を練った「バイオハザード アウトブレイク」の原型とも言える『運命のラクーンシティ』や
本編の主要キャラを主軸に舞台の裏側を描いた『小さな逃亡者シェリー』も放送、発売された。



あらすじ

舞台は本編(バイオハザード1)の3週間前。
休暇中のロスからウェスカーの指示でラクーンシティに向かう途中、暴走トラックの事故に巻き込まれてしまう。
トラックの運転手は「マコバヴィレッジには行くな、呪いだ」という言葉を残し、死亡した。
しかし死因は事故ではなく、大型肉食動物に襲われたかのような傷口が原因だった。
車を失い電話を借りる為、一番近くの村…アークレイ山脈北端に位置する小さな村に立ち寄るが…。

ブックレット収録ストーリー

ここはラクーンシティから北西へ40キロ。アークレイ山脈の北端に位置するとある小さな村マコバ。
戸数わずか十数戸、人口50に満たないここは、まるで時代から取り残されたように、歳月、薄汚さ、荒廃が入り混じっていた。
ラクーン市警S.T.A.R.Sアルファチーム所属のジル・バレンタインは休暇先からラクーンシティに戻る途中
暴走車の事故に巻き込まれ、この村に立ち寄るはめになってしまった。
折しもラクーンシティでは謎の連続殺人事件が勃発しているさなか、調査に向かったブラヴォーチームが行方不明になったという。
ジルが休暇半ばに急遽呼び出される事になったのもそのせいであった。
暴走車の運転手の死体を調べるジル。死体は何か獰猛な動物に噛みつかれたような傷を負っていた。

タイトル一覧

1. 第一夜 「アークレイ山脈、北」
2. 第二夜 「葬送の村にて」
3. 第三夜 「村人たち」
4. 第四夜 「シモンズ牧師の教会」
5. 第五夜 「地下牢の屍人」
6. 第六夜 「父親」
7. 第七夜 「聖ハヴァオスの儀式」
8. 第八夜 「脱出 …… そして再び」



登場人物

ウェスカーに呼び出されてラクーンシティへ向かう途中、高速道路から飛び出してきた暴走トラックと交通事故に遭う。
奇跡的に無傷で助かったものの、運転手が事故とは別に負っていた重傷により、謎の遺言を残して死亡。
ジルも車を失った為、電話を借りようと訪れた一番近い村が、運転手が行くなと言っていたマコバヴィレッジだった。
村の中でゾンビを発見してしまった事で、村人に唯一の橋を落とされ村から出られなくされてしまう。
尚、ベレッタを携行している。調査の基本、『落ち着いて状況を把握する事』を度々自分に言い聞かせている。
教会を襲撃してきたゾンビ達を一掃する為、トラクター用のガソリンと即興の発火装置で教会ごと爆破する作戦を打つ。
そしてガソリンを取って帰る途中で、サラの死体とショットガンの弾を発見し、隠れていた姉弟も見つけた。
正体を現した事件の黒幕を倒し、隠してあったエレベーターから二人を連れてボートで脱出した。
その後、姉弟をラクーンシティの病院へ搬送、S.T.A.R.Sアルファチームとして謎の洋館へ突入しドラマ冒頭部に繋がる。*4

  • エドワード・ダービー(CV:坂本正吾)
暴走トラックの運転手。大きな傷を負ってマコバヴィレッジから逃げてきた。
接触事故により投げ出された後、譫言で「村に行くな、呪いだ」とジルに「マコバ」の名を遺して息絶えた。
村人のウィルスンからは隠ぺいの為か「酔っ払いで支離滅裂な事を口走っていた」と言われている。


  • ハーヴィ・シモンズ牧師(CV:速水奨
マコバヴィレッジ教会の牧師。ゾンビに襲われていたジルを助けた。
ゾンビの存在を知ってしまったが為、ジル同様に村から出る事を禁じられてしまっている。
普段は教会に住んでいるらしく、村にゾンビが溢れかえった際に教会に皆を避難させた。
教会内にあった新聞のスクラップから、ラクーン大学から村の調査に来たシモンズ教授との関連が見えてくる。
そして隠し扉の先の地下には中世の拷問部屋のようなものや、怪物化した者達を閉じ込めた牢屋が。
実はシモンズ教授は彼の曽祖父で、その論文に興味を惹かれ5年前にこの村にやってきた。
逃げる事もできたが、いつか村の信仰を改宗させられるという希望があったから残っていた。

4年に一度行われる「聖ハヴァオスの祭り」を無事に遂げるまでジルを村から脱出させまいと動いている人物。
シモンズが掛けあうも「70年前の失敗を繰り返すわけにはいかない」と突っ撥ねた。
悪魔崇拝をしている事を隠しており、70年前にシモンズの曽祖父に秘密を暴かれた為、外部の者は閉じ込めるようになる。
その経緯から部外者が立ち入り再び調査隊がきて、悪魔崇拝の事実が暴かれるのを危惧していた。
ちなみに聖ハヴァオスとは神ヤハベを逆さに発音される、真の魔王の名で偉大な宇宙の支配者らしい。
ゾンビ化する者としない者の違いを見抜いたが、自分もゾンビ化する事を悟り、ゾンビになる前に銃で自殺した。


  • トビー(CV:野田順子)
ジルが村で最初に出会った少年。ジルの事を味方かどうか確認する。
父親が信仰している邪教、聖ハヴァオス神を信じている。


トビーの姉。トビーに話しかけようとしたジルを敵視し、弟を連れてそそくさと家に閉じこもった。
母親に隠れてトビーと同じく聖ハヴァオスを信じている。
村を脱出後、弟と共にラクーン市内の警察病院で精密検査を受けており、メンタルな治療も必要らしい。
ジルは「彼女達ならきっと大丈夫だと信じている」と語っているが…そのまま治療を受けるならたぶん大丈夫じゃない。


  • サラ(CV:関根明子)
トビーとロレインの母親。普段は優しいが、トビーが聖ハヴァオス神の事を口にすると激昂してしまう。
ゾンビの大量発生から子供達を守る為、クローゼットに二人を隠す。
その際、自分にもしもの事があったら、裏庭に隠したボートで村を脱出するように命じた。
そして果敢にも一人で怪物達に立ち向かい、退けたが…夫がすでに異形化している事に気付かず、隙を突かれ食い殺された。


  • リーガン
村長に村に若い女が現れた事を告げに来た男。
しかし村長がジルを監禁しようとした際に突然ゾンビ化してしまう。


  • ロバート・グレッグ
ポリスボックスですでにゾンビ化していた警官。巡査で34歳。配偶者なし。電話線を噛み千切った。
マコバヴィレッジ勤務、勤続8年。彼の個人情報はジルが調査中に見つけた警察手帳のもの。
ジルが最初に遭遇したゾンビで、ハンドガンの乱射を受けても死ななかった。
油断していたジルを襲うも、現れたシモンズのショットガンで始末された。


  • ウィルスン(CV:幸野善之)
住み込みで教会の用事をやっている男。ゾンビ発生時に教会に逃げ込めた。
その後しばらく劇中から姿を消すが、ジルが姉弟を助けたところに現れ「自分はもう助からない」と嘆く。
発狂して飛び出したところを、正体を現したシモンズに始末された。


  • カーティス
村にゾンビが大量発生した際に教会に逃げ込んだ村人。ショットガンを持っていたが弾切れだった。
ジルがうたた寝をしている間に首を噛まれてしまっており、シモンズが見た時には死んでいた。
…ジルが見た時には虫の息だが生きていたはずだが? なお彼のショットガンがキーアイテムになる。


【登場クリーチャー】

シリーズ恒例のクリーチャー…だが、本作ではT-ウイルスに感染したゾンビではない。*6
シモンズ曰く「あれはこの世のものではない」とのこと。
肉が腐って剥がれ落ち、人間を喰らおうとして襲い掛かる。ただし噛まれたりした人間がゾンビになったりはしない。

後半、シモンズから衝撃の事実が告げられる。
怪物化したかのような者達は、ある程度時間が過ぎるとなんと元のまともな人間に戻るらしい。
そして時間が経つとまた再びゾンビになり、これを繰り返しているのだという。
ジルが来る数日前からこの現象が起きており、怪物化のサイクルはどんどん短くなっていき、いずれ元に戻れなくなる。
元に戻れなくなった者達は教会の地下牢に閉じ込められていたが、際限がない為に村長は変化した者を殺すよう命じた。

この現象は「聖ハヴァオスの祭り」のちょうど一月前に、選ばれた村の男達24人が山に登って悪魔と契約を交わす儀式が原因。
体の中にハヴァオスの力を流し込むという理屈で、ハヴァオスの使い魔である毒蛇の血を飲むのだが…
よりにもよって山を越えてラクーンフォレストまで行ってしまい、そこで見た事もない種類の毒蛇を見つけて捕りまくったらしい。
なお、帰ってきた者達は以前よりも暴力的になっていった。

バイオ1のアダー(小蛇)の血を飲んだ事でT-ウイルスに感染したとも考えられなくはないが、知能も含めて見た目まで普通の人間に戻るのでまるで別物。
ジルは飲んだ村人達と人間時に会っているが、怪物化するまで気づかなかった。最初の警官のように肉が腐り落ちるのが末期症状で、それまでは見た目も人間と大差ないのだろうか。
適合すればシモンズのように人間の頃の知性を有したまま大型肉食獣のように身体強化するなど、B.O.W.としての性能はなかなか。
ただし適合者でさえハンターより脆弱で定期的に人間に戻るサイクルがあるなど、兵器として考えると使い道は限られると思われる。
ただT-ウィルスは適合者が1000万人に1人なので、適合割合次第では量産型簡易タイラントとして使えそうではある。
尚、暴走トラックのドライバーを襲ったのも「大型肉食獣に噛まれたような傷」が付けられそうな変化ができたシモンズと思われる。

ちなみにT-ウィルスのベースとなった「始祖ウィルス」は古くからンディパヤ族にまつわる神秘の花で、儀式にて食することで絶大な能力を手に入れられたとの事。
…もしかするとこれこそが始祖ウィルスだった可能性もあり得るかもしれないが、未だ謎に包まれている。

追記・修正はマコバヴィレッジから生還してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • バイオハザード
  • パラレル
  • パラレルワールド
  • ドラマCD
  • アンブレラ
  • ゾンビ
  • 前日譚
  • 宮村優子
  • 桑島法子
  • 速水奨
  • またラクーンフォレストか
  • 悪魔信仰
  • 悪魔崇拝
  • ミスキャスト
  • 人間に戻るゾンビ
  • 黒歴史
  • プラーガ?
  • ラクーンシティ
  • どうしてこうなった
  • ※T-ウィルスではない
  • 始祖ウィルス?
  • 狼男
  • 人狼
  • 時代の先取り
  • マコバヴィレッジの惨劇

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月20日 03:10

*1 参考にしたかは別だが、月刊COMICリュウ連載の「異骸-THE PLAY DEAD/ALIVE-」では本作によく似た特徴のゾンビが主軸になっている。

*2 特に序盤でジルが襲われているシーンでは、あからさまにゾンビに体を貪り食われるSEが10秒近く鳴っているのに、何の説明もなしにスルーしている。

*3 特にプロローグ的な部分で店の男性客がゾンビに襲われるシーンは必聴モノの酷さ

*4 この際、ドアを出た瞬間にゾンビがおり撃ち殺す。独白の内容と照らし合わせると、恐らくショットガンのある部屋の手前のセイフティルームと思われる。

*5 ハンターなら銃弾数発とショットガン程度では倒せないし、スピードも速い。

*6 ジルが冒頭で関係あったのかもしれないと述べているが、ウィルスの特徴が全く違う為。